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映画『彼は秘密の女ともだち』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『彼は秘密の女ともだち』の概要:親友を亡くしたクレールは、親友の夫であるダヴィッドが女装をして娘をあやしているところを目撃してしまう。彼女は女装したダヴィッドにヴィルジニアという名前をつけ、二人はこっそり会うようになる。

映画『彼は秘密の女ともだち』の作品情報

彼は秘密の女ともだち

製作年:2014年
上映時間:107分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:フランソワ・オゾン
キャスト:ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、ラファエル・ペルソナーズ、イジルド・ル・ベスコ etc

映画『彼は秘密の女ともだち』の登場人物(キャスト)

ダヴィッド / ヴィルジニア(ロマン・デュリス)
ローラの夫。女装をするが、女性が好き。
クレール(アナイス・ドゥムースティエ)
ローラの親友。女装するダヴィッドのことを最初は変だと思うが、徐々に受け入れていく。
ジル(ラファエル・ペルソナ)
クレールの夫。
ローラ(イジルド・ル・ベスコ)
クレールの親友。娘のリュシーを産んですぐに亡くなってしまう。

映画『彼は秘密の女ともだち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『彼は秘密の女ともだち』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『彼は秘密の女ともだち』のあらすじ【起】

クレールは親友のローラを亡くした。ローラが転校してきた7歳の時から、二人は仲が良かった。大人になったローラはクラブで出会ったダヴィッドと結婚し、その後クレールもジルと結婚した。ローラとダヴィッドには娘が生まれていた。ローラの最期を病院で看取ったのはクレールだった。クレールは葬儀で、ダヴィッドと娘のリュシーを見守ることを誓う。

落ち込むクレールを夫のジルが励ます。仕事に向かう電車の中で彼女は、一人の女性をローラと見間違える。仕事に集中できないクレールは1週間仕事を休むことにする。ジルは、ダヴィッドに連絡を取り、リュシーの面倒を見るように勧める。クレールはリュシーに会うのが不安だと話す。

翌朝クレールは、ダヴィッドに電話をするが彼は留守だった。クレールはランニング中に彼の家に寄り、ドアをノックするが誰も出て来ない。帰ろうとしたクレールはリュシーの泣き声を聞く。彼女は鍵のかかっていないドアを開け、家の中に入る。そこでクレールが目にしたのは、ブロンドのウィッグをかぶりクレールの服を着て、リュシーをあやすダヴィッドだった。彼は化粧までしていた。慌てて帰ろうとするクレールを、ダヴィッドは説明すると言って引き留める。

リュシーを寝かしつけ、着替えたダヴィッドはクレールに話し始める。彼は、女装のことをローラが知っていたと話す。結婚したら落ち着いていた欲求を、ローラが亡くなってからまた感じるようになったとダヴィッドは言う。ある日、泣き止まないリュシーにローラの服を触れさせると彼女は泣き止んだ。それからダヴィッドはローラの服に安らぎを感じるようになったのだった。

リュシーのために父母の役割を両方やると話すダヴィッドを、自分の快楽のためだとクレールは批判する。ダヴィッドはクレールに誰にも言わないよう頼む。彼はローラの両親にリュシーを取り上げられるのを恐れていた。理解して欲しいと言うダヴィッドを振り払ってクレールは帰る。

男性の女装についてクレールが調べていたところへ、ジルが帰宅する。彼はダヴィッドに連絡し、食事に誘ったと話す。ジルは外出しないダヴィッドを心配していた。

次の日、ローラの携帯電話からクレールに電話がかかってくる。クレールが出ると、かけてきたのはダヴィッドだった。彼はクレールに会いたいと言う。電話の相手が誰だったのかジルが聞くので、クレールはとっさにヴィルジニアという女友達だと答える。彼女は携帯電話のアドレス帳の名前もダヴィッドからヴィルジニアに変更する。

ダヴィッドはローラの香水をつけ、ローラのワンピースを着てクレールを待っていた。リュシーに対して自分のことをママと呼ぶダヴィッドを、クレールは馬鹿みたいだと笑う。クレールはベビーシッターを雇うことを提案するが、ダヴィッドはローラに娘の面倒を見ると約束したと言って拒む。サイズを直してローラの服を着ているダヴィッドは、店で大きいサイズを試してみたいと話す。

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映画『彼は秘密の女ともだち』のあらすじ【承】

クレールと、女装したダヴィッドが服の話をしているところに、ローラの母がやって来る。ダヴィッドが着替えている間にクレールが時間稼ぎをする。ダヴィッドは口紅を落とすのを忘れたまま挨拶に来る。彼がローラの母とハグをしている間にクレールがジェスチャーで合図し、ダヴィッドは具合が悪い振りをしてバスルームに駆け込む。

その後も、ダヴィッドの女性らしい仕草を見て、ローラの母は怪訝そうな顔をする。クレールはジルとランチだと言って帰ろうとする。玄関まで送るダヴィッドに、彼女はローラの電話番号を使わないよう頼む。

ダヴィッドとの食事の日。レストランで彼は、ローラの両親にリュシーを預けたと話す。一人の時間が長すぎると不安になると言うダヴィッドをジルが励ます。ダヴィッドはクレールと同じ料理を注文する。ウェイトレスが魅力的だとジルが言い、ダヴィッドに同意を求めると、彼はウェイトレスの服装を褒める。

ジルがトイレに立った間に、ダヴィッドはクレールに、一緒に買い物に行って欲しいと頼む。クレールが女装のダヴィッドをヴィルジニアと呼んでいるのを聞いて、彼は嬉しそうにする。帰りの車の中でジルは、ダヴィッドが少し女性的だと話す。

ダヴィッドと買い物に行く日。クレールが彼を迎えに行くと、ダヴィッドはピンクのドレスを着て待っていた。目立たない格好で行く約束だと彼を着替えさせるクレール。ダヴィッドは彼女にヴィルジニアと呼んで欲しいと頼む。女装での初めての外出に彼は喜ぶ。

ヴィルジニアとクレールはショッピングモールで化粧品やアクセサリーを選ぶ。クレールが赤いドレスを試着するとヴィルジニアが褒める。下着の店をうっとりと眺めるヴィルジニアに、クレールが入るかと聞くとヴィルジニアは、今日はやめておくと言う。彼女は体毛を気にしていた。クレールが次回にと言うと、ヴィルジニアは嬉しそうに笑う。

クレールとヴィルジニアが劇場で映画を観ていると、ヴィルジニアの隣に座った男性が彼女の膝を触る。それに気づいたクレールは席を移ろうと提案する。カフェで、男性が好きなのかとヴィルジニアに尋ねるクレール。ヴィルジニアは、さっきの男性が自分を女性だと思ってくれて嬉しかっただけで、女性が好きだと話す。クレールが彼女を家に送ると、女装は自分のためだとヴィルジニアは認める。

仕事に復帰したクレールに、ヴィルジニアからランチに誘う電話がかかってくる。カフェでクレールを待っていたヴィルジニアは、髭を剃り忘れていた。リュシーが戻る前にクレールと、ローラの両親の別荘へ行きたいと彼女は話す。ヴィルジニアはクレールに、ジルに事実を話すように頼む。

クレールはジルに、母に会いに行くと嘘をついて家を出る。別荘に向かう道中、ダヴィッドは男子トイレでヴィルジニアになる。車の中で化粧をするヴィルジニアに、クレールはマスカラのコツを教える。

別荘に着いた二人は16歳のローラが描かれた肖像画を見つける。ヴィルジニアは両親の部屋を、クレールはローラの部屋を使うことに決める。昔のローラの写真を見て涙ぐむクレールを、ヴィルジニアが慰める。

散歩をしていたクレールとヴィルジニアは、クレールとローラの名前が彫られた木を見つける。二人はローラの墓参りをする。

クレールは暖炉の前にいるダヴィッドを見て驚く。彼はクレールに、夕食を一緒にとるのはどちらがいいか選ばせるが、ジルのためにと自分でヴィルジニアを選ぶ。二人は化粧をする。クレールは必要ないと言うが、ヴィルジニアがどうしてもとせがむので、腰の脱毛を手伝う。

映画『彼は秘密の女ともだち』のあらすじ【転】

夕食中ヴィルジニアは、知らない街で女性として新しい人生を始めたいと話す。クレールはリュシーがいるから無理だと言うが、ヴィルジニアは愛があれば叶うと言う。クレールは現実に戻るよう彼女を叱る。

二人はクラブで、元男性であるエヴァのショーを見る。クレールは客の中に同性愛者や女装した男性がいることに気づく。ヴィルジニアとクレールが踊っていると、ボーイッシュな女性がクレールに近づいて来る。

クラブから別荘への帰りの車の中、ヴィルジニアはまだ話していないことがあると言う。彼女は、ローラが埋葬される前、葬儀屋に頼んで自分でローラにウェディングドレスを着せたと告白する。その時に女性の服を着たいという欲求が甦ったのだとヴィルジニアはクレールに話す。その夜、クレールはヴィルジニアと交わる夢を見る。

翌朝、クレールが母の家に行っていないことがジルにバレてしまう。帰りの道中、ヴィルジニアはダヴィッドに戻り、車内で化粧を落とす。クレールはダヴィッドにもう女装はやめた方がいいと忠告する。理解してくれていると思っていたと話すダヴィッドに、クレールは病気だと返す。

ジルは、クレールがダヴィッドと別荘へ行くことを隠していたことに怒っていた。クレールは、うっかりダヴィッドは男性が好きだと嘘を言ってしまう。彼女はダヴィッドとの間に何もないことをジルに証明するために、ヴィルジニアに食事に来るよう頼む。

食事の日、ジルがドアを開けるとダヴィッドとリュシーが家に入って来る。ダヴィッドはジルに自分がゲイだと嘘を吐く。彼は精神科に通っていると話す。ダヴィッドはクレールに二人で会いたいというが、クレールは拒否する。ダヴィッドを送っていく車の中で、ジルはローラに嫉妬していたと彼に話す。

映画『彼は秘密の女ともだち』の結末・ラスト(ネタバレ)

クレールはランニングの途中で、リュシーとベビーシッターが遊んでいるところへダヴィッドが帰ってくるのを見る。

クレールがジルとテニスをしていると、ダヴィッドがやって来る。三人は一緒にテニスをする。ダヴィッドはクレールと会わなくなってから女装をやめたと話す。テニスが終わった後、シャワーを浴びたクレールは男性更衣室に入る。そこでジルとダヴィッドが抱き合っているように錯覚する。

シャワーから戻らないクレールを心配したダヴィッドは、彼女を迎えに行く。クレールは、ヴィルジニアが恋しいと話す。ダヴィッドはクレールにキスするが、クレールはローラを裏切れないと言って拒否する。クレールはダヴィッドを置いて、ジルと二人で帰る。

その夜、ヴィルジニアからクレールに待ち合わせを指定するメールが入る。翌日、待ち合わせ場所のホテルでクレールが待っているとヴィルジニアが現れる。クレールはヴィルジニアに謝罪する。ヴィルジニアはクレールに恋をしていると話す。またショッピングに行くかと問うクレールに、ヴィルジニアはごまかすなと言う。

二人はホテルの部屋に入るとキスをする。抱き合っていた二人だったが、途中でクレールは、ヴィルジニアはやっぱり男だと言って逃げる。残されたヴィルジニアは涙を流す。

クレールは、気が変なのかとヴィルジニアにメールする。彼女からは、自分は女性だという返信が来る。携帯電話を見ながら歩いていたヴィルジニアは車にはねられる。

クレールとジルが病院に駆けつけると、ローラの両親からダヴィッドが女装をしていたと聞かされる。クレールは知らなかった振りをする。ダヴィッドは意識がなく重体だった。クレールはジルにダヴィッドの女装を黙っていたことを謝る。

クレールとジルはリュシーを引き取る。クレールはリュシーを連れて、ダヴィッドの見舞いに行く。クレールがダヴィッドに向かってヴィルジニアの名前を呼ぶと、一瞬彼の目が開く。

クレールはダヴィッドの家に行き、女装用の服をスーツケースに詰めて病院に向かう。彼女は病室でダヴィッドの髭と体毛を剃ると、ワンピースを着せる。ダヴィッドをヴィルジニアにしたクレールは、クラブのショーで聴いた歌を歌う。ダヴィッドは意識を取り戻し、クレールを抱きしめる。

クレールは、家でリュシーをあやしているジルにヴィルジニアを紹介する。

7年後、クレールとヴィルジニアは学校へリュシーを迎えに行き、三人は一緒に帰るのだった。

映画『彼は秘密の女ともだち』の感想・評価・レビュー

妻を亡くし、幼い子どもの為にも父親と母親の両方を務めようとするロマン・デュリスの女装は見事だ。その所作や美意識の高さが美しく、女性よりも女性らしい。
クレールが最後までヴィルジニアを見捨てずに、彼女を受け止めてくれて良かった。
自分に素直になることは、大人になった今でも容易ではないし、心と性の問題は本人にしか分からない(あるいは本人ですら気づかない)。
まだトランスジェンダーに対する偏見がある日本人にこそ見てほしいと思う。
自分らしさを貫いて生きることの美しさと、2人の特別な友情を描いた作品。(女性 20代)


ダヴィッドのことを理解したい。でも理解できない。その狭間で揺れ動くクレールの気持ちが、リアルでとても良かった。女装をするのはもちろん個人の自由だし、良いと思う。でも、実際に友人からそのことを告白されたら、初めはクレールのように戸惑ってしまうと思う。
ダヴィッドにとってローラは妻であると同時に、良き理解者だったのかなと思った。誰にも理解されないというのは苦しいものだということが、ダヴィッドを見てて一番強く感じた。(女性 30代)


ダヴィッドとヴィルジニア。どちらも魅力的で、どちらも好きです。自分の心に素直に生きることは物凄く大変で、理解して貰えない事の方が多いかも知れません。しかし、この作品を見ると自分の心の声をしっかりと聞き、自分だけでも「心」を信じて素直に生きていきたいなと思いました。
彼の中の彼女、彼女の中の彼と言うと変に聞こえるかも知れませんが、この「自分の中の本当の声」の表現の仕方が本当に上手くて、美しかったです。
偏見や差別を0にするのは難しいでしょう。しかし、少しでも多くの人に「知って欲しい」と願います。(女性 30代)


危うくて危うくて見ていられませんでした。LGBTは理解しているつもり、こういう友情もあって良いと思います。ただ、一線を越えようとした辺りでちょっと限界がきました。このままズルズルしていくのは無理、と飛び飛びでラストまで観ました。本人たちもしっかり割り切れたようで、旦那さんにも事実は伝えられ、めでたしということで。…最後のお腹の子は、ダヴィッドとの…いやそんなはずないですよね。ダヴィッドは友達ですよね…?(男性 20代)


ジェンダーに対して敏感なフランソワ・オゾン監督の作品ということもあり。途中まで見事に外してきたなと思いながらも、わりと普通な映画だった。それでもセクシャリティへの焦点の当て方は変化球であるから面白い。

結末は全く予想もしていなかった展開になった。トランス・ジェンダーに対しての問いかけだけではなく、ラストで普遍的な家族として描こうとした部分も他の映画より自然的だ。オゾン監督が描くLGBTQ映画は一味違うから面白い。(女性 20代)

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