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映画『蛍火の杜へ』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『蛍火の杜へ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『蛍火の杜へ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『蛍火の杜へ』の結末までのストーリー
  • 『蛍火の杜へ』を見た感想・レビュー
  • 『蛍火の杜へ』を見た人におすすめの映画5選

映画『蛍火の杜へ』の作品情報

蛍火の杜へ

製作年:2011年
上映時間:44分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、アニメ
監督:大森貴弘
キャスト:内山昂輝、佐倉綾音 etc

映画『蛍火の杜へ』の登場人物(キャスト)

ギン(内山昂輝)
蛍が山神の森で出会った10代後半くらいの外見をした青年。実はこの森の住民で、人間に触れられると消滅してしまう。
竹川蛍(佐倉綾音)
横浜に住む少女。祖父の暮らす街へ遊びに来た際、山神の森に迷い込みギンと出会う。

映画『蛍火の杜へ』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『蛍火の杜へ』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『蛍火の杜へ』のあらすじ【起】

高校卒業を間近に控えた竹川蛍は、大学には進学せず就職する事を決めました。そこで、祖父の暮らす街へ就職活動のため向かったのです。幼少期、普段神奈川県の横浜という都会に住んでいる蛍は、そんな都会の喧騒とはかけ離れた祖父の住む”田舎”が大好きでした。

毎年夏に祖父の元を訪れていた蛍は、とある年近くにある『山神の森』に1人足を踏み入れました。その森には妖怪が住まうと言われていて、どうしようもない好奇心に突き動かされたのです。しかし、その森の中で蛍は迷子になってしまいます。蹲って泣いている蛍に「どうしたの?」と声をかける存在がありました。

見上げるとそこには蛍よりも年上の、10代後半でしょうか、狐のお面を被った青年が立っていました。不安のあまり抱きつこうとする蛍を、青年は避けます。青年は、自分は人間ではなく、この森の住民であると言います。そして、人間に触れられると自分は消滅してしまうということも打ち明けました。そして青年は、蛍を森の出口まで送り届けてくれたのです。

映画『蛍火の杜へ』のあらすじ【承】

蛍は、ギンこそが言い伝えの森の妖怪であるに違いないと思い、初めて妖怪に会ってしまったと興奮しその夜は全く寝つけませんでした。蛍は今日「勝手に森に入るな」と祖父に怒られたにも関わらず、翌日もギンに会いに行きました。するとギンは、まるで蛍を待っていたかのように森に姿を現したのです。

それからというものの、蛍はギンと毎日のように色々な遊びをしました。花摘みに笹舟流し、昼寝などそれはとても平穏で素敵な時間です。その合間、蛍はギンの隙をみてはギンに抱きついて見ようとするのですが、ギンはそれをひたすら避け続けました。

ある時ギンが眠り込んでいるすきに、蛍はギンのつけるお面をこっそり外してみました。ギンの顔はまるで普通の人間の青年のそれで、全くもって妖怪らしくはありません。ギンは、「これをつけてないと全く妖怪には見えないからね」とお面をつけ直します。そして、蛍が横浜に戻る時がやってきました。蛍は来年も来るから、とギンと約束を交わします。そしてその約束通り、蛍は来年の夏ギンに会いにやってきたのでした。

映画『蛍火の杜へ』のあらすじ【転】

そんな2人を、心配そうに見つめる存在がありました。森に暮らす他の妖怪たちです。妖怪たちは、蛍がギンに触れる事でギンが消えてしまう事を恐れていたのでした。ですが一方の蛍も、次第にギンに抱きつこうとするのをやめ、むしろ「絶対に私に触らないでね」と言うまでになりました。どうしても、ギンに消えて欲しくはなかったのです。また、ギンもこれからも蛍と過ごす為には消えるわけには行きませんでした。

そして1シーズン限りの逢瀬を続けて早幾年が経ちました。高校生になった蛍は、自分とギンの身長が近づいてきている事を見て、改めてギンが人間ではない事を自覚します。そして横浜に帰っている時も、蛍の心の中には常にギンがいるようになっていました。この森の近くに就職をすれば夏だけではなく一年中ギンに会える、とこちらでの就職を決めるのでした。

その頃、ギンが蛍に自分の生い立ちについて打ち明けます。実はギンは、元々は妖怪ではなく、しかし既に人間でもない中途半端な存在であると言います。

映画『蛍火の杜へ』の結末・ラスト(ネタバレ)

かつてギンは産みの母親にこの森に捨てられ、衰弱していたところを山神に救われたのでした。その際山神の力を分け与えられたギンは、人間と妖怪の中間、人間に触れられると消えてしまうと言う儚い存在になったのです。ギンと蛍は、違いを真剣に想いあっていました。「抱きついていい?」と聞く蛍に対して、ギンは「本望だ」と冗談交じりに返すようになります。しかし、2人とも決してそれを実行したりはしません。

蛍は、今年の夏がギンに会える最後だと理解していました。互いへの想いが強くなりすぎて、このままだと2人とも苦しむ事が分かっていたからです。最後の夏、ギンは蛍を妖怪の祭りに誘います。妖怪達も人間に化けているので、蛍が浮くこともありません。

その時、よろけた1人の少年をギンが支えます。しかし、何とその少年は妖怪ではなく、人間の世界から紛れ込んできた本物の人間だったのです。消えていく体で、「蛍、来い!」とギンは蛍を強く抱きしめます。ようやく、2人は触れ合うことができたのでした。ギンは消えてしまいましたが、蛍はやはりこの地で就職する事に決めました。そしてギンのお面を持って、蛍は新しい生活の第一歩を踏み出すのでした。

映画『蛍火の杜へ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

森に迷い込んでしまった蛍が出会った、人間に触れられると消えてしまうギン。夏にしか会えない二人の、出会いから別れを描いた短編アニメーション。

出会った頃はお互い遊び相手として楽しい時間を過ごし、いつしかそれが大切な存在に変わる。お互いに会えない期間も相手を想い、大切だからこそ触れたいという想いが強くなる。しかし、触れれば最後、消えてしまい一生会うことができない。少女が小学生から高校生に成長するまでの長い期間の思い出が約40分間の中にぎゅっと凝縮されている。

きっと、消えてしまわない最後を迎えていたら、二人は夏祭りを最後に会いたい気持ちを抑えて悲しい別れを迎え、切ない思い出となっていたかもしれない。そう思うと、蛍の中で幸せな暖かい思い出として心に残っているのは、笑顔で抱き合う幸せに満ちた最後を迎えられたからかもしれない。(女性 20代)


儚くて美しい恋物語に、心が静かに震えました。触れ合うことができないという制約の中で、ホタルとギンが少しずつ距離を縮めていく様子がとても丁寧に描かれていて、胸が締めつけられるようでした。最後、ギンが少年を助けてホタルに触れてしまい、消えてしまうシーンは涙なしには見られません。わずか45分の中に、こんなにも濃い感情が詰まっていることに驚かされました。(20代 男性)


幻想的な世界観に心を奪われました。ホタルとギンの純粋な関係は、まるで夢のように儚くて優しい時間が流れていて、観ているこちらの気持ちも穏やかになっていきます。ギンが人に触れたら消えてしまうという設定が切なく、運命に抗えない二人のラストには、涙が止まりませんでした。まるで短編詩を読んだかのような、美しい余韻が残る作品です。(30代 女性)


物語の余韻にしばらく浸っていました。淡くて繊細な感情が丁寧に紡がれ、夏の終わりのような寂しさと温かさを同時に感じさせてくれます。ホタルが年を重ね、ギンとの関係が少しずつ変化していく描写がとてもリアルで、成長と喪失が交差する様子に共感しました。短編アニメとは思えない深さがあり、大人にこそ響く作品だと思います。(40代 男性)


小学生の時に観て以来、何年経っても心に残り続ける作品です。ギンの存在は、子どもの頃に夢見た不思議な友達のようでもあり、何度も会いたくなるキャラクターでした。ホタルの成長と共に変化していく二人の関係が自然で、切ないラストも納得できるものになっていました。静かだけど、強烈な印象を残す名作だと思います。(20代 女性)


「触れられない恋」というテーマがここまで心に刺さるとは思いませんでした。ホタルとギンの関係は、恋人でも友達でもない不思議なもので、それがまた余計に切なさを引き立てています。特に、ギンが最後に「君に触れられてよかった」と言って消えるシーンは、映画史に残る名シーンではないでしょうか。音楽や映像も儚くて美しく、完璧でした。(50代 男性)


この作品には、本当に大切なものほど簡単に手に入らない、というメッセージが込められている気がします。ホタルとギンの物語はとても静かで、派手さはないけれど、だからこそ心に深く染みました。45分という短さの中で、これほどまでに観る者の感情を動かすのはすごいことだと思います。大人になってから観ると、さらに沁みる映画です。(30代 女性)


夏の森、妖怪、儚い恋…すべてが私の好みにドンピシャでした。ギンの穏やかで優しい雰囲気と、年を重ねながら彼を想い続けるホタルの一途さが、本当に美しかった。触れたら消えてしまうというギンの設定が残酷すぎて、最後の別れが本当に辛かったです。でも、あの一瞬の触れ合いがあったからこそ、二人の時間が本物だったと感じられました。(20代 女性)


「会える時間が限られているからこそ、大切にできる」ということを改めて感じさせられた映画でした。ホタルとギンの一年に一度の再会は、どこか七夕にも通じる切なさがあり、それがとても詩的に描かれていました。特に、最後の祭りのシーンで、ギンがホタルの手を取って姿を消すまでの流れは、何度観ても泣いてしまいます。(40代 男性)


今まで観たアニメ映画の中でもトップクラスに美しかったです。恋愛というよりも、もっと純粋で大切な「想い」のようなものが描かれていて、恋をしたことのない人でもきっと心に響くと思います。ギンの「ずっと一緒にいたかった」という台詞が、あまりにも真っ直ぐで、余計に心に残りました。静かな夜に、一人でじっくり観たい映画です。(30代 女性)

映画『蛍火の杜へ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『蛍火の杜へ』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

時をかける少女

この映画を一言で表すと?

時間を越えた青春と切なさが心に刺さる、タイムリープ青春アニメの傑作。

どんな話?

普通の女子高生・真琴が、ある日突然「時間を飛び越える力」を手に入れたことで、日常が少しずつ変わっていく。時間を何度もやり直す中で見つけた本当の想いと、大切な人との別れを描く、涙と笑いが詰まった青春物語。

ここがおすすめ!

“今この瞬間を大切にする”というテーマが、『蛍火の杜へ』と通じる感情の琴線に触れます。ラストの切ない別れと未来への希望が交錯する構成も魅力で、観終わった後に深く余韻が残ります。

君の名は。

この映画を一言で表すと?

運命が交差する二人の魂の奇跡を描いた、新海誠監督の大ヒット作品。

どんな話?

夢の中で入れ替わる田舎の少女・三葉と、東京の少年・瀧。時空を越えた入れ替わりが次第に一つの災害と結びついていき、やがて二人は運命に立ち向かうことに…。美しい映像とドラマチックな展開が融合した名作。

ここがおすすめ!

「会いたいのに会えない」「触れられない距離」という『蛍火の杜へ』と同じテーマを壮大に描いています。音楽や風景描写も素晴らしく、映像詩のような美しさが胸に響く作品です。

言の葉の庭

この映画を一言で表すと?

雨の新宿御苑で始まる、言葉にならない想いの交差。

どんな話?

雨の日の午前中に出会った靴職人志望の高校生と、心に傷を抱えた女性教師。年齢も立場も違う二人が、誰にも言えない心の痛みを静かに共有していく。新海誠監督が描く、孤独と癒しの物語。

ここがおすすめ!

静かに寄り添う心の交流が、『蛍火の杜へ』と同じような余韻を残します。抑制された感情の中にある深い想いが、美しい映像とともに伝わってくる繊細な作品です。

この世界の片隅に

この映画を一言で表すと?

戦時下の日常をやさしく、でも強く描いたアニメーションの名作。

どんな話?

戦時中の広島・呉を舞台に、絵を描くことが好きな少女・すずが、嫁ぎ先で懸命に生きていく姿を描く。戦争の恐ろしさと平凡な日常が交差する中で、「生きること」の大切さがじわじわと伝わってくる感動作。

ここがおすすめ!

淡く静かな表現でありながら、人生の儚さと尊さをしっかりと描き出しており、『蛍火の杜へ』に通じる“失うこと”への優しいまなざしがあります。感情を揺さぶる、心に染みる一本です。

夏目友人帳~うつせみに結ぶ~

この映画を一言で表すと?

妖と人が心を通わせる、優しさに満ちた感涙のスピンオフ映画。

どんな話?

妖怪が見える少年・夏目が、祖母から受け継いだ「友人帳」を通じて様々な妖たちと触れ合い、時に別れを経験しながら人との絆を深めていく。シリーズ屈指の感動回を映像化した劇場版です。

ここがおすすめ!

『蛍火の杜へ』と同じく、「人と妖」の繋がりを主軸にした作品。心に傷を持つ者同士が出会い、寄り添いながらも別れを受け入れていく姿に、深い共感と涙が誘われます。優しさと切なさが見事に融合した珠玉の一本です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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