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映画『ホテル・ムンバイ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ホテル・ムンバイ』の概要:2008年に発生したムンバイ同時多発テロ事件にて、タージマハル・ホテルに閉じ込められ人質となった客を救出するため、プロとしての誇りをかけ奔走するホテルマン達の奮闘を実際の映像を交えて描く。

映画『ホテル・ムンバイ』の作品情報

ホテル・ムンバイ

製作年:2018年
上映時間:123分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:アンソニー・マラス
キャスト:デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ナザニン・ボニアディ、ティルダ・コバン=ハーヴィー etc

映画『ホテル・ムンバイ』の登場人物(キャスト)

アルジェン(デヴ・パテル)
タージマハル・ホテルのレストラン、シャミアナにて給仕の仕事をしている。勤勉家で語学も堪能。身重の妻と幼い娘の父親でもあり、料理長オベロイに厚い信頼を寄せている。愛情深くホテルマンとしての心意気を持っている。
デヴィッド(アーミー・ハマー)
アメリカの建築家。イスラム人のザーラとの間に子を儲けるが、ザーラの両親から了解を得るため、奮闘中。了解を得るまでは籍を入れることをせず、現在は内縁関係にある。愛情深く家族を大切にしているが、実行犯に捕まり殺される。
ザーラ(ナザニン・ボニアディ)
デヴィッドの妻でイスラム人。夫と子供を深く愛する美しい女性で、現在はアメリカに住んでいる。イスラム教徒であることを隠してはいないが、表立って明らかにはしていない。両親の了解を得ようと夫と共に奮闘中。
ワシリー(ジェイソン・アイザックス)
気難しい人物でVIP扱いされている。NVキャピタル社社長で元ソ連軍特殊部隊の将校という経歴を持つ。アフガンでの戦いにも参戦していた。何かとザーラを助けてくれる。
サリー(ティルダ・コバン=ハーヴィー)
デヴィッドとザーラの子供のベビーシッター。雇い主夫婦との関係も良好で子供を守るため、必死に身を隠して難を逃れる。
オベロイ(アヌパム・カー)
プロ意識が高く厳しいながらも、慈愛深い料理長。徹底したサービスを心掛け客に対して上質な料理とサービスを提供している。閉じ込められた客を救出、保護するため、先頭に立って指揮を執る。アルジェンと連携することで、信頼を深める。

映画『ホテル・ムンバイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ホテル・ムンバイ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじ【起】

2008年11月26日、インドのムンバイ。バックパッカーを装った10人の若者が、何人かに別れてCST駅、カフェ・リロパル、タージマハル・ホテルの3カ所へと向かった。

同日、タージマハル・ホテルにて働くアルジェンは、身重の妻、幼い娘と別れ職場へと急ぐ。その日、ホテルのスウィートルームにはアメリカ人建築家のデヴィッドと妻のザーラ、産まれたばかりの赤ん坊、ベビーシッターのサリーが宿泊。夕食はシャミアナにて夜の9時に予約が入っていた。

タージマハル・ホテルはインドでも各国のセレブが宿泊する格式の高いホテルである。スタッフへの教育も厳しく、身だしなみに少しの乱れがあるだけでクビにされるほどだった。料理長オベロイも厳しい人物で遅刻して来た上に汚い靴を履いて来てしまったアルジェンに対し、即座に帰れと告げる。どうにか拝み倒し、オベロイから予備の靴を借りて履いた彼はすぐさま仕事を始めた。その時、テレビではCST駅にてテロが発生し100名以上の乗客と駅員が射殺されるという速報が流れていたが、アルジェンはそれに気付かなかった。

ホテルには気難しいが、多額なチップをくれるワシリーという客も宿泊中だった。産まれて来る赤ん坊のために稼ぎたいアルジェンは、自分が担当になりたいと申し出たが、オベロイは許してくれず。その間、駅を皮切りに容疑者達は街を襲撃して回っている。ホテルにも避難者が殺到。ホテルは彼らを中へ通したが、一般人に紛れテロの実行犯が4人混じっていることに気付くはずもない。

バックパッカーを装った4人の若者は、豪奢なホテルに驚きつつもバックから銃を取り出し無差別に銃を発砲。客とスタッフを容赦なく次々と撃ち殺した。アルジェンはレストランからその様子を目にし、動揺しながらも冷静を保ち客へと床に伏せるよう指示。奴らは常に電話で指導者と連絡を取りフロントから上階へ。ルームサービスを装って、各部屋へと入り込んでは皆殺しにする。

当然、容疑者はデヴィッド家族が宿泊する部屋へもやって来た。サリーは赤ん坊を抱えクローゼットへ身を隠し、どうにかやり過ごして容疑者達が部屋から出て行くと浴室へ移動。幸い携帯電話が繋がるため、雇い主のデヴィッドと連絡が取れた。
デヴィッドは怯えて泣き出したザーラを宥め、サリーと赤ん坊がいる部屋へ向かうことに。その間、アルジェンはホテルの電話から警察へ連絡を入れていたが、ムンバイ中で発生したテロのせいで街は混乱に陥っており対処できない。その上、逃走しようとする客を抑えるので精一杯。

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映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじ【承】

デヴィッドはアルジェンの制止を振り切ってレストランの外へ出たが、フロントには見張りがおり見つかると即座に射殺される。彼は身を隠してエレベーターへ乗り込み、部屋に向かった。しかし、途中の階で犯人と遭遇してしまう。犯人は豚肉を禁忌としている様子。インドでは牛肉が禁忌であるため、インド人ではないようだ。どうにか部屋へ辿り着いたデヴィッドは、無事にサリーと合流した。

度重なるテロにより、ムンバイ警察は対処できないとしてニューデリーの特殊部隊へと出動を要請したが、到着には数時間以上を要する。この頃にはホテルに犯人が潜伏していることがニュースでも報道されていた。
ホテルを前に警察官はどうにかしたいと考える。特殊部隊はまだデリーにいて、動くなという指示も出ていたが、そういうわけにもいかない。勇敢な警察官は部下4名を連れて、ホテルの2階にある警備室へ向かうことにした。

同時刻、レストラン厨房にてアルジェンから知らせを受けたオベロイは、ホテルの通用階段ならまだ安全が確保できると知りスタッフに客の避難を優先しようと伝える。スタッフはホテルの全容を知っていて逃げることができるけれど、誘導しなければ客は逃げることができない。オベロイの判断に従業員たちは勇気を持って従うことにした。

ひとまずは6階のバー・チェンバーズへ客を避難させることを決め、レストランホールから客を伴ったアルジェンが通用階段でチェンバーズへ。無事に合流できたオベロイはその場に集まった人々全員に籠城して助けを待つことを告げるのだった。
同じ頃、4人の部下と共にホテルへ潜入した警察官だったが、待ち構えていた犯人達により襲撃を受けてしまう。

最初の襲撃から5時間が経過。ムンバイの至る所では未だ銃撃戦が続いていた。誰もが不安を抱える中、アルジェンは支配人から話を聞き不安を顕わにした婦人を宥め勇気づけた。フロントでは捕まったスタッフが脅されて客室へ連絡を入れさせられていたが、抵抗したため、殺されてしまう。

襲撃から7時間が経過した頃、チェンバーズへ避難者が到着。女性の1人が怪我を負っており、たまたまいた眼科医が傷を看ることに。被弾した女性の怪我は楽観視できるものではなく、このままでは死に至る恐れがある。そこで、アルジェンはオベロイへと客を外へ逃がそうと進言。怪我人だけでも外へ逃がすことになった。

映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじ【転】

デヴィッドが赤ん坊とサリーを連れて部屋から出て6階へ向かっている頃、怪我人を抱え通用階段を下っていたアルジェン。ところが、怪我人の意識が次第に朦朧とし始め、階段の踊り場で立ち往生してしまう。そこへ、銃を構えた警官が現れる。2人の警察官は恐慌状態に陥っており、アルジェンを脅して警備室へ向かおうとするが、その隙に怪我人がホールへと出てしまい殺されてしまうのだった。

犯人が殺した女性のパスポートを確かめようとしていたところへ運悪くデヴィッドが遭遇。サリーは赤ん坊を抱え咄嗟に近くの道具入れに身を潜めたが、デヴィッドは犯人に捕まってしまう。

アルジェンの案内で2階の警備室へどうにか到着した2人の警察官。警備室では監視カメラ映像が見られるため、犯人の位置が把握できる。しかし、その時ホテルを揺るがす大きな振動が発生。恐らくどこかで何かを爆発させたのだろう。直後、チェンバーズへ救助隊を名乗る者がやって来る。オベロイは警察署長と直接連絡を取っていたが、相手が本物の救助隊か判断がつかなかった。

アルジェンは監視カメラ映像にてチェンバーズに来た男が犯人であることを知り、慌ててオベロイへ連絡。ドアを開けようとした彼は客を部屋の奥へと促した。しかし、こんな時に限ってアルジェンの携帯電話の電池が切れてしまう。犯人は激情して銃を乱射。部屋の中は銃声で大混乱に陥る。そこで、2人の警察官はアルジェンを警備室に残し、犯人の捕縛へ向かうことにしたが、騒ぎを聞きつけた犯人の仲間が2人駆け付けてしまう。激しい銃撃戦が展開されたが、双方の被害は把握できなかった。

銃撃戦で1人の仲間が足に怪我を負う。彼は捕縛していたデヴィッドの見張りに残されたが、痛みに耐えつつ家族へと電話をかける。どうやら彼らは訓練と称して送り込まれたらしく、訓練に参加することで金がもらえるらしい。少年兵は貧しい家族のために異国へと送られ、使い捨てられる運命にあった。

襲撃から9時間。チェンバーズの奥の厨房へ身を潜めるザーラは、愛する夫へと手紙を書いていた。籠城に耐えかねた彼女は、ドアを開けて外へ出ようとする。そこへワシリーも加わり、オベロイを説得。ザーラとワシリーを含めた6名がチェンバーズの外へ出た。ところが、ワシリーの制止も聞かずザーラが単独行動してしまい、犯人に見つかってしまう。奴らは指導者からVIPを生け捕りにしろと言われていた。犯人の潜伏している部屋へ連れて来られた2人。その場にはデヴィッドが捕縛されており、腹ばいにされ後ろ手に縛られていた。

朝方4時。耐えかねたムンバイの一般市民が大勢で潜伏していた2人の犯人へと襲撃を仕掛け、1人が銃殺。もう1人が拘束された。聴取により、犯人はイスラム教徒であり異教徒に騙し取られて貧しくなったのだと洗脳されていることが分かる。

襲撃から12時間が経過。夜が明け辺りが明るくなった。実行犯がホテルに火をかけ始める。戻った男が指導者の指示でワシリーに尋問を開始。だが、ワシリーは抵抗を示し奴らを煽ってしまい殴られてしまう。彼はNVキャピタルの社長で元ソ連軍特殊部隊の将校という経歴を持っていた。指導者はワシリーに恨みを挙げ連ねアフガンでの報いを知れと告げたが、ワシリーは屈しない。

映画『ホテル・ムンバイ』の結末・ラスト(ネタバレ)

ようやくニューデリーの特殊部隊が到着。ところが、指導者からの指示により、ホテルに爆弾が仕掛けられ実行犯は次々と爆発させていく。アルジェンは監視カメラから爆発によって恐慌状態に陥った客が部屋から出て来るのを目にし、慌てて外へ向かった。彼は客を宥め犯人とは反対方向へ誘導する。上階へ逃れたところで、道具室に閉じ込められていたサリーと赤ん坊も救出された。

アルジュンは客を引き連れ6階のチェンバーズへ。ホテルに火がかけられていることをオベロイに知らせた。そこで彼は非常階段から客を外へ逃がそうと考える。火事が発生しては、籠城は難しい。指導者はテレビから客の場所を把握し、実行犯へ指示を出していた。アルジェンは外と連絡を取っている客から携帯電話を奪って壊す。

指示を受けた犯人も疲れ切っている。隙を見て逃げ出そうとしたデヴィッドだったが、見張りに撃たれ重傷を負う。指導者の指示により、人質を殺せと命令された若者が1人ずつ殺していく。抵抗を示したワシリーもデヴィッドも殺されてしまった。1人残されたザーラが咄嗟にイスラム教徒の信仰歌を唄ったため、男は彼女の殺害に躊躇った。しかし、指導者は神の御意思だと宣い、同じイスラム教徒をも殺せと言う。男は指導者の指示に従うことができずザーラを殺さずにその場を去った。

アルジェンを先頭に非常階段から階下へ。3人の実行犯がチェンバーズの扉を爆破し、強行突破を果たす。追って来た犯人達によって数人が銃殺されたが、騒然とする中でもアルジェンは客を誘導し続けた。裏口から特殊部隊が突入し、逃走する客とスタッフを保護してくれる。アルジェンとサリーも無事に外へ逃れたが、拘束から逃れたザーラはホテルの部屋へ戻ってしまい、窓から身を乗り出して助けを求めた。

逃れたスタッフの中にオベロイの姿を見つけたアルジェンもようやく安堵の色を見せる。ザーラも窓から救出され、実行犯は最期まで抵抗を示し、特殊部隊が投下した爆弾によって命を落とした。

襲撃の3日後、治安部隊はムンバイの12カ所の奪還を成功させ、実行犯10名中9名を殺害したが、パキスタンにいた首謀者の捕縛はできず未だに捕まっていない。タージマハル・ホテルの犠牲者の半分は客を守るべく残ったスタッフ達だった。レストランは3週間後に営業を再開。ホテルも21カ月後に再建され、感謝の意を表し生存者が世界中から営業再開の式典に集まった。現在も従事するスタッフの多くが、ホテル・ムンバイの戦士である。

映画『ホテル・ムンバイ』の感想・評価・レビュー

2008年に発生したムンバイ同時多発テロを描いた作品だが、実行犯、ホテルスタッフ、VIPの客とそれぞれの事情をバランス良く描いている。実行犯と指導者はイスラム過激派ともインド過激派とも言われているが、今作では豚肉が禁忌と明言していることから恐らくイスラム系と思われる。無差別に銃を発砲し、皆殺しにする実行犯とそれを目の当たりにしても尚、恐怖に立ち向かい客を助けようとするホテルマン達の勇気はいかほどだったか。想像するに余りある。(MIHOシネマ編集部)


本作は、2008年のムンバイ同時多発テロ事件にて、タージマハル・ホテルに閉じ込められ人質の客を救出すべく奮闘するホテルマンたちを描いたヒューマンドラマ作品。
終始一貫して緊張感が凄かった。まるで自分自身もホテル内にいて現場を目の当たりにしているかのような緊迫感だった。
信念だけでテロリストの立ち向かい客を救おうとする姿に感動した。
そして、誰でも加害者になる可能性があるという恐怖を感じた。
自分だったら現場でどんな選択をするだろうか。(女性 20代)


ホラー映画よりも恐ろしいと感じる作品でした。ただただ無差別に人が撃ち殺されていくのを見続けるのは辛かったです。なぜこんなことが起きてしまうのか、信仰は人の命よりも大切なのかがどうしても分かりません。若いテロリスト達は首謀者に「正義」だと教え込まれて実行しているのは分かりますが、同情する気持ちにはなれませんでした。
この事件後、ホテルは三ヶ月後に再開、ラストシーンはセレモニーの光景でしたが悲しみだけが残りました。(女性 40代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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