映画『ハミングバード』の概要:アフガニスタンに兵士として派遣されていたジョゼフ・スミスは、ロンドンに帰国後、病院を抜け出し路上生活を行っていた。そこで出会った少女のイザベルが、ある日行方不明になってしまう。
映画『ハミングバード』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:アクション、サスペンス、ラブストーリー
監督:スティーヴン・ナイト
キャスト:ジェイソン・ステイサム、アガタ・ブゼク、ヴィッキー・マクルア、ベネディクト・ウォン etc
映画『ハミングバード』の登場人物(キャスト)
- ジョゼフ・スミス / ジョーイ・ジョーンズ(ジェイソン・ステイサム)
- 元兵士。アフガニスタンから帰国後、陸軍病院を抜け出して路上生活を行っていた。アフガニスタンで人を殺してしまい、その記憶に今なお苦しんでいる。
- シスター・クリスティナ(アガタ・ブゼク)
- ロンドンの教会に居るシスター。スミスに少しずつ惹かれていくが、彼が悪事に手を染めている事を知っており、このまま傍に居てもいいのか悩み苦しむ。
- ドーン(ヴィッキー・マクルア)
- スミスの妻。アフガニスタンから帰国してもスミスからの連絡は無く、1人で幼い娘を育てている。
- イザベル(ヴィクトリア・ビューイック)
- スミスと共に路上生活を行っていたが、タックスマンに攫われ行方不明になる。
映画『ハミングバード』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ハミングバード』のあらすじ【起】
アフガニスタン、ヘルマンド州。“ハミングバード”が稼働していた。男は無線で待ち伏せされている事を伝えるが、兵士達は襲撃を受けてしまう。スミス軍曹を呼び掛けるが、応答は無い。スミス軍曹は男を捕まえて歩きながら、空に向けて発砲した。その姿を監視カメラが映していた。
ジョゼフ・スミス軍曹はロンドンにある陸軍病院・保安病棟から逃亡する。病名は戦闘ストレス。国防総省の不明者リストにも載っている。
1年後の2月。
タックスマンと名乗る男と相棒が、路上者達から金と薬の回収を行っていた。スミスは一緒に居た女性を逃がした為、お腹などを殴られる。だが、隙を衝いて反撃し、負傷したお腹を庇いながら逃げ出す。スミスは階段を上り、マンションの最上階まで上がる。先に進むと天窓が開いていたので、侵入して追跡をやり過ごす。
スミスと一緒に居た女性イザベルは、タックスマンに見つかりナイフを突きつけられる。
スミスは侵入した部屋でシャワーを浴び、クローゼットにあったスーツに着替えて身なりを整えた。その時、留守番電話が流れ出し、部屋の主が10月1日まで留守だと知る。スミスが部屋を見回すと、玄関ドアの前に銀行からの郵便が落ちているのに気付く。中を開けると暗証番号が書かれていた。別の封筒を開けるとキャッシュカードが入っていた。
スミスはお金を下ろすと、酔っ払いながら夜道を歩く。脳裏にはアフガニスタンで発砲した記憶が蘇っていた。スミスは足取りが覚束無いまま、ホームレス支援施設を訪れる。炊き出しを行っていた修道女のシスター・クリスティナに、イザベルを見なかったか尋ねる。シスターはそれに返答せず、綺麗な身なりのスミスを不審に思う。そして、服は盗んだ物かと尋ねる。スミスは、服は拾った物で神様がお金もくれたと話す。怒ったシスターは警官のデイヴィッドに電話しようとするが、スミスは好きに使えとお金を置いて立ち去る。
悩んだシスターは500ポンドのお金を修道女会の院長に渡し、スミスに貰った事を話す。シスターはスミスがアフガニスタンで人を殺した事を聞き、お金の出所を心配していた。院長は泥棒だと決めつけてはいけないと諭し、警察に届けてもパブに消えるだけなので、炊き出しに使うべきだと言った。それを聞いたシスターは、昔からの夢で少し使いたい事があると話す。院長はシスターの話を受け入れ、まだこの事は記録していないと返す。シスターはお金を持って院長室を出て行く。
シスターはバレエの“ジェリンスカの引退公演”のチケットを買いに行く。だが、すでに完売しており、特別席しか予約出来ないと言われる。料金は500ポンドと言われ、顔が凍り付く。
映画『ハミングバード』のあらすじ【承】
スミスはアフガニスタンで襲撃を受け兵士達が殺された夢を見て、魘されながら目を覚ます。ベッドの傍に置いていた酒を煽ると、無数の小さな鳥が部屋の中を飛んでいるのが見えた。そして、無線の声が聞こえてくる。“交戦が見える”“ハミングバード”“武器が見える”“彼が武器を”“威嚇射撃を続けている”“男を殺したぞ”“発砲している”そこで、天井から首を吊った人が落ちてくる。スミスは恐怖で部屋中にマシンガンを発砲する。だが、それらは全てスミスの幻覚だった。
スミスはシスターに会いに行き、抗生物質をくれと頼む。だが、薬を渡す権限が無いので無理だと断られる。スミスはシスターに縋り、軍法会議から逃げており捕まる危険があるので病院には行けないと話した。シスターは仕方なくスミスを教会に連れて行く。スミスはろっ骨が折れ、そこが感染していると説明する。シスターは抗生物質の準備をしながら、イザベルの事を人に尋ねていると話す。スミスはシスターに今いるマンションの住所を渡し、イザベルに会ったら渡してくれと頼む。シスターは強盗をして人を傷つけたのか聞くが、スミスは自分自身を傷つけたと答える。
次の日、スミスは車を拝借し、町中にイザベル宛のビラを貼った。
その頃、イザベルはタックスマンに見張られながら、他の女性達と一緒にお店へと並んで立っていた。スーツを着た男がじっとイザベルを見て、タックスマンと笑い合った。イザベルの目には涙が浮かんでいた。
3月。
スミスは中華料理屋でコック兼用心棒の仕事をしていた。あまりの腕っ節の強さに、別の中国人に目を付けられる。そして、魚卸場の奥の部屋に連れていかれ、裏の仕事を頼まれる。
スミスは車の中に隠れながら、密かに娘と妻の様子を見ていた。
スミスは運転手から拷問まで様々な仕事を請け負った。貰った報酬でホームレス支援施設に大量の宅配ピザを贈る。シスターは戸惑うが、支払いはジョーイ・ジョーンズだと言われ、スミスの事だと理解する。その後もスミスは裏の仕事を行い、炊き出し用に食事を贈った。
映画『ハミングバード』のあらすじ【転】
7月。
スミスはスーパーで妻のドーンと再会する。ドーンは娘と貧しい暮らしをしており、良いスーツを着ているスミスを皮肉り、連絡が無い事を怒る。ドーンは店の品物を手当たり次第投げるが、それをスミスは抱きしめて止める。スミスはドーンにお金を握らせると、その場を立ち去った。
シスターが教会を出ると、赤いドレスが掛けられていた。シスターはそれを持ってスミスに会いに行き、立場上貰えないとドレスを返す。そして、川でイザベルが発見された事を伝える。遺体の身元確認の為に写真を渡すが、スミスは受け取ろうとしなかった。シスターが机に置いて写真を見せると、スミスはすぐに写真を折り畳み火で燃やしてしまう。スミスは悲しみを耐えながら、警察は動くか問い掛ける。シスターは、デイヴィッドはいい人だと返すので精一杯だった。だが、その言葉に怒りを感じたスミスは暴れ出す。シスターは、麻薬の配達をしているあなたがイザベルの死に怒るのは偽善だと叫ぶ。検視によるとイザベルは麻薬中毒に陥っていた。スミスは路上生活者達にスープより人生を返してやれと叫ぶと、座り直して頭を抱えて項垂れた。シスターはスミスの手を握りながら、貰ったお金は自分で使ってしまった事を打ち明ける。その日から眠れないと話し、スミスに500ポンドのお金を返す。スミスは受け取りを拒否するが、シスターはイザベルの為にも行いを改め、正しい人生を送ってと話すと席を立つ。スミスはシスターを追いかけると、変わるから恩返しとしてドレスを受け取ってくれと頼む。シスターはアフリカに寄付をすると言って赤いドレスを受け取る。
朝食の準備をしている時、スミスの脳裏には川で死んだイザベルの写真が蘇る。苛立ったスミスは食器を投げる。
夜、スミスは路上者達の元にやって来たタックスマンと相棒を襲撃する。そして、イザベルに何があったのか問い掛ける。タックスマンはなじみの男がイザベルをよく殴っていた事を話すが、その男の名前はわからないと言う。だが、30歳ぐらいの金融マンで目の上に傷がある事を話す。スミスは路上者達に2人に何かされたら知らせろと言い、お金をばら撒きながら去って行く。
シスターは手紙を受け取る。スミスからの手紙で内覧会の案内と、犯人を教えるから来てくれと書かれた紙が入っていた。
スミスが内覧会で待っていると、赤いドレスを着たシスターがやって来る。スミスはシスターの美しい姿に見惚れる。シスターは着る服が無いから着ただけで、アフリカへきちんと寄付すると捲し立てて話す。そして、院長にも嘘をついて来たと話し、終始緊張していた。スミスがタックスマンに聞いた情報をシスターに話していると、デイモンの代理人の男に声を掛けられる。スミスはデイモンの招待状を使い内覧会に来ていたのだ。スミスは男を無視しながら、シスターを連れて慌てて外へ出る。
2人は路地裏へと逃げる。シスターはお酒を飲んで酔っ払っており、あのチケットを買ってからおかしくなったと話し出す。スミスが詳しく聞くと、シスターはバレエのチケットを買った事を話す。スミスは変わったお金の使い道だと笑うが、シスターは少女の頃からジェリンスカに憧れており彼女みたいになりたかったと話す。シスターはバレエを踊り出すが倒れそうになり、スミスが慌てて抱き留める。2人は見つめ合うと、そっとキスをした。シスターはイザベルを殺した男の情報を呟くと、足早にその場を立ち去る。
映画『ハミングバード』の結末・ラスト(ネタバレ)
スミスはお金の回収の仕事で人を撃ってしまう。警察から指名手配を受け、シスターの所にも警察がやって来る。スミスは住所がばれておらず、ホームレス支援施設に居たシスターの元を訪れる。シスターは悪党のままだとスミスを非難する。シスターが車に乗り込むと、助手席にスミスも乗り込みシスターに謝罪する。
車内で2人はキスした事を話す。シスターは酔っ払っており、きちんと覚えていなかった。スミスはキスをしたかったからしたと話し、シスターは全てあいつが悪いと返す。スミスがあいつとは誰だと聞くと、シスターは少し間をあけて話し出した。父が体操の選手にしたがり、シスターは子供の頃に体操教室に通っていた。そこで10歳の頃から先生に悪戯をされ、18回目の時に先生の首をナイフで切ってしまう。まだ幼かった為、刑務所の代わりに修道院に入ったのだ。シスターは初めてこの事を他人に打ち明けたと話した。スミスは運転を代わろうかと声を掛け、シスターもその提案を受け入れる。
朝、シスターは院長室を訪れ、アフリカのシエラレオネで奉仕をしたいと話す。院長は驚き説得するが、シスターの意思は固かった。その為、院長は今期が終わったら行ってもいいとシスターの話を受け入れる。
スミスは裏社会のボスのマダム・チョイに会い、イザベルの事件の犯人に心当たりがあるか尋ねる。マダムは犯人の男に心当たりがあるが、その代わり仕事を頼まれる。
スミスは車を走らせると、トラックの前に停車し荷台に入る。荷台には30箱以上の段ボールが積まれており、スミスは拳を握れと命令する。すると、箱から手が出てきて拳を握る。スミスはその手の数を数えると荷台を降りる。
10月1日。
スミスはシスターに頼み、公園で自身の写真を撮ってもらう。9歳になる娘が大きくなった時に思い出せるように渡したいと言われ、シスターは会わないのかと訊ねる。スミスはもうすぐ顔が変わると言い、シスターは戸惑う。
2人はその後も写真撮影を続け、シスターはアフリカへ行く事を打ち明ける。最後はあなたと居たいと話し、2人でスミスの住むマンションへ向かう。そこに、部屋の主のデイモンが帰って来る。デイモンが玄関の鍵を開けるとドアチェーンが繋がれており、戸惑いながら玄関のポストから中の様子を覗く。すると、女性(シスター)が慌てて靴を履いている姿が見え、デイモンはドアを叩きながらここを開けろと怒鳴る。スミスとシスターは慌てて裏口から抜け出し、笑い合いながら走り出した。スミスは途中で足を止めると、この金で逃げようとシスターを誘う。シスターはダメだと断り、きっといい人になれると言ってキスをした。そして、今夜のバレエの観覧に誘うと、その場を立ち去った。スミスはシスターの後姿を悲しそうに見送った。
スミスはマンションの一室を訪れる。どなたと聞く少女に、スミスは封筒を差し出し握手を求めた。部屋の中からドーンが出てくる。スミスはいい子でと少女に言うとその場を立ち去った。ドーンが玄関に置かれていた鞄を開けると大金が入っていた。
シスターはスミスを待っていたが現れず、1人で引退公演を見ていた。その頃、スミスはとあるパーティー会場に居た。目の上に傷の男を見つけると、ビルの屋上から突き落とす。会場に居た人々は悲鳴を上げた。スミスは空に向けて発砲すると、その場を逃げ出す。
公演後、シスターは酔っ払って道で寝ていたスミスを見つけ、隣に座る。スミスは飲まないと人を殺してしまうと話し、だがもう終わったと告げる。スミスはそこに“ハミングバード”がいると話し出す。あの日も“ハミングバード”という名の偵察機が全て見ていた。目に涙を溜めながら、スミスは過去の記憶を呼び起こす。アフガニスタンで、彼は殺していないと町の人々が叫ぶ中、スミスは男を連れ去って行った。スミスは仲間の兵士を5人殺され、報復として最初に目に留まった5人を殺したのだ。父親は吊るしたと泣きながら告白する。そこにジェリンスカが現れ、車に乗り込んで去って行く。シスターはジェリンスカを見ながら、私の心の支えだと呟く。スミスはシスターの膝にしがみついた。
シスターがアフリカへ出発する日が来た。シスターは部屋に赤いドレスを残し、院長と別れて車に乗り込む。そして、車内でスミスからの手紙を開けた。中にはシスターが撮った写真と手紙が同封されていた。デイモンにはきちんとお金を返し、人身売買の事は警察に言った。そして、自分は路上生活に戻り姿を消すと書いてあった。その頃、スミスが歩く姿を“ハミングバード”が監視していた。逮捕しろという無線の声が聞こえた。
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