この記事では、映画『震える舌』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『震える舌』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『震える舌』の作品情報

上映時間:114分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:野村芳太郎
キャスト:渡瀬恒彦、十朱幸代、中野良子、若命真裕子 etc
映画『震える舌』の登場人物(キャスト)
- 三好昭(渡瀬恒彦)
- 昌子の父親。医者の言うことに素直に従う反面、昌子には厳しく躾をする。昌子が破傷風になったことで、自身も感染したのではないかと疑心暗鬼になり、憔悴していく。
- 三好邦江(十朱幸代)
- 昌子の母親。最初は昌子を病気から守ってみせると強い意志を持つが、闘病が続くとともに精神が崩壊していってしまう。
- 三好昌子(若命真裕子)
- 沼地で遊んでいるとき、傷口から破傷風菌に侵されてしまう昭と邦江の娘。
- 能勢(中野良子)
- 昌子の担当医。懸命に昌子を助けようと、最善の治療を行ってくれる。取り乱す昭と邦江に、常に冷静な態度で接し、支えてくれる。
映画『震える舌』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『震える舌』のあらすじ【起】
三好昌子は埋め立て地に建てられたマンションに住んでいた。昌子はマンション裏の沼地で遊んでいるとき、ふとした拍子に指先を怪我して血を滲ませてしまう。
食事中、昌子が不自然にフォークを床に落とした。食欲もない。心配する母・邦江とは対照的に、父・昭は甘えないで食べなさいと厳しく言う。次第に邦江と昭は昌子の様子がおかしいことに気がついた。足を引きずらせながら歩いている。心配になった二人は翌日、昌子を病院に連れていくことにした。
その日の夜、くつろぐ二人の隣の部屋で眠る昌子は、腕をピクピクと痙攣させていた。突然、悲鳴をあげる昌子。驚いた昭と邦江が昌子のもとへ駆けつけると、舌を噛んで口から血を流していた。昌子の口の中に指を突っ込みながら、昭は救急車を呼べと叫ぶ。二人は昌子を連れて救急車で病院へと向かった。
かかりつけの病院では原因が分からず、大病院での診察を勧められる。医者に言われるがまま自宅に帰ることを選んだ昭の姿に、邦江は情けないと呆れ、“絶対にこの子を助ける”と強く言うのだった。
映画『震える舌』のあらすじ【承】
自宅に帰ってきた三人は、その足で紹介された大学病院の小児科へと向かった。当直の医師は、昭の厳しい躾による心理的なものだと診断する。だが翌日、小児科の医長に診察をしてもらったところ、心因性のものではなく、難しい病気だと言われる。
病名をはっきりさせるため、精密検査が行われた。その結果、昌子は破傷風にかかっていることが判明する。担当医の能勢から、血清による治療を行うことと、安静にすること、刺激しないことが大切と説明される。
昭は医長から、破傷風は死亡率の高い病気だと言われる。昌子の口の中に指を入れたとき、噛まれて血が出ていた。唾液から感染することはないと医者は言うが、昭は不安を募らせる。
昌子には個室が準備された。窓には黒いカーテンが引かれ、部屋は真っ暗な状態に保たれていた。暗い部屋のベッドに横たわる昌子は、ノックの音にすら敏感に反応し、顔をしかめる。
昌子に血清が投与されはじめた。邦江はこれでもう安心と胸を撫でおろす。しかし、入院中の子供が騒ぎながら昌子の病室に入ってきてしまう。その音に反応し、昌子は叫び声をあげながら舌を噛んで出血してしまう。病室の前には“静かに”と張り紙がされた。
昌子に行われる数々の痛々しい処置を見て、昭と邦江は絶望感に包まれていく。昌子の服を着替えさせようとしただけでも、痙攣発作をおこしてしまう始末。入院して二日目、昌子は一日に何度も痙攣をおこす。能勢の口から症状が悪くなったと言われ、危うい状況だと説明される。
入院三日目。病院食を乗せたトレイが床に落ち、その音で昌子が痙攣をおこす。口を開けさせるため、乳歯を抜くという処置がされる。その姿に、憔悴しきった昭は、昌子は助からないのではないかと考えはじめる。
呼吸を楽にさせるため、昌子は酸素テントに入れられた。口には呼吸器がつけられ、手足は縛りつけられている。診察を続ける能勢に、邦江は“もう昌子は助からないのだろう”と言い出した。仕舞いには、“生まなければよかった”“昭と結婚しなければよかった”とまで言い出してしまう。
昌子がまた痙攣をおこした。駆けつけた能勢を邦江が突き飛ばす。そして、果物ナイフを手に、もう何もしないであげてほしいと叫びだした。昭は邦江を取り押さえ、病室から引きずり出し、静かになだめる。邦江の精神状態は限界にきていた。
映画『震える舌』のあらすじ【転】
診療中、昌子が心停止してしまった。能勢の懸命の心臓マッサージで息を吹き返す昌子。これを見た昭は、昌子は死んでしまうのだと悟り、邦江に身辺の整理をしておけと言い、家に帰す。邦江は帰り際、昌子の髪を切り、持って帰った。自宅に戻った邦江は、自らの髪にもハサミを入れる。
苦しみながら眠る昌子を見ながら、昭は“もしお前が死んだら、他に子供は作らず、お前だけを愛してやる”と誓う。家から戻ってきた邦江は、昌子と自分の遺髪を昭に手渡してくる。そして、自分も破傷風になってしまったと言ってくる。二人は再度、医者の診察を受けるが、破傷風ではないと診断される。しかし、二人は医者の言うことを信じられず、精神をすり減らしていく。
昭はついぼんやりとして眠ってしまい、そのすきにカーテンが風でひるがえった。日光の強い光が昌子を包んで、再び痙攣が始まってしまう。邦江は昌子に会いたいが、会うのが怖いと言い出した。邦江は怖くて家から出ることができなくなる。だが、その恐怖に打ち勝った邦江は、ドアを開けて昌子の病室へとやってきた。
映画『震える舌』の結末・ラスト(ネタバレ)
入院から二週間が経った。昌子の病室を覆っていたカーテンが取り払われる。酸素テントも、呼吸器も外された。破傷風の恐怖が過ぎ去ったことを、能勢は笑顔で皆に伝えた。昌子は絞り出すように“チョコパンが食べたい”と言う。チョコパンは無理だが、ジュースなら大丈夫という能勢の言葉に走り出す昭。昭は昌子の回復に、心から涙を流す。
昭は昌子の苦しみを全く理解していなかったことに気がつく。破傷風の恐怖を、昌子はひとりで戦い抜いたのだと痛感し、改めて昌子を愛おしく思う。昌子は血清の副作用のため、もうしばらく入院することになった。音に対する恐怖はなかなか拭い去れず、わずかな音にも怖い怖いと敏感に反応する。
入院から一か月後。すっかり元気になった昌子は、個室から大部屋へと移動することになる。その夜、病院との電話で大部屋の子供たちはぐっすりと寝ていると聞き、ほっとする邦江。昭と邦江は安心し、眠りにつく。そして昌子も、病室で静かに寝息をたてるのだった。
映画『震える舌』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
下手なホラー作品よりずっと怖い、トラウマ映画です。
今の時代は破傷風の予防接種があるから良いけれど、かつては主人公の女の子のように破傷風が発症してしまい、このような症状や治療を行っていたんだなと思うと、本当に恐ろしいです。
耳をつんざくような悲鳴、表情があまりにもリアリティに溢れていて、観ていて苦しさしかなかったので、ラストでは無事に治ってくれて本当に良かったです。
興味本位で観ると震え上がるほど怖いので、気軽な気持ちで観る事はおすすめしません。(女性 20代)
幼い少女が破傷風に感染し、徐々に症状が悪化していく展開があまりにも生々しく、ホラー映画以上の恐怖を感じた。特に痙攣や舌の震えを抑えられない描写は直視するのがつらい。両親が必死に看病する姿は愛情そのものだが、医学の限界と無力さも突きつけられる。ラストで回復の兆しが見えた瞬間、ようやく息ができた。恐怖と同時に命の重みを強く実感する作品だった。(20代 男性)
医療映画だと思って観始めたが、実際は家族の精神が追い詰められていく心理ホラーに近い印象だった。母親の不安と絶望が画面越しにも伝わり、観ているこちらまで苦しくなる。破傷風という病気の怖さをここまでリアルに描いた作品は他にないと思う。少女が助かる結末は救いだが、そこに至るまでの苦痛の連続が忘れられない。観終わった後、健康であることのありがたさを考えさせられた。(30代 女性)
症状が進行するにつれて、家庭の空気がどんどん暗く沈んでいく演出が見事だった。医師たちの懸命な治療と、親の焦りが交錯し、単なる病気の物語を超えた人間ドラマになっている。特に父親の無力感と怒りが印象的で、社会に対する不信まで感じさせる。結末は希望を示すが、そこまでの過程があまりに過酷で、軽い気持ちでは二度と観られない作品だと思う。(40代 男性)
子どもを持つ立場で観ると、これほど残酷な映画はないと感じた。元気だった娘が突然重病になり、日に日に衰弱していく姿を見る親の心情は想像するだけで胸が痛む。治療法が限られている中で祈るしかない状況が続き、観る側も精神的に追い詰められる。最終的に助かるとはいえ、そこに至る苦しみは決して忘れられない。親としての責任と恐怖を突きつけられる映画だった。(50代 女性)
破傷風という病気をここまで徹底的に描いた点で、社会的意義のある作品だと感じた。ホラー的な演出は少ないのに、実際の症状そのものが恐怖を生む構成が非常にリアル。少女の体が自由を失っていく様子は、命が奪われていく過程をそのまま見せられているようだった。ラストで回復する希望が示されることで、医学と人間の努力への信頼も同時に描いている点が印象的だった。(60代 男性)
この映画は病気の恐怖以上に、家族の精神が壊れていく過程を描いていると感じた。母親の取り乱す姿や、父親の怒鳴り声は現実そのもので、作り物には思えない。少女が苦しむ姿を見続けること自体が試練のようで、観客も同じ苦しみを共有させられる。救いのある結末があるからこそ、途中の絶望がより強く印象に残る。忘れられない衝撃作だった。(70代 女性)
ホラーが苦手だが、この作品は別の意味で怖かった。怪物や幽霊ではなく、病気という現実が最大の敵として描かれているからだ。少女の痙攣シーンはトラウマ級だが、それ以上に親がどうしていいか分からず追い詰められる姿が心に残った。ラストで命が救われることで少し救われるが、観終わった後もしばらく重たい気分が続いた。現実の恐怖を突きつける映画だと思う。(20代 女性)
演出や音楽は控えめなのに、映像そのものが強烈なインパクトを持っている。少女の体が硬直し、声も出せなくなる様子は、医療知識がなくても恐ろしさが伝わる。両親と医師が必死に治療する姿は、人間の限界と希望の両方を象徴しているようだった。単なる病気映画ではなく、生きることの意味を問う作品として評価したい。(30代 男性)
昔の日本映画とは思えないほど、表現がストレートで衝撃的だった。今なら放送できないのではと思うほどリアルな症状描写が続く。だがその過激さがあるからこそ、命の危うさが強く伝わる。少女が助かるラストは安堵するが、家族の心に残った傷は消えないだろうと感じた。観る覚悟が必要だが、忘れてはいけない作品だと思う。(40代 女性)
映画『震える舌』を見た人におすすめの映画5選
感染列島
この映画を一言で表すと?
未知のウイルスに立ち向かう人々の極限状態を描く、日本発のリアル医療パニック。
どんな話?
突如発生した新型ウイルスが日本中に広がり、医療現場は混乱と恐怖に包まれる。限られた治療法と時間の中で、医師や看護師、患者と家族が必死に命を守ろうとする姿を描く社会派サスペンス。
ここがおすすめ!
病気そのものの恐怖と、人間ドラマを同時に描く構成が『震える舌』と共通。医療の最前線で奮闘する人々の姿が胸を打ち、命の尊さを強く実感できる。現実と地続きの恐怖が味わえる作品。
アウトブレイク
この映画を一言で表すと?
感染症が都市を襲う、緊迫感あふれるサバイバル医療スリラー。
どんな話?
アフリカから持ち込まれた致死性ウイルスがアメリカの町で蔓延し、軍と医療チームが感染拡大を止めようと奔走する。時間との戦いの中で、真実と人命を守るための決断が迫られる。
ここがおすすめ!
病気の進行とともに高まる緊張感が『震える舌』の恐怖と重なる。パニック映画でありながら、医学と倫理をテーマにしている点が見どころ。エンタメ性とリアルさのバランスが優れた一本。
コンテイジョン
この映画を一言で表すと?
ウイルスが世界を分断する、冷徹でリアルな感染パニックドラマ。
どんな話?
正体不明の感染症が世界規模で広がり、医療機関、政府、一般市民それぞれの視点から混乱と恐怖が描かれる。ワクチン開発と社会不安が並行して進み、人類の弱さが浮き彫りになる。
ここがおすすめ!
感情過多にせず、淡々と病気の脅威を描くリアリズムが『震える舌』と共通。誰もが当事者になる恐怖を体感でき、命と社会の脆さを深く考えさせられる知的スリラー。
マイ・ライフ
この映画を一言で表すと?
死と向き合う父親が家族に残す、切なくも温かい命の記録。
どんな話?
末期がんと診断された男性が、生まれてくる子どものためにビデオメッセージを残しながら、自分の人生と家族への愛を見つめ直していく。限られた時間の中で紡がれる親子の物語。
ここがおすすめ!
病気が家族にもたらす精神的な影響を描く点で『震える舌』と通じる。恐怖だけでなく、愛と希望を強く感じられる作品で、観終わった後に命の重みを静かに噛みしめられる。
いのちの停車場
この映画を一言で表すと?
医療と向き合う人々の苦悩と優しさを描いた、静かな感動作。
どんな話?
金沢の在宅医療を舞台に、さまざまな病を抱える患者と医師の交流を通して、生と死の境界にある現実が描かれる。それぞれの人生の最期に寄り添う人間ドラマ。
ここがおすすめ!
病気を恐怖としてだけでなく、人間の尊厳として描く点が『震える舌』の後に観ると心に響く。過酷な現実の中にも希望と優しさがあることを感じられる、余韻の深い作品。



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