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映画『普通の人々』あらすじネタバレ結末と感想

映画『普通の人々』の概要:ある事故がきっかけで平穏だった家族の普通の日々が壊れていく。ロバート・レッドフォードが初監督を務めアカデミー監督賞と作品賞を受賞した。1980年公開のアメリカ映画。

映画『普通の人々』 作品情報

普通の人々

  • 製作年:1980年
  • 上映時間:124分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ロバート・レッドフォード
  • キャスト:ドナルド・サザーランド、メアリー・タイラー・ムーア、ティモシー・ハットン、ジャド・ハーシュ etc

映画『普通の人々』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

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映画『普通の人々』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『普通の人々』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『普通の人々』 あらすじ【起・承】

シカゴの郊外で暮らす高校生のコンラッド・ジャレット(ティモシー・ハットン)は自殺未遂をして4ヶ月ほど精神病院に入院していた。退院して1ヶ月半が経ち普通に学校へも通っていたが、父のカルビン(ドナルド・サザーランド)は何かと息子に気を使っていた。しかし母のベス(メアリー・タイラー・ムーア)はマイペースな生活を崩そうとしない。

8ヶ月前、ジャネット家の長男バックがヨットの事故で亡くなり、そこから一家の歯車は狂い始めた。コンラッドは今でも精神的に不安定な状態が続いており、父の勧めでバーガー医師(ジャド・ハーシュ)の診療所へ通い始める。

ベスは優秀な水泳選手だったバックを溺愛しており、コンラッドは自分が兄のように愛されていないと感じていた。母に愛されたくてコンラッドも水泳部に入り、勉強も頑張っていたが、ベスはコンラッドに対してどこか冷たかった。

コンラッドはバーガー医師のカウンセリングを受けるうち、ずっと内に秘めてきた感情と向き合い始める。抑圧してきた感情を表に出し、兄の面影を感じてつらかった水泳部も親に内緒で退部する。そのことをベスに厳しく叱責され、コンラッドは初めて母への不満を爆発させる。

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映画『普通の人々』 結末・ラスト(ネタバレ)

息子の苦しみを知ったカルビンは、1人でバーガー医師を訪ねてみる。カルビンは妻と自分はうまくいっておりコンラッドに問題があると思い込んできたが、自分もベスにわだかまりを感じていたことに気づく。カルビンは3人でバーガー医師の診察を受けようとベスを説得するが頑固なベスは聞く耳を持たない。

コンラッドは合唱部のプラット(エリザベス・マクガヴァン)とデートをする。コンラッドは初めてプラットに自殺した時の話をするが途中で水泳部員に邪魔され、つい笑ってしまったプラットの態度に腹を立てる。

ベスの希望でクリスマスの休暇をヒューストンで過ごしていたカルビンは、息子の苦しみを理解しようとしないベスと喧嘩をしてしまう。留守番をしていたコンラッドは病院で知り合ったカレンが自殺したことを知って取り乱し、バーガー医師に助けを求める。

コンラッドは自分の責任で兄が死んだと思い込み、ずっと自分を責めていた。それを誰にも言えずに苦しんできたコンラッドをバーガー医師は優しく受け止める。

落ち着きを取り戻したコンラッドはプラットとも仲直りをし、帰宅していた両親にも素直な態度を見せる。コンラッドの変化を見てカルビンも自分の本音と向き合い、ベスにそれを打ち明ける。しかしベスは最後まで折れようとせず、家を出て行く。

母が出て行ったのは自分のせいだと言い出したコンラッドをカルビンは初めて厳しい口調で叱り、誰のせいでもないと言い切る。2人は互いに本音を語り、しっかりと抱き合う。

映画『普通の人々』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『普通の人々』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

いきなりうまい脚本と演出

最初にジャレット家の朝食風景のシーンがある。大きな一軒家の中はきちんと片付けられ、母親はフレンチトーストを焼いている。しかし息子は食欲がないと言って朝ごはんに手をつけない。父親はそんな息子を心配して“朝はしっかり食べないとダメだぞ”などと言っている。ここまではよくある平和な家族の風景だ。

しかし母親はせっかく作ったフレンチトーストをさっさと流しに捨ててしまう。ここで観客はこの母親に違和感を覚える。一見、朝から息子の好物を作るいい母親なのに、彼女から息子への愛情は感じない。具体的な説明がなくても、この家族が何か問題を抱えているらしいことは伝わってくる。だからとにかく先が気になる。

このように本作の脚本と演出はとてもよくできており、どのシークエンスにも無駄がない。人物は丁寧に描かれているが物語はすっきりしているので、わかりやすいのに深みがある。

向き合うことの怖さ

自慢の長男を不慮の事故で亡くし、残されたジャネット家の3人はそれぞれに深い傷を負う。しかもその悲劇がきっかけとなり、家族は崩壊してしまう。

父のカルビンと母のベスは真実を見ないふりを続けていたが、感受性が強く純粋なコンラッドは自分を誤魔化すことができない。その苦しみを両親に打ち明けることもできず、自殺未遂を図る。カルビンは息子の変化に気づきながら手を差し伸べなかったことを反省するが、ベスは頑なにそれを拒む。完璧主義でプライドの高い彼女は、どうしても敗者になりたくない。そのため問題を直視しない。カルビンも衝突を嫌い、そんな妻を許してきた。

しかし結局カルビンは真実と向き合う道を選ぶ。そのことで夫婦は完全に壊れてしまうが、コンラッドはおそらく救われた。そもそもの問題は“愛し合っているふり”をしてきたこの夫婦にある。ベスはずっと以前からそれに気づいていたので、バーガー医師のところへも絶対に行きたくなかったのだろう。“誰の責任でもない、結果がこうなっただけだ”というカルビンのセリフは、悲しいが真実をついている。

映画『普通の人々』 まとめ

とてもよくできた誠実なホームドラマだ。キャストの熱演も見応え十分であり、特にコンラッドを演じたティモシー・ハットンの迫真の演技には胸を打たれる。

鑑賞中からこの作品の影響を感じる映画がいろいろと頭に浮かんだ。コンラッドとバーガー医師のやりとりからは「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」が思い出され、優秀な兄を亡くした弟という設定からは「スタンド・バイ・ミー」が思い浮かぶ。「アメリカン・ビューティー」に関しては、サム・メンデス監督本人がこの作品に影響を受けたと公言している。

いずれにせよ、本作は後世の作品に影響を与える力を持った秀作だということだ。ロバート・レッドフォードってすごい…。

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