映画『イーダ』の概要:修道院で育った少女イーダは、初めて会った叔母から自分がユダヤ人であることを知る。イーダと叔母は、亡き家族の墓を探すために短い旅に出る。現代ポーランド映画の実力を感じさせる、静謐で美しいモノクロ作品。
映画『イーダ』の作品情報
上映時間:80分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
キャスト:アガタ・クレシャ、アガタ・チュシェブホフスカ、ダヴィッド・オグロドニック、イェジー・トレラ etc
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映画『イーダ』の登場人物(キャスト)
- イーダ・レベンシュタイン / アンナ(アガタ・チェシェブホフスカ)
- 幼い頃に修道院に預けられ、アンナと名付けられて育った少女。修道女になると完全に世俗とは隔離されるため、修道誓願の前に唯一の肉親である叔母に会いに行く。母親譲りの美しい髪と父親譲りの愛らしいえくぼを持つ。
- ヴァンダ・クルーズ(アガタ・クレシャ)
- イーダの叔母。名うての判事。第二次大戦中はポーランド国防軍の戦士だった。現在は独身で、奔放な性生活を送っている。アルコール依存症で無神論者。
- シモン・スキバ(イェルジー・ツレイラ)
- 第二次大戦中、ユダヤ人であるイーダの両親を匿っていた男性。老衰のため、現在は町の病院に入院している。
- フェリクス・スキバ(アダム・シュズコウスキ)
- シモンの息子。現在、イーダとヴァンダの生家に家族と共に住んでいる。イーダ達の肉親の墓の在り処について知っているが、決して話そうとしない。
- アルト奏者の青年(ダヴィド・オグロドニク)
- ヒッチハイクしていたところをヴァンダに拾われる青年。ジャズバンドでアルトサックスを吹いている。兵役を逃れるため、興行しながら各地を転々としている。イーダに惹かれる。
映画『イーダ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『イーダ』のあらすじ【起】
1960年代のポーランド。修道院で育ったアンナは、修道誓願の日を前に修行に勤しんでいる。ある日、アンナは、修道長から唯一の肉親である叔母ヴァンダの存在を教えられる。修道院はヴァンダにアンナを引き取るよう何度も依頼したが、ヴァンダは断り続けてきた。修道長は、修道女になり完全に俗世と関係を断つ前に、ヴァンダに会うようアンナに勧める。
気が進まないまま、アンナは都会に出てバスに乗り、ヴァンダの家を訪ねる。ヴァンダは、一目見てアンナが自分の姪だと気付く。
アンナは、ヴァンダの口から、自分が『イーダ・レベンシュタイン』という名のユダヤ人だと知る。母はルージャ、父はハイムといい、第二次大戦中にホロコーストの犠牲となった。ヴァンダは、赤ん坊のイーダが、現在のイーダと瓜二つのルージャと写っている写真を見せる。
イーダはヴァンダと別れて再びバスに乗り、修道院に帰るために駅へ向かう。夕刻、裁判所での仕事を終えたヴァンダは駅へ行き、列車を待っているイーダを家へ連れて帰る。イーダは、幼い自分と写真に写っている一人の少年に目を留める。
イーダは、故郷のピャスキに行って両親の墓参りをしたいと望むが、ヴァンダは、ユダヤ人のルージャ達の遺体は何処にあるかわからないと言う。二人はピャスキでルージャ達の墓の在り処を探ることにする。
映画『イーダ』のあらすじ【承】
イーダとヴァンタは車に乗り込み、ピャスキへ向かう。現在、二人がかつて生まれ暮らしていた家には、フェリクスの一家が住んでいる。フェリクスの帰宅を待つ間、イーダは教会へ、ヴァンダはカフェへ行く。ヴァンダは、カフェの店主や客にルージャ達について尋ねるが、皆ユダヤ人について話すことを避ける。
必死にルージャ達の消息を知ろうとするヴァンダに対し、フェリクスはユダヤ人について話すことを頑なに拒む。第二次大戦中、フェリクスの父シモンは迫害されているユダヤ人達を匿っていた。ヴァンダはフェリクスから、シモンが他の町へ越したことを聞き出す。
シモンがいる町へ向かう途中、スピード違反のためヴァンダは拘留され、イーダは教会に泊まる。翌朝、釈放されたヴァンダは、戦後に多数の反体制派の人間を処刑したことをイーダに打ち明ける。
町の手前で、ヴァンダはヒッチハイク中のアルト奏者の青年を拾う。青年は、イーダ達が泊まるホテルでの公演のために町へ向かっており、二人をその夜の公演に招待する。
ホテルの従業員からシモンの住所を聞き出したヴァンダは、イーダと共にシモンの自宅へ向かう。シモンは数日前から町内の病院に入院しており、いつ戻るか不明である。
夜、イーダは、聖書を読んで静かに過ごそうと部屋に残る。ヴァンダはレストランへ行き、酔って見知らぬ男と踊り、夜更けに部屋へ戻ってくる。イーダはヴァンダのふしだらな振る舞いに戸惑うが、ヴァンダがルージャを心から愛していたこと知り、ヴァンダに同情する。
眠れなくなったイーダは、レストランで仲間達と過ごしている青年に会いに行く。初めて会ったときから惹かれ合っていた二人は、言葉少なに会話を交わす。
映画『イーダ』のあらすじ【転】
翌日、イーダ達は入院しているシモンを訪ねる。二人は、シモンから、庇いきれなくなったユダヤ人を殺して埋めたことを聞かされる。ルージャに預けられていたヴァンダの息子も殺され、ルージャ達と埋められた。イーダは、写真に写っていた少年はヴァンダの息子だったと知る。
ホテルに戻ったイーダ達のもとに、フェリクスがやってくる。フェリクスは、ルージャ達が埋められた場所を教える代わりに、死期の近いシモンに関わらないよう、イーダ達に頼む。
青年は、レストランの隅で物思いに沈むイーダに話しかけ、将来について質問する。イーダは修道女になるという明白な目標を語り、青年は兵役から逃れるために各地を転々としていると打ち明ける。イーダは青年への恋心を自覚する。
翌日、イーダとヴァンダは、フェリクスと共に町外れの森へ行く。ヴァンダはフェリクスが掘り起こした息子の骨をショールに包む。
大戦中、匿っていたユダヤ人達を殺して埋めたのは、シモンではなくフェリクスだった。フェリクスが、ユダヤ人だとはわからない幼いイーダを秘密裏に修道院に預けたため、イーダは一人生き残ることができた。
映画『イーダ』の結末・ラスト(ネタバレ)
イーダは両親の骨を毛布で包み、車のトランクにヴァンダの息子の遺骨と並べて乗せる。一族の墓にルージャ達の骨を埋めるため、イーダ達はルブリンへ向かう。荒れ果てた共同墓地に遺骨を埋めたあと、イーダは十字を切る。
修道院に戻ったイーダは、修道女になる決意が揺らぎ、修道誓願を辞退する。ヴァンダは酒浸りになり、男達と逢瀬を重ね、亡き親族の写真を眺めながら悲嘆に暮れる毎日を過ごしている。ある日、ヴァンダは自宅の窓から飛び降り自殺する。
イーダはヴァンダの家に滞在し、部屋を片付け遺品を整理する。イーダは、修道服を脱いでヴァンダのドレスを身に纏い、慣れないヒールを履き、ヴァンダが残した酒を飲んでタバコを吸う。
ヴァンダの葬儀の日、イーダは墓地で青年と再会する。青年は修道女であることをやめたイーダをデートに誘う。二人はバーでダンスをし、ヴァンダの家で一夜を共にする。青年はイーダに結婚を申し込む。
翌朝、イーダは修道服を身につけ、眠っている青年を残して部屋を出る。町へ向かう車とすれ違いながら、イーダは歩いて修道院へ帰っていく。
映画『イーダ』の感想・評価・レビュー
映像が美しく、目でも耳でも楽しめる作品でした。美しい雪景色に静かな少女。最初から最後まであまりセリフの多くない彼女は表情や仕草で感情を表現していました。
孤児院で育てられたイーダは1度も会ったことの無い叔母の存在を知り、その叔母から「あなたはユダヤ人よ」と知らされます。
真実を知り、旅に出るイーダ。セリフが少なく静かに進むストーリーですが、イーダの心を映し出したような映像がとにかく美しく、しかし儚く、切ない気持ちにさせます。
この作品は色々な意味で「学べる」作品だと感じました。知るべき事や知るべき場所がたくさんあります。(女性 30代)
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