この記事では、映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
キャスト:ハリソン・ギルバートソン、ライズラ・デ・オリヴェイラ、エイヴリー・ホワイテッド、ウィル・ビュイ・Jr etc
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』の登場人物(キャスト)
- ベッキー(ライズラ・デ・オリヴェイラ)
- 自分の子供を養子に出すため、兄と共にサンディエゴを目指していた女子大生。カルを追って草むらに入り込むが、そこでかつてない体験をすることになる。
- カル(エイヴリー・ホワイテッド)
- ベッキーの兄で彼女のことを溺愛している。ベッキーのお腹の子の父親であるトラビスを嫌っており、脱出を指揮する彼を快く思っていない。
- トラビス(ハンソン・ギルバートソン)
- ベッキーの元彼でお腹の子の父親。もともとロックミュージシャンを目指していたが、ベッキーが妊娠したため夢を諦め、彼女を追って草むらに入り込む。草むらから脱出する術を知る唯一の人物。
- トービン(ウィル・ビュイエ・Jr)
- 父親であるロスと母親と共に草むらに入り込んだ少年。草むらに迷い込んだ人々の中で唯一生還した。フレディという犬を飼っている。
- ロス(パトリック・ウィルソン)
- トービンの父親で、土地売買に関するビジネスを取り扱うサラリーマン。岩に触れたことで凶暴になり、他の人々を殺し回るようになる。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』のあらすじ【起】
大学生で妊娠したベッキーは、自分の子を養子に出すために兄のカルと共にサンディエゴに向かっていた。
長距離運転中に、妊娠中のベッキーがつわりを起こし気分が悪くなると、彼女を心配したカルが草むらの側に車を止める。
彼女の様子を見ながらしばらく休んでいると、隣の草むらから助けを求める声が聞こえてくる。気分転換も兼ねて声の主人、トービンを探しにいくことにした二人だが、ベッキーは妙な胸騒ぎがしていた。
先々を急ぐカルに置いて行かれるベッキー。緊急通報センターに電話をかけてみても、電波が悪くつながらない。
幾ら進んでもトービンを見つけられない二人は次第に不安になり、車まで戻るため合流しようとする。
一度同じタイミングでジャンプすることで互いの位置を把握するが、二度目のジャンプではそこにいたはずの相手の姿を見失ってしまう。
パニックになったカルがベッキーを探すために走り回っていると、フレディと言う名前の犬の死体が見つかる。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』のあらすじ【承】
日も傾き夕暮れ、互いを探すために歩き回っていた二人だが、すれ違ってばかりで疲弊してしまう。
心が折れそうになったベッキーがその場で立ち止まっていると、草むらからトービンの父親で、ロスと名乗る男性が飛び出してくる。他に方法がないベッキーは彼に協力を頼み、兄を探す。
あたりがすっかり夜になり、疲弊してしまったカルがその場に座り込むと、探し続けていたトービンが姿を現す。
トービンに事情を尋ねるカル。トービンと両親も何者かに助けを求められて草むらに入ったのだと言う。彼は草むらの中では死体は動かないことや、カルが妹であるベッキーを探していることを言い当てると、カルは不思議に思う。
トービンは、触れるとなんでも教えてくれると言う岩の元にカルを連れていくことにする。
岩の元に到着したカルが、トービンに気持ちいいから触るよう勧められ、手を触れようとした次の瞬間、遠くでベッキーとみられる女性の叫び声が聞こえる。
トービンに止められるものの、声の元へ走り出したカル。こうして再び迷路へと足を踏み入れるのだった。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』のあらすじ【転】
一方、ベッキーの元交際相手で子供の父親であるトラビスは、二人の行方を探すうちに彼らが迷い込んだ草むらにたどり着く。
草むらの反対側にある教会の前にベッキーたちの車が駐車してあることに気がついたトラビスは、周囲を散策し草むらに入っていく。
目印をつけながら捜索していたトラビスだったが、ベッキーを見つけられないまま夜を迎える。
休んでいたトラビスが物音で飛び起きると、そこにいたのはトービンだった。トラビスのことやベッキーについて知っていたトービンは、彼を死体となったベッキーの元に連れていく。
悲しむトラビス。次の瞬間にトービンは姿を消してしまう。
翌朝、トラビスが助け求めて声を上げていると、トービンが反応する。しかし彼と家族はまだ草むらの外にいたのだ。草むらに入らないよう諫めるトラビスを無視し、トービンとその家族は草むらに入る。
こうして、トービンを探しに草むらに入ったベッキーとカル、二人を探しに草むらに入ったトラビス、トラビスを探しに草むらに入ったトービンとその家族たちは、時間を超えて草むらに閉じ込められていたのだった。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』の結末・ラスト(ネタバレ)
疲れ果てたトラビスが彷徨っていると、遠くからベッキーとカルの声が。二人を追ってきたはずのトラビスが、なぜ二人より早く草むらに入っているのか疑問に思う一同だったが、トービンの声が聞こえると、彼の元に集合しようとする。
トラビスは、トービンの犬であるフレディの死体を使って、草むらの中で死体の位置は変わらないと言う性質を利用したのだ。
無事集合することができた4人はトラビスがトービンを肩車することで草むらを出ようとする。
道中、ロスと合流した4人は彼の提案で岩に案内される。彼が岩について説明していると、草むらからトービンの母が現れ、ロスから離れるよう叫ぶ。ロスが岩に触れた途端、彼は凶暴になり、トービンの母を殺害。
その場から逃げた一同は死んだはずのフレディに遭遇すると、犬の後を追って寂れたボーリング場に入る。
屋上で全体を見渡したトラビスは、草むらの周辺にワープするポイントがあることに気がつく。しかし、ロスが迫ってくると再び草むらに飛び込んでしまう。岩場に戻った一同が今後どうするかを考えているとロスが現れ、カルを殺害するも、トラビスとベッキーの機転によりロスを殺害する。
その後、岩に答えをもらうしか方法がないと考えたトラビスが岩に触れる。
トラビスに導かれ、出口へと向かうトービン。気がつくと彼は教会の中にいるのだった。外に出るとまだ草むらに入る前のベッキーとカルがおり、トービンが彼らを説得し引き止めたことでこの連鎖は断ち切られたのだった。
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
作品全体を通じて終始不穏な空気が漂っており、キャラクターたちが息つく暇なくパニックに陥る姿を見て、常に緊張感を持って視聴することができた。
また、全体的に情報が少なく、岩が一体なんなのか、他の惑星からきた落下物か、太古の遺産なのか、など様々な観点から推測することで、視聴者の想像を膨らませる設定にしている点が印象的だった。
作品のメッセージとして、人の輪廻や連続性といった宗教的な概念を取り扱っているため、抽象的な会話が多く見受けられた。(MIHOシネマ編集部)
本作は、草むらに入って抜け出せなくなった人間たちの恐怖を描いたサスペンスホラー作品。
生い茂った草という閉鎖的空間から抜け出せない恐怖が観る側にも迫ってくるようで非常に恐怖を感じた。
そして、自分自身も草むらの迷路を彷徨っているかのような不思議な感覚を味わった。
草むらというモチーフに時空が歪んでループするという設定がかけ合わさっている点や、ループが人類の歴史を表している点が秀逸で面白かった。
背の高い草むらには絶対入りたくない。(女性 20代)
スティーブン・キング原作。監督は『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ。初めて『CUBE』を見た時の印象は忘れられません。無名の俳優にほぼ無名の監督が、画面に釘付けになってしまうほど魅力的な作品を作るなんて本当に驚きました。そんな高揚感を持ち、この作品も期待して鑑賞しました。
冒頭から強く感じるのは「スティーブン・キング感」。彼が作る作品は、よく言えばクセになる演出なのですが、悪く言うとくさいオチ。そこまでやるとやりすぎて…という展開が毎度おなじみなのですが、今作も例に漏れずという感じでした。あまり期待せずに見た方が良さそうです。(女性 30代)
背の高い草むらに入り込み、出られなくなるというホラー作品。原作がスティーブン・キングなので、作品の雰囲気も正にスティーブン・キングっぽかった。
序盤からすぐ草むらに入ってしまうので、ラストシーンまでずっと草の中にいる。しかも、次元も歪んでいて死体だった人物と生きて遭遇してみたり、後から入ったのに先に入っていた人がこれから入って来るというシーンがあるなど、大混乱の極みである。そして、最も謎なのが全てを知らせるという岩の存在。これが何なのか誰も知らないので当然、視聴者も分からない。説明があるはずもなく、とりあえず岩は危険という認識になる。出口のない迷路をループ状態で彷徨うという恐怖はなかなかに見物だった。(女性 40代)
不気味な草むらに足を踏み入れた瞬間から、時間も空間も歪んでいく展開が印象的でした。兄妹の関係性や、過去に何があったのかが徐々に明かされる構成が、ホラーというよりむしろ心理劇に近い印象を受けました。草の中にいるだけで、これほどまでに不安を煽られるとは。ヴィンセント・ドノフリオ演じる謎の男が特に狂気じみていて怖かったです。オチはスティーヴン・キングらしい救済とループのバランスが絶妙。ラストで妹を助けるために時間を巻き戻す展開は切なくも美しかったです。(20代 男性)
映画を見終わった後、思わず「何だったの!?」と叫びたくなるような感覚でした。登場人物たちが何度も同じ状況に陥るループ構造や、時間軸の混乱は分かりにくいですが、それが逆に不気味さを強調しています。草に取り憑かれる描写も宗教的で、得体の知れない恐怖が常に漂っていました。特に赤ちゃんの運命を巡る描写は母親として胸が痛みました。スティーヴン・キングの世界観が好きな人には刺さる映画だと思います。(40代 女性)
ホラー映画をよく見る方ですが、本作はじわじわと追い詰めてくるタイプの恐怖があり、珍しい体験でした。単なる迷路ではなく、過去・現在・未来が重なり合う時空のトリックが面白い。後半にかけて宗教的な意味合いが濃くなり、あの黒い岩が象徴するものを考えると背筋が凍ります。映像も美しく、特に草むらの中の青空や太陽光のコントラストが幻想的でした。(30代 男性)
序盤の「助けて!」という声が響くシーンから、嫌な予感しかしない展開が続きました。兄妹の行動がやや不自然に感じる場面もありましたが、異常な空間での混乱を描くには効果的だったと思います。特にトラヴィスの犠牲と覚悟の描写には胸が詰まりました。愛と罪、そして時間の歪みが交錯するこの作品は、単なるホラーというより寓話のようでもあります。(50代 女性)
草むらという一見普通の風景が、ここまで恐怖を引き起こす舞台になるとは。中盤からラストにかけての展開は非常にテンポが良く、次の瞬間に何が起きるか予測できない緊張感が続きます。トビーとベッキーの関係性や、それを断ち切ろうとするトラヴィスの行動が、結果として救いになっていく構成が巧妙でした。スティーヴン・キング原作らしい苦くも希望のある終わり方が良かったです。(30代 女性)
映像美と恐怖演出のバランスが良く、Netflix作品とは思えないほどのクオリティに驚きました。草の揺れ方や光の差し込み方など、自然そのものが恐怖の演出装置になっていて見入ってしまいました。ストーリーは複雑で理解するのに多少時間がかかりましたが、2回目以降は細部まで楽しめる作品です。とにかく「岩」にまつわる描写が不気味で、夢に出てきそうです。(20代 女性)
映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』を見た人におすすめの映画5選
ミッドサマー
この映画を一言で表すと?
美しくも不気味な北欧の村で繰り広げられる、昼の光に包まれた恐怖体験。
どんな話?
恋人の死をきっかけにスウェーデンの片田舎を訪れた若者たちが、祝祭に隠された狂気と儀式に巻き込まれていくホラー作品。鮮やかな色彩と不穏な空気が絶妙に交錯し、じわじわと恐怖が忍び寄ります。視覚的に美しいのに恐ろしい、唯一無二の世界観が魅力です。
ここがおすすめ!
昼間の明るい風景で恐怖を描くという逆説的な演出が秀逸。美術や衣装もこだわり抜かれており、どのカットも絵画のよう。文化や信仰が狂気に変わる瞬間の演出が鳥肌ものです。静かながら圧倒的な不安感を味わいたい方におすすめです。
ザ・ボックス
この映画を一言で表すと?
「ボタンを押すか、押さないか」――人間の本性を試す不気味な心理サスペンス。
どんな話?
謎の男が現れ「この箱のボタンを押せば、大金が手に入る。ただし誰かが死ぬ」と告げる。選択を迫られた夫婦が取った行動は思わぬ結末を迎え、物語は次第に予測不可能な方向へ進んでいく。モラルと欲望の狭間で揺れる人間の心理を描いた一作。
ここがおすすめ!
一見シンプルな設定ながら、その裏にある壮大なテーマと展開の奇抜さがクセになります。倫理的ジレンマを描きつつも、ミステリー要素やSF的展開も楽しめるので飽きません。『イン・ザ・トール・グラス』が好きな人には確実に刺さります。
サークル
この映画を一言で表すと?
わずか一部屋で繰り広げられる、極限の心理ゲームと人間性の暴露。
どんな話?
目覚めたら見知らぬ部屋にいた50人の男女。数分おきに誰かが命を落とす中、「誰を犠牲にするか」を全員で選ぶという極限状況が始まる。人種、年齢、職業などの偏見があらわになっていく、緊張感あふれる心理サスペンスです。
ここがおすすめ!
会話と投票だけで物語が進むにもかかわらず、最後まで目が離せない展開。人間の本性を浮き彫りにする構成がスリリングで、観る側にも選択を問いかけてきます。密室で起きる恐怖が好きな方にはぴったりの作品です。
ジェラルドのゲーム
この映画を一言で表すと?
ベッドに繋がれたまま生死の境をさまよう、究極の心理サバイバル。
どんな話?
夫婦の愛を取り戻そうと人里離れた別荘に訪れたジェシー。しかし夫が突然死し、手錠でベッドに繋がれたまま取り残されてしまう。幻覚とトラウマに苦しみながら、自身の過去と向き合う彼女の脱出劇が始まる。
ここがおすすめ!
閉鎖空間での極限状態がリアルに描かれ、息苦しいほどの緊張感が続きます。スティーヴン・キング原作らしく、単なるホラーで終わらない人間ドラマも魅力。心理的な恐怖と身体的サバイバルが見事に融合した秀作です。
ザ・プラットフォーム
この映画を一言で表すと?
階層社会の暗喩が剥き出しになる、衝撃と絶望のディストピアホラー。
どんな話?
縦に並んだ多数の階層で、人間が1日1回だけ上から落ちてくる食事を取る「穴」。上層にいる者は満腹に、下層に行くほど飢えるシステムの中、男が自ら志願して「真実」を見つけ出そうとする。人間の欲望と社会構造を容赦なく描いた衝撃作。
ここがおすすめ!
閉鎖空間・繰り返し・倫理的ジレンマなど『イン・ザ・トール・グラス』の要素が詰まった問題提起型ホラー。視覚的にもショッキングながら、深いメッセージ性があります。観終わった後に考えさせられること間違いなしの一作です。
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