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映画『稲妻(1952)』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『稲妻(1952)』の概要:人と人との往来が盛んであった時代、男が尊厳を失ってゆく戦後の家庭を映した、成瀬巳喜男監督作品。家族のしがらみに悩まされながらも、逞しく自立してゆく女性の成長を、愛らしく痛快に描きだす。

映画『稲妻』の作品情報

稲妻

製作年:1952年
上映時間:93分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:成瀬巳喜男
キャスト:高峰秀子、三浦光子、村田知英子、植村謙二郎 etc

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映画『稲妻』の登場人物(キャスト)

小森清子(高峰秀子)
都内でバスガイドとして働く。四人兄弟の末っ子で、シングルマザーの家庭に育つ。兄弟とは皆父親が異なり、長女の縫子とは仲が悪い。苦労人の母の影響で、男性や結婚に対し嫌悪感を抱いている。周りから見合いを勧められるも興味がなく、一人暮らしに憧れている。
光子(三浦光子)
清子の二番目の姉。清子が心を開く、唯一の相談相手。夫を亡くしたうえ、兄弟や夫の愛人から保険金を当てにされる。後に資産家である綱吉の助けを借りて、神田に喫茶店を開く。
縫子(村田知英子)
清子の一番目の姉。金にがめつく自分勝手で、昔から清子とは反りが合わない。夫・龍三の事業を助ける振りをしながら、自らが綱吉に取り入り、新しい店を我が物にしてしまう。
おせい(浦辺粂子)
清子の母。四人の男と子供を作るも、現在は独り身。子供達の面倒見は良いが、問題が起きても傍観していることが多い。清子曰く、この母が有象無象を引き付けているという。
綱吉(小沢栄)
パン屋を営んでおり、35歳にして資産家。女と金への貪欲さは計り知れず、縫子には渋谷の温泉宿を、光子には神田の喫茶店を与える。二人と関係を持った後も、清子に固執して言い寄る。
嘉助(丸山修)
清子の兄。戦争での負傷を言い訳に、定職に就かず、日々パチンコに明け暮れている。実家に入り浸り、結婚の目処も立っていない。
龍三(植村謙二郎)
縫子の夫。綱吉と共同出資するが、妻に裏切られて失敗する。綱吉に縫子を取られ、酒浸りになった後も、おせいの元で面倒を見てもらう。
桂(杉丘毬子)
清子の実家の下宿人。書き物をして稼いでいるが、間代を貯めているため、部屋を出ていくことになる。
つぼみ(香川京子)
清子の新居の隣家に住む。両親はおらず、兄と二人で暮らしている。ピアニストを目指している。
周三(根上淳)
つぼみの兄。妹の夢を叶えるために働き、家事もこなす。清子にとても親切で、他の男たちとは違って紳士な振る舞いを見せる。

映画『稲妻』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『稲妻(1952)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『稲妻』のあらすじ【起】

小森清子はバスガイドとして、東京の町並みを案内する生活を送っていた。ある日バスの中から、二番目の姉・光子の夫が知らない女と歩いているのを見かける。実家に寄ると、そのことを母・おせいに相談し、結婚や男性への不信感を露わにする。同時に、おせいから綱吉という男との見合いを持ちかけられ、パチンコ帰りの兄・嘉助からも勧められるが、清子は興味を示さない。

清子の縁談は、長女・縫子の企みによるものだった。縫子は光子の店に上がり込むと、綱吉というパン屋は相当の資産家であると話す。縫子の夫・龍三は、綱吉の次なる事業展開に便乗しようと考えているらしい。綱吉との見合いを清子に促すよう、光子に念を押し、縫子は店を後にする。

おせいは四人の男と結婚し、それぞれの子供を産んだ。そのため清子たち四人の兄弟は、皆父親を異にしている。結局独り身となり、苦労する母を見て、結婚は不幸であると嘆く清子。そんな彼女を、おせいは「兄弟中で一番良い子」だと褒め、彼女の父親から貰ったというルビーの指輪を託す。

その頃、縫子は綱吉と二人きりで会い、龍三への不満をつらつらと語っていた。清子との見合いを交換条件に、綱吉は渋谷の店を縫子に任せると言う。縫子の今度の立ち回りは、夫のためではなく、己の利益のためだったのだ。

清子が光子の店に帰宅すると、光子は帰りの遅い夫を待ち侘び、気が気でない様子だった。清子は言いださないものの、光子の夫の浮気を思い出す。見合いの話になると、結婚への嫌悪感を募らせ、母を不幸な人だと言い放つ。だが光子は、今では夫を大事に思っていると話す。その直後に、龍三が店にやってくる。縫子も家に帰らないらしく、清子に酒を持って来させると、不安げに飲み干し、すぐに帰ってゆく。

道端で、捨て猫を拾う光子。結局、夫は朝になっても帰らない。明るく励ます清子を、光子は心細げに猫を抱きながら送り出す。

映画『稲妻』のあらすじ【承】

光子の夫は急死していた。泣き暮れる光子を他所に、おせいや縫子たちの手によって、葬儀の準備は速やかに進む。駆けつけた綱吉の姿に、清子は光子のいる二階へと逃げる。一方、一同は綱吉を囲み、酒を振る舞う。嘉助は就職のため、龍三と縫子はビジネスのため、綱吉を煽てるのに必死だ。縫子は、なかなか現れない清子に憤ると、二階まで押しかけて彼女の頬を引っ叩く。龍三は勝手にも、光子に保険金について聞きだそうとする。

光子の店に、見知らぬ女が訪ねてくる。夫の仏前に通してほしいという彼女を、光子は追い払うが、ついに清子から浮気相手の存在を打ち明けられる。女は夫の愛人であった。今の店を手放す決意をする光子だが、夫への愛情は尽きていないと語る。

縫子は保険金の件を、おせいにまで告げ口し、そそのかす。呑気なおせいは、龍三の事業の金だけでなく、嘉助の着物代まで光子にせがむ。居合わせた嘉助も就職金をねだり始め、参ってしまう光子。清子に猫を託すと、渋谷の店へ手伝いに出される。

清子の実家は、二階の一室を人に貸していた。桂という女性だが、間代を貯めているため、もうじき出てゆくという。独立して暮らす逞しい彼女に、清子は強い憧れを抱く。

映画『稲妻』のあらすじ【転】

渋谷の店で働いていた光子が、実家に戻ってきてしまう。縫子に離婚を切り出され、龍三が酒浸りなのを見ていられなくなったらしい。また厄介なことに、綱吉は縫子と関係を持ちながら、未だに清子を気にかけているようだ。

光子は例の愛人から、保険金を当てにする内容の手紙を受け取る。清子と共に、彼女の家を訪ねたところ、高額な生活費を迫られる。強気に対抗する清子だが、光子は彼女の赤ん坊に、夫の面影を感じて戸惑ってしまう。妻としての責任を果たすためだと言い、なけなしの金を彼女に差し出す。

光子は綱吉を頼って、自分の店を出すと言い始める。職を失った嘉助と、妻に逃げられた龍三は、酒を酌み交わしながら綱吉の陰口を叩く。だらしない男たちを見て、げんなりする清子。その時、光子を口実に綱吉がやってくる。懲りない龍三は綱吉に商売を持ちかけるが、相手にされない。縫子の話題を皮切りに口論となり、激しい取っ組み合いが始まる。綱吉は清子に下卑た視線を送ると、逃げるように帰ってゆく。

ついに清子は、独り立ちの決意をする。友人の住んでいた家を訪ねると、親切な大家の計らいもあって、見晴らしの良い二階の一室を借りることが叶う。窓から見える隣家には、仲の良い理想的な兄妹が住んでいた。妹・つぼみがピアニストを目指すために、兄・周三が家計を支えているという。心の平穏を手に入れる清子だが、大家に家族のことを聞かれると、いないも同然だと答え、顔を曇らせる。

映画『稲妻』の結末・ラスト(ネタバレ)

清子は荷物を取るため、久々に実家を訪れる。家族の変わらぬ近況をおせいから知らされ、実家を後にした清子は、新居に戻る途中、周三とばったり出会う。清子の荷物を爽やかに奪い取り、優しい笑みを浮かべる周三に、清子は顔を輝かせる。

ピアノの音が聞こえ、窓から隣家を覗くと、周三が庭で洗濯物を干している。清子は穏やかな生活を初めて手に入れたことを、訪ねてきた光子に話す。光子は羨ましがりながら、もうじき神田で開くという喫茶店に清子を誘う。

開店間近の光子の喫茶店には、綱吉の姿もあった。二人の夫婦のようなやり取りに、清子は絶句してしまう。綱吉は光子がいなくなると、すぐさま清子を口説き始める。店の様子を見にきた縫子には理不尽にも罵られ、清子は初めて強い言葉で反撃し、店を去ってゆく。残された縫子は、綱吉と光子の目も憚らず号泣する。

清子の部屋におせいがやってくる。おせいは、縫子だけでなく光子まで綱吉に利用されてしまったことや、未だに龍三の面倒を見ていることなど、清子が忘れたい家族のしがらみを語って聞かせる。清子はそれら全てをおせいの責任だと責め、不幸な人生を呪って泣いてしまう。おせいはもらい泣きし、清子が泣き止んでからも収まらない。外は強い雨が降り、激しい稲妻が闇を切り裂く。おせいは清子に「兄弟の中で一番悪い子だ」と言い放つ。

泣くだけ泣いて、二人はすっきりした顔を見せる。清子は少ない貯金を崩して、おせいに浴衣を買う約束をする。母娘はすっかり晴れた帰路を歩いてゆく。

映画『稲妻』の感想・評価・レビュー

どうにも断ち切れぬ血縁関係に追い詰められる清子だが、その様子はとても愉快に映る。昭和特有のセリフの言い回しは、他人を罵っている際も奥ゆかしさを感じさせ、いじらしいのだ。また、無力な清子や光子の姿を、捨て猫に投影させるシーンが随所に見られ、滑稽なまでに彼女たちの運命を暗喩しているのが面白い。成瀬巳喜男のこだわりは、猫に始まり、傘や着物などの細かな配色にまで及ぶ。特に縫子と綱吉が共謀する、東京の街のあるカットは、縫子の傘のくっきりとした大柄が空に映え、一枚の絵のようでとても綺麗だった。(MIHOシネマ編集部)


いつの時代も強い女性はカッコイイなと感じる作品でした。私はどちらかというと、1人では何も出来なくて小さい頃からずっと周りに頼って生きてきたタイプ。これからも出来ることなら誰かに助けてもらいながら生きていきたいと思っています。もちろん恋愛においても「頼れる男性」に恋をしがちで、そういう男性が現れるとついつい執着しすぎてしまう部分もありました。
この作品に出てくる女性はとにかく強い。必要ないと思った男は追い払う。自分でなんとかする!という気持ちが本当にかっこよく、でもその裏には人に見せない辛さや弱さもあって、すごく心に残る作品でした。私も頑張ろうと思わせてくれます。(女性 30代)

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