映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の概要:ジョン・クラカワーのノンフィクション小説「荒野へ」を、俳優でもあるショーン・ペンがメガホンを取って映像化した作品。第80回アカデミー賞にノミネートされた作品でもある。
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:148分
- ジャンル:ドキュメンタリー
- 監督:ショーン・ペン
- キャスト:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、
ウィリアム・ハート、ジェナ・マローン etc
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映画『イントゥ・ザ・ワイルド』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』のあらすじを紹介します。
1992年、行方知れずの息子クリスの声が聞こえたと、ベッドで騒ぐ母ビリーの姿があった。
・・・2年前、裕福な家庭で育ったクリストファー・ジョンソン・マッカンドレスは、優秀な成績で大学を卒業。
そして彼は全財産を慈善団体へ寄付し、身分証を捨てて旅に出た。
途中、鉄砲水に襲われ、気に入っていたオンボロ車を手放すハメになる。
持っていた最小限のお金も捨てたクリスは、アレグザンダー・スーパートランプという名前を自分に与える。
やがてクリスはヒッピーのレイニーとジャンに拾われるが、数日後、静かに行方をくらませた。
クリスの車が見つかると、両親は躍起になってクリスの行方を探し始める。
だが両親の秘密と、自分とカリーンが私生児だという事実を知っていたクリスは、不仲だった両親に対して怒りを抱えていた。
サウスダコタの穀物倉庫で仕事を始めるクリス。
代表者のウェインと仲良くなるが、彼が法律違反で逮捕されると旅の続きに出る。
やがてクリスは、アラスカの大地を最終目的地と決める。
旅を続けるクリスは、スラブスでヒッピーのレイニーとジャンに再会。
そこでトレイシーという16歳の少女に好意を持たれるが、その恋が実ることはなかった。
ソルトン・シティを訪れたクリスは、革職人の老人ロンと親しくなる。
別れ際、ロンから養子縁組の提案をされたクリスは、アラスカから戻ったら話し合う約束をする。
そして彼はアラスカの荒野へ入っていった。
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
綺麗なだけではないクリスの一生
クリスという青年を英雄のように祭り上げることはせず、人を引き付けるカリスマ性と魅力を持ちながら、愚かでもあった彼の早すぎる死に疑問を投げかけている。
下痢が止まらなくなり、バスの中のバケツをトイレ代わりにするようなシーンや、やせ細ったクリスが熊に食料として見られず、絶望するシーンもある。
実際に起こった事件を扱う映画のように「これは本当にあった・・・」というテロップは出さず、見方によってはフィクションのロードムービーにも見える。
しかし、ラストシーンでクリス本人がバスの前で自分を撮った写真と共に、無言の帰宅をする経緯がテロップで簡単に表示されている。
140分以上の大作に仕上がっているからなのか、最後だけ駆け足になった印象が強く残ってしまう。
クリスの2年に渡る旅を追いつつ、旅の終着点アリゾナの大自然の中にある“不思議なバスの日”をたどっていくので、必要のない部分を削ると途切れてしまうストーリーをうまく繋げる事ができている。
だが、仕留めたヘラジカをさばくシーンや保存に失敗する場面がリアルすぎるので、虫が嫌いな場合は注意が必要。
アカデミー賞の常連がそろった作品
主演のエミール・ハーシュは、飢餓状態に陥ったクリスを演じるために過酷なダイエットを行い、最終的には18キロも体重を落として撮影に挑んだという。
特殊メイクを施したように見える顔もだが、本当に病気なのではと疑ってしまうほどやせ細った体には、役者としてのこだわりが感じられる。
母ビリー役のマーシャ・ゲイ・ハーデンをはじめとして実力派の役者が勢ぞろいし、ロン役のハル・ホルブルックは長いキャリアの中で、本作で初めてアカデミー賞に名前が挙がった。
また、レイニー役を演じたのは撮影コーディネーターのひとり。
全米を回って撮影したという美しい映像の数々や、優しい音楽が心を打つ。
実際にギターを弾きながら歌を披露した、クリステン・スチュアートの歌唱力にも驚かされる。
人と違った行動をとる人は変わっていると変人扱いされてしまうことをも少なくありませんが、今作に登場するクリスには人と違うカリスマ性と、人間らしい脆弱さの両方を感じ取ることができました。
自ら全てを捨て、まっさらな状態になって旅に出たクリスですがその旅の目的や行き先はハッキリと語られず、あての無い自分探しの旅のようにも見えました。様々な人に出会いながら行き先を決め、静かに旅をしていくクリスの姿には孤独や不安よりも強い意志を感じました。
最後の展開には驚きましたが、だからこそ彼は語りがれる存在となったのでしょう。(女性 30代)
映画『イントゥ・ザ・ワイルド』 まとめ
実際に放浪の旅を行い、1992年にアラスカのバスの中で遺体で発見されたクリストファー・ジョンソン・マッカンドレスの足跡をたどった大ヒットノンフィクション小説「荒野へ」を原作とした作品。
監督のショーン・ペンが10年近い時間をかけて遺族にコンタクトを取り続け、映画化の許可をもらったという意欲作でもある。
繊細で頑固な部分もあるが、強いカリスマ性を持ち合わせたクリスを描いたストーリーだけでなく、それを彩る音楽や映像の美しさも印象に残る。
原作を読んだことがあれば、ショーン・ペンが作り上げた世界観の完成度の高さに驚かされるだろう。
作品を見た後に心に残るものや、投げかけられる疑問があり、まるで自分の生き方を見直したくなるような映画になっている。
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