世界的なベストセラーとなったノンフィクションブックがとうとうスクリーンに。監督を務めるのは、レイチェル・ドレッツィン。ドキュメンタリーを得意とする様々な家族をテーマとしており、家族とは何か、を視聴者に考えさせる。
映画『いろとりどりの親子』の作品情報
- タイトル
- いろとりどりの親子
- 原題
- Far from the Tree
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年11月17日
- 上映時間
- 93分
- ジャンル
- ドキュメンタリー
- 監督
- レイチェル・ドレッツィン
- 脚本
- 不明
- 製作
- レイチェル・ドレッツィン
ジャミラ・エフロン
アンドリュー・ソロモン - 製作総指揮
- ジェフ・スコール
ダイアン・ワイアーマン
メアリー・ビング - キャスト
- 不明
- 製作国
- アメリカ
- 配給
- ロングライド
映画『いろとりどりの親子』の作品概要
近年世界中で法整備が進んでいるLGBTや、多くの人々を苦しめているダウン症や自閉症といった疾患。しかし、そういった人々にも、愛し愛される存在、家族がいる。世界中に存在する、少し変わった家族にクローズアップした愛の物語。世界的ベストセラーとなったノンフィクションノベルがとうとう実写映画化。小説内では300近くの家族にインタビューを行っているが、本作ではその中でも6家族に注目。是非、家族や恋人と一緒に観たい映画。
映画『いろとりどりの親子』の予告動画
映画『いろとりどりの親子』の登場人物(キャスト)
- ジャック・オルナット
- 自閉症と診断された青年。言葉を話すことはなかったが、現在はタイピングで自らの思いを表出している。ユーモアセンスがあり、家族を笑顔にする。
- ジェイソン・キングスレー
- エミー賞受賞脚本家である母親を持つダウン症の青年。母親の教育で、幼い頃から様々なテレビ番組に出演。
- タイラー・リース
- 兄が8歳の少年を殺害し終身刑の宣告を受けた少女。その影響か、将来自分は子供を持たないと宣言している。
- アンドリュー・ソロモン
- 同性愛者の男性。自分の嗜好が原因でかつて母親とは別離した過去がある。その後深刻なうつ病に苦しむが・・?
映画『いろとりどりの親子』のあらすじ(ネタバレなし)
現在、家族は様々な形をとり、これまでとは異なる形態になりつつある。そんな変化し続ける家族の形に着目したのが、作家であるアンドリュー・ソロモン。彼が10年もの月日を要して書き上げたのが、300以上の”普通”とは少し違う家族に密着したノンフィクションブック、『FAR FROM THE TREE』。そして、そんな彼の作家人生をかけたといっても過言ではない熱意のこもった作品は、世界24カ所で翻訳されるほどのベストセラーとなった。映画では、その中でも6組の家族に着目。LGBT、ダウン症、自閉症など、様々な”普通”ではない家族の愛情を見事に描き出しており、ハンディキャップを祝福として受け止める家族の様子をフィルムに収めている。家族の愛が画面越しに伝わってくる。
映画『いろとりどりの親子』の感想・評価
家族のありがたみを感じる物語
多くの人にとって、自分達の生活の基盤であり、人格形成においても重要な役割を果たす存在が家族である。そんな重要な家族だが、普段はあまりに存在が近いあまりに、その有り難みをついつい忘れてしまいがちである。しかし、家族内で当たり前のように存在する愛し愛される関係は、本来は奇跡のようなことなのである。それを教えてくれるのが今作。生まれつきのハンディキャップがあることで、愛に臆病になる人もいるだろう。しかし、そのハンディキャップすらもギフトと受け入れ、全員で一丸となって、明るく毎日を送っている家族も存在する。そんな前向きな人々に感化され、自分をいつも支えてくれている家族に改めて感謝する、誰もが見るべき感動作。
監督はドキュメンタリー作品の巧み
ドキュメンタリー映画。実在の人物や場面を切り取っているため映画の中でもリアリティという点ではピカイチのジャンルだが、監督の腕によって大きく完成度が異なってくる難しいジャンルともいえる。事実を切り取っているがゆえに、下手をすれば単調になってしまいがちなのだ。その点、本作はその心配はない。本作の監督を務めているのは、これまで数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきたレイチェル・ドレッツィン。なんと、過去にエミー賞の受賞履歴もあるほどの実力派監督である。この映画のキャッチコピーでもある、「どんなときも、わたしはあなたを愛してる」。監督が、どのようにこの言葉を映画内で表現してくれるのか、期待が高まる。
映画『いろとりどりの親子』の公開前に見ておきたい映画
夜のとばりの物語 醒めない夢
その魅力的な登場人物達やストーリーで、日々人々の生活を彩り続ける映画。しかし、映画は一本二時間以上かかる場合も多く、どうしても時間がなく、日々の忙しさから泣く泣く視聴を諦める人もいるのでは。勿論長いだけの価値がある超大作も数多くあるが、実は短くても十分に名作と呼ぶに相応しい作品も多数存在する。最新作、『いろとりどりの親子』もその一つで、上映時間が93分とお手軽でありながら、視聴者に多くの感動を与えてくれる。同様に、本作も上映時間84分という短さでありながら、長く人々の記憶に残り続ける作品。美しい影絵が紡ぎ出す短編集であり、その芸術性はピカイチ。その美しさに見惚れ、心穏やかになる一本。寝る前の少しの時間で楽しむにはピッタリの映画。
詳細 夜のとばりの物語 醒めない夢
リリーのすべて
最新作、『いろとりどりの親子』はこの世にある様々な愛の形、家族の形をテーマに撮影された映画。同様に、今作も普通とは少し違う愛の形を描いた作品。主人公は、1800年代に実在した画家、アイナー・ヴェイナー。彼は同じく画家である妻、ゲルダと共に幸せな毎日を送っていた。しかし、ある日とあることをキッカケに、彼は自分の中に女性の心があることに気がつくのだった。それからというもの、女性の姿、リリーとして過ごすことが多くなったアイナー。当時はまだ危険であった、性別適合手術を受けることを決意したリリーを、ゲルダは心から支える。そんな二人の、”普通”とは違う愛の物語。アカデミー賞で主演男優賞を獲得することとなった、エディ・レッドメインの鬼気迫る演技にも注目。
詳細 リリーのすべて
ファミリー・ツリー
最新作、『いろとりどりの親子』は家族をテーマにした作品。テーマが家族という点で最新作と共通しているのが本作、『ファミリー・ツリー』である。ハワイで生活する弁護士、マット・キングは、敏腕弁護士ではあったが仕事に追われるばかりで、家族のことは蔑ろにしていた。そして、そんなある日、マットの妻が事故にあい意識不明の重体に陥ってしまうのだった。妻が倒れたことで、マットは今まで気付きもしなかった彼女の苦悩や、子供達の葛藤と直面することになる。亀裂が走り、崩壊へと向かい始めたマットの家族。これまで家族を蔑ろにしてきた男は、今一度家族と向き合い、家族の幸せの形を見つけることができるのか。楽しいことだけではない、厳しい現実も切り取ったリアリティのある一本。
詳細 ファミリー・ツリー
映画『いろとりどりの親子』の評判・口コミ・レビュー
いろとりどりの親子①普通と違う子供とその親6通りの関係を見つめたドキュメント。世間の漠然としたイメージでしかない“普通”の幸せに囚われた親が障がいを待って生まれたり犯罪を犯した自分の子供の“違い”をどう受け入れていくかが描かれる。その試練は家族の本質を探る1つの長い長い旅だ。 pic.twitter.com/PCiNC6LlTW
— アクツイッター (@pyonpikun) 2018年11月17日
いろとりどりの親子②親の一途な思い込みや縛りから解放された時の子供達のイキイキとした表情に心揺さぶられ、逆に闇に閉ざされていた親の心にも光が射す。特に「俺があんたなら自殺する」と他人から言い放たれたジョセフのエピソードには、微笑みながらも涙が滲み最高に幸せな気分で心が満たされる。 pic.twitter.com/nu1MiBZy79
— アクツイッター (@pyonpikun) 2018年11月17日
いろとりどりの親子③皆が各々の個性をありのままに生き、それを周囲も当たり前の様に受け入れたなら、この世界はどんなに幸せで全ての人の人生が輝く事だろう。本作はその小さな、しかし大切な一助になるはず。音楽はヨ・ラ・テンゴとニコ・ミューリーが数曲の既存曲の他に書き下ろし良曲を多数提供。 pic.twitter.com/wxFEnQnHO2
— アクツイッター (@pyonpikun) 2018年11月17日
いろとりどりの親子、良かった…。お涙頂戴でもなければ、狂気じみたポジティブな雰囲気もない。淡々といろんな親子の生き様を見つめる映画。だから、見終わった後も「まぁみんな、幸せに生きような。私もゆるゆるやるわ」くらいの気楽な気持ちになれる。見る側・見られる側の居心地がいい映画だった。 pic.twitter.com/RPyBCaYZow
— ku_yama (@ku_yama) 2018年11月18日
『いろとりどりの親子』観た。
同性愛者の同名本著者と、彼が取材した知的、身体的なハンディキャップ・殺人加害者とその家族たち。
「普通」とは違うことに対し嘆き悲しむことよりも、個性や事実として受け入れること。
不幸は人それぞれだけど、幸せは無限に存在するという言葉が胸に刺さる。— 🇬🇧🇬🇧🇬🇧たかし🇬🇧🇬🇧🇬🇧 (@Takashi_movie) 2018年11月18日
映画『いろとりどりの親子』のまとめ
誰にとっても生活の基盤となるのが家族。生活、情愛、教育、あらゆる影響を与えあい、人格形成の基盤となる重要な組織。しかし、そんな家族には様々な形があり、その家庭家庭によって個別性がある。そのため、本来普通の家族、を定義すること自体が不可能だが、世間的には”普通”ではないと分類されがちな家族がいることもまた事実。本作ではそんな分類に入る家族に焦点を当て、彼らの愛に迫っている。やはり家族には”普通”の形がないこと、あらゆる形があって当然だということを教えてくれる大切な一本。
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