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映画『母べえ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『母べえ』の概要:昭和15年東京、野上家の家族はお互いに「べえ」を付けて呼び合い、慎ましく幸せな日々を送っていた。しかし、突然父が逮捕され、取り残された母と娘2人は周囲の人々に支えられながら懸命に生きていく。山田洋二監督による家族の愛に心動かされるヒューマンドラマ。

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映画『母べえ』の作品情報

母べえ

製作年:2007年
上映時間:132分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:山田洋次
キャスト:吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来 etc

映画『母べえ』の登場人物(キャスト)

野上佳代(吉永小百合)
野上家を支える母、母べえ(かあべえ)。父の投獄後は小学校での代用教員として働きながら、2人の娘を立派に育てあげる。
野上滋(坂東三津五郎)
野上家の家長、父べえ(とおべえ)。ドイツ文学者でありながら、反戦思想のために逮捕されてしまう。
野上初子(子供時代:志田未来 / 大人:倍賞千恵子)
野上家の長女、初べえ(はつべえ)。しっかり者で、家の手伝いもよくしている。思春期で少々難しい年ごろである。大人になってからは、医者として働く。
野上照美(子供時代:佐藤未来 / 大人:戸田恵子)
野上家の次女、照べえ(てるべえ)。まだ小学生で、友達とよく遊び、好奇心旺盛な女の子。母べえの前では甘えん坊。大人になってからは美術教師として働く。
山崎徹(浅野忠信)
滋の教え子で、生真面目で不器用だが優しい男。通称山ちゃん。父との面会の手続きから家のことまで常に協力してくれ、野上家に欠かせない存在となる。
野上久子(檀れい)
滋の妹。通称ちゃこちゃん。画家を目指して東京で絵を学んでいる。たまに野上家へ来ては子供たちの世話をしてくれるが、料理は苦手。
藤岡久太郎(中村梅之助)
佳代の父。山口県で警察署長をしている。佳代が結婚をしてからは疎遠になっている。
藤岡仙吉(笑福亭鶴瓶)
奈良から東京へ遊びに来た親戚の叔父さん。お金が何より大事だと豪語し、奔放な性格のため初子や久子から嫌われている。

映画『母べえ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『母べえ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『母べえ』のあらすじ【起】

野上家は家族がお互いに「べえ」を付けて呼び合い、決して裕福ではないが4人で幸せに暮らしていた。しかしある夜、特高警察2人が突然家へ押しかけ、家の中を片っ端から調べ始める。そして、そのまま父は思想犯として連れて行かれてしまう。寒い冬の日であった。

ある日、佳代の父・藤岡久太郎が突然家を訪れ、佳代は驚く。滋の逮捕を警察の上層部から聞き、山口で警察署長を務める久太郎は大恥をかいたというのだ。元々滋との結婚を反対していたという久太郎は激怒し、お茶も飲まずに行ってしまう。

夜になると、父の教え子である山崎が訪問してくる。きちっと正座をして面会の手続き方法を教え、いざ帰ろうとすると足がしびれてひっくり返ってしまう。結局夕食を一緒に食べることとなり、子供たちとも打ち解ける。そこから山崎は野上家にとって欠かせない存在となる。

桜の季節になりようやく面会の許可が下り、母と次女の照美が父に会いに行くが、そこで目にしたのは変わり果てた父の姿であった。2人とも困惑を隠せないほどショックを受けてしまう。

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映画『母べえ』のあらすじ【承】

母は小学校の代用教員として働き始める。父は留置所から拘置所へと移動になり、差し入れや手紙のやり取りができるようになった。

夏休みには野上家に奈良の叔父・藤岡仙吉がやって来た。嫌われ者の仙吉だが、母にとっては本音を話せるいい人だという。しばらく滞在していたが、帰る時仙吉は大事にしていた金の指輪を佳代へ残す。

再び久太郎が上京し家族で食事に出かけるが、そこで滋の思想は間違っていないと主張する佳代に対し、山口へ帰るかここで自害しろと迫る久太郎。あまりのことに佳代は何も食べず、長女の初子と照美を連れて部屋を飛び出してしまう。照美はすき焼きを食べたかったと泣いている。

ある日、母が過労のため倒れると、山崎が自転車ですっ飛んで来た。滋の妹・久子も家事を手伝い、みんなで夕食を食べていると、母が目を覚ます。起き上がった母に子供たち2人は思わず抱きつき、山崎はそんな家族の姿に癒されていた。

秋になると久子は母親の看病のため広島へ帰ってしまう。去り際、山崎は佳代のことが好きだと言い、佳代は動揺する。また、照美には絵の才能があると言い、自らの画材道具を照美へと残していく。

映画『母べえ』のあらすじ【転】

1941年12月8日の朝、アメリカとイギリスに対して戦争が始まったという放送がラジオから聞こえてくる。母は「大変なことになった」と子供たちを抱きしめる。

その日から灯火管制が始まり、暗い部屋に少しの明かりを灯して、子供たちは父への手紙を書き、母は寒がりな父のために服を縫っている。そこで初子が学校で嫌なことがあったと話し始めそのことを手紙に書くと、父は娘が人生に悩み成長していることに感動するのであった。

正月、母が町へ買い物へ行っている間、家の外で子供たちが山崎と羽子板をしていると一通の電報が届く。父の訃報である。母が帰ってくるとすぐに山崎と一緒に手続きをしに出掛け、それを見送った照美は郵便受けに入っていた父からの手紙に気づく。それは死ぬ前に父が書いた最後の手紙であった。

2月のある日、子供たちが出掛けている間、母が山崎にどれだけ助けられたかと話をしている。すると山崎は、自分の元へも赤紙が来たのでその日の夜にでも出発をするという。そして、山崎は子供たちへは事情を話さずに行ってしまう。

映画『母べえ』の結末・ラスト(ネタバレ)

戦後、山崎の戦友・小宮山が佳代を訪ねてくる。魚雷にやられ船が沈没し、山崎はそこで海に沈んだのだという。山崎は事前に、泳ぎが得意な小宮山に佳代への伝言を託していたのである。それは、「魂はあなたたちのそばにいて守ってあげます」というものだった。

時は流れ、大人になった照美が美術の授業をしている。すると照美に娘から電話がかかってくる。母の容体が急変しすぐに病院へ来てほしいということだった。

タクシーに乗って病院へ向かう照美は、呆然としている。

初子は医者になり、母は初子のいる病院に入院していた。孫たちも集まり、母は一人一人に最後の挨拶をしていた。

照美の番になり、母に寄り添い「もうすぐ父べえに会えるもんね」と言うと「あの世でなんか会いたくない。生きてる父べえに会いたい。死んでから会うなんて嫌だ」という母の言葉に照美は涙が止まらない。

激動の時代を必死に生きた野上家の家族にとって、母べえこそが生きる希望だったのである。

映画『母べえ』の感想・評価・レビュー

戦中戦後の話は多く映画になっていますが、本作は戦争直前が主になっている話だったので、所々にカタカナ語がでてきたり、山ちゃんが帰り道大声で歌っていたりして「あれ?」っと思う場面が多々あり、今まで観た物とは違った新鮮味がありました。
最後の母べえの「生きている父べえに会いたい」は、ただ単に夫を早く亡くした悲しみだったのか、理不尽に拘束され亡くなったことに対してのやり切れない思いだったのか…?(女性 40代)


戦争前に父べえが逮捕されてしまい、残された家族たちを描かれており、娘二人のために必死に働いていた母べえや、父べえの教え子である山ちゃんの助け、思春期真っ只中の初べえと、甘えん坊で自由な照べえなど、一人一人の気持ちや想いがあり、葛藤しながらも家族が支え合い、生きていく物語に感動した。特に、山ちゃんが亡くなる直前に、野上家に託した最後の言葉や、最後の母べえが息を引き取る前に、照べえが質問した答えの意味が、二つの意味として捉えることができた。(女性 20代)


登場人物が皆とても温かく、それぞれが「誰かのために」生きています。「戦争」という悲しい時代の中でも強く在り続ける「母べえ」が本当に素敵で、切なくて胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになりました。
母べえと娘たち、そして母べえの教え子など優しさに溢れたキャラクターばかりで、こんな大変な時代にも「愛」と「優しさ」を持っていたら強く生きられるのだと感じさせてくれる素敵な作品でした。(女性 30代)

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