映画『完璧な他人』の概要:イタリアのブラックコメディ映画「おとなの事情」を原案に、韓国でリメイクされた一作。美容外科医と精神科医の夫婦の新居に集った友人たちは、スマートフォンに来た連絡を公表するというゲームを始めたことで修羅場を迎える。
映画『完璧な他人』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:イ・ジェギュ
キャスト:ユ・ヘジン、ヨム・ジョンア、チョ・ジヌン、イ・ソジン etc
映画『完璧な他人』の登場人物(キャスト)
- チョン・ソクホ(チョ・ジヌン)
- 豪邸で優雅な生活を送る美容外科医。思春期の娘・ソヨンに甘く、妻・イェジンに叱られることも多い。分譲詐欺で大損したことをイェジンには黙っている。
- イェジン(キム・ジス)
- ソクホの妻。精神科医として活躍している。大学在学中に妊娠した経験から、娘・ソヨンを過剰に心配していて、監視している。
- カン・テス(ユ・ヘジン)
- マザコン気味の弁護士。亭主関白で仕事人間。妻・スヒョンとは倦怠期でほぼ仮面夫婦状態である。22時に自分の画像を送ってくる女性がいるが隠し通そうとする。
- スヒョン(ヨム・ジョンア)
- テスの妻。専業主婦で同居するテスの母親に不満を抱いている。人気ブロガーとしても名前が知られているが、ある男性との関係をテスに隠している。
- コ・チュンモ(イ・ソジン)
- レストランを開業したばかりの事業家。妻・セギョンと結婚したばかりで、仕事以外はいつも一緒に過ごしている。人目を気にせずにイチャイチャとできる男性。
- セギョン(ソン・ハユン)
- チュンモの妻。女性陣の中で最も若く、物知らずなところも多い。獣医として責任感が強く、元恋人の相談にものっている。
- ヨンベ(ユン・ギョンホ)
- 7人の中で唯一の単身者。元体育教師で、父親は元校長である。ミソンという恋人がいると明かしていたが、ソクホの引っ越し祝いには連れてこなかった。
映画『完璧な他人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『完璧な他人』のあらすじ【起】
1984年。月食を見るために、5人の少年たちは湖畔に集まった。釣りをして、焚火を前に暖をとり、夜を明かしたのである。
少年たちは大人になり、それぞれの人生を送っている。美容外科医のソクホは妻・イェジンと引っ越し祝いに新居へ友人を招く準備に急ぐ。二人の娘・ソヨンは思春期真っ只中である。監視下に置きたいイェジンはソヨンのカバンの中にコンドームが入っていることに気づき、過剰に心配していた。
弁護士のテスは妻・スヒョンよりも母親を大事にしている。スヒョンはテスと一緒に自宅を出る前にこっそりと下着を脱いだ。仮面夫婦の二人は、一緒にソクホの自宅へ向かうが会話は弾まないままだった。一方で、飲食店を営むチュンモと妻・セギョンの新婚夫婦は、ソクホの自宅へ向かう道中もイチャイチャとしていた。
イェジンはスヒョンに新居のこだわりを披露する。インテリアについて語りあう二人は、若いセギョンを嘲笑うように見つめるのだった。
遅れてきた、ヨンベは一人で訪ねてきた。ミソンという恋人を連れてくるはずだったので、ソクホたちは期待外れだと目を合わせる。ミソンは風邪をひき、熱を出してしまったと伝えたヨンベだが、気まずそうにソクホの自宅に上がるのだった。
映画『完璧な他人』のあらすじ【承】
ベランダに出て月食を楽しむ7人。ソクホとイェジンは自慢の手料理を振る舞うおうと、テーブルに案内する。各々に用意したお酒を嗜みながら、話題は夫の浮気が原因で離婚するある夫婦について移行した。
程よく酔いも回ってきた頃、イェジンは形態のロックを外し目の前に置き、メールや電話の内容を全て公開しようと突拍子もないゲームを提案したのである。
隠し事はないという女性陣は意気揚々としているが、最初にメールが来たジュンモは表情をこわばらせる。知らない番号から「あなたが欲しい」というメールが届き、すぐに着信があった。恐る恐る電話に出たジュンモだが、相手は無言である。スヒョンも疑いの表情を見せたとき、部屋の奥から現れたソクホのいたずらだと発覚し、皆ほっと胸をなでおろすのだった。
ソクホはテスとキッチンの奥でこそこそと話をする。実はソクホは投資に失敗していたのだ。イェジンには黙っていて欲しいとテスに頼むソクホ。その頃、ダイニングではイェジンの携帯に父親から連絡があった。そして、イェジンがソクホ以外の医師の手で豊胸手術を受けるつもりであることが明らかになった。
ヨンベをベランダに呼び出したテスは、携帯を交換してほしいと申し出る。実は毎日、夜10時に自分の画像を送ってくる「女性」の存在を隠したいのだ。
映画『完璧な他人』のあらすじ【転】
スヒョンの携帯には、友人から誘いの連絡がきた。スヒョンが「引っ越し祝い中」だと伝えると、友人はイェジンの悪口を言い始める。普段、スヒョンがイェジンをどう話しているか明らかになってしまった。
ソクホがワインをこぼしてしまったどさくさに紛れて、テスはヨンベの携帯をすり替えた。22時に女性の裸の画像がヨンベの手元にある携帯に届いた。テスの手元の携帯には「まだ怒ってる?」というメッセージが届き、二人はごまかしながらその場をしのぐ。
ソクホの携帯に警察から連絡があり、分譲詐欺にあったことがバレそうになってしまう。その矢先、スヒョンの携帯に老人ホームの案内が届き、テスの母親を老人ホームに入れる手配を進めていたことが明らかになってしまう。テスは一方的にスヒョンを責めるのだった。
どんよりとした空気を換えようとベランダに出た7人。セギョンの携帯で写真を撮ろうとすると、元恋人からメッセージが届いた。浮気を疑うチュンモは目の前で電話をさせるが、セギョンは獣医として元恋人の相談に乗っていただけなのである。
ソクホの携帯にソヨンからの相談の連絡がきた。イェジンは反対ばかりするが、先輩との恋をソクホは陰ながら応援していたのだ。二人のやり取りに心を打たれ、イェジェンも改心した。
映画『完璧な他人』の結末・ラスト(ネタバレ)
テスの手元の携帯にミソンから立て続けに連絡が来る。ヨンベの電話の相手が男性であることから、ごまかしきれなくなったテスは言い訳をしなかったが、スヒョンはテスが男性と浮気していると勘違いし気を落とす。
一方でチュンモの携帯には立て続けに連絡が入る。一本は仕事の連絡だったが、もう一本は従業員であり浮気相手のチェヨンから妊娠の報告だった。セギョンは不満を爆発させトイレに籠ってしまう。その様子を見ていたイェジンは涙を浮かべながらピアスを外し、チュンモに突き返した。
その頃、スヒョンの携帯にある男性からのメッセージが届く。浮気を疑うテスは激怒するが、自分を見てくれないことへの不満をスヒョンは爆発させる。ようやく本音を打ち明けた二人。
ヨンベは40年打ち明けられなかった自分の秘密を明かす。そして同性愛者であることで学校をクビになったことも告白した。ヨンベはミンスを守るために連れてこなかったと言い残し家を出る。部屋に閉じこもっていたセギョンも結婚指輪を置いて、家を後にした。
現実はソクホが止めたことでゲームは行われなかった。指輪をしたセギョンとチュンモはイチャイチャと車に向かう。車中、チュンモはイェジンからのメッセージに返信し、すぐに削除した。スヒョンの運転で帰路についたテスは、トイレで一人22時に来た画像を眺める。
チュンモにもらったピアスを大事にしまったイェジェンは、夜遅くに帰宅したスヨンを心配しながら床に就く。完璧な人などいない世界では、互いに秘密を抱え暮らしていくのである。
映画『完璧な他人』の感想・評価・レビュー
ハラハラとする秘密の明かしあいは、イタリア版よりも少しじめりとしていた印象がある。他人から見れば羨ましいような生活の陰にも秘密はある。夫婦として成り立つための犠牲は他人には見ることができないが、知ることでもないとこの作品は実に痛感させてくれる。40年来の友人とそのパートナーという3組のカップルと一人の男、そしてそのパートナーというバランスが実に面白い。修羅場必須のこのゲームはできれば開催は避けたいものだ。(MIHOシネマ編集部)
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