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映画『完全なるチェックメイト』あらすじネタバレ結末と感想

映画『完全なるチェックメイト』の概要:IQ187の天才にして稀代のクセ者・ボビー・フィッシャーとチェス王国ソ連が生み出した絶対王者スパスキー。’70年代誰もが震えた『神の一手』がここにある。

映画『完全なるチェックメイト』 作品情報

完全なるチェックメイト

  • 製作年:2015年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
  • 監督:エドワード・ズウィック
  • キャスト:トビー・マグワイア、ピーター・サースガード、リーヴ・シュレイバー、マイケル・スタールバーグ etc

映画『完全なるチェックメイト』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

映画『完全なるチェックメイト』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『完全なるチェックメイト』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『完全なるチェックメイト』 あらすじ【起・承】

時は’51年、NYブルックリン。
シングルマザーの母レジーナ(ロビン・ワイガード)に連れられチェスクラブにやってきた幼いボビーは、
『負ければ諦めるだろう』という母親の思惑に反して、この日からクラブに通いつめ、14歳で国内王者となる。

共産党員で、毎晩の様に男を連れ込む母親にうんざりしていたボビーにとって、チェスは唯一打ち込める存在だった。
母親のせいで、毎日FBIに監視される生活が続くが、やがてその母も家を出て行き、ボビーは史上最年少15歳でグランドマスターとなる。

’62年、ボビー(トビー・マグワイア)はブルガリアで開かれたチェスオリンピアードに臨むが、試合結果と組み合わせを見て、
チェス大国ソ連が、共謀しドロー(引き分け)を繰返している事を見抜く。

このままではソ連の世界チャンピオン・ボリス・スポスキー(リーヴ・シュライバー)に、いつまでたっても挑戦出来ない。
ボビーは声を荒げ、チェスをやめるといい会場を飛び出す。

3年後、鬱屈した日々を過ごすボビーの元に、ポール(マイケル・スタールバーグ)という弁護士がやってくる。
ポールはボビーの代理人になりたいと名乗り出、以前スパスキーやボビーと対戦した経験を持つロンバーティ神父(ピーター・サースガード)を従え
カリフォルニアで開催される親善試合に臨むボビー。

しかし彼を待ち受けていた運命は残酷なものだった・・・。

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映画『完全なるチェックメイト』 結末・ラスト(ネタバレ)

ボビーは、対戦国ソ連と自国の待遇の違いに激怒し、様々な要求を主催者に突きつける。
彼の要求を総て叶えても、ボビーは勝てず、ボビーは再び表舞台から消え去る事となる。

さらに数年後の’67年、ボビーはハンガリーの国際試合に復帰し、世界チャンピオンを目差すと宣言。
しかし、ロンバーディは、1ゲームで星の数ほど、次の手が見えるというボビーの脅威の頭脳に
精神が破綻するのではという恐怖心にかられるようになる。

ロンバーディの悪い予感は当たり、ボビーは陰謀説にのめりこみ、’72年、世界チャンピオン決定戦の
開催地アイスランドに出発する日、空港で待ち受けていたカメラにブチキレ逃亡してしまう。

キッシンジャー補佐官が、ボビーの試合を見たいという要請があった事から、ボビーは
再び表舞台に立つ事になり、スパスキーとの対戦に臨む。

24局に及ぶ長い、世界をかけた戦いが幕を開け、わずかなカメラの作動音、観客のくしゃみ、
些細な事さえも神経に障る対戦が続いた。

そして6局目。
ボビーは駒を犠牲にして勝利を得る『サクリファイス』を使い、勝負に出る。
スパスキーは、ボビーの一手を眺めた後、握手を求め、彼の勝利を祝う。

映画のエンディングテロップは、その後、ボビーが世界中を放浪した実際のフィルムを流し終わる。

映画『完全なるチェックメイト』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『完全なるチェックメイト』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

トビー・マグワイアが惹かれたボビー・フィッシャー

映画でのチェスのアドバイザーは、グランドマスターでチェス連盟会長のリチャード・ベリュベ。

’72年に行なわれた、フィッシャー&スパスキーの奇跡の対決を実際に見ていた、生き証人から
アドバイスを受けられるという事は、俳優にとっても素晴らしい体験だったのではないだろうか。

主演及び製作を手がけたトビー・マクワイアはこう語る。
自分が惹かれるのは、普通でない人の人生だと。
そうした人々を演じる事で、その人たちへの理解を深める事が出来るからだという。

狂気にせまるボビーを演じつつも、繊細さが感じられるのは、こうしたマクワイアの共感性がなせる業だからだろう。
この映画が公開された当時、マクワイアは40歳。俳優としての節目に調度いい作品だったと思う。

何故ボビーは、被害妄想があったのか

映画は、’72年、アイスランド・レイキャビクで開かれたスパスキーVSフィッシャーの2局目。
現れないフィッシャーが、心配し迎えに行くと、フィッシャーは被害妄想に取り憑かれ、部屋中を荒らしていた。

彼がそうなる元凶を探るかの様に、場面は’50年代初頭、ボビー(エイデン・ラブキャンプ)が幼少期の頃に移る。
彼のアパートの前には常に車が止まっていて黒装束の男たちが、監視していた。

毎夜の様にパーティを開いている母レジーナに知らせに行くのが幼いボビーの役目だった。
そこから、常に監視されている被害妄想が生まれただけでなく、精神的に不安定だった事も判る。

波乱万丈に富むボビーの人生のどこに焦点を絞ったか

ボビー・フィッシャーの生涯は、波乱万丈で、どの部分に焦点を描くかによって、映画の雰囲気も変わってくる。
この映画は、フィッシャーが、グランドマスターになるまでの過程をさらりと流し、
彼がスパスキーとの対戦に望むまでの過程に的を絞る事で、成功した作品とも言える。

映像面では、’50年代~’70年代を再現する為に、旧式フィルムを使い昔のカメラを使って撮影されている所があるのが興味深い。
対極が中継される場面は、当時のニュース映像も積極的に取り入れて臨場感を出している。

撮影地ごとで、配色を変えているという気配りも見事だったと思う。
波乱万丈の人生を送った人間の数箇所に焦点を絞り映画を作った事で、成功した作品だろう。


チェスをもっと知っていたら、より楽しめたのだろうと自分の知識のなさを後悔しました。多くの作品に登場するチェスですが、なかなか目にする機会も無いので、ルールも何も知りません。しかし、常に相手の先を読んで行くという頭を使うゲームは非常に奥が深く、紳士的な雰囲気にも興味を惹かれました。
幼い頃の経験やトラウマが大人になってその競技人生に大きく影響してしまったことは、ボビーにとって大きな足枷だったと思います。しかし、あの母親がいなければ、ここまでチェスの才能が開花することも無かったのです。(女性 30代)


穏やかなトビー・マグワイアしか知らないので、ボビー・フィッシャーを演じているときの彼の眼差し、狂気ぶりに衝撃を受けました。音に過敏に反応したり、被害妄想をして周囲を困惑させていたようですね。脳を常に酷使して神経が疲弊し、そのような症状が出るのかもしれないと考えました。音響に細部まで気を配っており、静けさや些細な音に注目して観るのが面白いです。6歳の頃、姉に買ってもらったチェスセットで遊ぶようになり、独学で腕を磨いてきたそうで、紛うことなき天才といえます。(女性 30代)

映画『完全なるチェックメイト』 まとめ

映画で描かれている対決後、ボビーは世界を放浪し、アメリカから追放され、国籍を奪われた。
スパスキーも、ソ連に仕えていたわけではなく、後にフランスに亡命している。
ボビーが亡くなった時に彼は『私の弟が死んだ』と述べた。

不器用なまでに、人生の極限の淵を歩いたフィッシャーの苦悩と葛藤は、繊細で努力を惜しまない人ならば
共感できるはずである。

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