映画『カンゾー先生』の概要:戦時中の岡山で開業医として働く男が、町中を走り回って住民の診察をしている。流行する肝臓炎の撲滅のための研究に没頭し始めた男は、家訓を忘れて診察を怠るようになってしまうのだった。
映画『カンゾー先生』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:今村昌平
キャスト:柄本明、麻生久美子、ジャック・ガンブラン、松坂慶子 etc
映画『カンゾー先生』の登場人物(キャスト)
- 赤城風雨(柄本明)
- 開業医。誰にでも肝臓炎と診断することから、カンゾー先生と呼ばれている。人一倍研究熱心で、肝臓炎の研究をする。研究と引き換えに失った町人の命を目の前に、町医者である自分の立場を再確認する。
- 万波ソノ子(麻生久美子)
- 町の美人な少女。弟妹のため、体を売ってお金を稼ぐ。親族に言われ、赤城のところで看護婦として働き始める。町の人間のために働く赤城に、恋心を抱く。
- トミ子(松坂慶子)
- 料亭の女将。赤城に好意を抱いている。女の武器を使い、池田を利用する。美人で、人柄の良い女。
- 三吉(北村有起哉)
- ソノ子にお金を払い、何回か体の関係を持つ。仕事先の帳簿を改ざんして、お金を盗む。自分というものを持っていない若者。
- 池田(伊武雅人)
- 軍医部長。トミ子に好意を持っている。権力に媚び、自らの権力も謳歌する。いやらしい性格の男。
- 鳥海(世良公則)
- 医者。モルヒネ中毒。赤城の友人でもある。赤城の研究に協力する。医師免許を剥奪され、モルヒネ欲しさに当局に突っ込み死んでしまう。
- ピート(ジャック・ガンブラン)
- 捕虜。当局から脱走をする。大怪我をして倒れているところを、ソノ子に救われる。助けられたお礼に、赤城達の研究を手伝う。
映画『カンゾー先生』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『カンゾー先生』のあらすじ【起】
昭和20年。戦時下にあった岡山の海岸を、医者である赤城風雨が走り回っている。彼はカンゾー先生と周りの人達から呼ばれている。それは、どんな患者にも肝臓炎としか診断しないことからついたあだ名だった。
風雨は、父からの「開業医は足だ。疲れても走れ。寝ても走れ」という家訓を大切にし、ほとんど無償に近い値段で住民の体を診て回る。
トミ子という女将のいる料亭の女中が、チフスの疑いをもたれてしまう。そのため、軍医部長の池田から、全員の検査が終わるまで営業は許せないと言われる。
三吉という青年は、ソノ子という美人の少女をお金で買う。ソノ子は幼い弟妹を養うために、体を売っていた。
ソノ子の親族に頼まれ、赤城はソノ子を看護婦として雇う。そして、二度と体を売らないことを約束させる。
岡山県の医師会から、ブドウ糖注射を使いすぎではないかと注意を受ける赤城。赤城は、数年前から流行している肝臓炎の治療にはブドウ糖が必要なのだと強く主張する。
映画『カンゾー先生』のあらすじ【承】
医師仲間の鳥海のもとを訪れる赤城。カンゾー先生とバカにされている赤城は鳥海に、誰も肝臓炎は伝染病だということに気づいていないと愚痴を漏らす。嫌な世の中だが、モルヒネ中毒の鳥海は、モルヒネさえあれば良いと言う。
トミ子は、欠員の出てしまった芸者の代わりをソノ子に頼む。あまり気が乗らないソノ子だが、先生には内緒するからといってトミ子にしつこく頼まれる。
家に帰ったソノ子。寝ている弟妹達の置き手紙には、お腹が空いたから体を売って稼いでくれと書いてある。さらに幼馴染の母親がソノ子を訪れ、赤紙を受け取った童貞の息子のために淫売をしてくれと依頼する。もうそういうことは止めたのだとソノ子は言う。しかし、しつこく頼まれたソノ子はそれを断ることができなかった。
池田からも、ブドウ糖の件で忠告を受けた赤城。しかし赤城は、断固とした態度でブドウ糖の重要性を訴える。
顕微鏡を手に入れた赤城は、肝臓炎の病原体の研究を開始する。寝ずに研究をする赤城を見て、ソノ子は赤城に恋心を抱く。
映画『カンゾー先生』のあらすじ【転】
戦地で任務に就いていた息子の戦死を伝えられた赤城。息子の手紙には、肝臓炎に関する調査研究の報告が書かれていた。赤城は、肝臓炎の撲滅のために人生を捧げることを強く誓う。
町で捕虜が逃げたという噂を耳にした赤城。自宅へ帰ると、ソノ子が体中に傷を追った捕虜を入院させたと言い出す。捕虜の名前はピートといい、重傷を負っていた。赤城は、鳥海を呼んでピートの治療をする。
仕事先のお金を使い込んだことがバレてしまった三吉が、ソノ子のもとを訪れて一緒に死のうと言い出す。ソノ子は、関係ないと三吉を追い返す。
光源の強いライトを手に入れた赤城。それを使用するが、上手くいかない。それを見ていたピートが顕微鏡を調整し、赤城を助ける。
町の老人が肝臓炎で、もう手遅れの状態になってしまう。赤城は親族に内緒で、その老人にあるお願いをする。研究のために新鮮な肝臓が必要だった赤城は、その老人を説得して土葬にして欲しいという遺言を残させる。埋められたその晩に遺体を掘り返して、赤城と鳥海はその老人の肝臓を取り出す。
映画『カンゾー先生』の結末・ラスト(ネタバレ)
新鮮な肝臓の細胞を得た赤城は、早速顕微鏡を使って研究を開始する。赤城が顕微鏡を覗いた瞬間、捕虜の存在に気づいた当局が赤城の家に押し入ってくる。赤城は、当局に捕まってしまう。
トミ子の協力もあり、赤城達は釈放される。しかし、顕微鏡は没収されてしまう。
ピートは、当局の人間にこっぴどく絞られていた。そして、殴り殺されてしまう。その頃、医師免許を剥奪されてモルヒネを手に入れることができなくなった鳥海が、モルヒネのために当局へと忍び込む。当局の人間に追われた挙句、鳥海は暴れまわって自滅してしまう
別の顕微鏡を手に入れた赤城。研究に熱心になるあまり、町の老人の診断を怠ってしまう。その夜、その老人は死んでしまう。
赤城は、自分が町医者であることを再確認する。家訓を思い出し、町医者に生きることを改めて決意する。
決意を新たにした赤城のもとに、離れた小さい島から来たという少女が駆け込んでくる。その少女の娘を診察するため、赤城とソノ子はその島へと向かう。
診断の帰り、小舟の上でソノ子は赤城に愛の告白をする。赤城は、海の向こう側に大きなキノコ雲を発見するのだった。
映画『カンゾー先生』の感想・評価・レビュー
ラストシーンに全てを持っていかれたこの作品。あの「きのこ雲」に鳥肌が止まりませんでした。
住人たちのために無償に近い賃金で診療をするカンゾー先生。演じるのは柄本明です。彼の独特の雰囲気がカンゾー先生のキャラクターと凄くマッチしていて違和感がありません。
新しいことを始める時、今まで知らなかったことを広める時には批判や反対の意見も多く、なかなか思い通りにはなりませんが、自分にとって大事なものを忘れないのが1番大事だと感じました。(女性 30代)
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