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映画『家族はつらいよ』あらすじネタバレ結末と感想

映画『家族はつらいよ』の概要:山田洋次監督が、『男はつらいよ』のように久しぶりに描く家族コメディ。キャストは、『東京家族』で家族を演じた、橋爪功や吉行和子、西村雅彦など8人が再び集まった。

映画『家族はつらいよ』 作品情報

家族はつらいよ

  • 製作年:2016年
  • 上映時間:108分
  • ジャンル:ホームドラマ、コメディ
  • 監督:山田洋次
  • キャスト:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣 etc

映画『家族はつらいよ』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『家族はつらいよ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『家族はつらいよ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『家族はつらいよ』 あらすじ【起・承】

東京の郊外で、三世代で暮らしている平田家。その主である周造は、まじめにサラリーマンを勤め上げて退職し、今では優雅な隠居生活を送っていた。仲間とゴルフをし、美人な女将がいる料理屋で酒を大量に飲み、酔っぱらいながら帰宅するのが日課となりつつあった。

そんなある日、へべれけで帰宅してみると、部屋に花が飾ってあることに気付く。女房の富子にきけば、今日は富子の誕生日だったので、習いに行っている小説教室の仲間がくれたという。すっかりわすれていた周造は、特に慌てることもなくプレゼントをやろうかと欲しいものを聞いたが、富子がじゃあと出してきたのは離婚届だった。唖然とする周造。しかし特に動揺する風も思いつめている風もない富子。同居する長男幸之助とその嫁も大騒ぎ。家族中がパニックの中、嫁いだ長女成子が、浪費癖の治らない夫泰蔵と離婚したいと言って泣きながら家に帰ってくる。同時に次男の庄太は、結婚を考えている相手憲子を家に連れてくるようセッティングするなど、家族中がハプニングだらけで全員が大わらわ。

憲子を連れてきた場で、緊急家族会議が開かれるのだった。

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映画『家族はつらいよ』 結末・ラスト(ネタバレ)

何故か憲子もいる場で、周造と富子の離婚についての話し合いが始まる。穏やかさを保ったまま、しかし頑として譲らない富子。困り切った泰蔵が少し周造を責めるようなことを言った途端、周造が泰蔵に「お前は女に養ってもらっているくせに」といってしまい、頭に来た泰蔵はこっそり探偵に頼んであったといい、ある写真をみんなに見せる。それは、周造が、料理屋の女将の手を握っている写真だった。特に何か関係があったわけではなく、たまたまの場面ではあるのだが、衝撃を受けた周造は、頭に血が上ったせいでその場で昏倒。看護師である憲子が応急処置を施し、病院に運ばれていった。

お父さんが死んじゃうかも、と子供たちは覚悟をしたが、本人はすぐに回復。帰宅することとなる。周造は、富子の申し出を受け入れると決め、離婚届けにサインをした。そして、富子に「今までありがとうな」と感謝の言葉を述べる。すると富子は、「その言葉がきければ、十分」と言い、離婚届を破り捨てた。

庄太は憲子と暮らすために、引っ越しの用意をして出ていってしまった。成子と泰蔵も仲直りをし、周造もまた、靴下を脱ぎ捨てたりしなくなったのだった。

映画『家族はつらいよ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『家族はつらいよ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

他の作品は知らないけれど

私は、『男はつらいよ』も『東京家族』も見たことがないので、山田監督がどのように素晴らしいのかは正直全く知らない。知らないが、この映画はとても面白かったし、よくできているなあと感じることができた。ストーリーとしては、離婚騒動があってそれが収束するというなんの変哲もないものに違いないが、細かな演出がきらりと輝いていて飽きることなく最後まであっという間に観ることができた。特に、老人の使い方がうまいと感じた。例えば周造はもちろん、彼の友達や、庄太の仕事先の警備員、富子のレッスンの先生など、いい味を持っている年を取った人たちの味を、余すところなく抽出できているのだ。それが笑いだったり、哀愁だったり様々に色を変えて私たちを楽しませてくれる。年を取るということは若者からすれば怖いこと、恐ろしいことだけれど、この映画に出てくる年寄りを見ていると、ああこんな風に年を取っていきたいと感じることができた。

時代錯誤もまた味

この作品に描かれる「家」は、現代ではもうあまり残っていない家に違いない。父親が稼ぎ、母親が誠心誠意尽くす。「サザエさん」の家庭に近い。妻が夫に敬語を使っている場面も多く、いっそ男尊女卑と言ってもいいかもしれない。だからこそ、富子は離婚したくなったのだし、「ありがとう」の言葉を聞けて感動し、離婚を撤回した。そういう、古き良き日本の、もしかするとよくない部分もコメディの中ではあるがしっかり描かれていて、そこに嫌悪感を抱く人もいるかもしれない。それはそれでひとつの見方でいいと思う。私は今年齢的にも立場的にも、庄太と結婚した憲子に近いものがあるのだが、これが成子になるのかもしれないし、もしかすると富子になっていくのかもしれないと思うと面白かった。また何十年後かに観たい作品だと思った。


はあ面白かった、と口では言っているのに自然とほろりと涙が零れてしまうような暖かくて、家族の愛を感じる素敵な作品でした。
どんな夫婦にだって不満があるし、我慢して一緒にいるのが当たり前です。しかし、多くの場合旦那さんは自分が「離婚届」を突きつけられる日が来るなんて思ってもいないみたいなんです。
当たり前になってしまった妻の存在。俺は長い間家族のために働いてきたんだと言う、傲慢で亭主関白な考え。しばらく伝えていない感謝の気持ちや愛情。思い返してみれば、離婚を切り出されても仕方ない要素なんて山ほどあるのに、その時が来るまで本当に気づかないものなんだなと、男の人の能天気さに少々腹が立ちながら、最後まで笑って見られました。(女性 30代)


熟年離婚の危機を肝にした家族ドラマ。その家族の形態はむしろ「男はつらいよ」以上に記号化した昭和の家族像といったところだ。しかしその記号化は、作品を深刻な問題もくすりと笑える喜劇にすることに寄与している。また一歩間違うと陳腐で安っぽいドラマになってしまうところがそうはなっていない。それは「言わなくても分かっているだろ」「それでも言って欲しい一言がある」という二者のやりとりが、昭和でも令和でも変わらない普遍的なことだからかもしれない。(男性 40代)


登場人物全員が大袈裟な演技をしています。昭和の喜劇のような趣に、幾度も笑みがこぼれました。しかも、主たるテーマは熟年離婚、他にも晩婚についての問題を取り扱っていますから、多くの人が気になる内容でしょう。家のセットがとにかく自然で、何十年もそこで生活してきた雰囲気を完璧に作り出していました。「言わなくてもわかるだろ」は怠慢、驕りであると優しく戒めているようでした。ラブシーンや過激な描写は一切ありません。家族で安心して鑑賞できます。(女性 30代)

映画『家族はつらいよ』 まとめ

笑えて泣けて、温かい作品である。日本の古き良き時代の家庭が描かれているが、それを称賛するだけではなく、ダメな場面もコメディときちんと並立している。理想の家庭として観るというよりは、ある一つの家族を覗き見る、といういような気持ちで観るくらいでいい。どのように相手を敬い、尊重し、家族を作っていくのかの一サンプルとして、いろいろなキャラクターの立場になりながら観ると一層楽しめるかもしれない。
なにはともあれ、お年寄りが本当にいい味を出しているので、年を取るならこんな風になりたいと思わせてもらえる作品だった。

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