映画『家族はつらいよ2』の概要:平田周造は運転が好きだったが、擦ったりして車の傷は絶えなかった。家族からは免許証の返納を勧められるが、頑なに拒否をした。そんなある日、旧友の丸田の姿を見かける。丸田は事業に失敗し、1人寂しい生活を送っていた。
映画『家族はつらいよ2』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:コメディ
監督:山田洋次
キャスト:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣 etc
映画『家族はつらいよ2』の登場人物(キャスト)
- 平田周造(橋爪功)
- 頑固な性格。老人扱いされることを嫌う。車の運転が好きだが、年齢のせいかあまり上手くはない。
- 平田幸之助(西村雅彦)
- 周造の息子(長男)。サラリーマン。周造と意見が合わず、よく口論になる。妻の史枝や息子達と共に、両親と同居している。
- 金井成子(中嶋朋子)
- 周造の娘(長女)。税理士。夫の泰蔵が事務所の雑務を担当している。娘がおり、ピアノを習っている。気が強い性格。
- 平田庄太(妻夫木聡)
- 周造の息子(次男)。ピアノの調律師。おっとりとした優しい性格。強制的なやり方や喧嘩を嫌う。
- 平田憲子(蒼井優)
- 庄太の妻。看護師。両親は離婚しており、別々に暮らしている。心優しい性格で、周造から気に入られている。
- 丸田吟平(小林稔侍)
- 73歳。周造の高校時代の友人。呉服屋の跡取り息子だったが、店を畳んで不動産関連の事業に手を出す。それが失敗してしまい、多額の借金を抱える。妻とは離婚し、娘とも会えていない。現在、警備員の仕事を行っている。
映画『家族はつらいよ2』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『家族はつらいよ2』のあらすじ【起】
平田幸之助と史枝夫妻は、幸之助の父親である周造のことで頭を悩ませていた。どこで擦っているのかは分からないが、周造の乗っている車に新たな傷が増え続けているのだ。周造の妻である富子に免許証の返納について説得してもらおうとするが、不便になるのを嫌がって断られてしまう。
周造が高齢者講習に出かける前、史枝はそれとなく免許証の返納の話をした。だが、周造は不機嫌になるだけで聞く耳を持たなかった。周造は車の高齢者マークを外し、車に乗って出かけていった。
幸之助では父と喧嘩になってしまうため、長女の金井成子に助けを求めた。だが、成子にも父を説得する自信はなく、末っ子の庄太に任せることにした。しかし、庄太にも人の話を最後まで聞かない父を説得できる自信はなかった。成子の夫の泰蔵は、庄太の妻である憲子を説得役に推薦した。憲子が美人なため、周造も話を聞いてくれるのではないかと考えたのだ。
庄太は憲子を誘って実家へと帰った。すると、周造は車を手放す決心をしていた。喜んだのも束の間、周造は愛車を手放して新車を購入しようとしていただけだと判明する。憲子達は免許の返納について説得した。だが、周造は憲子に説得させようという子供達の策略が気に入らず、怒ってしまう。そして、死ぬまで車を運転することを宣言した。
映画『家族はつらいよ2』のあらすじ【承】
富子は友人達と旅行に出かけた。周造は馴染の居酒屋の女将である加代と一緒に、昼ご飯を食べに出かけることにした。車で飲食店に向かっている途中、偶然警備の仕事を行っている旧友の丸田吟平の姿を見かける。丸田は30年以上行方が分からず、同級生達も心配していたのだ。
周造は加代としゃべっていて、ダンプカーに追突してしまう。加代は機転を利かせ、ダンプカーの運転手に話をつけてお金を渡し問題を解決した。幸之助達は車のヘッドライトが壊れていることに気づき、周造に何があったのか問い詰めた。周造は怒りながら追突事故を起こしたことを話した。自分の運転技術に問題があるとは思っていない様子だった。幸之助達は鍵を取り上げてでも運転を止めさせようとするが、周造は聞く耳を持たなかった。
憲子は仕事で遅くなる母の代わりに祖母の面倒を見るため、庄太と一緒に実家に帰った。祖母は痴呆症で、庄太のことを親戚のひろし伯父さんと間違えていた。憲子の両親は離婚しており、別々に暮らしていた。憲子の母が祖母を引き取ってから、もう10年の月日が流れていた。庄太は1人で祖母の面倒を診ている憲子の母が心配になり、一緒に暮らすことを憲子に提案した。憲子は庄太の優しさに感動する。
映画『家族はつらいよ2』のあらすじ【転】
周造は元気がなかった丸田を慰めるため、同窓生を集めて歓談した。そして、丸田と友人の向井を誘い、加代の店にお酒を飲みに行った。その時、学校のマドンナだった高野節子と丸田が結婚していたことを知る。しかも、離婚していた。2人の間には娘がいたが、節子が子供を連れて出て行ったため丸田はずっと会うことができないでいた。周造達はあまりにも悲しい状況に言葉を失くす。丸田は呉服屋を畳んで広島で不動産関連の事業を起こしていたが、バブルで会社が倒産し大きな借金を抱えることになった。その時に、節子に捨てられてしまったのだ。
周造は酔っ払った丸田を家に連れて帰った。丸田は妻、息子夫婦、孫に囲まれ幸せな生活を送っている周造を羨ましがった。そして、楽しかった今夜のことを思い出し、深いため息を吐いた。
幸之助は周造の免許のことで兄弟達を呼び寄せた。成子は周造が部屋を出て行っている間に、車の鍵を取って来るよう庄太に指示した。庄太は成子に強く言われ、仕方なく鍵を取りに行った。そして、冷たくなった丸田を発見する。動揺した史枝達は看護師の憲子に確認してもらった。憲子の指示で史枝は救急車を呼んだ。憲子が丸田を確認すると、やはり亡くなっていた。
映画『家族はつらいよ2』の結末・ラスト(ネタバレ)
事件性の有無を確認するため、救急から警察に引き継がれることになった。周造達は警察から事情聴取を受ける。その時、幸之助は家に泊めた史枝のことを責めて口論になってしまう。史枝は泣き出し、庄太達は史枝のことを庇った。幸之助は史枝に謝罪した。
丸田が暮らしている家の住所や家族の連絡先が分からなかったので、警察が調べることになった。憲子と庄太は連絡先を知るため、一緒に警察署に向かった。丸田の兄と連絡が取れたのだが、破産したときに縁を切ったと言って遺体の受け取りを拒否される。しかも、娘は結婚して香港におり、連絡の取りようがなかった。このまま引き取り手がいなければ、自治体の予算で葬儀を行うことになった。それは、葬儀屋が1人で行うもので、とても寂しいものだった。
憲子達は丸田の家を訪れた。そこはボロボロのアパートで、机には結婚していたときの家族写真が飾られていた。憲子は1人で寂しく暮らしていた丸田のことを思い、涙を流して悲しんだ。
周造は家族に一緒に火葬場に行って欲しいと頼んだ。実は、憲子と庄太は2人だけでも火葬場に行こうとしていた。憲子は1人で暮らしている父と丸田のことを重ね合わせており、他人事だとは思えなかったのだ。周造は憲子達に感謝した。史枝は眠りに行こうとした周造にお通じの薬を勧め、孫は階段を上る周造の体を支えた。周造は家族に支えられていることを実感し、自分が幸せ者だと感じた。
憲子と庄太が火葬場にいると、成子夫妻と幸之助夫妻が駆けつける。周造はまだ来ていなかったが、幸之助は仕事の用事があったため火葬を行うよう葬儀屋に頼んだ。すると、周造が車に乗って現れる。向井も一緒に乗っていた。周造達は丸田の大好物である銀杏を、棺桶の中にたくさん入れた。周造達に見守られながら、丸田の遺体は火葬された。すると、銀杏が弾ける音が聞こえてきた。周造と向井は、今頃丸田も驚いているだろうと笑い合った。
周造は忙しいのに来てくれた幸之助に感謝した。幸之助は出張から帰ったら免許証の返納について決着をつけると捨て台詞を吐いて去っていった。周造はその言葉に腹を立てる。
映画『家族はつらいよ2』の感想・評価・レビュー
周造の免許証返納の話題だけかと思いきや、家族の大切さが描かれた物語だった。周造のように、口煩い家族を疎ましく思うこともあるだろうし老人扱いされて腹立だしく思うこともあると思う。しかし、丸田のように家族からは縁を切られ、1人寂しい人生を送っているのを見ると、口煩くても家族はいて欲しいなと感じた。それを押しつけがましくなく、コメディ要素盛りだくさんで描かれているのが素晴らしかった。たくさんの登場人物がいるが、どこにでもいそうだけれども全員個性的なのがおもしろかった。(MIHOシネマ編集部)
高齢者ドライバーの事故が話題になる昨今。今作に登場する周造も「高齢者ドライバー」の1人です。しかし当の本人には「高齢者」であることも「運転技術」が衰えていることも自覚が無いよう。だからこういった「高齢者ドライバー」を説得し事故を無くすのはとても「厄介」なのだと感じました。
結局今作でも最後まで「免許返納」には至らず、息子たちとのバトルは続きそうでした。人それぞれかもしれませんが、家族が「心配」する気持ちも分かってもらいたいですね。(女性 30代)
平田周造の、昭和感溢れる頑固親父ぶりには前作同様、眉を寄せてしまいます。しかし、高齢者の免許返納や孤独死といった、深刻な社会問題を巧みに織り交ぜ、軽やかなノリで面白おかしく魅せてくれました。山田洋次ならではの温かさ、懐かしさが胸に沁みます。殊に、同級生丸田君との再会から突然死までのシーンは、他人事とは思えず見入りました。看取ってくれる家族がいないとしても、悲しんでくれる友人一人いれば、十分幸せなのかもしれません。(女性 30代)
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次作 妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III
前作 家族はつらいよ
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