映画『鬼龍院花子の生涯』の概要:「鬼龍院花子の生涯」(きりゅういんはなこのしょうがい)は、1982年の日本映画。小説家の宮尾登美子最初の映像化作品。監督は「御用金」、「人斬り」などの五社英雄。主演は「影武者」、「二百三高地」の仲代達矢と、「俺の空」、「二百三高地」の夏目雅子。共演者には岩下志麻、夏木マリ、佳那晃子、室田日出男、夏八木勲、丹波哲郎など。
映画『鬼龍院花子の生涯』 作品情報
- 製作年:1982年
- 上映時間:146分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:五社英雄
- キャスト:仲代達矢、岩下志麻、夏目雅子、仙道敦子 etc
映画『鬼龍院花子の生涯』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『鬼龍院花子の生涯』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『鬼龍院花子の生涯』のあらすじを紹介します。
大正十年。松恵(仙道敦子)は土佐の大親分・鬼龍院政五郎(仲代達矢)の養女として迎えられた。松恵は政五郎の身の回りの世話を命じられたが、鬼龍院家では主屋には正妻の歌(岩下志麻)が住み、向い家には妾の牡丹(中村晃子)と笑若(新藤恵美)が妾として囲われており、その家に政五郎が出向く日を二人に伝えるのも幼い松恵の担当だった。ある日、政五郎は女や子分たちを連れ土佐名物の闘犬を見に行く。そこで漁師の兼松(夏八木勲)と赤岡の顔役・末長(内田良平)の間で揉め事が起こり、政五郎の仲介でその場は収まるが、末長は兼松の土佐犬を殺すという卑劣な手段に出た。怒った政五郎は赤岡に出むいたが、末長は姿を隠していた。帰り際に政五郎は末長の女房・秋尾の料亭からつる(佳那晃子)という娘を掠奪した。この確執に、大財閥の須田(丹波哲郎)が仲裁に入り事は収まるも、以降、政五郎と末長は事あるごとに対立を繰り返す。これが縁となって政五郎の妾となったつるは、鬼篭院の女たちと対立しながら翌年に女児を産んだ。
花子(高杉かほり)と名付けられたその娘を政五郎は溺愛する。そして教師を目指し学問に精を出していた松恵は女学校に入学した。
昭和九年、土佐電鉄はストライキの最中にあり、大株主である須田の命を受けた政五郎はスト潰しに出向く。そこでストを支援に来ていた高校教師の田辺(山本圭)と知り合い意気投合するも、須田からは絶縁されてしまう。政五郎は田辺を十六歳になった花子の婿にして一家を継がせようとしたが、逮捕された田辺の獄中に面会に行かされて以来、小学校の教師となっていた松恵(夏目雅子)と田辺はお互いに愛し合うようになっていた。やがて出所した田辺は政五郎に松恵との結婚を申し出、怒った政五郎は田辺の小指を斬り落とさせた。数日後に政五郎に犯されそうになった松恵は死を決して抵抗し、転勤を申し出て鬼龍院家を出る。
一方で十六歳になった花子と神戸・山根組との縁談が整い、その宴の席で歌が腸チフスで倒れた。松恵の必死の看病も虚しく歌は亡くなり、松恵は再び家を出て大阪で労働運動に参加している田辺と共に暮らすようになるが、花子の婚約者がヤクザ同士の喧嘩で殺されたのを機に、松恵は田辺と共に再び鬼龍院家に戻る。
日中戦争勝利の提灯行列が賑わいを見せる夜、花子は末長に拉致され、それを救おうとした田辺も殺される。娘可愛さに政五郎は末長に殴り込みをかけながらも、捕らえられ、その二年後に政五郎は獄中死する。数年後にようやく花子の消息を掴んだ松恵が大阪を訪ねた時、彼女も帰らぬ人となっていた。
映画『鬼龍院花子の生涯』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『鬼龍院花子の生涯』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
高知にあった大正文化の描き方が秀逸
この映画で特筆すべきところは、高知県の闘犬などの文化がかなりリアルに描かれており、その時代背景にある大正時代が、よくある東京の大正ロマン的なものとは違った、地方独特のノスタルジーに溢れている点が美しい。五社英雄監督独特な濃厚なタッチで描かれるヤクザの世界も地方らしさが出ており、シナリオの良さというより映像の美しさが際立っているところに五社作品としての価値がある。そして仲代達也や夏目雅子の演技は言うに及ばず、他の出演者である岩下志麻や夏木マリの演技も鬼気迫るものがあり、この作品に大きな彩りを添えている。なのであるが、原作を読んでいないので何とも言えないが、タイトルの”鬼龍院花子”という登場人物がちょっと雑というのか、物語の中心にいるわけでもなく、全く華のない役どころで、華のない役者が演じているのは一体どういう事だろうと誰もが思うのではないだろうか。原作でも同じような扱いならばちょっとアレですが、まぁ映画的には文句の付け所がない出来映えなので、このタイトルの人はどうでもいいという事にしておく。
方言指導をもう少し徹底的にやったらいかがでしょう
仲代達也の高知弁がもうダメダメのイントネーションであり、他の役者もちょっと勉強不足な感が拭えない。四国や関西圏のイントネーションは役者が思うほど抑揚に幅がないのであるが、強調しようとすればするほどダメになってゆくところが何とも残念である。関西出身でない役者さんには無理があるのだろうか。最近の映画でも大阪弁を喋る役者さんで変な関西弁を使う人は多いが、映画の世界では方言指導というものがあまり重んじられていないような気がする。中には理解不可能な単語もあるが、そうではなくてイントネーションがリアルならばもっと楽しめると思うのである。せっかくいいセリフのシーンなのに吹き出してしまうようなところがあり、こういったところの気配りが出来れば地方を舞台にしているところを強調できるのにと考えてしまった。岩下志麻の「極妻」も酷かったが、本作での彼女も同じように、ちょっと極道の奥様にしては方言のイントネーションが残念です。い、不幸になる未来が見える”とうそを言ってマサイアスを助けてくれたのです。
『鬼龍院花子の生涯』というタイトルなので、確かに花子の壮絶な人生を描かれてはいるのですが、彼女よりも彼女を溺愛していた政五郎など彼女の周りの人物のキャラクターが濃すぎて、花子は全く目立ちませんでした。
むしろ、花子の人生は正直どうでも良くてヤクザの世界や任侠、因縁、などこの時代に描かれたこそ味があって、リアルな描写が沢山あり、そちらを見る方が楽しめる気がします。
言い回しが独特なせいもあるかもしれませんが、セリフが物凄く聞き取りづらいので注意して鑑賞してください。(女性 30代)
映画『鬼龍院花子の生涯』 まとめ
方言はさておき、仲代達也の演じる極道は凄まじい迫力がある。夏目雅子も他の役者も文句ない演技であり、2時間半近い上演時間に全く冗長さを感じない。花子が登場するとイラッとするが無視しておけばよいだけの話である。宮尾登美子原作の映画は外れがないところで有名であるが、本作が初の映画化であり、五社英雄監督もプライベートで修羅場を切り抜けてきた復帰第一作目という作品には、原作者や制作者の執念みたいなものさえ感じられる。作品的には100点満点にしたいところだが、イラッとする人の出演でちょっと減点。
みんなの感想・レビュー
一体何が言いたかった映画なのか?疑問を持たざるを得ない。
任侠ヤクザの義理や道理?いや、無茶苦茶な思想と学の低さ、虐待に挙句は娘を犯そうとする。こんなクズの集まりから抜け出た方が良いってセリフがありますが、まさしくその通り。
こんな環境で育った松恵こそが、育てて貰った義理と仁義を通して、不条理だけどヤクザの世界で数奇な人生であった・・・のであればタイトルは「花子の生涯」は全く変。
うーん、よく分からない。
セリフも字幕が欲しい。何を喋っているのか分からない。
大親分にしては仲代達矢の演技が軽すぎる。もっとどっしり感がほしかった。
タイトルにも違和感。「鬼龍院花子の生涯」というのであれば、もっと花子の幼少
の頃からの生い立ちを丹念に描くべきだった。後半、唐突にでてきた感が否めない。
松恵(夏目)はよかったね。養女でありながら、あんないい娘に育って・・。最後の
政五郎との別れのシーンでは涙があふれました。あと、政五郎の子分役、室田日出男さん、幼い頃の松恵を「松ちゃん、松ちゃん」といって、何かにつけて助け舟を出してくれてあれ役得でしたね。私の中ですごい好感度上がりました。
花子に翻弄された人々の話である
タイトルも納得できる 計算されたエンタメ作品
夏目雅子が美しくなければ 成り立たない
素晴らしい画像とストーリーでした。
何度も見たくなりますね。
同感です。夏目が花子だと思っていましたから…正五郎の生涯ですよね。なめたらいかんゼヨのシーン有名ですがなんだかなって感じです。仲代のセリフが聞きづらくてストーリーが分かりづらかったのと夏目があんな環境に育ったのに聡明でヤクザとは言え両親揃った家に生まれた花子がアホで哀れな生涯だったが映画のタイトルにしては余りにも雑に扱ったと思う
役者は素晴らしいし見応えはありますが 花子の扱い方がわからない 「鬼龍院花子の生涯」というタイトルと内容が視聴者に理解がしにくいですね ストレスが溜まります
「鬼龍院政五郎の生涯」なら スッキリするんですがね