映画『キラー・インサイド・ミー』の概要:マイケル・ウィンターボトム監督が描くサイコサスペンス。自分の中に潜んでいた暴力性に目覚めた男が、温厚な人物像を捨てて次々と殺人を犯す。無表情で猟奇的な犯罪を重ねていく冷血な保安官を、ケイシー・アフレックが怪演している。
映画『キラー・インサイド・ミー』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:マイケル・ウィンターボトム
キャスト:ケイシー・アフレック、ケイト・ハドソン、ジェシカ・アルバ、ネッド・ビーティ etc
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映画『キラー・インサイド・ミー』の登場人物(キャスト)
- ルー・フォード(ケイシー・アフレック)
- テキサス西部の田舎町の保安官助手。紳士的で人当たりの良い性格。周囲からの信頼も厚い。
- ジョイス・レイクランド(ジェシカ・アルバ)
- 街の外れに住んでいる娼婦。ルーと恋仲になる。
- エイミー・スタントン(ケイト・ハドソン)
- ルーの恋人の美人教師。ルーとの結婚を望んでいる。
- ボブ・メイプルス(トム・バウアー)
- ルーの上司の保安官。
- ハワード・ヘンドリクス(サイモン・ベイカー)
- 郡検事。ルーが一連の事件の犯人ではないかと疑う。
- チェスター・コンウェイ(ネッド・ピーティ)
- 街の有力な建設会社の社長。
- エルマー・コンウェイ(ジェイ・R・ファーガソン)
- チェスターの息子で、ルーの旧友。ジョイスに惚れ込んでいる。
- ジョー・ロスマン(イライアス・コーディス)
- 街の建築業評議会会長。労働組合の会長も兼ねており、コンウェルと対立している。
- マックス・パパス(アリ・ナザリー)
- ダイナーの主人。ルーの知人。
- ジョニー・パパス(リアム・エイケン)
- マックスの息子。ルーと仲の良い少年で、ガソリンスタンドで働き始める。
- ジェフ・ブラマー(マシュー・マー)
- 保安官助手。ルーの同僚。
- ビリー・ボーイ・ウォーカー(ビル・プルマン)
- コンウェルが雇った弁護士。
- ホームレスの男(ブレント・ブリスコー)
- 街中でルーに火傷を負わされる。ルーの弱みを握り、ルーを脅迫する。
映画『キラー・インサイド・ミー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『キラー・インサイド・ミー』のあらすじ【起】
1950年代、テキサス西部。保安官助手のルーは、町の外れで暮らす娼婦ジョイスに立ち退きを要請するよう、上司のボブから言い渡される。
ルーはジョイスの家を訪れる。ジョイスは無理やり追い出そうとする警察に反発し、ルーに八つ当たりして殴りかかる。逆上したルーは頭に血が昇り、ジョイスに暴行する。ルーの心の奥底に秘められていた凶暴性が、その時初めて発露する。ジョイスは、ルーに暴力を振るわれてマゾヒスティックな快感に目覚める。ルーとジョイスは惹かれ合い、セックスをする。
ルーはジョイスに惚れ込み、毎日ジョイスの元へ通う。ルーとジョイスは、金を算段して二人で町から出ようと考える。
ある日、ルーは知人のマックスの店で食事をした後、建築業界評議会会長ジョー・ロスマンの事務所に向かう。道中、一人のホームレスが食事代をねだってくる。ルーは、ホームレスの手の平に葉巻を焼き付けて火傷を負わせる。
事務所で、ロスマンはルーに、ルーの義兄のマイク・ディーンの死の真相について話す。マイクは、コンウェイ建設会社の現場での起きた事故で6年前に他界した。ロスマンは、事故を細工したのはコンウェイ社の社長チャーリー・コンウェイだったと、ルーに暴露する。ルーは、労組の問題をめぐってロスマンとコンウェイが対立していることを知っており、コンウェイの失脚を狙うロスマンの企みには乗らない。
ルーが帰宅すると、恋人のエミリーが待っている。エイミーは、最近ルーの様子がおかしいことに気づいており、改めてルーから話を聞きたいと日曜に会う予定を取り付ける。
日曜の午後、ルーはコンウェイの会社に訪れる。コンウェイは、息子のエルマーがジョイスに入れ込んでいることを問題視している。コンウェイは、エルマーとジョイスが示談で別れるための会合を今晩にセッティングし、ルーに仲介を依頼していた。コンウェイは手切れ金の一万ドルをルーに渡す。
ルーの自宅にエルマーがやってくる。ルーはエルマーに、手切れ金を持ってジョイスと駆け落ちするよう勧める。ルーはエルマーに協力する対価を要求する。エルマーは、手切れ金の入った袋の中から500ドルをルーに渡す。
映画『キラー・インサイド・ミー』のあらすじ【承】
日曜の夜、ルーはエルマーより早くにジョイスの家に到着する。エルマーは自分の車のタイヤをパンクさせる。ジョイスは嬉しそうにルーを迎え入れ、二人は逢瀬を楽しむ。
セックスした後、突然ルーはジョイスを殴りつける。ルーは「愛してる」と何回も口にしながら、ジョイスを撲殺する。エルマーが到着し、ルーは何事の無かったかのようにエルマーを迎える。ルーは、ジョイスの死体を見つけたエルマーをジョイスの銃で射殺する。ルーは現場を細工し、暴力を振るってきたエルマーをジョイスが殺したように、ジョイスの手に銃を押し込む。
ルーはパンクした車を走らせ、適当な場所でコンウェイを待っている。ルーは、エルマーたちの仲介に行く途中でパンクして動けなくなったかのように装う。コンウェイが到着し、二人はジョイスの家へ向かう。
ジョイスの家に着いたコンウェルは、現場を発見して警察に連絡する。死んだはずのジョイスは、まだ生きていた。
警察署で、ルーはボブと郡検事のハワードに、コンウェルとの取引を内密にしていたことを反省する態度を見せる。
帰路、ルーはマックスの店に寄る。マックスの息子ジョニーは、素性の怪しいガソリンスタンドで勤め始め、マックスは心配している。マックスは、ジョニーと仲の良いルーに、ジョニーを説得するよう依頼する。
ガソリンスタンドで、ルーはジョニーと話して小遣いに20ドルを渡す。
翌日、ルーは車で迎えに来たボブとハワードと共に、事故現場近くへ向かう。そこは、ルーがパンクした車を停めてコンウェルを待っていた場所だった。ハワードは、パンクした車のタイヤ跡が道路の逆方向にあることから、ルーが先にジョイスの家に行っていたのではないかとルーに疑いを掛ける。
警察署へ戻る途中、コンウェルがジョイスを都会の病院に搬送するとの連絡が入る。コンウェルは、ジョイスを回復させ、エルマー殺害の真相をジョイスから聞き出そうとしている。ルーとボブは、コンウェル達に付き添って都会のフォートワーズに行く。到着したその夜、病院でジョイスが死亡したとの連絡が入る。ルーとボブは、町へ帰る。
ロスマンがルーの自宅を訪問する。ルーは、ジョイスとエルマーを殺したのはルーだと推測している。ルーはロスマンに、エルマーとジョイスは駆け落ちしようとした際に金の件でもめて惨事になったのだ、と説明する。
一人になったルーは、本棚から一冊の本を取り出す。ページの間には、傷だらけで束縛された母親の性的な写真が挟まれていた。ルーは、幼少時を回想する。まだ若い母は、幼いルーに自分を鞭で打たせたり殴らせたりして喜んでいた。
ハワードから、ジョニーをジョイスとエルマーの殺人容疑で逮捕したとの電話がかかってくる。コンウェルは手切れ金のドル札全てに印字しており、ジョニーが持っていた20ドルが手切れ金の一部だと判明した。その20ドルは、ルーがジョニーにあげたものだった。
ルーは、裁判所で留置されているジョニーに会う。ルーがジョイスとエルマーを殺したことに気付いているジョニーを口封じするため、ルーは首吊り自殺にみせかけてジョニーを殺す。
映画『キラー・インサイド・ミー』のあらすじ【転】
自殺したと思われているジョニーの弔問のため、ルーはマックスの店を訪れる。
帰り道、事故現場の近くで、ルーは車内で一人物思いに耽る。そこへロスマンが現れ、ルーは話しかける。ロスマンは、ルーとジョイスの関係にも気付いており、ジョニーを殺したのもルーではないかと疑っている。
ルーとエイミーは以前よりも親密になっている。二人は数週間後に駆け落ちしようと計画する。
ルーの自宅に、先日ルーが火傷させたホームレスの男が訪ねてくる。男は、ルーがジョイス達を殺害した日にジョイスの家の近くにおり、ルーの姿を目撃していた。男は、ルーに金を出すよう脅迫する。ルーは、二週間後に金を渡すと言い、男を帰らせる。
ルーは、エイミーは利用してホームレスの男を始末する計画を立てる。ルーは、男が金を受け取りにやってくる日を、エイミーとの駆け落ちの日にする。ルーは、荷物をまとめて自宅にやってきたエイミーをいきなり殴りつける。エイミーは服で口を塞がれ窒息死する。
ホームレスの男がやってくる。ルーは、金目当てに侵入した男がエイミーを殺し、逆上したルーが男を刺し殺した、という筋書きで二人を抹殺しようと考えていた。家に招き入れられた男は、エイミーの死体を見て街中に逃げ出す。
ルーは、その男がエイミーを殺した、と叫びながらナイフを持って男を追いかける。急行したルーの同僚のジェフが、男を射殺する。
映画『キラー・インサイド・ミー』の結末・ラスト(ネタバレ)
エイミーの死後から数日後、ジェフがルーの家を訪れ、ルーにボブの自殺を告げる。続けてハワードがやってくる。ハワードは、いくつかの証拠を挙げ、一連の事件の犯人はルーだと結論を出す。ルーは否定する。
ルーは留置署に連行された後、精神病棟に収容される。数日後、コンウェルの雇った弁護士ビリー・ボーイ・ウォーカーが精神病棟を訪れ、ルーを仮釈放させる。
ルーの自宅への道中の会話から、ウォーカーはルーの中に一般人とは異質なものを感じ取る。弁護士としては型破りなウォーカーの言葉を受けて、ルーは次第に全てを打ち明ける気になり、真相を話す。ウォーカーはルーを自宅に送り届ける。自殺を示唆する言葉を残してルーは家に入る。
ルーは、家中にガソリンを撒く。ルーの家の周囲に、警察が集まってくる。パトカーから、満身創痍のジョイスが降りてくる。ジョイスは生きていた。ジョイス、ハワード、コンウェル、ジェフや警官達が家の中に入ってくる。
ジョイスはルーに近づき、警察には決して何も話していないと言う。ルーはジョイスを抱きしめ、隠し持っていたナイフでジョイスを刺す。その瞬間、警察が発砲しルーを射殺する。弾丸がガソリンに引火し、ルーの家は炎に包まれ、黒い煙が空に立ち込める。
映画『キラー・インサイド・ミー』の感想・評価・レビュー
一見普通に見える青年が、少しずつ狂っていく様がただただ恐ろしかった。ルーの母の行いを考えると、ジョイスと出会わなくてもルーは殺人衝動を抑えられなくなっていたのではないかと思う。ただ、物語のラストがあまりにも悲しかった。ジョイスは本気でルーのことが好きだったのかもしれない。後味が良い映画とは言えないが、人間の狂気が見事に表現されていて圧倒される。主人公を演じたケイシー・アフレックの演技が良かった。(女性 30代)
「普通」に見える人間が実は1番怖いと教えてくれるこの作品。人当たりのいい保安官が殺人鬼へと変わっていく姿を描いていましたが、登場人物が多すぎます。
こういう「サイコパス」を描いた作品でまず思い出すのは『アメリカンサイコ』です。あの作品は主人公のベイトマンが少しずつ狂って殺人鬼へと変わっていくストーリーなので今作と設定自体は同じなのですが、今作は殺し以外にも色々な要素が詰め込まれていました。
どうして普通の人が殺人鬼へと変わってしまったのか詳しく知りながら見たい方は楽しめる作品でしょう。(女性 30代)
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