この記事では、映画『キリング・フィールド』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『キリング・フィールド』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『キリング・フィールド』の作品情報
上映時間:141分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:ローランド・ジョフィ
キャスト:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ、ジュリアン・サンズ etc
映画『キリング・フィールド』の登場人物(キャスト)
- シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)
- ニューヨーク・タイムズの記者。特派員として戦乱の只中にあるカンボジアの首都プノンペンに派遣された。現地人記者のプランと共に取材を敢行する。
- ディス・プラン(ハイン・S・ニョール)
- カンボジア現地の新聞記者。シャンバーグの通訳として取材に同行する。
- アラン(ジョン・マルコヴィッチ)
- アメリカ人カメラマン。
- ジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)
- イギリス人記者。
映画『キリング・フィールド』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『キリング・フィールド』のあらすじ【起】
1973年8月、ニューヨーク・タイムズの記者であるシャンバーグは、特派員として内戦が激化するカンボジアの首都プノンペンに降り立った。現地では地元の新聞記者プランが通訳兼案内役としてシャンバーグの取材に同行することとなる。
当時のカンボジアはアメリカ軍が後援するロン・ノル政権と、ポル・ポト政権率いる革命派組織クメール・ルージュとの内戦が激化の一途を辿っていた。軍人や大使館員ら現地滞在のアメリカ人は取材に対し非協力的であったものの、シャンバーグらの取材記事はニューヨーク・タイムズの一面を飾り、アメリカ国民の注目を集める。
やがて内戦はクメール・ルージュ側が優勢となり、アメリカ軍はカンボジアからの撤退を余儀なくされる。アメリカ軍の撤退開始を受け、カンボジアに滞在する外国人や政府関係者らは身の安全のため、次々と国外への脱出を試みる。プランの家族もまたシャンバーグの協力を得てアメリカへの亡命を果たす。一方、プラン本人は新聞記者としての使命感から、カンボジアに残りシャンバーグと取材活動を続行することを決意する。
映画『キリング・フィールド』のあらすじ【承】
1974年4月、クメール・ルージュはプノンペンを完全に占拠し、ロン・ノル政権は崩壊する。そしてポル・ポト独裁政権が誕生する。それは恐ろしい虐殺政治の始まりでもあった。
シャンバーグ、プラン、アメリカ人カメラマンのアラン、イギリス人記者のジョンは、病院へ取材に赴いた。そこで彼らはクメール・ルージュの兵士に捕らえられてしまう。銃を突き付けられ、絶体絶命かに思われたが、プランがクメール・ルージュの兵士に仲間の命を助けてほしいと懇願し、どうにか全員が無事に解放される。シャンバーグ、アラン、ジョンは命の恩人だとプランに深く感謝した。
彼らはそのままフランス大使館へと避難し、国外脱出の準備を始める。シャンバーグら外国人は帰国によりカンボジアを脱することができるものの、プランはカンボジア人であるが故に逃げることができなかった。しかし、シャンバーグらは恩人であるプランも共に国外脱出できるように偽造パスポートでアメリカへ亡命させようと計画する。
しかし、偽造パスポートは粗悪な紙を使ったために写真が変色により消えてしまい亡命は失敗に終わる。フランス大使館からの退去を余儀なくされたプランは、空港でシャンバーグに笑顔で「あなたは私の兄弟だ」と告げ、脱出する彼らを見送る。その後、プランはクメール・ルージュによって集団農場へと連行される。
映画『キリング・フィールド』のあらすじ【転】
ニューヨークに戻ったシャンバーグは一切情報の入ってこないプランの安否を案じながらも、カンボジアでの取材記事でピューリッツァー賞を受賞する。賞欲しさにプランを見捨てたとアランに批判されたシャンバーグは、自責の念からプランを探し出すことに躍起になる。
一方、プランはクメール・ルージュが支配する集団農場で強制労働を強いられていた。外国からの食糧支援が絶たれ、食糧増産のため、クメール・ルージュは都市部の国民に強制的に農作業をさせていたのである。
そこでは、格差の原因を無くすためという名目のもと、あらゆる私財や宗教が没収され、些細な理由で人々は虐殺されていた。特に教師や医師などの知識人は反乱を起こす可能性があるとして、徹底的に弾圧されていた。プランは知識人として虐殺されることを恐れ、記者であることを隠して過ごす。そんなある日、プランはかつて集団農場へ連行される以前親切にした少年に助けられて、集団農場を脱走する。
映画『キリング・フィールド』の結末・ラスト(ネタバレ)
集団農場を抜け出した先にプランが見たのは、ポル・ポト政権により虐殺された人々の骸の山だった。まさに地獄のような光景である。それらを踏み越えてプランはとある村に辿り着き、そこの労働集団の長に助けられる。プランはそこで長の世話役として、身の回りの世話や、長の子どもの面倒を見るなどして働き始め、長の信頼を得ていく。
この村でも同様に人々は些細な理由で虐殺されていた。プランは依然として記者の経歴を隠して過ごしていたが、ある日隠れてBBCの外国語放送ラジオを聴いているところを長に見られ、知識人であることがばれてしまう。プランは死を覚悟するが、長はプランを見逃す。長は革命で妻を亡くし、クメール・ルージュのやり方に疑問を感じていたのである。そして、愛する子どもが妻同様にこの革命で命を落としてしまうことを危惧していた。長は、自分に万が一のことがあったときは子ども達を亡命させてほしいとプランに地図と金を託した。
直後、長はクメール・ルージュの虐殺を止めようとして銃殺されてしまう。プランは約束していた通り、長の子どもを連れて、他の仲間たちと共に国外への脱出を試みる。脱出の道中、仲間たちは次々と命を落とし、長の子どもも地雷によって命を落としてしまう。そして、プランは命からがら隣国タイの難民キャンプに辿り着く。
プランが生きているとの情報を得たシャンバーグは、急遽タイの難民キャンプへと飛んだ。そこでシャンバーグとプランは再会を果たす。許してくれと詫びるシャンバーグを、「あなたは私の兄弟だ」と笑顔で受け入れるプラン。二人は抱きしめ合い、再会を喜んだ。カーラジオからは二人の内戦への想いを表すかのようにジョン・レノンの『イマジン』が流れている。
映画『キリング・フィールド』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画を観る理由は娯楽だけじゃない、映画を観て歴史を知るというすごい力が映画にはあります。この作品もカンボジアで起きた悲劇、ポル・ポト政権下で何が起きていたかを垣間見ることができる映画です。
決して楽しい映画ではありません。
始終重く、閉塞感で息苦しいくらいです。
歴史の悲劇を知り、考え、感じて欲しい、是非観て欲しい映画です。
自分の子供が理解できる年頃になったら絶対観せるリストに入っています。(女性 40代)
実話を元に作られた作品の中でも「戦争」をテーマにした作品は特に苦手で、なるべく見ないようにしています。それは次々と罪の無い人が死に、人々が戦う姿を見るのがつらいからです。
今作も鑑賞前にはもちろん「見たくない」と思っていたし、見始めるのがすごくつらかったです。しかし、鑑賞後にまず思ったのは「見てよかった」と言うこと。そして「生きること」を簡単に諦めてはいけないと感じました。
困難を乗り越えた先に待っていた「家族」とジョン・レノンのイマジンは最高のラストだったと思います。(女性 30代)
カンボジア内戦の悲劇を背景に、ジャーナリスト同士の友情と戦争の恐怖を描いた名作。特に、現地記者ディス・プランの壮絶なサバイバルと、ポル・ポト政権下の理不尽な虐殺の描写は、強い衝撃を受けた。実話に基づいているだけに、映像の重みが違う。終盤の再会シーンは涙が止まらなかった。(30代 男性)
ポル・ポト政権の下で起きた大量虐殺という、あまり知られていない歴史に焦点を当てていて、教育的にも大変価値のある映画だと思いました。ディス・プランが収容所で生き延びようとする姿は、理屈ではなく本能的な希望を感じさせます。淡々と描くことで、逆にリアリティが強く伝わる作品でした。(40代 女性)
若干20代の自分には重すぎるテーマかと思ったけど、観て本当に良かった。カメラマンと記者の友情、国家の理不尽さ、そして戦争が“普通の人”にどれだけ残酷かを、リアルに体感できる映画だった。特に、死体の山を超えて歩くシーンが忘れられない。人間の強さと弱さが同時に描かれている。(20代 男性)
戦争映画というよりも、人間ドラマとして非常に見応えのある作品だった。サム・ウォーターストン演じるシドニーが、ディス・プランを救おうと必死になる姿には、ただの友情以上の深い信頼を感じた。女性としては、こうした“語られない戦場の声”が映像化されていることに感謝したい。(30代 女性)
『キリング・フィールド』を観て、改めて戦争の本質は“人間の狂気”だと実感した。独裁体制がどれほど人の心を破壊するか、ディス・プランの生存記録はその証拠。特に、死の恐怖の中で生き延びる姿は言葉にならないほど。政治や歴史に関心のある人には、必ず観てほしい一本。(50代 男性)
ドキュメンタリーのようなリアリズムに圧倒された。カンボジアの内戦やポル・ポト政権については教科書程度の知識しかなかったが、この映画で初めてその恐怖を“体感”した気がする。ディス・プラン役の演技も自然で、まさに「生き延びる」という言葉の意味を突きつけられる作品。(20代 女性)
戦争を題材にしながら、決して派手な演出に頼らないのがこの映画の凄さ。感情を揺さぶられるのは、むしろ静かなシーン。ディス・プランが泥の中で必死に身を潜める場面や、家族を思い出す瞬間など、小さな描写が心に刺さる。こんな映画がもっと多くの人に知られてほしい。(40代 男性)
報道写真がどれだけ命懸けの行為なのか、そして“真実を伝える”ことの重さを初めて実感した映画。主人公たちは兵士でもなく、ただのジャーナリスト。それでも命を狙われ、命を賭けて記録する。カンボジアという舞台も新鮮で、知識を超えて感情で訴えかけてくるものがあった。(30代 女性)
映画『キリング・フィールド』を見た人におすすめの映画5選
ホテル・ルワンダ
この映画を一言で表すと?
「人間の狂気の中で、人間性を守り抜いた男の実話」
どんな話?
1994年、ルワンダで発生した民族大量虐殺の渦中で、ホテル支配人ポール・ルセサバギナが1,200人以上の命を守った実話を基にした物語。無力に見える民間人の行動が、多くの人の運命を変えていく。
ここがおすすめ!
『キリング・フィールド』と同様、見過ごされがちな現代史の悲劇を描いた作品です。非暴力で抵抗を続けたポールの姿は、言葉以上に心を打ちます。人間の尊厳と勇気を問う必見のヒューマンドラマ。
戦場のピアニスト
この映画を一言で表すと?
「音楽だけが残った、生き延びるための沈黙の記録」
どんな話?
第二次世界大戦下、ナチス占領下のワルシャワでユダヤ人ピアニストが過酷な状況を生き抜いていく姿を描いた実話。社会から隔離され、すべてを奪われながらも、生きる希望を音楽に託す。
ここがおすすめ!
静かに、しかし深く心に残る反戦映画。個人の視点から戦争の狂気を見つめる構成は、『キリング・フィールド』に通じるものがあります。圧倒的な映像美と音楽が、悲劇を超えた希望を語ります。
シティ・オブ・ゴッド
この映画を一言で表すと?
「カメラを武器に、地獄のような日常を切り取った衝撃作」
どんな話?
ブラジル・リオのスラム街「シティ・オブ・ゴッド」で育った少年が、犯罪に染まらず写真家として生き抜こうとする。暴力と麻薬が支配する環境下で、カメラだけが彼の希望だった。
ここがおすすめ!
極限状況に置かれた若者が、武器ではなく“記録”で対抗するという点で、『キリング・フィールド』と共鳴。実話に基づき、荒々しさの中に希望と現実の痛みを描き出す圧倒的映像体験です。
グッド・モーニング, ベトナム
この映画を一言で表すと?
「笑いと怒りが交錯する、戦争下のラジオDJの記録」
どんな話?
ベトナム戦争中、軍のラジオ局に派遣された陽気なDJが、ブラックユーモアと音楽で兵士たちの心を癒すが、やがて戦争の現実と向き合うことになる。ロビン・ウィリアムズ主演の感動作。
ここがおすすめ!
戦場における“伝える者”の存在と葛藤が、『キリング・フィールド』の記者と重なる。ユーモアの中にある社会批評と、ラストに残るほろ苦さは、笑いと涙が混じる異色の戦争映画として心に残ります。
ノーマンズ・ランド
この映画を一言で表すと?
「敵も味方もない、“戦争の無意味さ”を撃ち抜く反戦劇」
どんな話?
ボスニア紛争中、敵味方に分かれた兵士が、偶然にも同じ塹壕に取り残されてしまう。逃げ場もなく、疑心暗鬼に陥る彼らの間に、やがて滑稽で悲しい関係が築かれていく。
ここがおすすめ!
戦争の愚かさをユーモラスかつ痛烈に描いた秀作。『キリング・フィールド』が現実の残酷さを描いたなら、こちらは“滑稽さ”を通して戦争の本質を突く。重さと軽さが絶妙に共存する一作です。
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