映画『君のためなら千回でも』の概要:2003年にアメリカで出版されたベストセラー小説が原作。1970年代のカザフスタンで育った二人の少年が時代や運命に翻弄されながら、知ることのなかった事実へと導かれていく様を描く。
映画『君のためなら千回でも』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:マーク・フォースター
キャスト:ハリド・アブダラ、ホマユン・エルシャディ、ゼキリア・エブラヒミ、アフマド・ハーン・マフムードザダ etc
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映画『君のためなら千回でも』の登場人物(キャスト)
- アミール(青年時代:ハリド・アブダビ / 少年時代:ゼキリア・エブラヒミ)
- 幼少期、アフガニスタンの首都・カブールで安定した生活を送っていた少年。優秀さを求める父親の期待に応えられず劣等感を抱いていたが、使用人の息子・ハッサンが救ってくれていた。
- ハッサン(アフマド・ハーン・マフムードザダ)
- アミールの屋敷に使用人として仕えていた少年。文字の読み書きはできないが、運動に長けていていつもアミールの味方になっている。心優しい、責任感の強い少年。
- ババ(ホマユーン・エルシャディ)
- アミールの父。財力もある権力者。アミールに男らしく育ってほしいと期待していた。ハッサンの父・アリとは兄弟のように育ち、とても大事な存在だと思っている。
- ラヒム・ハーン(ショーン・トーブ)
- ババの友人。幼少期からアミールの味方になってくれた存在。ババが反対していたアミールの小説にも否定せず、才能を褒め続けていた。
映画『君のためなら千回でも』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『君のためなら千回でも』のあらすじ【起】
妻・ソラヤと帰宅したアミールは、自宅前に自身の著書が届いていることに気づく。感慨深い中、電話が鳴り、恩人・ラヒムから「パキスタンに帰ってこい」と言われるのだった。
小さいころアフガニスタンに住んでいたアミール。いじめられていたアミールをいつも助けてくれるのは使用人の息子であるハッサンという少年だった。母親はアミールの出産で命を落としている。そのことでババに嫌われていると思っていた。
ババの友人・ラヒムはアミールの物書きとしての才能を褒めてくれる存在である。有力者であるババはお金で解決することも多く、地元民から疎まれていた。しかし、ハッサンの誕生日には映画でしか見られないような新車でアミールとハッサンを迎えに来て二人が好きな凧をプレゼントするような一面もあった。
地元の凧揚げの大会でアミールはライバルに大敗し、挫折していた。少年の頃、大きな記録を作ったと自慢げに話すババは二人を陰ながら応援していたのだ。大会当日、ハッサンのサポートでアミールはライバルの凧を撃ち落とした。ハッサンは「君のためなら千回でも」とライバルの凧を拾いに走った。
映画『君のためなら千回でも』のあらすじ【承】
アミールがいつまで待っても戻ってこないハッサンを探しに行くと、ハッサンはババ反対派の青年・アセフたちに襲われていた。勇気が出ないアミールはその場から逃げ出してしまう。アミールのためにハッサンが死守してくれた凧を持ち帰ると、ババはアミールを褒めた称え抱きしめた。
その一件以降、ハッサンは体調がすぐれなくなる。気まずさから、アミールはハッサンを避けるようになった。「召使いを変える予定はある?」と尋ねたアミールに対してババは激怒する。ハッサンの父・アリはババにとって兄弟同然の存在なのである。
アミールの誕生日会は盛大に開かれた。気持ちの整理がつかないアミールは来客を避けるように過ごした。翌朝、アミールはババにもらった時計をハッサンが盗んだと嘘をつく。すぐに嘘だと見抜いたババだが、アリとハッサンを呼び立てた。
ハッサンはアミールの嘘に付き合ってあげるが、ババは「ハッサンを許す」と言い切る。しかしアリの独断で二人は理由も明かさずに屋敷を出ることになった。
1979年、ソ連侵攻が起こる。ババは身を隠すためアミールを連れてパキスタンへ向かった。
映画『君のためなら千回でも』のあらすじ【転】
ババは小さな商店を営みながらアミールを大学まで卒業させた。医者になってほしいと願うババだが、アミールは小説家を目指している。
ババの紹介でタヘリ将軍とその娘・ソラヤと知り合ったアミール。アミールとソラヤはすぐに恋に落ちる。そんな中ババの病気が発覚する。病状は悪化し、残された日々は自宅で過ごしたいというババの意向にそってアミールは看病を続けた。
ソラヤは過去に男と駆け落ち同然で家を出たことがあるとアミールに告白した。そのことも受け入れたアミールはババの力添えもあり、ソラヤと結婚することとなる。新居での穏やかな暮らしは続かなかった。
ババの死後、アメリカに移住したアミールとソラヤ。子供には恵まれない中、幸せな暮らしを送っているとラヒムから連絡を受けたのだ。アミールはパキスタンに戻る決意をした。
ラヒムと再会し、病状を心配するアミール。アメリカに一緒に行き、治療しようと提案するが、ラヒムが話すべきは自分の病気のことではなかった。
ババとアミールがアフガニスタンを離れた後、ラヒムが屋敷を管理していたが、病気の治療のためパキスタンに移住することになり、屋敷はハッサンが管理していた。そのことが原因で殺人事件に巻き込まれ妻と共に命を落としたという。
唯一、ハッサンの息子・ソーラブだけは生き残り、孤児院にいることを知ったアミール。字の読み書きができなかったハッサンが懸命に書き残した手紙をラヒムから受け取る。そして、実はハッサンもババの息子であることを明かされるのだった。
映画『君のためなら千回でも』の結末・ラスト(ネタバレ)
危険を顧みず、弟・ハッサンのために、アミールはアフガニスタンまでソーラブを探しに行く決心をした。
命がけでたどり着いた地元は見るに耐えかねる状態に陥っていた。すぐに施設へ向かったアミールだが、ぎりぎりの経営状態の施設では権力者に抗えず人身売買が行われていた。
ソーラブを買い取ったという権力者と話をする機会を掴んだアミール。残忍な権力者には側近がいた。その側近は、最初に「付け髭を外せ」とアミールに指示をする。すぐにアミールの存在に気づいていたのだ。側近はハッサンとアミールを虐めていたアセフであった。
ソーラブを連れて帰ろうと交渉するアミール。しかしアセフは昔と何も変わっていなかった。連れて帰る代わりにアミールに襲い掛かったのである。抵抗しないアミールを助けようと、ソーラブはハッサンから譲り受けたパチンコを使ってアミールを助けた。
パキスタンに戻ったアミールたち。しかしラヒムは姿を消してしまった。翌朝、ソーラブが行方をくらます。必死で探すアミールは階段にうずくまるソーラブを見つけた。ソーラブは両親の顔を忘れ始めていることに罪悪感を抱いていた。アミールはハッサンのためにも幸せになってほしいとソーラブに伝え、共にアメリカに戻った。
無事に著書の発表も終え、穏やかな日々を送るアミールたち。ある日、公園で凧を上げている少年たちをソーラブが見つめていることに気づき、凧を買ってあげた。ハッサンは凧を取りに行くのが上手だったことを教え、一緒に遊ぶのだった。
映画『君のためなら千回でも』の感想・評価・レビュー
舞台となる地域の事情にあまり精通していなくとも、物語の軸は人間ならば一度は抱いたことがあるだろう「後悔」や「許し」についてであるため、どの世代の人が見ても心に来るものがあるのではないだろうか。「後悔先に立たず」とはこの物語のためにあるようだ。原作よりも小間切れに繋がってはいるが、残酷な現実と温かな人情のバランスが秀逸であり、さすがはヒューマンドラマの巨匠マーク・フォスター監督だと納得の時間であった。(MIHOシネマ編集部)
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