映画『きつねと猟犬』の概要:子ギツネとその宿敵である猟犬(子犬)が親友となり、種族を越えた友情を築くが、お互いが相容れない関係であることに気がつき、彼らは様々な葛藤を抱える。主人公・トッドはキツネだが、ストーリー内では人間さながらの複雑なドラマが展開される。1981年公開のディズニー・アニメ映画。
映画『きつねと猟犬』の作品情報
上映時間:85分
ジャンル:ヒューマンドラマ、アニメ
監督:アート・スティーヴンス、テッド・バーマン、リチャード・リッチ
キャスト:キース・ミッシェル、ミッキー・ルーニー、コリー・フェルドマン、カート・ラッセル etc
映画『きつねと猟犬』の登場人物(キャスト)
- トッド(ミッキー・ルーニー)
- 赤茶色の美しい毛が特徴的なキツネ。活発で明るい性格をしている。親友・コッパーのことが大好きで、彼を度々遊びに誘うが、成長するに連れてキツネと猟犬が複雑な関係であることを理解していく。
- コッパー(カート・ラッセル)
- 黒くて長い耳が特徴的な犬。エイモスの元で猟犬として育てられる。キツネのトッドと出会い親友となるが、飼い主・エイモスと先輩犬・チーフがそれを快く思っていないことを知っており、ジレンマに苦しむ。
- トゥイード夫人(ジャネット・ノーラン)
- 心優しい老婦人。幼いトッドを引き取り、我が子のように可愛がる。トッドを狙う隣家のエイモスに対しては厳しい対応を取る気の強い一面もある。
- エイモス(ジャック・アルバートソン)
- 猟師の老人。癇癪持ちで自己中心的な性格だが、心の底から猟犬達のことを信頼しており、彼なりに可愛がっている。キツネは狩るものだと思っており、容赦なくトッドに銃口を向ける。
- チーフ(パット・バトラム)
- コッパーの先輩犬。猟犬として働く自分に誇りを持っている。ぶっきらぼうな性格。コッパーのことは不器用ながらも可愛がっている。
映画『きつねと猟犬』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『きつねと猟犬』のあらすじ【起】
森から子供を咥えた母ギツネが現れる。そのキツネは子供を草むらに隠すと、気を引きつけるように走り出し、猟師と猟犬の注意を自分に向けさせる。
母ギツネは命を奪われてしまうが、子ギツネを守り抜くことに成功する。1匹で不安げな子ギツネを発見したフクロウのビック・ママは、子ギツネの世話をする者がいないか探し、近所に住む人間の女性・トゥイード夫人に子ギツネの存在を知らせる。
優しいトゥイード夫人は可愛らしい子ギツネを見ると、すぐさま飼うことを決意し、我が子のように世話をする。子ギツネはトッドと名づけられ、愛情を込めて育てられた。
トッドがトゥイード夫人に引き取られた同時期、隣家では子犬のコッパーが飼われ始めていた。コッパーの飼い主・エイモスと先輩の猟犬・チーフは、トッドの母親を死に至らしめた張本人だった。
先輩犬のチーフは、当初子犬のコッパーを疎ましく思う素振りを見せていたが、心の底では可愛らしいコッパーに愛情を抱き始め、コッパーを猟犬仲間として受け入れる。
映画『きつねと猟犬』のあらすじ【承】
ある晴れた日、森から嗅いだことのない匂いを感知したコッパーは、森の中を進みながらクンクンと匂いを嗅ぎ続け、その匂いの主を探す。
倒木の中で熱心に鼻を動かすコッパーを見かけたトッドは、彼に声をかけ、何をしているのかを尋ねる。コッパーの鼻はトッドの前で止まり、探していた匂いがトッドのものだったことに気がつく。
2匹はお互いの自己紹介をするとすぐに意気投合し、その日を境にかくれんぼや水遊びで2匹仲良く遊ぶようになった。しかし、コッパーが頻繁に小屋からいなくなるため、エイモスは怒りを現し、コッパーを厳しく躾るようになる。
ある日、トッドがコッパーの元を訪れると、コッパーは首を紐で結ばれ、森に行けないようにされていた。コッパーの隣の小屋ではチーフが眠っており、トッドは好奇心からチーフの側に近づくと、彼を起こしてしまう。
チーフはトッドの存在を認識すると、彼を追いかけ回した。異変に気づいたエイモスも参戦し、トッドに銃を撃ち続けるが、トゥイード夫人の制止によってトッドは助かる。癇癪を起こしたエイモスは「次はないぞ」と彼女達を怒鳴りつける。
映画『きつねと猟犬』のあらすじ【転】
その後、エイモスは犬達を連れて1年間の狩猟の旅へ出かける。トッドはコッパーに別れを言えなかったことを後悔するが、コッパーもトッドのことを想いながら、か弱い遠吠えをするのだった。
落ち込むトッドの前に彼を心配したビック・ママが訪れる。ビック・ママは、1年後にコッパーがこの地へ戻ってきた時は、完璧な猟犬となっていて、きっとトッドを襲うだろう、と彼に警告する。他の鳥達も猟犬の恐ろしさをトッドに教えるが、彼はコッパーを信じ、自分達は永遠の親友であると自信を持って発言する。
1年が経ち、トッドは大人の体格へと成長していた。エイモス達は1年間の狩猟の旅から帰り、コッパーも立派な成犬となっていた。
夜にトッドがコッパーの小屋まで足を運び、2匹は再会を果たすが、コッパーはトッドの身を案じ、早く帰るように促す。トッドは平気だと言うが、運悪くチーフが目を覚まし、トッドを追いかけ始める。コッパーはトッドを見逃し、再び逃げるように催促する。
トッドは何とか逃げ延びるが、彼を追っていたチーフが崖から落ち、命に関わる大怪我を負ってしまい、コッパーは行き場のない怒りをトッドに向ける。エイモスはトゥイード夫人の家にまで押しかけ、トッドを殺害しようとするが、トゥイード夫人により阻止される。
トゥイード夫人はトッドの命を守るために、禁猟区へトッドを連れて行き、彼に別れを告げる。その後、トッドは森の仲間達からひどい扱いを受けるが、ビック・ママの計らいで美しい雌のキツネ・ビクシーと出会い、彼女と恋に落ちる。
映画『きつねと猟犬』の結末・ラスト(ネタバレ)
チーフを半殺しにされた恨みで燃えるエイモスとコッパーは、禁猟区に無断で進入し、トッドを捕まえるための罠を仕掛ける。トッドはビクシーとの甘い生活を楽しんでいたが、森を歩いているところをエイモス達に見つかり、銃口を向けられ追いかけ回されてしまう。
トッドとビクシーは木の根元の洞穴に入り挟み撃ちに遭うが、何とか抜けだし滝の方へ向かう。トッド達を追っているエイモス達は途中で大きなクマに襲われる。そこにトッドが現れクマに立ち向かうが、彼はクマと共に滝から落ちてしまう。
トッドは自分の命よりも親友・コッパーの命を考え行動していたのだ。トッドは何とか命を取り留めるが、エイモスに銃口を向けられてしまう。しかし、コッパーが必死にトッドを庇ったため、エイモスはトッドを撃つことができなかった。エイモスは静かな声でコッパーを呼ぶと、その場から共に去っていった。
その後、クマとの遭遇で脚を負傷していたエイモスは、トゥイード夫人から介抱を受け、それを見たコッパーは少し微笑むと、小屋でゆっくりと過ごすのだった。森での生活を再会したトッドは、ビクシーと共に森の崖から彼らの姿を見守っていた。
映画『きつねと猟犬』の感想・評価・レビュー
終盤でコッパーがトッドを庇ったのは、トッドがコッパーとエイモスを命懸けでクマから救ったためであると感じた。「自分達は親友である」と言葉では簡単に言えるが、トッドは行動ではっきりと友情を示したのだ。ほぼ八つ当たりのようなコッパーの怒りが完全に消失してしまうのも頷ける。仲の良かった幼少期には決して戻ることはできないが、それぞれが適度な距離を保って生きていくことは可能である。例えその距離が遠くても、2匹が築いた友情は生き続けていくのだと感じた。(MIHOシネマ編集部)
前半はとにかく子ぎつねと子犬が可愛い。ただ、それくらいしか感想がないです。ですが、後半がとても良かった。大人になり、きつねと犬は”獲物”と”ハンター”になってしまう。避けようのない事実であり、それによる彼らの葛藤に胸を締め付けられました。前半の微笑ましさが、後半で非常によく効いてきますね。ドットがクマに襲われるコッパを救うシーンは感動です。物語は王道で分かりやすい、種を超えた友情物。いつか自分に子供が出来たら見せたい作品です。(男性 20代)
ディズニー映画らしいキャラクターデザインに惹かれて鑑賞しましたが、ストーリーはかなり濃密でメッセージ性の強い作品でした。
キツネと猟犬と言う組み合わせは日本ではあまり馴染みが無いかも知れませんが、一般的には「狩るもの」と「狩られるもの」と言うイメージでしょう。そんなある意味「敵同士」の2匹が「親友」になるストーリーは本当に見ていて心が温まります。子供時代の2匹は物凄く可愛いです。
時が流れ、大人になり自分たちの「立場」を理解してしまうと、昔のように「親友」でいられなくなってしまうのが本当に切なかったですが、2匹の「絆」は消えることは無いのだと感じました。(女性 30代)
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