この記事では、映画『地上(ここ)より永遠に』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『地上(ここ)より永遠に』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『地上(ここ)より永遠に』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:戦争
監督:フレッド・ジンネマン
キャスト:バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、フランク・シナトラ etc
映画『地上(ここ)より永遠に』の登場人物(キャスト)
- ロバート・E・プルーイット(モンゴメリー・クリフト)
- 元ラッパ隊伍長。現ライフル隊所属の兵士。二等卒。ボクシングのスパーリング中、親友を失明させてしまった。ホームズ大尉にボクシングの試合に出て優勝するよう言い付けられたが、トラウマから参加を辞退。それ以降、大尉の息が掛かった兵士達から壮絶ないじめを受けるようになる。
- ウォーデン曹長(バート・ランカスター)
- 「部下に厳しいが不当なことはしない最高の兵士」と呼ばれている曹長。ホームズ大尉の右腕。プルーを気に掛け秘かに味方する一方、大尉の妻と不倫している。
- アンジェロ・マジオ(フランク・シナトラ)
- プルーの旧友。いじめられるようになった彼の唯一の味方。陽気な性格だがだらしない面があり、任務をサボったことで営倉へ入ることになる。
- カレン(デボラ・カー)
- ホームズ大尉の妻。大尉の度重なる浮気によって夫婦関係は破綻しており、夫への腹いせに多くの兵士と肉体関係を持っている。ウォーデンと通じ、彼との再婚を考える。
- ロリーン / アルマ(ドナ・リード)
- ホノルルの娼館、コングレス・クラブのスタッフ。プルーとは一目で恋に落ちたが、堅実な地位の男性と結婚するという目標を持っている。
映画『地上(ここ)より永遠に』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『地上(ここ)より永遠に』のあらすじ【起】
1941年、ハワイ州スコフィールド・バラックス。ラッパ隊から異動してきたプルーは、ホノルル兵営で旧友のマジオと再会した。
ウォーデン曹長に伴われホームズ大尉に挨拶を行ったプルーは、大尉からボクシングの試合に出るよう言われたが、スパーリング中の事故で親友を失明させてしまった過去があるため誘いを断った。ボクシング部に入ればここでもラッパを吹かせてやると食い下がる大尉に対し、プルーは「無条件なら演奏します」と言い切った。意見を曲げないプルーに対し、ウォーデンは「大人になれ」と説教をした。
夜更けに大尉が帰宅すると、妻のカレンは、彼が任務と称して街で浮気をしていることを責めた。大尉ははぐらかし、カレンもさっさと一人で眠りについた。
ボクシング部への入部を断ったプルーは、ボクシング部のエースであるガロビッチ軍曹からも声を掛けられたが、強気に断った。その日から、プルーは理不尽な扱いを受け始めた。
ウォーデンは、大尉のサインを貰うためと嘯きカレンの元を訪れた。カレンは積極的なウォーデンに戸惑ったが、結局体を重ねてしまった。
給料日を迎えた兵士達は浮き足立ち、マジオはプルーをコングレス・クラブに誘った。

映画『地上(ここ)より永遠に』のあらすじ【承】
浮かれる兵士達の中を歩くウォーデンは、同僚のメイロン・スタークに声を掛けられ「俺も彼女の愛人の一人さ」と打ち明けられた。平静を装ったウォーデンは、予定通りカレンと海水浴に出掛けた。
マジオと共にコングレス・クラブを訪れたプルーは、ロリーンに心を奪われた。彼女もまた「一目で気に入ったわ」と彼に囁いた。一方のマジオは、下手なピアノ演奏を披露する営倉看守長のジャドソンとモメていた。
カレンは、自分が不倫する理由をウォーデンに告白した。彼女は、臨月に入った時には大尉の浮気に気付いていたが、子供の誕生を楽しみにしていた。しかし、陣痛が始まったため医者を連れて帰って来るよう大尉に連絡した時、彼は街で「会議」と言いながら女遊びをしていた。酔いつぶれて帰宅し眠ってしまった大尉と、陣痛の痛みで失神してしまったカレン、彼女が1時間後に産み落とした男の子は死産だった。そのせいでカレンは子宮を摘出、二度と子供を産めない体になってしまったのだ。ウォーデンは、そう語るカレンを抱き締めた。
プルーはロリーンに、ボクシングができなくなった理由を語った。親友、ディキシー・ウェルズとのスパーリング中、プルーの放った平凡なパンチが彼に当たり、結果的に失明させてしまったのだ。才能ある親友の将来を駄目にしてしまったことに責任を感じ、プルーはボクシングをしないと決めたのだった。
映画『地上(ここ)より永遠に』のあらすじ【転】
大尉はプルーを、命令無視で軍法会議にかけ営倉へ送ろうと考えた。しかし、プルーの覚悟を感じ取っていたウォーデンは「営倉に入っても3ヶ月で優勝は無理ですよ。罰を倍にしては?」と誘導、プルーは知らぬ間に難を逃れた。
ウォーデンは、どんなに理不尽な扱いを受けても心が折れないプルーに目を掛け、大尉に内緒で休暇を与えた。慌ててロリーンに会いに行ったプルーは、彼女から本名を聞き出し店の外で飲む約束を取り付けた。同じ頃、マジオは歩哨の任務をサボって街に繰り出していた。彼は酔った勢いで憲兵に喧嘩を売り、後日軍法会議にかけられてしまう。
マジオは、6ヶ月の営倉送りとなった。看守長のジャドソンは、ついにマジオをいたぶる機会を得怪しい笑みを浮かべた。
カレンは、人目を忍んでウォーデンと会う生活に疲れていた。カレンは夫とスムーズに別れるため、ウォーデンに将校になるよう提言。彼女との愛を本物だと信じるウォーデンは、昇進のため講座を受けると決めた。
兵営の中で泥酔していたウォーデンは、プルーを友人と呼び、かつ将校になるべきかどうかを相談した。プルーは彼へ上官になる素質があると励ましたが、そこに営倉から脱走して来たマジオが現れた。ぼろぼろの体で逃げて来たマジオは、営倉でのジャドソンの悪行を告白し「逃げなきゃならなかったんだ」と呟くと、プルーの腕の中で息絶えた。
ジャドソンへの敵討ちを決意したプルーは、街で彼を待ち伏せ決闘した。プルーはジャドソンを殺害したが、彼もまたジャドソンによってナイフで刺されてしまい、プルーはロリーンの家に身を寄せた。
映画『地上(ここ)より永遠に』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジャドソン殺害の記事が新聞に載ったが犯人は分からず、プルーも無断欠勤が三日続いていた。ウォーデンは、大尉にバレないようプルーを出勤扱いに工作した。
一方の大尉は、監査局独自の調査結果として「大尉は虐待で有罪。被害者はプルーイット、ボクシングの試合に出すための扇動もあった」という罪状で司令部に呼ばれ、真偽を問われていた。軍法会議を避けた大尉はその日の内に辞表を提出、ボクシングと昇格は関連させないこと、ガロビッチは上等兵に降格、ボクシング部の解散が言い渡された。
大尉の退職に伴い本土に帰ることになったカレンは、ウォーデンに将校になる気があるか問い質した。ウォーデンはついに権力を手にすることへ覚悟が決まらず、カレンは「私たちダメだったわね」と言い残し二人は破局した。
日曜日の朝8時前、ウォーデンや兵士達が朝食を摂ろうとしているところへ、日本軍が奇襲をかけた。真珠湾攻撃である。ロリーンの家で日本軍侵攻の報道を聞いたプルーは、ジャドソンに刺された傷が癒えないまま中隊へ戻ることを決意。ロリーンは「本土に戻って結婚しましょう。今行けばもう会えなくなる」と彼を引き留めたが、プルーは銃弾の飛び交う屋外へ飛び出した。
傷が開き出血しながらも基地を目指したプルーは、監視の兵に見つかり撃たれてしまった。ウォーデンはプルーの遺体を確認すると、「本当に不器用なヤツだ、試合に出るだけで済んだのに。皮肉にも今年の決勝は中止だ」と語りかけ、彼の側から去った。
本土に戻る船の甲板で、カレンはロリーンと知り合った。ロリーンは、婚約者のプルーイットが戦死したと語った。かつてウォーデンが話していたプルーイットという兵士の名前に聞き覚えがあったカレンは、祈りを込めてレイを海に投げた。レイは波間に揺れていた。
映画『地上(ここ)より永遠に』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
戦争の物悲しさだけでなく、開戦前の緊張感や、その中で日常生活を送る人々、兵士達の営みが垣間見え、貴重な戦争資料として見応えがあった。義務教育の中で何年にどんな出来事があったと教わってはいても、そこに居合わせた人々の人生までは見えない。当時のハワイ駐在兵の素が見えたように感じる。
何より、ウォーデンのような上司に恵まれたいと強く思った。陰の努力を評価してくれる上司はそう多くない。(MIHOシネマ編集部)
昔の戦争映画に付き物とも言える「いじめ」や「虐待」の描写。正しい者や弱い者が虐められ、強い者や不真面目でも要領の良い者が良い思いをしているような気がしてどうしても好きになれません。
大尉に好かれれば上手くいったかもしれない人生。大尉の行動や発言が事の発端となり、プルーに対して何の関係もない人間までプルーのことを下に見たり虐めたりする様子は「時代だから」と言われても納得できませんでした。
こういう時にウォーデンのような上司がいてくれる事は唯一の救いだと思います。(女性 30代)
軍隊内の人間関係や恋愛、理不尽な上下関係を描いた名作。モンゴメリー・クリフト演じるプルーイットの誇り高さがとにかく印象に残りました。上官の命令に背いてまで自分のスタイルを貫く姿に、男としての矜持を感じます。ラスト、真珠湾攻撃で命を落とすという運命が、彼の信念をより美しく、そして切なく際立たせました。歴史の流れに翻弄されながらも、自分を貫いた男の物語として心に残る一作。(30代 男性)
波打ち際のキスシーンで有名ですが、それ以上に、登場人物一人ひとりの“孤独”や“譲れないもの”に胸を打たれました。デボラ・カー演じるカレンが夫に裏切られ、ワーデンに心を寄せる過程も非常にリアル。愛を求める気持ちは男女問わず普遍的だと感じました。プルーイットの死後、彼を思い続けるローリンの姿には涙が出ました。戦争という背景が、より人間ドラマに深みを与えている名作です。(40代 女性)
正直、戦争映画だと思って見たら完全に裏切られました。むしろこれは“戦争前夜の人間たちの群像劇”。誰もが満たされず、不器用にしか生きられない。とくにプルーイットのトランペットを吹かない理由に込められた想いには心打たれました。自分の信念のために犠牲になる、その姿は決して自己満足ではなく、誇りと哀しみの象徴に見えました。古い映画なのに、感情の揺さぶり方は現代的です。(20代 男性)
夫婦愛、友情、上下関係、恋、夢――たくさんの要素が詰め込まれているのに、物語が綺麗に流れていて驚きました。ワーデンとカレンの情熱的な恋愛シーンが有名ですが、個人的にはローリンの存在が物語に温かさを添えていて好きでした。特に最後の手紙のシーンは泣けます。真珠湾攻撃という歴史的事件を背景に、人間がいかに小さな幸せを求めるかを描いた、素晴らしい作品です。(50代 女性)
リーダーに従うことが全ての軍隊で、自分の信念を曲げずに生きるプルーイットの姿勢に感動しました。トランペットを吹かない理由、ボクシングをやめた理由、すべてに彼なりの筋があって、それが物語の中で徐々に明かされていく構成が見事。ラストはあまりにも悲しいけれど、彼の生き様を見た気がして、感動よりも敬意が残りました。淡々としていながら力強い作品です。(30代 男性)
軍隊の中の理不尽や暴力が今も昔も変わらないことに驚かされました。マジオの最期が悲惨で、本当に心が痛かったです。彼のような“普通の人”が理不尽に潰されてしまう現実は、今の社会にも通じると思います。一方で、プルーイットのように理想を貫こうとする人がいることで物語に希望が生まれるのが素晴らしかった。戦争前夜の不安定さがリアルに伝わる一作です。(20代 女性)
登場人物全員にドラマがあり、それぞれが自分の居場所を探している。まさに“永遠の人間ドラマ”。カレンとワーデンの関係は一見美しい恋に見えるけれど、結局どこにも逃げ場がないという現実に気づく描き方が深かった。モノクロの映像が逆に物語の温度を高く感じさせてくれて、観終わったあともしばらく余韻が消えませんでした。古典だけど、新しい映画です。(40代 男性)
若い時に見た時はただのロマンス映画かと思っていたけれど、年を重ねてから改めて見ると、全員の行動に理由があり、背景があり、決して「間違った人」はいないことが分かる。そういう意味で、非常に人間らしい映画です。真珠湾攻撃という大事件を前に、個人がどう生きるのか、どう死ぬのかが丁寧に描かれていて、自分の人生にも向き合いたくなりました。(60代 女性)
映画『地上(ここ)より永遠に』を見た人におすすめの映画5選
戦場にかける橋
この映画を一言で表すと?
名誉と忠誠のはざまで揺れる男たちの葛藤を描いた壮大な戦争ドラマ。
どんな話?
第二次世界大戦下、日本軍の捕虜となった英軍兵士たちが、命令に従いながらも誇りを賭けて橋を建設する姿を描く。敵味方の枠を越えた価値観の衝突と、任務に人生を捧げた男たちの心理戦が展開される。
ここがおすすめ!
軍人としての誇り、命令への忠誠、そして個人の信念がぶつかり合う姿は、『地上より永遠に』と同じく深い人間ドラマとして楽しめます。壮大な映像美とドラマ性が融合した不朽の名作です。
プライベート・ライアン
この映画を一言で表すと?
戦場の極限をリアルに描いた、“命を救うための戦争”を描く感動作。
どんな話?
ノルマンディー上陸作戦直後、戦死した兄たちの唯一の生存者である兵士ライアンを救出するために、少数精鋭の部隊が地獄の戦場を進んでいく。極限の中で見せる兵士たちの人間性が胸を打つ。
ここがおすすめ!
『地上より永遠に』同様、戦争という極限状況の中で、人間の尊厳や絆がどう変化するかをリアルに描いています。冒頭の上陸シーンから圧倒的な臨場感があり、心に深く残る一作です。
波止場
この映画を一言で表すと?
沈黙の中に宿る正義――マーロン・ブランドが魂を揺さぶる社会派ドラマ。
どんな話?
港湾労働者テリーは、腐敗した労組の陰謀に巻き込まれながらも、正義と誇りの間で揺れ動く。最愛の女性と亡き兄の想いが、彼の中に眠る正義を呼び覚まし、やがて立ち上がる決意へとつながっていく。
ここがおすすめ!
男としての信念を貫こうとする主人公の姿は、プルーイットに通じるものがあります。暴力と権威の中でもがきながらも、自分を捨てずに生きる人間の強さと弱さを描いた名作です。
パール・ハーバー
この映画を一言で表すと?
恋と友情、そして戦争――歴史の渦に翻弄された若者たちの壮大なロマンス。
どんな話?
親友同士の2人のパイロットと1人の女性看護師が、真珠湾攻撃という歴史の大事件に巻き込まれる。愛と友情が交差する中、それぞれの運命が大きく変わっていく。戦争を背景にした愛と別れのドラマ。
ここがおすすめ!
『地上より永遠に』と同様、真珠湾攻撃を軸に、戦争の中での恋や人間関係を重厚に描いています。ドラマとアクションのバランスが取れた一作で、感情移入しやすいキャラクターたちが魅力です。
愛と青春の旅だち
この映画を一言で表すと?
訓練と恋、仲間との絆を通して成長していく青年の心の軌跡。
どんな話?
海軍士官学校で厳しい訓練を受ける青年ザックは、教官との対立や恋人との出会い、親友の悲劇を経て少しずつ大人へと成長していく。制服の重みと誇りを知った青年が歩む、青春のドラマ。
ここがおすすめ!
軍隊を舞台に、個人の尊厳と成長を描いた作品で、『地上より永遠に』の持つ“軍の中での人間ドラマ”の要素が色濃く感じられます。切なさと希望が同居する感動作として心に残ります。
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