映画『クーキー』の概要:2010年にチェコで制作された、ヤン・スヴェラーク監督によるファンタジー映画。捨てられたテディベア、クーキーの冒険を描いた作品。原題は「KUKY SE VRACI」。
映画『クーキー』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:95分
- ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー
- 監督:ヤン・スヴェラーク
- キャスト:オンジェイ・スヴェラーク、オルドジフ・カイゼル、ズディニェク・スヴェラーク etc
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映画『クーキー』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
映画『クーキー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『クーキー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『クーキー』 あらすじ【起・承】
少年オンドラが大切にしている、ピンク色のテディベアのクーキー。
しかしボロボロになったクーキーは、喘息のオンドラの健康に良くない、と考える母によって捨てられてしまった。
捨てられたクーキーはゴミ捨て場で立ち上がり、そこから決死の脱走を図る。
森の中で気を失ったところを、ヘルゴット村長に助けられるクーキー。
そこでは森の神様たちや、次の村長の座を狙うアヌシュカといった奇妙な面々が生活していた。
やがて、ゴミ捨て場からクーキーを連れ戻しに来たという、パトロール隊がやって来る。
村長の計らいでゴミ捨て場行きは免れたクーキーは、オンドラの元へ急ぐ。
アヌシュカが管轄外であるゴミの町にいる犬を助けて、村長を失脚させようとしたため、車に乗ってゴミの町に向かう村長。
彼は老眼だったので、クーキーの手を借りて町へ急ぐ。
しかし、犬は助けを求めてはいなかった。
途中で助けてもらった鳥から、巣が危険にさらされているから助けてほしいと頼まれ、村長とクーキーは巣に残された卵を探すことに。
そして村長を失脚させようとするアヌシュカと、クーキーを捕らえようとするパトロール隊に追われるハメになる。
映画『クーキー』 結末・ラスト(ネタバレ)
リスの援護射撃に助けられながら進むクーキーと村長は、ようやく巣を見つけ、体を張って卵を守る。
一旦はアヌシュカに捕まってしまうが、知恵を絞ってアヌシュカのトラックから脱走、村長と合流するクーキー。
村長とクーキーはアヌシュカのトラックを強奪するが、アヌシュカとパトロール隊はトラックに火を放った。
雪を使って火を消したものの、トラックは横転し、水に弱いぬいぐるみのクーキーは水滴で濡れて乾くまで動けなくなってしまう。
村長はおもちゃだという秘密、前村長の息子アヌシュカを次期村長にするという約束で村長になったという経緯を教えられるクーキー。
それを盗み聞きしていたパトロール隊は村長を逮捕、詰め物が無かったクーキーは難を逃れたが、動けなくなってしまった。
全ての手柄を自分のものにし、次の村長になったアヌシュカは身勝手ばかり。
森の住人たちは、仲間割れを起こし始めていた。
クーキーは鳥の羽をもらって動けるようになり、村長と共に森から脱出する。
体調を崩して入院していたオンドラが家に戻ると、不思議な事に、捨てたはずのクーキーが戻ってきていた。
その後、オンドラは森の村長によく似た雰囲気のホームレスと犬を見かける。
救急車で運ばれる老人を見たオンドラは、森に帰れるようにとクーキーを託す。
老人が村長でなかったら、クーキーはまた帰ってくると信じて。
映画『クーキー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『クーキー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
人形劇の要領で動くクーキーたちの不思議な世界
生きたオモチャやぬいぐるみの作品といえばアニメ「トイ・ストーリー」などが有名だが、本作はスパイク・ジョーンズ監督の「かいじゅうたちのいるところ」に近い実写映画。
CGなどを使ってテディベアのクーキーたちを動かすのではなく、人形劇としてクーキーや村長たちを動かしており、独特の質感を出している。
チェコを代表するゲームクリエイター集団、アマニタ・デザインがキャラクターデザインを手掛けており、あまり可愛らしくないが魅力的な森の神様たち、村長やアヌシュカ、クーキーを作り出した。
森の自然の神様たちが可愛らしいよりも、ちょっと変な形をしていることで、クーキーに対して偏見を持ったりちょっと偏屈な性格をしているのに説得力を持たせている。
大人でも子供でも楽しめるストーリー
オンドラの日常や喘息が悪化する様子、そして熱が出て入院するといった出来事が、クーキーの冒険とさりげなくリンクしているストーリーが面白い。
クーキーがオンドラの元に戻ってきたのは偶然かもしれないし、それまでのクーキーの冒険は、すべてオンドラの空想の産物に過ぎなかったのではないかと思わせる部分もある。
村長との会話の内容や、クーキーの体の中身が鳥の羽に代わっていることを、オンドラが知っている理由がわからないのだ。
ただの夢見がちな少年なのかもしれないという可能性が残る一方で、クーキーとオンドラの心が強くつながっているから、冒険の内容を知っていたという可能性も残る。
見た人それぞれが、可能性を想像して楽しめるのだ。
そして幼いイメージのクーキーと、酸いも甘いも知り尽くした老人のイメージの村長が助け合い、卑怯なアヌシュカや保身的な森の自然の神様たちに反旗を翻す様子は、大人向けのストーリーとして楽しむことも可能な、不思議なストーリーに仕上がっている。
子供向けのほっこりできる作品かと思いきや、意外と大人なストーリーになっていてただ、クーキーの大冒険を描くだけでなく、助けてくれた仲間のことや、力になってくれた村長、そして持ち主のオンドラが病気と戦う様子など人間の世界と通じるようなストーリーが分かりやすく描かれていました。
アヌシュカの存在がこの作品のダークな部分をより強く見せていて、とても重要なキャラクターだと感じました。
大人も子供も一緒に楽しめる作品だと思います。(女性 30代)
チェコの人形劇、予想を遥かに上回る完成度です。手間暇かけた丁寧な作りに、胸が熱くなりました。パペットの動きは、操り人形のようだけれど大変滑らかです。クーキーの目線に立って大自然やたくさんの虫達を眺めることは、貴重な体験のように感じられました。日の当たり具合も大変好みです。また、ガラクタや木くず等で作られた車で、本気のカーチェイスに挑んでいて大感動しました。撮影法に特殊な技があるのかもしれません。子供の頃、大切にしていたぬいぐるみを思い出し懐かしさが溢れました。(女性 30代)
映画『クーキー』 まとめ
ピンクのテディベア、クーキーが可愛い作品だが、レトロなイメージの森の神様たちや、ビニール袋で作られたゴミ捨て場のパトロール隊といった、独特なキャラクターが多い作品。
CG技術を使ったのではなく、昔ながらの人形劇の要領で動かしているため、細かい動きが制限されたことで“人形らしさ”が倍増している。
子供向けのファンタジーアドベンチャームービーだが、昔は子供だった大人たちでも十分に楽しむことができる、心温まる作品になっている。
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