映画『喰らう家』の概要:曰くつきの家に越してきた、ひとり息子を亡くした中年夫婦に襲い掛かる恐怖を描いたホラー。原題は「WE ARE STILL HERE」。監督はテッド・ゲイガンで、脚本も手掛けた。
映画『喰らう家』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:83分
- ジャンル:ホラー、サスペンス
- 監督:テッド・ゲイガン
- キャスト:バーバラ・クランプトン、アンドリュー・センセニグ、ラリー・フェセンデン、リサ・マリー etc
映画『喰らう家』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『喰らう家』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『喰らう家』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『喰らう家』 あらすじ【起・承】
息子を失ったショックから逃げ出すため、雪深い郊外にある古い家に引っ越してきた夫婦。
妻アニーは、家の中で何者かの気配を感じるようになり、それを息子ボビーの幽霊だと信じていた。
引っ越しから2週間後、近所に住むという夫婦デイヴとキャットが訪ねてくる。
ポールとアニーが住んでいるのは有名な曰くつきの家で、19世紀末にその家で葬儀屋をしていたダグマーが死体を横流ししたと噂され、ダグマーと妻子は町を追い出されたというのだ。
帰り際、キャットは「家は家族を求めている、逃げて」というメモを、こっそりポールに渡した。
やがて地下室のボイラーからの異臭と高すぎる湿度の修理のため、業者がやってくるが、不気味な人影に襲われて救急車を呼ぶ事態に。
現実主義のポールは嫌な顔をするが、アニーは霊媒師のメイと夫ジェイコブに助けを求める。
そして、ジェイコブとメイの息子で、ボビーの友人だったハリーも呼ぶことになった。
ポール、アニー、メイ、ジェイコブの4人は、町に1件だけのレストランへ。
しかしそこで町の住人たちが、自分たちに向ける奇妙な視線に違和感を抱く4人。
一方その頃、ハリーと彼女のダナは、アニーたちの家の地下室で黒焦げの人物と遭遇。
車で逃げだしたダナも、黒焦げの人物によって殺されてしまった。
映画『喰らう家』 結末・ラスト(ネタバレ)
アニーたちが行ったレストランにデイヴとキャットが訪れ、アニーたちに家を出ていかれたら困ると語る。
30年に一度目覚める地下室の闇は、生贄を与えなければ町中に災いをもたらすというのだ。
一方、ハリーとダナはまだ来ていないと思い込んでいるアニーたち。
メイは家の中で、ボビーのフリをした邪悪な存在を感じ取る。
翌日、アニーとメイは買い物に出かけ、その間にポールとジェイコブは交霊会を行う。
しかし邪悪な存在に取り憑かれたジェイコブは、ハリーとダナの死を告げた。
町で会ったデイヴを怪しく思うメイが、アニーと一緒に帰宅すると、ダグマーに乗っ取られたジェイコブの姿が。
家を建てる時に魔物を掘り起こしてしまい、ダグマーと家族は生贄にされていたのだった。
デイヴの行動に反対だったキャットは、血まみれの状態でアニーへ忠告の電話をするが、間に合わない。
ジェイコブは自殺し、家を出ようとドアを開けたメイはデイヴに殺されてしまう。
家には町の住人たちが、アニーたちを生贄にしようと押し寄せていた。
2階に逃げたポールとアニーは、「逃げて」というボビーの声を聞く。
そして1階にいた町の住人たちは、黒焦げの怪物と化したダグマーによって殺されていた。
デイヴもダグマーに殺され、家族全員で肩を寄せ合い消えていった。
再びボビーの声を聞いたアニーは歩き出し、後を追ったポールも地下室のドアを開けて微笑んだ。
映画『喰らう家』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『喰らう家』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ホラー映画の定番設定をきれいにまとめた
いわくつきのゴーストハウス、閉鎖的な田舎町での疎外感、幽霊になって訴えかけてくる息子らしき存在、霊媒師、といったホラー映画のテッパンともいえる設定のオンパレード。
しかもそれぞれがうまい具合に重なり合い、ひとつの作品として完成しているから面白い。
序盤から大きく動くストーリーではなく、家にまつわる幽霊話も含めて割と淡々と進んでいき、中盤にようやく黒焦げの幽霊が動き出す。
そこまでが長く感じ、息子が事故で死んだこともハリーの登場シーンでようやく明らかにされるので、間延び感は否めない。
地下室で息子ハリーが死んだのに、何も知らずに過ごすジェイコブとメイの姿は不気味さをあおっている。
しかし、霊媒師なら気づくだろうというツッコミどころもある。
最初は親切な隣人として描かれるデイヴが、実は黒幕でありキャットも殺害するというのは意外性がある。
武器を持って家に押し寄せてくる町民たちからは狂気を感じるが、かつて生贄にされたダグマー一家が黒焦げ姿で次々に町民に復讐する姿もおぞましい。
ラストシーンはいろいろな受け取り方ができる作りだが、ホラー映画にありふれた終わり方で、尻すぼみなエンディングになっている。
黒焦げ姿の幽霊の恐怖
活躍するシーンが一切ない霊媒師ジェイコブとメイ夫婦だが、ジェイコブは他人の家でドラッグを吸ったり、勝手に交霊会をして自滅するなどキャラが立っている。
多くのホラー映画に出演、監督や製作総指揮も務めたことがあるラリー・フェッセンデンが演じるからこそ違和感がない、奇抜な役だろう。
VFXも凝った作りで、黒焦げの体に白い目の幽霊たちが、雪深い土地で昼間から出てくるというコントラストにはゾッとさせられる。
消える瞬間には家族3人で肩を寄せ合うという、元人間らしい一面を見せるのは、なかなか面白い。
しかしそこまで見せておきながら、魔物が何なのかだけは完全に無視しているので、中途半端さが残る。
黒焦げのモンスターのビジュアルがかなり独特で、すごく嫌でした。スプラッターものでも、ホラー映画でも出てくるクリーチャーや幽霊にそこまで拒否反応を示すことはないのですが、今作のダグマーは最後まで何なのかよく分からないし、ずっと襲い続けてくるのが怖かったです。
助けを求めた夫婦も全く役に立たないし、少々イライラする点もありましたがホラー映画としてはとてもよくできていると思います。個人的にはとても怖かったので、一度見れば十分でした。(女性 30代)
映画『喰らう家』 まとめ
パッケージに書かれた「グゴッグゲゲゲェェェェ」という文字がB級映画っぽさを醸し出しているが、まとまりのあるストーリーや意外な展開、しっかりとした怖さもある内容。
この言葉の意味は謎で、作品本編でもこのようなセリフは存在しない。
これまでアメリカでメジャーとされてきた幽霊像を壊し、黒焦げに白濁した目という強烈なインパクトの幽霊を表現している。
30年に1度だけ生贄を求めるという魔物については謎のまま終わらせていて、物足りなさが残ると同時に、有名な怪奇小説作家H.P.ラヴクラフトの世界観を彷彿とさせる。
「死霊のしたたり」にも出演していたバーバラ・クランプトンが主演で、ティム・バートン監督の元婚約者リサ・マリーがメイ役、ジェイコブ役にラリー・フェッセンデンなど、有名な役者も揃っている。
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