映画『紅の豚』の概要:第一次世界大戦でイタリア空軍のエースパイロットだったポルコ。しかしその後のファシスト政党に嫌気が指した彼は自分の姿を魔法で豚に変えて賞金稼ぎとしてアドリア海で暴れまわる空賊連合を相手にしていた。そんな時、空賊はポルコ対策に助人としてカーチスを雇う。
映画『紅の豚』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:ファンタジー、アニメ
監督:宮崎駿
キャスト:森山周一郎、加藤登紀子、桂三枝、上條恒彦 etc
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映画『紅の豚』の登場人物(キャスト)
- ポルコ(森山周一郎)
- 通称ポルコ・ロッソ、紅の豚と呼ばれる賞金稼ぎである。本名はマルコ・ファゴット。真紅のサボイアS.21に乗り、空賊連合を懲らしめる。元々は、イタリア空軍のエースであったが、ファシスト政権に反抗して除隊し、豚に姿を変えて自由気ままな生活を送る。
- ジーナ(加藤登紀子)
- アドリア海の男なら誰しも憧れる素敵な女性。ポルコの昔馴染で彼が人間だった頃を知る数少ない人物の一人。ホテル・アドリアーノを営んでおり、そこでシャンソンを唄っている。強気な女性であるが、過去に3人のパイロットと結婚し、全員とも戦争で失ったという悲しい過去を持つ。
- カーチス(大塚明夫)
- 空賊連合がポルコ対策で助人として雇ったアメリカ人パイロット。本人は名声へのほんのワンステップと考えており、将来はハリウッドスター、大統領になる事を夢見ている。愛機はカーチスR3C-0。惚れやすい性格でジーナやフィオに好意を抱く。
- フィオ(岡村明美)
- ポルコが飛行艇の修理でいつも世話になるピッコロ社の娘。17歳と若いが、飛行艇の設計や整備の腕前はポルコもうなるほど高い。父がポルコと同じ部隊にいたことからポルコの話をよく聞いていた。
- ピッコロおやじ(桂三枝)
- フィオの祖父。ポルコとは旧い付き合いでサボイアの修理を長年している。カーチスに勝つ為にフォルゴーレという高性能エンジンを手に入れる。
- 空賊連合
- アドリア海一帯を牛耳る金品強奪集団。その核になるのがマンマユート団だが仕事の途中でいつもポルコに邪魔されて勝負に負けてしまう。世界恐慌の影響で仕事からあぶれた様々な人種で構成されており、全員が自由気ままな為、統率感はあまりない。
映画『紅の豚』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『紅の豚』のあらすじ【起】
アドリア海に浮かぶ孤島。そこは賞金稼ぎポルコのアジトだった。優雅な自然の中、島の中に溜まった海水で出来た湖に真紅の翼を持ったサボイアS.21を停泊させてポルコは昼寝をしている。そこへ電話が鳴る。空賊連合の核であるマンマユート団が出たというのだ。気ままなポルコは出撃を渋るが提示された好条件をのんでサボイアに乗り込み島を飛び立つ。
マンマユート団は観光船を襲っていた。金品を強奪し、更に身代金目的で船に乗っていた子供達も連れ去ってしまう。しかし、誘拐をしたのはいいものの子供達は全く言う事を聞かず、マンマユート団は手を焼いている。挙句の果てには見張り台まで出てしまう始末だ。そんな時、子供の1人が真紅の飛行艇を見つける。マルコが現れたのだ。マンマユート団は攻撃を仕掛けようとするが、ポルコに先に攻撃されエンジンをやられてしまう。ポルコは巧みな操縦技術と狙撃で追撃。マンマユート団の飛行艇は海に落ちてしまう。諦めたマンマユート団は子供達を解放。金品の半分を修理代として受け取り退散した。
その晩、ホテル・アドリアーノでは空賊連合が集合していた。助人としてアメリカ人の飛行艇乗りカーチスを雇う算段をしている。店内ではマダムのジーナがシャンソンを唄い、その美声で客達を虜にしている。カーチスも彼女の美声に聞き惚れている。そこへ静かにポルコが入ってくる。カーチスはポルコに話しかける。ポルコはカーチスが空賊と手を組む事を察し、アドバイスを送るとその場を離れる。
ポルコが夕食を摂っているとジーナがやってくる。旦那の訃報が届いたというのだ。その旦那の事はポルコもよく知っており、彼の死に杯を交わす。ジーナは昔馴染みの3人の飛行艇乗りと結婚したがみな戦争で死んでしまった。そして昔馴染みで残ったのはポルコだけになっていたのだ。そんな寂しそうなジーナの傍にポルコはいつもいたのだった。
翌日、ポルコは町へ行った。仕事で入った賞金を取りに行くためだ。町は政党が変わり賑やかだがファシスト党が台頭している為、ポルコにとってはどうでも良かった。
一方、マンマユート団はペンキが塗られていない飛行艇に乗っていた。そして他の空賊連合のメンバーと大型の客船を狙っていた。しかし客船には用心棒が付いており取り乱してしまう。
ポルコはアジトに戻って飛行艇の整備をしていた。最近エンジンの調子が悪く、ミラノへ修理に持って行こうか考えていた。そんな時、ラジオから空賊連合の襲撃事件のニュースが入ってくる。カーチスの活躍で用心棒を蹴散らし、船内の金品を強奪するのに成功したのだ。そんなニュースもどこ吹く風のポルコは休暇と称しミラノへと向かう。
映画『紅の豚』のあらすじ【承】
ミラノへ向かう途中、エンジンの調子が時たま悪くなる。そんな矢先、背後からカーチスがやって来た。逃げるポルコにカーチスは勝負を持ち掛ける。エンジンの不調もありそれどころではないポルコはカーチスを振り切ろうとするがエンジン不調でスピードが落ちてしまう。そしてカーチスが打ったガトリング銃の弾が機体に当たり墜落してしまう。
ポルコが撃ち落とされた話はすぐにジーナの耳に届く。しかし、ポルコは無事だった。電話口でポルコはジーナにカーチスへの伝言を頼むが、ジーナはそれに怒る。人が心配しているのに気ままで自由な彼が許せないのだ。無理をし続けていればいつかローストポークにされてしまうと心配するジーナ。ポルコは飛ぶことを止めてしまったら本当にただの豚になってしまうと告げた。
ミラノに着いたポルコはいつも整備を頼むピッコロおやじを訪ねた。しかし、いつも設計をしてくれる彼の息子達は出稼ぎでおらず、代わりに孫のフィオがやるというのだ。一抹の不安を抱いたマルコだが、フィオの説得により今回もピッコロ社で世話になる事にした。
フィオの設計の腕前は抜群だった。あっという間に飛行艇の設計図の大半を終えて、スピードを加える為に的確な改造も入れている。その腕をポルコも認めて彼女に全てを託す事になった。
設計図が出来上がると町中から女性が集まってきた。飛行艇を組み立てる為だ。男達は世界恐慌の影響で仕事がなく出稼ぎに出ていていないのだ。ピッコロおやじは新しく手に入れたエンジン、フォルゴーレを試していた。高性能高パワーで調子もいい。以前このエンジンを積んだイタリア艇がシュナイダーカップに出場したがカーチスR3C機に敗れた。しかし問題はエンジンではなく整備士にあったと考えるピッコロおやじは、今回のポルコとカーチスの対戦に胸を馳せていた。
そうこうしている内に復活に近づくサボイア。ポルコは気晴らしに映画館に行く。豚が悪役の映画だ。そこへかつての戦友フェラーリンがやって来る。彼は第一次世界大戦後も軍に残り、大佐となっていた。彼もまたポルコの身を案じていた。豚になり国に協力しないポルコは元軍人という事もあり、ファシストから反国家非協力罪や退廃思想などでおたずね者になっていた。フェラーリンは協力するから軍に戻るようマルコに勧めるが、ポルコはファシストになる事を徹底して拒む。彼が豚になったのもその為だ。フェラーリンはポルコに気を付けるよう告げてその場を去る。映画館から出るとフィオがトラックで通りかかった。ポルコはフィオがサボイアを弄っている理由からファシストの秘密警察に付けられている事に気付くと追っ手を撒く。
その晩、サボイアが完成した。ポルコは出発の準備をしている。そしてフィオもだ。その事を知らされていなかったポルコは先の事を考えてフィオの搭乗を拒む。危険な裏の世界に17の娘を入れる訳にはいかないのだ。しかし、フィオは今後の整備も含めて自分の仕事を最後までやり遂げたいと話す。それに折れたポルコは彼女を搭乗させてアジトへ向かう事にした。
ハンガーの扉を開くと土手の向こうに秘密警察が待ち構えていた。発砲する秘密警察員。しかし生まれ変わったサボイアのガトリング銃に恐れて退散する。無事に飛び立ったサボイア。それを祝福するかのように朝焼けが世界を照らす。そこへフェラーリンが乗った飛行艇が近付いてきた。空軍が罠を張っている為、抜け道を教えてくれたのだ。
映画『紅の豚』のあらすじ【転】
カーチスはジーナを口説いていた。ハリウッドから映画出演の話が来てその相手に惚れたジーナを選んだのだ。彼は将来大統領になると宣言する。そんな話を面白そうに聞くジーナ。しかし彼女には待ち人がいた。彼女はその人が明るい内に訪ねてきたら愛そうと賭けをしていたのだ。しかし彼はなかなか現れない。そこへサボイアがやって来る。ポルコは降りずに挨拶代わりにアクロバットを見せてそのまま飛んで行ってしまった。ジーナは少々がっかりしたような表情で笑っていた。
ポルコとジーナの様子を見たフィオは2人の関係に興味津々だった。しかしポルコは話をはぐらかす。給油を済ませてアジトに戻ってきたポルコ。するとテントから空賊連合の面々が出てきた。自分達の仕事を邪魔するポルコを始末しようと待ち伏せていたのだ。ポルコを殺そうと躍起立つボス達とは逆に部下達は一緒にいた美人なフィオに興味津々。フィオは自分が作った飛行艇を壊そうとする空賊達に詰め寄る。その勢いに空賊達はたじたじだ。挙句の果てはカーチスに助けを求めるなんて情けないと空賊達はフィオに説教されてしまう。そこへカーチスがやって来る。彼はポルコとの再戦をただでは受け入れないとする。その条件としてフィオを嫁にする事を挙げる。ポルコは猛反対。しかし、フィオはお構いなしにポルコがサボイアの修理で未払いの請求書の束を突きつける。お互いの条件を飲み、翌日に再戦が決まった。ポルコは勝手に条件を飲んだフィオを叱るが、再びカーチスに挑戦するチャンスをフィオがくれたと感じ、感謝する。
その晩、フィオは寝ぼけ眼でマルコを見る。彼の姿が人間に見えたのだ。しかし、はっきりと見るとやはり豚のままだった。フィオは眠れず、ポルコに何か話をしてほしいと伝える。そんな彼女にポルコは第一次世界大戦末のある夏の日の事を話す。
当時ポルコはイタリア空軍のエースとして活躍。僚機にはベルリーニという昔馴染みが乗っていた。彼は少しばかり前にジーナと結婚式を挙げたばかりだが休暇が足りず、戦場へとんぼ返りとなったのだ。パトロールに出ていたポルコ達は敵機に遭遇。敵も味方も入り乱れた空中戦となった。ポルコは手練れに追いかけられて気付いたら味方は誰もいなくなってしまっていた。死に物狂いで逃げていた彼は急に雲の中に入った。そこはとても静かで雲を抜けた遥か上空には一筋の雲が走っていた。そこへ敵機やベルリーニの乗った飛行艇もやって来た。ポルコはベルリーニに声を掛けるが彼は応えない。そしてそのまま上空に上がっていってしまう。上空に一筋流れていたものは雲ではなく戦死したパイロット達の飛行艇であり墓場だったのだ。ポルコはベルリーニを追おうとしたが再び親友と出会う事はなかった。
そんな事を思い出したポルコは自分だけが無様にも神様に受け入れてもらえなかったのではないかと感じていた。しかしフィオは否定し、生きて帰って来てくれた事に感謝する。そしてポルコの頬にキスをして眠りに戻る。
映画『紅の豚』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌日、ポルコとカーチスの一戦を観ようと会場の島は大賑わいしていた。あちらこちらでは賭けが始まり、まさにお祭り状態だ。そしていよいよ対戦が始まる。ポルコは操縦席から親指を立ててフィオに勝利を誓うサインを送る。そしてカウントダウンと共にポルコとカーチスがマシンをスタートさせる。先手を取ったのはカーチスだ。ポルコは後から水面にあがりカーチスに後ろを取られる。ガトリング銃で仕掛けるカーチス。ポルコは水面すれすれを飛んで弾を避ける。そして捻りこみを使ってカーチスの後ろを取る。そして誰もが打つと思った瞬間、ポルコは打たない。カーチスにも弾が当たる可能性があるからだ。マンマユート団のボスはカーチスが疲れて弱った時にポルコはエンジンに2、3発当てて決着をつけると話す。そんなやり取りに業を煮やしたカーチスは巧みな操縦技術で再びポルコの後ろを取る。逆転につぐ逆転で観客達は茫然とし、感動すら覚えていた。
一方、ジーナはフェラーリンから空軍が騒ぎを聞きつけて向かっているという報せをアドリアーノで受け取った。それを伝えに決戦場へと彼女も向かう。
ポルコとカーチスの対決はフィナーレを迎える所だ。マルコが再び後ろを取ってガトリング銃の引き金を引く。しかし弾が出ない。詰まってしまったのだ。その隙にカーチスも打とうとするがこちらは弾切れだ。勝負がつかない為、2人は海に着水。飛行艇を降りて殴り合いで勝負を決めようとする。飛行艇の熱戦の後の殴り合いで観客は大熱狂。ポルコはフィオを守る為に、カーチスは嫁に迎える為に闘う。殴り合いはなかなか決着がつかない。2人の顔にはいくつものコブができて膨れ上がっている。フラフラになりながらも殴り合う2人。そしてダブルノックアウトとなる。カウントが取られる中、ジーナがやって来る。そしてポルコに女の子をもう一人不幸にさせる気かと発破をかける。そしてポルコはカウント10ぎりぎりで立ち上がり、勝利を収める。フィオはマルコに駆け寄り強く抱きしめる。勝負を見届けた観客達は空軍が近づいている報せを聞いて帰っていく。ポルコは賞金を受け取り、それとフィオをジーナに託す。フィオは反対するもポルコはフィオに堅気の世界へ戻ってほしかった。その気持ちを汲んでジーナはその場を去る。その際にフィオはポルコの唇にキスをする。ノックアウトから気が付いたカーチスはポルコと共に空軍をみんなから遠ざける事に同意する。
結果、イタリア空軍の出撃は空振りに終わった。そしてフィオがミラノへ帰る日がやってきてもポルコは姿を見せてくれなかった。その代わりにフィオはジーナと良い友達になれた。ピッコロ社を継いだ後もその友情は変わらずに続いている。空賊連合の面々も年を取り、今もホテル・アドリアーノに通っている。カーチスはアメリカへ戻り、俳優として活動をしている。ジーナの賭けがどうなったかはフィオとジーナの秘密となった。
映画『紅の豚』の感想・評価・レビュー
大人が楽しめるジブリ作品。
第一次大戦後という時代に、おおらかで余裕のあるポルコや明るくパワフルなピッコロ社のばあちゃん達。
「あたしはポルコの人質になるの」と乗り込むフィオに時代背景が反映されている。
最後の殴り合いで両者同時に倒れた際に、カーチスはあえて立ち上がらなかったのでは・・と思うと、大人の魅力や名誉を重んじる飛行艇乗りたちの魅力がつまった作品だと何度も繰り返し見たくなる。
名セリフが沢山あるのも素晴らしい作品の証だと思う。(女性 40代)
おばさん(おばあさん?)たちで飛行機を作ってしまうのが笑えました。戦死した友人たちが空よりももっと高い所に飛んでいくシーンは少ししんみりしました。好きなのは空中戦で手当たり次第に物を投げ合うシーンで「ありえない~」と笑いながら観ていましたが、それ以前に人間が自分の意思で豚に姿を買えることもあり得ないことですね。
加藤登紀子さんの歌、ジーナの不思議な雰囲気が出ている「時には昔の話を」も大好きです。(女性 40代)
「飛べない豚はただの豚だ」というマルコのセリフが痺れる程かっこいい本作品は、第一次世界大戦後の時代が舞台となっている。空賊や、賞金稼ぎなど様々な荒くれ者達が腕試しをしたり、女性を口説いたりと、それぞれの名誉やプライド、無骨な生き方が描かれている。戦後独特の虚しさや、かつての友を偲ぶシーンなどもあり、この作品の中で様々な感情に浸る事が出来るだろう。パイロット達のそれぞれの生き様を是非感じとって欲しい。(男性 30代)
個人的に大好きな作品。ジブリ作品の中でも異色だと思う。
不器用だが信念のあるポルコは、男の子は皆が憧れる主人公である。
全体的にジブリらしくはない作品だが、ポルコの昔話のシーンはとてもジブリらしく感じた。形容し難い不思議な感覚だ。
映画は91分と短めになっていて、その時間設定も良い。これだけ綺麗にまとまっているなら、付け加える必要はない。退屈なシーンなど何もなく、観終わった後にしばらく紅の豚以外のことは考えたくなくなる。とにかく名作なのだ。(男性 20代)
お洒落で落ち着いた雰囲気の、子供より大人向けの映画。実際、子供の頃に見たときは印象の薄い作品だったが、大人になってから見るとまた違う発見があり、とても好きな作品になった。
飛行艇乗り達の、名誉を重んじる誇り高い精神や、ジーナの切ない大人の恋にもグッとくる。外見が完全に豚なのに、ポルコが一番格好良く見えるから不思議だ。登場人物の機微が丁寧に描かれていて、それぞれの感情や思惑が交錯する、味わい深い作品だ。(女性 20代)
主人公が豚の顔なのにギャグにならないのが純粋に凄いし、カッコいい男だと思う。森山周一郎さんの渋い声が合っている。ジーナ役の加藤登紀子さんの声も素晴らしかった。ミステリアスで憂いのあるジーナのキャラクターに合っていたし、自分が言うのもおこがましいがやはり歌が上手い。ジーナは男性にとっても魅力的な人物だと思うが、女性が憧れる女性だと思う。子供の頃、ジーナとポルコのやり取りにドキドキしたのを思い出した。(女性 30代)
男のロマンが詰まったアニメ劇映画。なぜ、ポルコが豚になったのは一切語られず、サングラスの裏でたばこをくわえながらニヒルに笑う豚がただただかっこいいと思ってしまう、「飛ばねえ豚はただの豚」という名言が生まれた映画。アドリア海の綺麗な海とその海に映える真っ赤な空挺。戦争時代の辛い背景を感じつつも、わかりやすい恋心や飛行機の戦いなど、子供も楽しめつつ、大人ががっつり楽しめるエンターテイメント性に富んだ映画でした。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
豚が喋り、豚が飛行艇を操縦するなんてありえない話のはずなのに、サングラスをかけた豚のポルコがとんでもなくかっこよく見えるこの作品。ジブリ作品を知らない人でも『紅の豚』と言えば「飛ばねえ豚はただの豚」という名ゼリフを知っているくらい有名な作品ですよね。
この作品に溢れているのは男らしさと芸術性でした。飛行艇に乗るポルコはダンディな男性そのもので、操縦する姿は本当に芸術的。愛を背中で語る姿に惚れ惚れしてしまいます。
学生の時見るのと、成人してから見るのでは感想が異なる映画です。成人してから見る方がこの作品の持つ渋さや良さが伝わってきます。
他のジブリ映画とは違い、女の子が主役ではなく、人間社会が嫌になった豚(元々人間)が主役です。カーチスは悪役のような立ち位置に見えて、全く悪役ではありません。最後の殴り合いのシーンが少々やりすぎで映画の中で浮いているのでは?と思いますが、それ以外は主役が豚なのにカッコイイとすら感じてしまう不思議な作品です。
飛行艇乗り、アドリア海の島で生活、空賊との戦いなど男性のロマンが溢れた作品ではないだろうか。女性たちに会えばアイドルのような扱いを受け、世俗を捨て、飛行艇に乗って賞金稼ぎをしている豚、というなんとも突飛な設定である。だがどこかかっこいいのが不思議だ。
カーチスはただただロマンチストで憎めないキャラ。フィオは快活で勝気。ポルコを程よく振り回し、最後にはポルコを人間にしてしまう。大人な恋愛模様もあったが、結局ポルコがジーナと結ばれたのかどうかは描かれていない。ポルコに振り回されたジーナとポルコを振り回し、魔法を解いてしまったフィオ。
ここからは予想でしかないが、結局ポルコはポルコ(自由な豚)なのでどちらかと結ばれたなどということはないのかもしれない。
ファシズムが台頭し始めたイタリアにて、かつて第1次大戦の英雄だった男、ポルコは、そんな世間に嫌気を指し、姿を豚に変え、一人、真紅の飛行機で空を駆けていた。
ジーナとの友情、そして空賊同盟とアメリカから来たライバル、カーチスとの戦い、そして、フィオとの出会い…。
空に命を懸けるアウトローの生きざまを描いた物語ながらも、ポルコやその周りの人物たちの、温かみあるキャラクターや世界観から、他のアウトロー作品とまた違った渋みを感じる作品。
スタジオ・ジブリの長編アニメ映画。
人間社会が嫌になり、自らを魔法で豚に変えた一流パイロット・ポルコの物語。
宮崎駿による戦争反対メッセージ以上にラブストーリー色が強い。想う人をずっと待ち続けているジーナ。その相手がポルコだとわかりながらも、いつ元の姿に戻れるのかともどかしい時間が続く。
そして、一度負けた宿敵・カーチスとの再戦。滑らかでスピード感のあるジブリアニメーション。気の利いたポルコのセリフも含め、宮崎駿ワールド全開の作品である。
舞台はヨーロッパ。洋風な建物や、盛大なスケールの古い街並みが見える背景に、とても夢を抱くことができるのではないだろうか。
空からの風景も、また違った角度から見るヨーロッパが観れるのではないだろうか。
豚という姿でありながら、多くの人がその人間性に惹かれていく、その気持ちがよくわかる。それだけ魅力的なキャラクターであるポルコ・ロッソだが、その分敵も多いのは避けられない。ロマンスもあり、アクションもあり、出会いや別れが続いていく、それが彼の日常なのだろうと思う。
当サイトにお越しいただきありがとうございます。
初めてのコメントで、そのようなお褒めの言葉をいただくなんて、大変恐縮でございます。
これからの励みとしたいと思います。
誤字については、先ほど訂正しました。
「宮崎駿がやりたい放題」の部分についてですが、
どうやら別の作品の記事内容になっておりましたので、訂正しました。
ご指摘ありがとうございました!
映画評のHPのなかでは、かなりの優れものと拝察いたしました。
文章が短くて読みやすいにもかかわらず、評は的確ですね。
(上から目線のようでスミマセン)
この『紅の豚』の「あらすじ」に、変換間違いが2箇所ほどあり、
「宮﨑駿がやりたい放題」の文章は、別の作品のモノではないでしょうか?