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映画『黒いオルフェ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『黒いオルフェ』の概要:ギターの名手オルフェは偶然知り合ったユリディスと運命的な恋に落ちるが、彼の恋人ミラは嫉妬の炎を燃やしていた。オルペウスとエウリュディケのギリシャ神話を元に、物語の舞台をブラジルに移した戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサウン』を映画化。劇中歌「カーニバルの朝(黒いオルフェ)」が有名な作品。

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映画『黒いオルフェ』の作品情報

黒いオルフェ

製作年:1959年
上映時間:107分
ジャンル:ラブストーリー
監督:マルセル・カミュ
キャスト:ブレノ・メロ、マルペッサ・ドーン、ルールデス・デ・オリヴェイラ、レア・ガルシア etc

映画『黒いオルフェ』の登場人物(キャスト)

オルフェ(ブレノ・メロ)
「太陽の王」。市電の運転手として働くギターの名手。恋人のミラから結婚を迫られるが、彼女の激しい束縛に嫌気がさしている。さらに、ミラの他にも複数の女性から言い寄られている。カーニバルの前日に出会ったユリディスと運命的な恋に落ち、ミラへ別れを告げようとする。
ユリディス(マルペッサ・ドーン)
ドクロの仮装をした謎の男に命を狙われ、従妹を頼ってカーニバル前日のリオへ逃げて来た。従妹の隣家に住むオルフェと距離を縮め彼と一緒になろうとするが、謎の男はリオにまで迫っていた。
ミラ(ルールデス・デ・オリヴェイラ)
「昼の女王」。オルフェの恋人だが、一方的な情熱と束縛が原因で彼を困惑させている。オルフェがユリディスに想いを寄せていると気付くと、嫉妬を剥き出しにし彼女を殺そうと考える。
セラフィナ(レア・ガルシア)
「夜の女王」。ユリディスの従姉妹でオルフェの隣人。命を狙われているというユリディスを匿う。彼女がオルフェへ恋をしていると気付き、ミラの詮索を躱しながら二人の恋を応援する。
ベネディット(ジョルジ・ドス・サントス)
オルフェやセラフィナが暮らす集落の子供。友人のゼッカと共にオルフェのギターに憧れている。ユリディスを気に入り、大切にしていたお守りを彼女へ手渡した。

映画『黒いオルフェ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『黒いオルフェ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『黒いオルフェ』のあらすじ【起】

カーニバルを翌日に控えたリオデジャネイロは、既にお祭りムードに染まっていた。そんな中、ユリディスは従姉妹のセラフィナを訪ねるため賑やかなリオの街を訪れていた。

市電の運転手であるオルフェは、一人で街を歩くユリディスを電車へ乗せた。その日が給料日だったオルフェは意気揚々と車両基地へ戻ったが、ユリディスは終点を過ぎても電車内に残っていた。オルフェは、従姉妹の家へ行きたいという彼女の案内を同僚のエルメスに任せ、自分を迎えに来たミラと共に役場へ向かった。

役場の婚姻係に結婚について尋ねたオルフェとミラだったが、係の男性は“オルフェ”という名前を聞くや「じゃ、花嫁はユリディスだ」とおどけた。ミラはオルフェの浮気を疑い激怒した。その後オルフェは、結婚指輪が欲しいと騒ぐミラを嗜め、翌日のカーニバルで使うギターを質屋から買い戻した。

セラフィナの家へ到着したユリディスは、村に見知らぬ男が来て自分を殺そうと追いかけ回すためリオへ逃げて来たと打ち明けた。再会を喜んだ二人は市場へ買い物に出掛けたが、道中出会ったベネディット少年はユリディスを気に入り、首に下げていたお守りを彼女へ渡した。

市場には、オルフェとミラも訪れていた。彼がミラに付きまとわれて困っていることを知っていたセラフィナは、彼女の気を引いてオルフェを逃がしてやった。

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映画『黒いオルフェ』のあらすじ【承】

一人帰宅したオルフェは、ようやくギターの練習を始めた。彼を待っていたベネディットとゼッカは演奏を聞かせて欲しいとせがみ、オルフェはカーニバルのために作った新曲「カーニバルの朝」を披露した。

隣家でオルフェの歌を聞いていたユリディスは、心地よい音色に聞き惚れた。そこへ、ミラや他の女性達が自分を探している声を聞いたオルフェが逃げ込んで来た。彼女と再会したオルフェは彼女の名前が“ユリディス”と知ると「僕らは恋人だ」と言い、翌日のカーニバルでの演奏を見に来るよう誘った。

その夜、ユリディスはベネディットから、ミラがオルフェの婚約者だと聞かされ困惑した。一方のオルフェは、セラフィナにユリディスの衣装を作るよう頼んだ。彼が心からユリディスを愛していると見抜いたセラフィナは、二人の恋を応援しようと決めた。しかし、そこへゼッカが駆けつけ、ドクロの仮装をした男がユリディスを探し回っていると報告。セラフィナとオルフェをはじめ、集落全体で彼女を匿おうとしたが、パニックを起こしたユリディスは夜道へ飛び出してしまった。ミラは、ユリディスを追おうとするオルフェを止めたが、彼は一切聞く耳を持たなかった。

集落の外れを逃げ惑うユリディスは、遂にドクロの男に追い詰められてしまった。彼女を追っていたオルフェは二人の間に割って入り、ユリディスは恐怖と安心から気を失ってしまった。オルフェと睨み合うドクロの男は、「女は預ける」と言い残し彼らの前から去った。

オルフェに抱えられ彼の家へ戻ったユリディスは、意識を取り戻し彼と体を重ねた。

映画『黒いオルフェ』のあらすじ【転】

カーニバル当日の朝、ベネディットとゼッカは、オルフェのギターと共に昇る朝日を見て喜んだ。衣装に着替えて準備していたセラフィナは、オルフェとユリディスを探して歩くミラの声に気付くと、ユリディスの顔をベールで覆い自分のフリをさせて逃がしてやった。ベネディットだけは、自分のお守りを首から下げている彼女をユリディスだと見抜いていた。一方のミラは、オルフェに詰め寄り「あの娘が付きまとったら殺してやる」と怒鳴った。

夜を迎えたリオの街は、多くの人の熱気に溢れ返っていた。オルフェを筆頭に彼らの集落のダンスが始まると、ミラはオルフェに近付き「愛してる?」と迫ったが、彼は答えなかった。

ダンスの最中、セラフィナのフリをしたユリディスがオルフェに近付くと、彼女のお守りが地に落ちて壊れてしまった。ミラはユリディスに気が付くと殺意を剥き出しにして襲い掛かり、さらに、人混みからユリディスを探していたドクロの男は、ミラから逃げる彼女に気付き後を追った。

逃げるユリディスを見掛けたエルメスは、オルフェを呼んで来るから車庫へ行きなさいと言い彼女を逃がした。しかし、ドクロの男は彼女の背後に迫っており、ユリディスは無人の真っ暗な車庫で追い詰められてしまった。エルメスに呼ばれ駆け付けたオルフェだったが、逃げ場を失い電線にしがみ付いていたユリディスの声を聞くと、居場所を確かめようと明かりを点けるためブレーカーを上げてしまった。その瞬間、感電したユリディスは地面に叩き付けられた。

映画『黒いオルフェ』の結末・ラスト(ネタバレ)

オルフェと対峙したドクロの男は、「ユリディスはもう俺のものだ」と言い彼を昏倒させると、ユリディスを乗せた救急車に飛び乗り姿を消した。目を覚ましたオルフェは、エルメスからユリディスが死んだことを告げられたが、信じずに病院へ向かった。

オルフェは、病院の中でユリディスの衣装の切れ端を見つけ院内を探し回ったが、遂に彼女を見つけることはできなかった。彼は病院を出て警察署へ向かったが、中にいた清掃員の男は、行方不明者は見つからないとオルフェに忠告した。落胆するオルフェを見た清掃員は、彼を警察署の隣にある聖堂へと連れて行った。

聖堂の中では交霊術が行われており、清掃員から「ユリディスの魂を呼べ」と言われたオルフェは必死に祈った。すると、背後からユリディスの声が聞こえた。オルフェは振り返ろうとしたが、ユリディスは「振り向いてはダメよ」と言う。彼女の制止を聞かず振り返ったオルフェは、老婆の口からユリディスの声がするのを見てしまい、老婆は「永遠のお別れよ」と言うと本来の声に戻った。

聖堂を飛び出し倒れ込んだオルフェの元へ、エルメスとベネディットが駆け寄った。エルメスはユリディスの遺体が安置されている場所を彼に教え、オルフェは今度こそ彼女に会いに向かった。

ユリディスの遺体を引き取ったオルフェは、彼女を抱いて家路についた。すると、ミラがオルフェの家に火を点け怒り狂っているのが見えた。こちらに向かって来るミラを見て後ずさりしたオルフェは、足を踏み外し崖から転落、ユリディスと並んで崖下で絶命した。

ベネディットは、ゼッカと二人でオルフェのギターを持ち出し、ギターの音と共に太陽を昇らせた。

映画『黒いオルフェ』の感想・評価・レビュー

楽曲としての「黒いオルフェ」は椎名林檎の『唄ひ手冥利 其ノ弐(2002)』で聞き知っていたが、恥ずかしながら映画は初めて観た。美しい名曲だけでなく、発展する文明と現存する文化とのギャップがエモーショナルな光景を見せていて衝撃を受けた。

ドクロの仮装をした男は救急車に乗って消えたことから死神だったとは思うが、ユリディスやオルフェだけでなく、カーニバルに来ていた人間にも姿が見えていることから、本当にユリディスを恋い慕う生身の男なのではないかと思った。その点だけが少し困惑した。(MIHOシネマ編集部)


想像していたストーリーと全く違う展開だったので、別の作品を鑑賞してしまったかと思うほどでした。
リオのカーニバルで起きた悲しい恋。ものすごいサンバを見せてもらいました。
リオのカーニバルの季節になると、男女ともに開放的になり、10か月後の出生率が跳ね上がるのだとか。そんな伝統的なイベントの裏には様々な恋模様があるのでしょう。
他人から見れば呆れてしまうような恋ですが、その情熱的な雰囲気はカーニバルを味わった人達にしか分からないのだと思います。
なんとも不思議な気持ちになる作品でした。(女性 30代)

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