映画『ラスト・クリスマス(2019)』の概要:クリスマスソングの定番、ワム!の「ラスト・クリスマス」をモチーフに展開したロマンチック・コメディ。夢を追いながら乱れた生活を送る女性が、不思議な青年と出会い自分を変えていくまでを追う。
映画『ラスト・クリスマス』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ポール・フェイグ
キャスト:エミリア・クラーク、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、エマ・トンプソン etc
映画『ラスト・クリスマス』の登場人物(キャスト)
- ケイト(エミリア・クラーク)
- 歌手を夢見ていた女性。クリスマスグッズのお店でバイトしながらオーディションを受け続けるがうまくいかず、夢を見失い始めている。家族とも関係が悪く悩みが尽きない。
- トム(ヘンリー・ゴールディング)
- うだつの上がらない日々を送るケイトの前に突如現れた男性。本名も仕事も不明な男性だが、ケイトの心にそっと寄り添ってくれる存在。
映画『ラスト・クリスマス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ラスト・クリスマス』のあらすじ【起】
1999年、ユーゴスラビア。教会でのゴスペルでソロを任されたケイト。家族の応援もあり歌手を夢見て少女時代を過ごしたが、いつの間にか「夢を追うこと」に必死になる日々に追われていく。
2017年、友人に追い出され宿を失ったある夜バーで一人の男性と出会う。一晩泊めてもらったケイトだが、翌朝には恋人と鉢合わせてしまい散々な一日の始まりとなるのだった。
クリスマスのグッズショップで働くケイトは、泊めてくれる友達を探すことで必死になり仕事に身が入らない。母親からの執拗な連絡にもうんざりする中、店の外で空を見上げる男性を見かけ声をかけた。珍しい鳥がいると言う男性が指さす先を見上げたケイトは、鳥に糞をかけられ気分を害すのだった。
オーディションの時間を忘れ、急いで店を出たケイト。審査員から散々なことを言われ気を落としながら店に戻ろうとしたケイトは、再び鳥を見ていた男性と出会う。トムと名乗る男性は、一緒に歩きながらロンドンの町でこれまで気づくことのなかったポイントを教えてくれる。楽しい時間を過ごしたケイトは、携帯を持っていないトムと翌日も店で会う約束をするのだった。
映画『ラスト・クリスマス』のあらすじ【承】
トムと別れたケイトは、昔からの友人夫婦の家に泊めてもらうことになった。友人の夫は自分勝手なケイトの振る舞いに呆れかえっていた。夜遅くに出掛けたケイトは朝帰りの末に、夫の趣味の紙細工まで壊してしまい家を追い出されてしまった。
職場へ向かったケイトは悲惨の状態の店を目の当たりにする。急いでオーディションに向かったとき、ケイトは鍵をかけ忘れ泥棒に入られてしまったのだ。オーナーからも愛想をつかされ気を落とすケイト。そこへ約束通りトムが現れるが、強がるケイトの姿に呆れかえってしまうのだった。
仕方なく母親の待つ自宅へと戻ったケイト。過保護な母親に飽き飽きとするケイトは夜にこっそりと抜け出し職場へと向かった。偶然にもトムが通りかかり二人はクリスマスツリーに飾りつけしながら身の話を始めた。
ユーゴスラビアの内戦から逃げるために一家でロンドンへ来たケイト。トムはケイトのどんな話でも聞き、アドバイスをくれた。気持ちが上がらないケイトのために夜のスケート場へと案内し、二人きりの時間を楽しませてくれるのだった。
映画『ラスト・クリスマス』のあらすじ【転】
うだつが上がらない日々に目線を落として過ごしていたケイトだが、トムと出会い少しだけ周りが見えるようになった。店長の恋のアシストもするようになり、二人の関係は少しだけ改善される。
ケイトが好意を持ち始めた矢先、トムは店に会いに来てくれなくなってしまった。ホームレスのシェルターでボランティアをしていると聞いていたケイトは、トムを探しに出向くが誰もトムのことを知らなかった。
帰宅したケイトは、姉の昇進祝いに遅れて参加するも喧嘩になってしまう。家族がバラバラになっていることに耐えられないケイトは再びトムを探しに街に出た。偶然にも自転車で通りかかったトム。落ち込んだ様子のケイトを自宅へ招くのだった。
ケイトは実は心臓移植を受けた過去がある。トムへ心を許し「普通」でいることへの悩みを明かす。トムはケイトをベッドへ案内するが、子守唄を歌って寝かしつけようとするだけだった。これまで知り合った男性とは違うことに戸惑うケイトは、愛されていないのではないかと不安を抱く。
映画『ラスト・クリスマス』の結末・ラスト(ネタバレ)
まずは自分のできることをやってみようと思い立ったケイト。路上で歌を披露し、稼いだチップをホームレスのシェルターに貢献することにした。最初は信用してくれなかったシェルターの代表も、次第にケイトの熱意に応えてくれるようになるのだった。
しばらくして、ケイトはトムと再会した。しかしトムは「僕に頼るな」とケイトを突き放した。傷ついたケイトはすぐにその場を去るのだった。
今までよりも周りに気を使えるようになったケイト。バスで同胞の夫婦が蔑まれたところを見てしまい、咄嗟に優しい言葉をかけた。喧嘩ばかりの姉や理解しあえなかった母やとも和解し一つずつ問題を解決していった。
再びトムに会い、お礼を言いたいと思ったケイト。トムの家を訪ねたがそこでは不動産業者が内見の客を待っていた。1年以上空き家だというこの部屋に住んでいたトムは、実は交通事故で亡くなっていた。
事故のことを調べたケイトは、自分の心臓移植のドナーがトムだと知る。過ごした時間を思い返すケイトの前再び現れたトムは、「上を向いて」と言い残し去っていった。
後日、シェルターでチャリティーコンサートを開催したケイト。生きていることの幸せを言葉にして伝え、「ラスト・クリスマス」を歌い上げるのだった。
映画『ラスト・クリスマス』の感想・評価・レビュー
クリスマスシーズンのロンドンを舞台に、愛情だけではなく人生について見直すきっかけをくれる一作であった。ただの恋愛物語ではなく実にロマンチックなエンディングは印象的な展開である。気になることがあると仕事に身が入らないというのは、どんな人でも経験があるはず。乱れた日常から踏みとどまり、違う道を選ぶというのはとても体力がいることだが、今作はとてもポップに解決への道筋を照らしてくれるようだった。(MIHOシネマ編集部)
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