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映画『軍中楽園』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『軍中楽園』の概要:中華人民共和国建国後、台湾との間に位置する金門島には公然の秘密として扱われ続けた831という娼館があった。2国間の関係が緊迫状態にある中で、不条理な運命に巻き込まれた人々を追う一作。

映画『軍中楽園』の作品情報

軍中楽園

製作年:2014年
上映時間:133分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ニウ・チェンザー
キャスト:イーサン・ルアン、レジーナ・ワン、チェン・ジェンビン、チェン・イーハン etc

映画『軍中楽園』の登場人物(キャスト)

ルオ・バオタイ(イーサン・ルアイ)
エリート部隊である「海龍蛙兵」に配属されたが、泳げないことが発覚し831部隊に転属させられた青年。徴兵前に結婚を約束している女性がいるため、娼館での出来事に目を疑うほど純朴である。
ニーニー(レジーナ・ワン)
「軍中楽園」と呼ばれる慰安施設で娼婦として働く女性。美しい美貌で、1日一人の客しかとらないことから、高嶺の花として敬われている。過去に大きな秘密があり、バオタイにだけ明かしていく。
ラオジャン(チェン・ジェンビン)
海龍蛙兵の士官長であり、バオタイの指導官。厳しい指導で有名であったが、実は母親思いの男。若いころに生き別れた母親をずっと探しており、ある娼婦に夢中になってしまう。

映画『軍中楽園』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『軍中楽園』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『軍中楽園』のあらすじ【起】

毛沢東により建国された中華人民共和国。一方で台湾へ追放された者たちは大陸からの砲弾に備え徴兵し、金門島に青年兵のエリート部隊である「海龍蛙兵」を作り上げた。厳しい上官の監視の元、鍛え上げられる青年たちはいつも女性のことで頭がいっぱいである。ルオ・バオタイもその一人であったが、「831」と呼ばれる娼館に出向くのには抵抗があった。

ある日、バオタイはカナヅチであることが原因で海龍蛙兵から831部隊への転属が決まった。そこにはそれぞれに事情を抱えた女性が軍隊専用の娼婦として働いているのである。結婚の約束をした相手がいるバオタイは、純潔を守ろうと決めていたため絶えず客が来ることに驚きを隠せなかった。「軍中楽園」と呼ばれる831には謎めいた娼婦・ニーニーも務めていた。初日の夜、ニーニーの鼻歌を聞いたバオタイはどこか懐かしさに包まれるのだった。

ニーニーは最初の客に金を渡し、時間の許す限り一人の相手だけをすることで有名だった。他の娼婦たちとは違い、どの客からも一目を置かれる存在のニーニーにバオタイは興味を持ち始めていた。

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映画『軍中楽園』のあらすじ【承】

幼馴染のホワシンが831へ来ていることに気付いたバオタイ。補給部隊にいるホワシンは慣れない環境と先輩たちからの嫌がらせに心が折れる寸前であった。また、海龍蛙兵のときからバオタイを気にかけていた士官長のラオジャンも、金策に失敗し行き詰まった時にはバオタイに会いに来るのだった。

突如831へ来たラオジャンは母親との最後の思い出を語りだした。初めて見るラオジャンの切ない表情に、バオタイはただただ寄り添うのだった。その夜、バオタイはニーニーの部屋の電球を替えに行った。ニーニーがいつも口ずさんでいる歌を教えてもらったことを機に、毎晩のようにニーニーの合図を受け部屋で話すようになるのだった。

慌ただしい毎日を送るバオタイの元に、恋人から別れを告げる手紙が届いた。気を落としたバオタイはすぐにニーニーに会いに行き話を聞いてもらう。その日が誕生日のバオタイは、ニーニーが身に着けているものを欲しいとねだった。その時、ニーニーに思いを寄せる人がいると知るのだった。

映画『軍中楽園』のあらすじ【転】

ある日、娼婦のシャシャが逃げ出してしまった。シャシャはホワシンが気にかけていた女性である。バオタイの悪い予感は当たり、ホワシンはシャシャを連れ逃走していた。先輩と口裏を合わせ、このことは隠し通すと決めたバオタイ。その後、バオタイは娼婦たちが刑務所での刑期を軽くするために831へやってきていることを知るのだった。

唯一外出が許される海へのレクリエーションの日。刑期を抱えている娼婦たちは831部隊の監視員と手錠で繋がれたままだった。ニーニーもまたその一人である。トイレに立つふりをして抜け出したニーニーは、隠れて愛する息子へと連絡を取っていた。その様子を見ていたバオタイは、その夜ニーニーからの呼びかけに応えることができなかったのである。

バオタイの娼婦たちへの不信感は募るばかりである。ある日夢中になっているアジャオが妊娠してしまい、ラオジャンは831に籠るようになった。ラオジャンが豪勢な食事を振る舞った夜、バオタイとニーニーは久しぶりに二人きりになった。ニーニーは駆け落ち同然で結婚した相手から暴力を受けていたという。逃げ場のないニーニーは息子を連れて家に火を放ったのだ。バオタイ少しでも減刑してもらい早く息子に会うために831にいるというニーニーの事情を知るのだった。

映画『軍中楽園』の結末・ラスト(ネタバレ)

ラオジャンはアジャオとの結婚を決意し、退役を志願した。しかしアジャオは妊娠などしていなかったのだ。惨めに感じたバオタイは思わずラオジャンに真相を明かしてしまった。怒りを覚えたラオジャンは結婚資金をかき集めアジャオの元へ駆けつけるも、欲しかった返答はもらえなかった。悲しみからアジャオを殺めてしまったラオジャン。バオタイが駆けつけた時にはアジャオの亡骸が横たわっていた。

ラオジャンの荷物を代わりに受け取ったバオタイだが、故郷へ届けることもできずただ途方に暮れた。葛藤するバオタイの姿をずっと寄り添って見守ったニーニーは、帰宅辞令が出た夜ついにキスをしてしまった。しかし、ニーニーの想いを拒絶してしまったバオタイ。二人は言葉を交わすことなく離れるのだった。

ニーニーが残したギターを手に、任務に没頭するバオタイ。一人の子供が生まれ、娼館は賑やかになった。ニーニーに思いをはせ、当てのない手紙を書くバオタイは結婚が決まり「軍中楽園」を後にすることとなるのだった。

そして、1990年。人権を問われ「軍中楽園」は廃止されるのだった。

映画『軍中楽園』の感想・評価・レビュー

生と死の狭間に置かれた男たちと事情を抱えた女たちの関係。いかにも男女であることには変わりないが、今作はあえて男女の交わりを艶やかには描いていない。倫理を越え、運命と環境に翻弄された者たちの愛憎をきっちりと描くためなのだろう。要塞化されていた金門島の最前線をセット化したという今作。ニウ・チェンザー監督の意思に賛同した巨匠ホウ・シャオシェンの協力があり完成したと知ると、実在しながら隠し続けられていた「軍中楽園」という存在の悲痛さが身に染みるようだ。(MIHOシネマ編集部)

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