映画『ラストキング・オブ・スコットランド』の概要:ウガンダに流れ着いた青年医師が見た、大統領は恐ろしい独裁者だった…。実在したウガンダの独裁者を架空の医師の視点から描くサスペンススリラーをジェームス・マカヴォイが演じる。
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:125分
- ジャンル:サスペンス、歴史
- 監督:ケヴィン・マクドナルド
- キャスト:フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、ジリアン・アンダーソン etc
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映画『ラストキング・オブ・スコットランド』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』のあらすじを紹介します。
時は’70年代初頭。
医大を卒業し、バックパッカー同然でウガンダに来たニコラス(ジェームス・マカヴォイ)は、大統領アミン(フォレスト・ウィテカー)の捻挫を治した事から彼の主治医に抜擢され驚く。
アミンは、元ヘビー級ボクシングチャンピオンにして軍人。クーデターを起して大統領になった人物だった。
ニコラスが自分の暗殺を未遂に防いでくれただけでなく、アミンの息子の持病に対しても気を配ってくれたので、アミンは彼を単なる医師としてでなく、ご意見番として、その地位を上げようとしていた。
英国の外交官は、アミンは独裁者で、自らに歯向かう者は、闇に葬っている事実や、クーデターに乗じた蛮行をしているとニコラスに伝えるが、彼は聞く耳すら持たない。
暫くの間は、ウガンダで優遇されている自分の地位に甘んじていたニコラスだが、次第に自分の周りに意見するものが居なくなり、おかしいと感じ始めた。
ニコラスが、身の上の危機を感じた時は既に遅かった。
パスポートは、いつの間にか没収され、ウガンダのパスポートを発行され、出国禁止令が出されていたのだ。
アミンの独裁の恐ろしさに気がついたニコラスが、帰国できる術はあるのだろうか…。
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
何故、アミンとニコラスは離れられなかったのか
これ程まで危険な独裁者ならば、最初に怪我を治した時点で、患者と医師という心理的距離を保ち、後は外交官任せにして帰国するのが医師の卵が心がけるべき所であろう。
しかしニコラスにはそれが出来なかった。
それはアミンが『スコットランドかぶれ』だった事にある。
アミンはニコラスに対して『自分こそ最後のスコットランド王だ』と嘯く程、まだみぬ土地スコットランドに心酔していた。
この映画の原作はジャイルズ・フォールズデンの『スコットランドの黒い王様』だが、こちらにアミンとニコラスの心理的描写は映画よりも色濃く描かれている。
おそらくニコラスは、厳格すぎる父親から逃げるようにウガンダに来たニコラスは、アミンという別の友であり父親を見つけ慕いはじめる。
だが最終的に彼は、アミンのおぞましさに気づき、彼のもとからはなれなければいけなくなる。
これをスコットランド人のルーツをもつジェームス・マカヴォイが演じている事が興味深い。
アミンがみせたニコラスへの執着
アミンは、ニコラスのパスポートを取り上げ自分の傍に置くという執着心まで見せる。
執着心という名の炎に油を注ぐ事となったのが、ニコラスがアミンの第三夫人ケイと関係を持ってしまった事だ。
ケイはアミンの逆鱗に触れ、惨殺されてしまう。
ニコラスも皮一枚剥がれるかという拷問を受けるが、彼の前にアミンの主治医をしていた黒人医師ジュンシュの手により命を助けられる。
その時のセリフが、今のアフリカの現状を物語っている。
ウガンダ国民はニコラスをどう思っていたか
お前のやった事は、この国の殆どの人間が許しているわけではない。しかしこの国の人間はあの大統領にうんざりしている。
だが国民がその現状を外の人間に伝えようとした所で誰も信じるわけがない。
だがお前は別だ。何故なら白人で上流階級のものだから。
この国で起きた現状をお前が伝えれば、世の中の人間は信じるはずだろうと。
そしてニコラスは、ウガンダに到着したハイジャッカーに紛れ逃げていく。
ジュンシュは、ニコラスを国外に逃がした為に殺される。
映画『ラストキング・オブ・スコットランド』 まとめ
実在の人物に対して、客観的視点を加えるという点で、架空の人物を付け足すこの映画は、ある意味成功作といえる。
ジェームス・マカヴォイが演じた医師は、実の父を疎ましく思い、フォレスト・ウィテカー演じるアミンに理想の父親像を求める。
それが裏切られる形となり、必死で逃げる過程で、彼は、アミンが父親代わりではなく独裁者だったという現実問題にぶち当たる事となる。
この過程を、政治問題に詳しい監督ケヴィン・マクドナルドが巧く纏めている点が、素晴らしい。
優男の役が多かったマカヴォイが、この作品をきっかけに硬派な役も回ってきたと思う。
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