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映画『欲望のバージニア』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『欲望のバージニア』の概要:1931年、フランクリン。ボンデュラント3兄弟は密造酒を造って生計を立てていた。ボンデュラント3兄弟は、不死身の兄弟として町人から恐れられていた。だが、末っ子のジャックは兄達とは違い、喧嘩が苦手な普通の男の子だった。

映画『欲望のバージニア』の作品情報

欲望のバージニア

製作年:2012年
上映時間:116分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ジョン・ヒルコート
キャスト:シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカ etc

映画『欲望のバージニア』の登場人物(キャスト)

ジャック・ボンデュラント(シャイア・ラブーフ)
ボンデュラント3兄弟の末っ子。喧嘩に強く、なんでもできる兄達に嫉妬心を抱いている。
フォレスト・ボンデュラント(トム・ハーディ)
ボンデュラント3兄弟の次男。喧嘩が強く、寡黙で無骨な男性。全米を襲ったスペイン風邪に罹り、両親は亡くなってしまうが、フォレストは1人生き残った。
ハワード・ボンデュラント(ジェイソン・クラーク)
ボンデュラント3兄弟の長男。弟思いの優しい人物だが、酒癖は悪く、暴れ回ってしまう。
チャーリー・レイクス(ガイ・ピアース)
シカゴからフランクリンにやって来た、取締局の新任の特別補佐官。田舎者だとフランクリンに住む住民達を馬鹿にしている。裏取引や殺人も平気で行い、フランクリンの町で好き勝手に振る舞う。自分の言うことを聞かないフォレストに不満を抱き、ボンデュラント3兄弟を目の敵にする。
マギー・ボーフォード (ジェシカ・チャステイン)
シカゴではクラブで踊り子として働いていた。街の男達に嫌気がさし、バージニア州・フランクリンにやって来た。
バーサ・ミニクス(ミア・ワシコウスカ)
牧師の娘。真面目な性格。必死に口説いてくるジャックに絆される。
クリケット・ペイト(デイン・デハーン)
ジャックの友人。手先が器用で、車を修理したり、蒸溜器を製作したりしている。足が悪い。
フロイド・バナー(ゲイリー・オールドマン)
ギャングのボス。殺人3件で指名手配を受けている。
ヘンリー・アブシャイア保安官補(リュー・テンプル)
バージニア州・フランクリンの保安官。

映画『欲望のバージニア』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『欲望のバージニア』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『欲望のバージニア』のあらすじ【起】

これは実話に基づいた物語である。

世界大戦のとき、ハワード・ボンデュラントは1個大隊全員が海に沈んでいくのを見た。生存者はハワードだけで、その日から酒に溺れ暴れるようになった。同じ年、次男のフォレスト・ボンデュラントは、全米を襲ったスペイン風邪に倒れた。両親は死んだが、フォレストは1人生き残った。その時フォレストは、“俺達兄弟は死なない”と確信した。

1920年は危険な時代だった。禁酒法が施工され、表向きは酒の販売が禁じられた。末っ子のジャック・ボンデュラントを含めた3兄弟は、酒の密造者だった。兄弟が住んでいたフランクリンは、世界一酒の密造が盛んな土地だった。車で山の向こうの都会に酒を運ぶのだが、街はギャングの抗争も激しく、犯罪が多発していた。

1931年。ハワードとフォレストは、ジャックに車を見張るよう言いつけ、葬式に酒を運び入れた。葬式の参列者達は既にお酒を飲んでおり、酔っ払って大騒ぎをしていた。ジャックは見張りを止めて、壁についていた格子からその様子を見ていた。しかし、突然男に刃物を突きつけられ、金を出せと脅される。外に出てきたフォレストは男に気づき、一撃で倒した。

ジャック達の元に、店の手伝いを募集していると聞きつけたマギー・ボーフォードが訪ねてくる。マギーが余りにも洗礼された女性だったため、フォレストはなぜ田舎町に来たのか尋ねた。マギーは静かに暮らしたかったのだと言葉少なに答えた。フォレストは答えを聞き、マギーを雇うことにした。

ギャングのフロイド・バナーが取締局の男を射殺した。ジャックはそれを間近で見ており、友人のクリケットの元に行って興奮気味に話した。そして、拾ってきた薬莢をプレゼントした。その時、クリケットの家から煙が出てくるのが見えた。クリケットは地下で酒を造っており、家の蛇口を捻ると酒が出てくるように改造していた。

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映画『欲望のバージニア』のあらすじ【承】

アブシャイア保安官補がフォレストの元に、新任の特別補佐官であるチャーリーと、州の検察官のメイソン・ワーデルを連れてやって来た。チャーリー達はフォレストに、裏取引を持ち掛けてきた。だが、フォレストはチャーリーの不遜な態度が気に入らなかった。しかも、チャーリーは店先で作業をしていたマギーに興味を持っている様子だった。フォレストはアブシャイア保安官補に止められて怒りを抑えるが、ワーデルに二度とチャーリーを連れてくるなと伝えた。

チャーリーが銃を持ってクリケットの家に入ってきた。そして、蒸溜器と酒と金の場所を教えろとクリケットを脅した。そこにジャックが現れ、クリケットは知らないと庇った。チャーリーはフォレストのことが気に入らないため、弟のジャックを銃や手で殴って痛めつけた。ジャックはただ止めてくれと叫ぶことしかできなかった。

ジャックは1人で商売がしたかったため、フォレストにそのことを訴えた。だが、フォレストは殴られたことに対して自分で仕返しもできない根性では、1人で商売などできないと考えていた。ジャックは兄達のように屈強ではないと言い訳をするが、フォレストはひるまずに立ち向かう意思を持てと諭した。そして、ボンデュラント兄弟が生き残っているのは、恐怖を制するからだと教えた。ジャックは悔し涙を噛みしめて堪えた。

チャーリーの使い走りである保安官達が現れ、フォレストを違法行為で逮捕すると脅してきた。ハワードは弟を守るため、保安官達を殴って倒した。

映画『欲望のバージニア』のあらすじ【転】

チャーリーはホテルに帰ってきたマギーに声を掛けた。マギーがシカゴのクラブで、踊り子として働いていたのを見たことがあったのだ。マギーは何も言わず、どこか怯えた様子で部屋の中へ入った。チャーリーは心配しなくても“汚れた女”には手を出さないと皮肉った。

ジャックは父のスーツに着替えて、気になっていた女性(バーサ)をドライブに誘った。だが、あっさりと断られてしまう。ボンデュラント兄弟はよくない噂ばかりだったため、バーサは関わり合いになる気はなかった。だが、バーサはジャックとの会話をどこか楽しんでいる様子だった。

フォレストがレストランの店内に顔を出すと、マギーと男が刃物を持って揉み合いになっていた。フォレストは男達をやっつけ、店の外に追い出した。そして、マギーに帰宅を勧めた。フォレストは車に乗って出かけようとするが、先程の男達に襲われ首を切られてしまう。マギーは引き返してフォレストに会おうとするが、店内で先程の男達に襲われ乱暴されてしまう。

マギーは入院しているフォレストに会いに行き、出て行くことを告げた。そして、シカゴの街からも、同じような男達の元から逃げてきたことを話した。フォレストはマギーのせいじゃないと慰め、昨日の男達は危険だからハワード達の傍にいることを勧めた。そして、俺達が守るからと声を掛けた。マギーはただ静かに涙を流した。

ジャックは兄達に内緒で、クリケットと共に酒の取引に向かった。だが、男達は取引するつもりはなかった。ジャックとクリケットを穴の中に落とし、フロイドが撃つよう男達に指示を出した。ジャックはその瞬間、自分がボンデュラントの人間であることを叫んだ。フロイドは今回の件を秘密にする代わりに、ジャックと酒の取引を行った。検察官に抵抗しているボンデュラント家に尊敬の念を抱いていたのだ。酒の取引が決まった後、フロイドはフォレストを襲った男達が元部下で、現在チャーリーに雇われていることを教えた。フォレストはジャックから話を聞き、ハワード共に男達を襲いに行った。そして、男達のペニスをチャーリーに届けるよう、ジャックに指示を出した。

映画『欲望のバージニア』の結末・ラスト(ネタバレ)

ハワードとジャック、クリケットで大型蒸溜器を4つ造った。それは、フランクリン郡最大規模だった。ハワード達はそれを森の奥に隠した。他の密造者達はワーデルに屈していき、ボンデュラントの従兄が最後まで抵抗した。だが、チャーリーの餌食になり、拷問された。最終的に残ったのは、ボンデュラント兄弟だけだった。

フォレストはマギーのことを見ているだけで手を出さなかった。痺れを切らしたマギーが裸のままフォレストのベッドに入った。フォレスト達はそのまま体を求め合い、眠った。

ジャックはバーサとドライブに出かけた。そして、途中で綺麗なドレスをプレゼントした。バーサは着ていくところがないと戸惑うが、ジャックに勧められるままその場で着替えた。ジャックはドレスを着たバーサの美しさに、言葉が出ないほど衝撃を受けた。そして、バーサを森に隠した蒸溜所の場所まで案内した。ジャックは気付いていなかったが、チャーリー達が後をつけていた。

ハワードは小屋の外で、チャーリー達が蒸溜所の隠し場所に向かうのを見ていた。クリケットがジャックに、取締局が来たことを教えた。ジャックはクリケットとバーサを急いで逃がし、銃を掴んで物陰に隠れた。そこに、ハワードが現れ、チャーリーを殴りつけた。ジャックはチャーリーに銃を向けるが引き金を引くことはできず、顔を足で踏みつけた。そこに、他の取締局の人がやって来てしまう。ジャック達は急いでその場を逃げ出した。しかし、森に隠れていたバーサとクリケットが見つかってしまう。バーサは家に帰されるが、クリケットはチャーリーに殺されてしまう。

蒸溜所も爆破され、車も押収されてしまう。フォレストはジャックを叱りつけた。険悪な雰囲気になるが、そこにクリケットの死を知らせに来たハワードが現れる。ジャックは友人の死を悲しみ泣きじゃくった。

ジャックがチャーリーに復讐するため、クリケットの車に乗って出掛けて行った。ハワードとフォレストは慌てて後を追いかけようとする。だが、マギーはフォレストを引き留め、瀕死の状態のあなたを見るのはもう嫌だと伝えた。フォレストが喉を切り裂かれたとき、病院に運んだのはマギーだった。その時、フォレストはマギーが男達に乱暴されたことに気づき、怒りを滾らせた。

ジャックは銃を持ってチャーリーの元に向かっていくが、腹を撃たれてしまう。そこに、フォレスト達も現れ、保安官や取締局員達と激しい銃撃戦となる。フォレストはジャックを助けようとして、肩を撃たれてしまう。そこに、町民達も銃を持って参戦してきた。アブシャイア保安官補は場を収めるため、保安官達に撃つのを止めるように声を上げた。それでも、チャーリーが銃撃を止めようとしなかったため、足を撃って止めた。チャーリーは逃げながら銃を撃った。フォレストに数発の弾が当たってしまう。ジャックはチャーリーを追いかけて銃を撃ち、ハワードもジャックにナイフを刺して殺した。

1933年12月禁酒法が廃止され、フランクリン郡の密造酒商売も終わりを告げた。同じ年、ワーデルは汚職で逮捕された。2年後、ハワードは別の街に移り、織物工場に勤めた。そして結婚し、子供も生まれて幸せに暮らした。翌年、ジャックとバーサは結婚した。ジャックは父の牧場で牛を育て、煙草を栽培するようになった。橋で撃たれた後、フォレストは2週間ほど入院したが、無事退院してマギーと結婚した。

ジャックもフォレスト自身も“俺達兄弟は死なない”という言葉を信じていた。だが、フォレストは肺炎であっけなく亡くなってしまう。

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ①次男フォレストの危機

    兄弟たちをはじめとした密造酒業者は、地元の保安官に密造酒を定期的に渡し、持ちつもたれつの関係を長年保ってきた。
    そこにレイクスが現れ、高額な賄賂を要求。
    フォレストは、レイクスに、今までのやり方を通させて貰うと歯向かった所、レイクスの手下に喉を引き裂かれてしまう。

    ビジネスも腕っ節も無敵と言われたフォレストが不意打ちに遭った事で、他の密売業者はレイクスに従う様になる。

    ②兄と対照的な3男坊

    根気良く慎重に地元でビジネスをしてきた兄弟と違い、一発あてるべく危ない橋を渡ろうとするのが三男ジャック。実生活でも暴れん坊と言われているシャイア・ラブーフのそのままの姿でもある。
    ジャックは3つの州から指名手配を受けている闇酒市場のボス・フロイド(ゲイリー・オールドマン)相手にハッタリだけで取引をしようと目論む。
    最初のうちは何とかごまかせたものの、最後の方はボロが出て命を狙われそうになる。

    しかも片思いしているバーサを蒸留所につれて来た所をレイクスに後をつけられ、兄弟が守る蒸留所はレイクスの手により破壊されてしまう。
    思いあがりが強いジャックは、悉く兄弟のビジネスの足をひっぱり、ついにレイクスは密造酒の命ともいえる、州の境界線封鎖に乗り出す。

    ③無法地帯での正義のあり方とは

    レイクスの度をこした、嫌がらせは兄弟たちだけでなくマギーにも及ぶ。レイクスはかつてマギーが踊り子をしていた街でも住民を搾取していた。
    それだけに自分以外に被害が及ぶのが許せなかった。
    彼女は、フォレストがレイクスの手下に喉を掻っ切られた時に、本当は彼女が病院に連れて行ったのだが、『彼は根性で病院まで歩いていった』と街の者にいい、彼の不死身の兄弟の面子を保っていた。

    それだけでなく、州の境界線を封鎖し密造酒ビジネスを壊滅に追いやろうとするレイクスにに元保安官も立ち上がる。

    州の境界線で撃ち合いになる密造業者とレイクス側の保安官たち。
    だが、地元の保安官は、レイクスへの最後のとどめをあえてジャックにさせる。
    無法地帯での、正義のあり方は、地元への敬意という事が判るシーンでもある。

  2. 匿名 より:

    映画の原作は三男の孫が執筆していて、原作に手を加えた箇所は殆どないという。

    ヴァージニアでは、映画に出てくる兄弟たちはロックスターか神の様に扱われ、知らないものはいないのだそうだ。
    ラストは三男のジャックが、映画の語り部となり、その後平和が訪れ、禁酒法時代に終焉を迎えるまでのヴァージニアのその後を語っている。

    何といってもこの映画の魅力は、たった一人の独善的な官僚に立ち向かう不死身、不屈の兄弟たちの豪快な活躍ぶりではないだろうか。
    その中でも、落ち着き払った態度を示す、トム・ハーディの存在感は頼もしい。