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映画『レ・ミゼラブル(2012)』あらすじ&ネタバレ感想

ヴィクトル・ユゴーの小説を原作としたミュージカルの映画化作品。19世紀のフランスを舞台に、19年間の監獄生活を送った男の生涯を描く。主演は『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマン。

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映画『レ・ミゼラブル』 作品情報

  • 製作年:2012年
  • 上映時間:158分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:トム・フーパー
  • キャスト:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、アーロン・トベイト etc…

映画『レ・ミゼラブル』 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

映画『レ・ミゼラブル』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『レ・ミゼラブル(2012)』のあらすじを紹介します。

1本のパンを盗み20年間の刑を受けた男、ジャン・バルジャン。1815年、19年間の服役を終え仮出所した彼だが、身分証には危険人物の烙印が押されており、まともな職につけず食事もままならなかった。教会の前で倒れていたバルジャンを、司祭は温かく受け入れ寝床と食事を与える。しかしそんな優しさにも関わらずバルジャンは司祭の大切にしている銀の食器を盗み逃げ出してしまう。街の憲兵に捕らえられてしまうが、司祭は彼を兄弟であり食器は自分が与えたものだと庇う。さらに「正しい人になりなさい」とバルジャンに銀の蜀台を渡す。それまで生きる術を知らず憎しみしか覚えてこなかったバルジャンは自らを恥じ、身分証を破り捨ててしまう。「ジャン・バルジャン」ではなく違う人間として生まれ変わることを決意したのだった。
1823年、「マドレーヌ」と名乗り事業を興して成功したバルジャンはその功績と善良な人柄が評価され街の市長になっていた。ある日服役時代に面識のあるジャベール警部が、経営する工場へと署長就任の挨拶にやって来る。その場は切り抜けたが、脱獄犯のバルジャンを追っているジャベール警部に目をつけられてしまうのだった。
バルジャンとジャベールが話をしている最中、工場では女性同士の喧嘩争いが始まっていた。騒ぎを鎮めるよう工場長に命令したバルジャン。その命を受け、ファンティーヌという女性が解雇を言い渡されてしまう。幼い愛娘コゼットを育てなければならない未婚のファンティーヌは、売春婦となり娼婦街で働くようになった。そして客の男と揉める場面をジャベール警部に見られてしまい逮捕されそうになるが、バルジャンの口ぞえにより免れる。しかしバルジャンのせいで解雇になった、と逆恨みしているファンティーヌは憎しみをぶつけ唾を吐きかけるのだ。その事実を知ったバルジャンは彼女を病院に運び、自らの行いを悔いる。そしてコゼットを代わりに育てることを約束し、ファンティーヌはコゼットに会えぬまま病院のベッドで息を引き取る。
時は経ち1832年。約束通りコゼットを引き取り面倒を見るバルジャン。コゼットは美しい娘へと成長し、フランスの情勢下も革命や暴動が頻繁に多発する激しいものへと変化していた。そんな中、政府に対する学生運動を企てる青年マリウスは、街中で出会ったコゼットに一目ぼれ。コゼットを探し出してほしい、と仲間のエポニーヌに頼むが彼女はマリウスを愛しており、さらにかつてコゼットが幼い頃預けられていたのはエポニーヌの家だった。三角関係の恋の行方、政府と革命軍との戦い、そしてバルジャンとジャベールの攻防など様々な障害が、運命の日へと向かって動き出す…。

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映画『レ・ミゼラブル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『レ・ミゼラブル(2012)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

なぜ19年間も刑を受けたのか?

原作によれば、刑務所からの脱走を繰り返し、その度に刑期が加算されてしまったからです。理由は姉の子どもたちのためという愛に満ち溢れたものです。

ジャベールはなぜ自殺したのか?

他の登場人物は衰弱、革命軍の犠牲などで亡くなりますが、ジャベール警部は唯一自ら命を絶ちます。それはずばり自分の生きる意味を見失ったからです。法律と秩序に忠実で悪を憎むのが生きがいだったジャベール。脱獄犯であるバルジャン=悪と決めつけていたはずなのに、彼は自分の命を救ってくれたり他の市民の命も守る善良な人間へと更生している。彼に感謝せねばならない、しかし彼は悪人だ、という葛藤を経て、どうしてもバルジャンを許せないジャベールは自分の信念を曲げない代わりに死を選んだのだと思います。

ラストシーンの演出の意味

死んだジャン・バルジャンの魂は、司教に導かれファンティーヌやエポニーヌたちのいる天国へと導かれました。彼らは皆、それぞれの思いや志がありながらも果たすことができなかった、または自らを犠牲にしてここに辿り着いた人々です。そんな彼らが歌うのは「民衆の歌」という明日への未来に対し希望を持て、と奮い立たせる歌です。自分たちは死んでしまった、しかし希望を持つことを忘れてはいけない、と現世へ訴えかけているのではと思います。ちなみにジャベール警部がいないのは、自殺をしたからです。今作は「神の許し」というのが一つのテーマとなっており、無償の愛などキリスト教を思わせる描写が多々あります。キリスト教では自殺は最大の罪とされているので、恐らくジャベールは天国に行くことができなかったのです。


舞台でも有名なヴィクトル・ユーゴーの不朽の名作です。最初から画面に引き込まれ2時間半を超える大作にも関わらず、ずっと緊張感が途切れることなく物語の世界に入り込んでしまいます。俳優さんの演技力も非の打ちどころがなく、配役も他は想像できないほどぴったりです。時折、生の舞台を観ているかのような錯覚に陥るほど一時も目が離せません。特に、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイの演技は素晴らしく、観るたびに新しい発見があり、何度観ても心打たれます。映画館で観たらスタンディングオベーションをしたくなるような作品です。(女性 40代)


壮大なスケールのミュージカル映画。
ミュージカルというと、登場人物がいきなり歌い出す違和感の好き嫌いがあるが、この映画の場合はほぼずっと誰かが歌い通しということもあり、不思議なほど自然だ。時間も長めでストーリーも濃い目なのだが、歌が中心なおかげかさらっと観られる。一つの歌を色々な場所で色々な登場人物が歌うシーンなどは、映画ならではの演出でもあり圧巻。メインの「民衆の歌」は初見でも終演後メロディが頭に残るであろう名曲。キリスト教的宗教観を全て無視しても、歌の力で十分感動できる1本。(男性 40代)

映画『レ・ミゼラブル』 まとめ

アカデミー賞やゴールデングローブ賞などを受賞、ノミネートされただけあって壮大かつ俳優の演技が光る素晴らしい作品でした。ミュージカル映画というのは、普通の演技に加え突然歌い始めたりするので違和感を感じたり好みが分かれるジャンルかと思いますが、視覚だけでなく聴覚でも楽しめるのが魅力です。そして今作の場合、歌唱部分は口パクではなく撮影と同時に録音が行われたというから驚きです。映画のクオリティの高さが伺えます。
そして「レ・ミゼラブル」はフランス語で「哀れな人々」という意味なのですが、主要の登場人物たちが次々と報われずに亡くなっていく展開に涙が止まりませんでした。特にアン?ハサウェイ演じるファンティーヌが、自分はもう地獄に落ちて夢は戻らないという歌詞の「夢やぶれて」を歌うシーンは深く胸に突き刺さりました。ファンティーヌのやりきれない悲しみ、怒り、絶望が全て表現された名シーンだと思います。
またコゼットとマリウスは無事に結ばれますが、そのマリウスに恋をしていたエポニーヌは敵の攻撃から彼を庇って亡くなります。彼女の悲恋、しかしマリウスに笑顔でいて欲しいと願う純粋な恋心にもまた泣いてしまいました。
さらにバルジャンを執拗に追いかけるジャベール警部。まさか彼まで自殺してしまうとは思わなかったので、彼の信念がどれほど確固たるものでありそれを曲げられることが彼にとってどれほどの罪であったか、衝撃とともに言葉を失ってしまうほど伝わりました。
そしてマリウスとコゼットに看取られながら亡くなるバルジャン。死ぬ間際、自分を迎えに来たのはなんとファンティーヌ。彼女は工場を解雇された恨みでバルジャンを憎んでいましたが、コゼットを守るという約束を見事果たしたため彼を許してくれたのだと思います。だからこそ手を取り、司教にも導かれ、無事天国へと辿り着くことができました。長い年月をかけ、バルジャンは悪人から正しい人間、聖人として生涯を終えられたのです。

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