映画『リーサル・ウェポン』の概要:「リーサル・ウェポン」(原題:Lethal Weapon)は、1987年のアメリカ映画。監督は「スーパーマン」、「グーニーズ」のリチャード・ドナー。主演は「マッドマックス」シリーズのメル・ギブソン。共演には「刑事ジョン・ブック 目撃者」、「シルバラード」のダニー・グローヴァー。ゲイリー・ビジー、ミッチェル・ライアン、トム・アトキンスなど。
映画『リーサル・ウェポン』 作品情報
- 製作年:1987年
- 上映時間:110分
- ジャンル:アクション、サスペンス
- 監督:リチャード・ドナー
- キャスト:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ゲイリー・ビューシイ、ミッチェル・ライアン etc
映画『リーサル・ウェポン』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『リーサル・ウェポン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『リーサル・ウェポン』のあらすじを紹介します。
ロサンゼルスの高層アパートから娼婦のアマンダ(ジャッキー・スワンソン)が飛び降り自殺をする。50歳の誕生日を迎え、妻トリッシュ(ダーレン・ラヴ)、娘リアン(トレーシー・ウルフ)らに祝福されて家を出たロジャー・マートフ(ダニー・グローヴァー)刑事が捜査に当たる。自殺をしたアマンダが戦友の銀行家マイケル(トム・アトキンス)の娘と知り暗然とした気持ちになるロジャー。署に戻って、新しい相棒が自殺願望に苛まれる麻薬課から移ってきたマーティン・リッグス(メル・ギブソン)と知り、ロジャーはますます意気消沈する。マーティンは妻を交通事故で亡くし、目覚める度に拳銃を顔に向けていた。彼はある日、自殺志望者が飛び降りようとする現場のビルへ説得に向かったが、下の緩衝マットに二人して飛び降りロジャーを再び嘆かせた。一方でアマンダのパトロン宅を訪ね銃撃戦を展開し、暴走気味の捜査に周辺の空気は張り詰めてゆく。その夜、ロジャーはマーティンを家庭へ招きコミュニケーションを図ろうとするが、ロジャーの表情はどこかぎこちないままだった。
アマンダの自殺の件で裏を取ろうとしたロジャーは、友人のマイケルを問い詰め、ベトナム戦争当時の特殊部隊の一部メンバーが、マカリスター将軍(ミッチェル・ライアン)指揮のもとに大掛りなヘロインの密輸を行ない、マイケルの銀行を隠れ蓑にしていたことを聞き出すが、その途中に将軍の手下であるジョシュア(ゲイリー・ビジー)がヘリで襲撃しマイケルを射殺してしまう。その後マーティンはジョシュアに生命を狙われながら危うく助かるが、敵を欺くため殉死したと公的に発表する。そんな中、娘であるリアンが誘拐されてロジャーは砂漠に呼び出される。マーティンが隠れて将軍を狙撃しようとするが逆に捕まってしまい、マイケルからどこまで真相を聞いたか拷問される。しかしマーティンは僅かな隙を突いて反撃に転じた。ロジャーは将軍の車を追って狙撃し、車はバスに激突し手榴弾が爆発し将軍は焼死した。車で逃げ出したジョシュアをマーティンが追走するが間一髪で逃げられてしまう。そこから彼はロジャーの家に急ぐが、そこに現れたジョシュアとの死闘の末に勝利を収めた、しかし倒されたジョシュアは、警官の銃を抜き取りマーティンとロジャーを狙うが、その一瞬前に二人は共に銃を抜きジョシュアを射殺する。事件が解決した夜、クリスマスをロジャーの家で過ごしたマーティンはようやく笑顔を見せた。
映画『リーサル・ウェポン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『リーサル・ウェポン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
斬新なスタイルを展開したバディームービーの刑事アクション
「マッド・マックス」のキャラクターとはイメージを一新した、メル・ギブソンのフレッシュな演技が魅力である。マッド・マックスではアクションがカースタント的なところを中心にされていたが、本作では走ったり格闘したりと肉体を駆使した暴走振りが気持ちよい。キレのある動きとバイタリティ、野性味溢れるキャラクターが独特の個性を放っている。相棒のマータフ刑事(ダニー・グローヴァー)が何ともいい味を出しており、文句を言いながらもリッグスのやり方に合わせて行く器の大きさが魅力的である。奥さんの料理の不味さに不満をこぼしながらも、誘拐された娘を救出に向かうシーンでは家長としての威厳も保ち、家庭を愛するお父さんキャラクターが板に付いている。本作が極端に殺伐とせず、メリハリが付いた展開になっている要因はマータフ家の影響が大きいだろう。最初はかみ合わなかったマータフとリッグスが犯罪に立ち向かいながら信頼関係を築いて行くところは、アメリカらしくテンポのいいバディムービーの展開であり、スカッとした勧善懲悪のストーリーにも好感が持てる内容である。
人間くさいメル・ギブソンの魅力
「マッド・マックス」シリーズではクールで翳りを帯びた役柄であり、不毛の土地が舞台という事もあって冷徹なイメージのメル・ギブソンだったが、現代を舞台にしてその人間らしい部分がフューチャーされ、コミカルな演技も見せてオールマイティーなキャラクターが定着した作品になった。ラフな衣装もよく似合っており刑事アクションながらアメリカ的な爽やかさが随所に窺える。シリーズがパート4まで継続する大ヒット作品の先駆けとなった本作だが、そろそろ老いが見え始めたクリント・イーストウッドの「ダーティ・ハリー」に取って変わる、新しいアメリカ的な刑事アクションとして受け入れられたのではないだろうか。同世代であるブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」シリーズとはスケールの違いこそあれ、メル・ギブソンのスター性が存分に発揮された作品として、今観ても充分に楽しめる作品である。
ベトナム戦争がバックグラウンドにあるものの、シリアスになり過ぎずむしろ刑事コンビの絆が全面に出ていたことが印象に残っている。ベトナム退役軍人で構成された敵組織もボスを「ジェネラル」呼びしてる所は何故か憎めない。ジョシュアにあと一手間加えてもらえれば完璧な反体制ぶりを見られたかも知れない。
それでも、ラストの帰還兵同士で蹴りをつけるようなぶつかり合いが、まさに『リーサル・ウェポン』だった。メル・ギブソンが繰り出すアクションにも注目である。(女性 20代)
映画『リーサル・ウェポン』 まとめ
シナリオもさることながら、デヴィッド・サンボーンとエリック・クラプトンの音楽がフューチャーされ、作品に良いスパイスを利かせており、80年代当時のアメリカにおける音楽業界の隆盛もさりげなく織り込まれている。当時の音楽業界はMTVの世界的ブームが起こり、随分と日本でもアメリカのヒット曲が聴かれたものだが、当時の明るい空気が本作でも随所に窺え、ヘビーなストーリーの中にもジョークを織り交ぜたライトな感覚がアメリカらしい。ダニー・グローバー演ずるマータフ刑事の家族もいい雰囲気で、本作のシリーズに最後までアットホーム的な部分を演出した、重要な登場人物として無視できない存在である。アクション作品としてのクオリティも高いが、ある部分ではホームコメディとして観てしまうところもあり、そのバラエティ感が多くの支持層を得た要因だろう。
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