映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の概要:女優になりたくて家出してきたアキは、都会でカイトという青年に出会う。彼の手引きでサーカス団の一員として働くことになったアキは、ある時、受けに行った新人オーディションで選ばれて、一躍、時の人となるのだが……。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:ラブストーリー、ファンタジー
監督:二宮健
キャスト:桜井ユキ、古畑新之、佐々木一平、新川將人 etc
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の登場人物(キャスト)
- オリアアキ(桜井ユキ)
- 29歳で有名女優の仲間入りをした遅咲き。19歳で上京してから10年間、オーロラという名のサーカス小屋で働いていた。舞台で催眠術にかかるふりをする仕事をしていたせいで、現実と妄想が曖昧になってしまう。
- カイト(高橋一生)
- 有名なカメラマンでオーロラの経営者。バーで偶然にアキと出会い、オーロラに連れてくる。アキと激しく愛し合うが、突然に自殺してしまう。
- ブッチ(古畑新之)
- アキの中に生まれた妄想の友達。ピエロのような白塗りに赤い鼻でスーツを着こなす。アキが悩んだり、落ち込んだりしたときに現れ、慰めや助言を与えるセルフメンター。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』のあらすじ【起】
女優に憧れるオリアアキは家出して田舎を飛び出し都会に出てきた。行く当ても無くふらり立ち寄ったバーで、彼女はカイトという写真家の青年と出会う。アキの状況を知ったカイトはバーの向かいにある“オーロラ”という見世物小屋を紹介する。カイトはそこの経営者で、オーロラでは毎夜、サーカス団によるパフォーマンスが行われていた。
カイトの不思議な魅力に魅了されたアキはオーロラに住むことに決めた。住まわせてもらうお返しに、アキはサーカスの舞台の手伝いを願い出る。舞台では催眠術にかけられる役を演じることとなった。
仕事仲間たちは新しくアキが仲間になることを喜んで受け入れてくれた。やがてアキはカイトに惹かれていき、カイトもまた、アキに心を奪われていった。二人は愛し合うようになり、夢のような時間が過ぎていく。二人はオーロラの屋上のベッドで激しく愛し合うが、その後、カイトはアキが寝ている間に突然に屋上から飛び降りて自殺してしまった。
アキはオーディションを受けてはいたが、目が出ることは全く無かった。女優としての足がかりを掴めないまま、アキは10年もの間、催眠術にかけられるふりをすることとなった。そのせいで、次第に彼女は現実と妄想の境界線が曖昧になってくる。アキの中には、いつしかブッチという名の空想の友が生まれていた。ブッチはアキが迷った時や困った時に現れて助言を与えてくれた。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』のあらすじ【承】
カイトを失った悲しみに包まれたアキは、この世界とは別の世界があるのではないかと考えるようになった。そこではカイトが生きており、自分のことをずっと待ってくれているのではないかと。それを聞いたブッチは、そういうことでしか人は永遠を掴めないと彼女を慰めた。また、ブッチは、実はこの世界は過去も現在も未来も全て同時に存在し、その時々を生きているのだとアキに説明することもあった。それを聞いたアキは、できたなら自分にとっての最高の瞬間に私を飛ばしてほしいと呟いた。
ある有名監督の新作オーディションを受けに行ったアキ。監督から、あなたにとって愛とは何かと質問され、集まった女優の卵たちは熱心に答えを返した。その時、アキはプロデューサーの一人ゴトウに気に入られ、新作映画の主役オフィーリアに抜擢される。世間から注目されたアキはCMに引っ張りだことなり、一躍、時の人となった。
カイトが亡くなってから数年が経っていた。命日にオーロラに集まることとなり、アキもそれに参列。そこで支配人から、近くオーロラを閉めることにしたと説明をされる。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』のあらすじ【転】
最近、アキは記憶が飛ぶようになってきていた。気がつくと路上のベッドで目覚めたり、見知らぬ男の前にいたりするという奇妙な現象が頻繁に起こるようになる。しばらくして、マスコミにアキの暴露記事が掲載される。アキのバックには暴力団がいて、鳴り物入りで芸能界デビューしたのだと書かれていたが、そんな記憶のないアキは、全てでっち上げだと激怒した。
アキはオフィーリア役だけは失いたくなかったが、スキャンダルのせいで役を別の新人女優に取られてしまう。焦ったアキはゴトウと話をするために事務所を訪れるが、そんな人物はいないと取り合ってもらえない。やがてやってきた警備員に取り押さえられてしまう。
気がつくと、アキは精神病院にいた。担当の医師からは非人道的な治療を受ける。疲弊するアキの前にブッチが現れ、彼女に囁いた。この世界は全部、お前のものだ。全てはお前が望んだからここに存在する、と。それを聞いたアキは、それが本当なら、まずお前を黙らせたいと吐き捨てる。すると、その場にいた者たちはいっせいに口をつぐみ、アキを見つめ返してきた。思わぬ出来事にアキは動揺する。
アキの意識は、いつの間にかオフィーリアのオーディションの時へと飛んでいた。訳が分からないアキはオーディションを失敗。落ち込んだアキだったが、そんな彼女にゴトウから連絡が来る。ゴトウはアキと組んで仕事がしたいと言いだし、ある男に会えと指示を出した。
ゴトウに連れられてサイトーに会いに行ったアキは、大金と引き換えに身体を要求される。だが、乱暴な行為に耐えられなくなり、衝動的にサイトーを鈍器で殴り殺してその場から逃げ去ってしまった。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の結末・ラスト(ネタバレ)
アキはあることに気がつき始めていた。それを確認するためにブッチを呼び出した彼女は、これは全て私の世界なのだろうとブッチを問い詰めた。ブッチは頷いて、アキの世界は妄想しすぎたせいでおかしくなり、バグだらけになったと続けた。そして、生きるべきか、死ぬべきか、最後の選択をする時がきたとアキに告げた。オーロラの取り壊しの時間が迫っていた。
精神病院で目覚めたアキは、妄想の力を利用してその手にライフルを生み出すと、それを使って迫りくる医師や看護師たちを撃ち殺していった。やがて銃を持った追手が多数現れピンチに陥るが、そこにブッチが現れて手助けしてくれた。
ブッチの身を挺した援護のおかげで病院を抜け出したアキは、ひとりオーロラへとやってきた。そこで待っていたのは取り壊すために仕掛けられた爆弾の起爆装置を持ったカイトだった。
カイトを前にアキは言った。オーロラは破壊し、全てを無にして二人だけで逃げよう。ここが夢の世界ならば、夢だということすら忘れてカイトと二人でいたい、と。しかし、それを聞いたカイトは首を振り、君はもう夢から覚めるべきだと説いた。その場に残るとカイトは言い、アキは泣いて嫌がった。だが、彼は、また会えると言うばかりだった。
夢から覚める決意をしたアキはカイトとキスをすると、寂しげな笑顔を浮かべてオーロラを出て行った。アキはオーロラを見上げながらカイトに思いを馳せ、静かに起爆装置のスイッチを押した。オーロラは爆発と共に砕け散った。そして、アキはいつしか落ちていた眠りから目覚めたのだった。
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』の感想・評価・レビュー
二宮健監督の好きな映画をぶち込んで、一本の作品にまとめ上げた印象。映画好きならば一度は観たことがある有名作品のオマージュに彩られており、オリジナリティという点では皆無に等しいかもしれない。二宮監督がまだ20代そこそこだということも考慮して総評するならば、素人が作ったと考えれば上出来といったところか。選曲と役者たちの演技はとてもいい。新人ながら桜井ユキの脱ぎっぷりは役者魂と潔さを感じた。(MIHOシネマ編集部)
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