映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986)』の概要:貧民街の花屋に務めるどん臭い主人公は、皆既日食があった日に不思議な植物を発見する。生育して店先に展示した途端、花屋は大繁盛。植物の栄養源が生血であることを知り生育を続けたが、実は地球征服にやって来たグリーンモンスターなのであった。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:ミュージカル、ホラー
監督:フランク・オズ
キャスト:リック・モラニス、エレン・グリーン、スティーヴ・マーティン、ヴィンセント・ガーディニア etc
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』の登場人物(キャスト)
- シーモア・クレルボーン(リック・モラニス)
- ダウタウンで生まれ育った青年。どん臭く恋に奥手。珍しい植物を育てるのが趣味。職場の同僚オードリーに恋をしているが、告白できずにいる。
- オードリー(エレン・グリーン)
- サディストの彼と別れられずにいる金髪の美女。シーモアと同じ花屋で働いている。優しくて穏やかなシーモアに惹かれている。
- ムシュニク(ヴィンセント・ガーディニア)
- 花屋のオーナー。シーモアを拾って雇うが、非常に厳しく人使いが荒い。オードリーⅡのお陰で店が大繁盛し、金の亡者へと変貌してしまう。
- オリン・スクリヴェロ(スティーヴ・マーティン)
- 傲慢で暴力的。オードリーの彼氏だが、女を従わせることで満足感を得る。恐怖に歪む表情を見るのが好きな変態。恐怖の歯医者として恐れられている。
- オードリーⅡ(リーヴァイ・スタッブス)
- 皆既日食と共に宇宙からやって来た不思議な植物。人の血が好物でシーモアに甘言を説き、生血を調達させる。実は地球征服にやって来たグリーンモンスター。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のあらすじ【起】
貧民街ダウンタウンで生まれ育ったシーモア・クレルボーンは、珍しい植物を育てるのが趣味。彼はムシュニクに拾われ、彼が経営する花屋で働いているが、どん臭くいつも鉢を割っては叱られてばかりいた。同僚には金髪で美しい女性オードリーがいる。彼女に恋をしているシーモアだったが、奥手な彼は彼女に告白できずにいた。
オードリーには好戦的でサディストな彼氏がいたが、周囲にはいい加減に別れた方が良いと言われるも、別れられずにいる。本当はサディスティックな男とはきっぱり別れ、穏やかで優しいシーモアと付き合えたらと望んでいるのだった。
花屋のオーナームシュニクは、どん臭くて全く使い物にならないシーモアと、男のせいで遅刻してばかりいるオードリーを抱え、客の来ない店の経営に頭を抱えるばかり。どうにかして、売り上げを上げて有名店にしたいと考えているが、良い案は浮かばず店を閉めるしかないと覚悟を決める。
そんな時、店の地下室でシーモアが育てているという、謎の植物を店舗のウィンドウに展示してはどうかとオードリーが提案。ムシュニクはシーモアの植物、オードリーⅡを目にして一笑に付すも、どうせ閉店間際なのだからと半ば捨て鉢でそれを許した。
すると、不思議なことにオードリーⅡを一目見た身なりの良い紳士が突然、来店しバラを100ドル分購入すると言い出す。その後も次々とオードリーⅡを見た客が来店し、用意していた花が全て完売してしまう。
その後も店は連日、満員御礼。ムシュニクの花屋はたちまち有名店となった。だが、その代りオードリーⅡが萎れ始めてしまい、必死になって植物の世話をするシーモア。様々な方法を試すも、一向に元気にならないので頭を悩ませていたが、バラの棘で傷つけた指にオードリーⅡが反応することを発見。まさか、栄養は人の血液か。彼は思い切って2・3滴、血液を与え元気に大きくなれと願った。
すると、驚いたことに翌日、オードリーⅡが一回り大きく育っている。ムシュニクは植物が元気になったことで、商売繫盛にもろ手を挙げた。このことが話題となり、シーモアとオードリーⅡはラジオ出演にも招待され、更に花屋は名を広めることになる。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のあらすじ【承】
今やオードリーⅡを育てるシーモアも有名人。彼は先日あった皆既日食の際、謎の光と共に出現した植物を発見。中国の花屋の棚に並んでいたので、金を払って植物を購入した。そして、オードリーⅡと名付け育てたのである。
植物にはどうやら意思があるようで、シーモア以外の人間にも興味を示す。栄養源は人間の血液であるため、シーモアはオードリーⅡが欲しがるだけ自らの血液を与えて育て続けた。
それと同時に店も混み合ってムシュニクも笑いが止まらない。
連日、忙しく働くシーモアとオードリー。オードリーⅡは人の背丈ほどの大きさまで育ち、日に与える血液も増える。シーモアは疲れと貧血にて朦朧としていたが、そんな彼をオードリーが励ましてくれるのだった。
その日の夜、閉店後の片づけをしていたシーモアの前に、オードリーの彼氏オリン・スクリヴェロが現れる。オリンは傲慢で好戦的。女を従わせることを良しとしているのだった。シーモアはオリンに従わせられるオードリーを目にし、なんて酷い男なのだと呟く。すると、またもオードリーⅡが萎れてしまう。
シーモアは連日の出血で貧血気味。指も傷だらけで治る暇もない。回復を待って欲しいと声をかけると、空腹だと呟きが聞こえる。声の主はなんとオードリーⅡである。植物が話せるようになるとは。シーモアは驚愕したが、オードリーⅡは一晩中、生血を飲ませろと叫び続ける。生血など人を殺害する以外に調達できるはずがない。今や人間よりも成長したオードリーⅡは自由に蔓を動かし、自らどこへでも行けると言う。奴は甘言を説き、シーモアが思いを寄せるオードリーを苦しめるオリンを餌にすれば、苦しむことはないと告げるのであった。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のあらすじ【転】
暴力的なオリンが消えれば、オードリーには平穏が訪れる。シーモアはそう信じて、オリンが営む歯科医院へ。オリンは恐怖に歪む表情を目にすることで、快感を得る変態だった。彼はより多くの快感を得るため、笑いガスを多用。シーモアを恐怖に陥れようとしたが、ガスのバルブが故障してしまい、そのせいでガス中毒となり息絶えてしまう。
シーモアは自ら手を下すことなく、亡くなったオリンを花屋へ運び解体した後、オードリーⅡへと与えた。しかし、その様子をムシュニクが密かに目撃してしまう。
オリンが行方不明になったことでオードリーは涙に暮れていたが、シーモアはこの機に乗じて彼女を一心に励まし、心を射止めることに成功。2人は互いの望みを叶え、晴れて結ばれるのであった。
幸せな気分で帰宅したシーモア。だが、そこへムシュニクがやって来て、罪を告白しろと詰め寄る。彼はシーモアに銃口を向け警察に出頭するか、見逃す代わりにオードリーⅡを置いて行くかを迫った。シーモアは怯えながら嘘の手入れ方法を教え、ムシュニクをオードリーⅡの餌にしてしまうのだった。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
それからはスター街道へまっしぐら。シーモアには講演旅行の話や園芸ショーと題したテレビ番組、数々の取材の話が圧しも切らずに舞い込んでくる。彼は訳も分からず、連れ回されては報道陣に囲まれて今や時の人。だが、あちこちに引っ張り出されている間、シーモアⅡは家の天井につくほど成長したが、餌が切れてしまったために萎れてしまう。
シーモアは我に返り、報道陣や記者達を追い返した。冠テレビへの出演が決まれば大金が舞い込む。大金が手に入れば、貧民街からの脱出が叶うため、オードリーと結婚し幸せな家庭が築けるではないか。シーモアはオードリーから結婚の約束を取り付け、荷物をまとめて店から去ろうと決めた。
しかし、そうはさせまいとオードリーⅡ。シーモアに餌を強請り調達に行かせている間、電話にてオードリーを店に呼び出し、彼女をおいしくいただこうとする。そこへ、シーモアが戻りオードリーを救出。
彼女へと全てを明かしたシーモアだったが、オードリーは金銭目当てで彼と一緒になるわけではない。彼女は初めて会った時からシーモアに好意を寄せていたのである。2人は改めて互いの心を打ち明け合い、気持ちを確かめた。
そうして、シーモアはオードリーⅡと対決し、根絶やしにしようと考えるのである。だが、オードリーⅡは鉢を破壊し、根を足にして立ち上がる。それから、自分は宇宙から地球征服のために来訪した、グリーンモンスターなのだと明かし、シーモアを追い詰めておちょくるのであった。
そうして、花屋を根こそぎ破壊し、シーモアを生き埋めにしてしまう。だが、シーモアとてバカではない。彼は電線を手にオードリーⅡへと攻撃し、奴を爆発させ息の根を止めるのであった。
画して、シーモアとオードリーは予定通りに結婚し、夢のような幸せな家庭を築くのである。庭先にオードリーⅡの新芽があることなど、露とも知らずに。
映画『リトルショップ・オブ・ホラーズ』の感想・評価・レビュー
まさかこれからホラー作品が始まるとは思えないほど、出だしから軽快で楽しげな曲が流れてきます。一度聴いたら頭から離れないこのキャッチーな曲たちが、実はディズニー映画の作曲家として有名なアラン・メンケンによるものだというのは、驚きつつもかなり納得がいきます。
音楽はもちろん、物語もとても魅力的です。特にラストの主人公と宇宙植物が対決するところは、面白いながらもハラハラさせられました。ハッピーエンドで終わっていますが、最後に少しゾクっとなるシーンがあって、ホラーの余韻が残るのもとても良いです。俳優陣の演技もこの上なく素晴らしい!気軽に観られるホラー・SF作品です。(女性 20代)
80年代の作りにしては、なかなかのクオリティ。あまり期待しないで観たので、ストーリー展開にはむしろ驚くほど引き込まれていた。確かに花の様相とかは残念な感じではあるが、不気味な感じは醸し出されている。B級ホラー映画の中でもクオリティが高めなドB級という感じ。軽快な音楽が流れる序盤は、何が始まるのか動揺するほどだったが、後半では結構いい感じにホラーっぽくなるので良い。花と戦う終盤でのアクションも意外と面白く、見応えはある。期待しないで観た方が面白いかもしれない。(女性 40代)
みんなの感想・レビュー
せめてあと5年、90年代までリメイクを待てば劇的に見栄えが変わっただろうが、80年代の中途半端な技術でのリメイクとなってしまった。もったいなさはあるがそれでも十分に楽しいコメディ映画。もとは演劇のお話なのでストーリーが軽妙で楽に見られるのも良い。中盤以降、オードリーⅡが奇妙さや怖さを増していく演出が結構容赦がなくてスリリングなので楽しい。もう少しCGなどが使える時代の作品だったならもう一ランク上の評価だったろう。