映画『ルナシー』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「ルナシー」のネタバレあらすじ結末と感想

ルナシーの概要:母を精神病院で失って以来、悪夢に悩まされる青年ジャン。母の葬儀後、滞在していたホテルで出会った侯爵に気に入れられ彼の屋敷へ招かれる。侯爵は自分とジャンが似ていると言い、更には彼の悪夢をとある「療法」で治そうと提案する。

ルナシーの作品情報

ルナシー

製作年:2005年
上映時間:123分
ジャンル:ホラー
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
キャスト:パヴェル・リシュカ、ヤン・トゥリースカ、アンナ・ガイスレロヴァー、ヤロスラフ・ドゥシェク etc

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ルナシーの登場人物(キャスト)

ジャン・ベルロ(パヴェル・リシュカ)
母の死後、自身が精神科の職員達の手により拘束される幻覚を見るようになってしまう。滞在先のホテルで出会った侯爵に気に入られ、屋敷へと正体されるがその先で彼が見たもの、そして経験することはジャンにとって正気と狂気を曖昧にしていく。
侯爵(ヤン・トゥリースカ)
侯爵と呼ばれる地位の高い富裕層の中年男性。ジャンと同じく母親に対するトラウマからとある病を抱えるが、同時にそれによって興奮も覚えてしまった。神や宗教を嫌悪しており、ジャンの目から見れば信じ難い「道楽」を行う。
シャルロット(アンナ・ガイスレロヴァー)
侯爵がジャンを療養させるために紹介した病院で働く、若き看護師の女性。院長の娘。ジャンは彼女に恋に落ちるのだが……。
ムルロップ(ヤロスラフ・ドゥシェク)
侯爵の知人で、精神病院の院長。患者達は拘束・監禁せず自由な治療法を施す。
ドミニク(パヴェル・ノーヴィ)
侯爵の使用人。舌を切られていて言葉を発せない。

ルナシーのネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ルナシー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

ルナシーのあらすじ【起】

青年ジャン・ベルロは母を精神病院で亡くし、葬式帰りにホテルに滞在中だった。そしてそれ以来、おかしな幻覚を見るようになる。その日もホテルで精神病院の職員に拘束されそうになる幻覚を見て大暴れし、泊まっていた人々に取り押さえられ白い目で見られる、

翌日、ホテルの料理場で食事していた侯爵と名乗る男性から指名されテーブルに腰かける。ジャンが壊したものは全て彼が弁償すると言い、恐らく地位の高い男性なのであろう侯爵に周囲も敬意を払っているような様子が窺える。侯爵はジャンに料理を振る舞い、友人と称しながらも「精神の健康は大切だ」とどこか彼の行動を馬鹿にしたような言葉を浴びせ、大笑いする。それからジャンは自宅へ帰ろうとするがあまりに大勢の人のせいで乗り損ねてしまい、そこを再び侯爵に拾われる。侯爵に気に入られた彼はそのまま彼の自宅に案内される。使用人・ドミニクは舌が切られており、上手く言葉が発せない。

侯爵にもてなされ豪華な身なりに着替え、良い食事を振る舞われるジャン。数日ここにいろと言う侯爵にこれ以上甘えられないと断ると、侯爵は激怒し「そういうことを言う奴は愚者か偽善者かのどちらかだ」と無理やり彼をここに留まらせる。

ある晩、ジャンは女性の泣き声を聞き窓の外を見ると1人の女性が馬車から無理やり引きずり降ろされ屋敷のどこかに監禁されるのを目撃する。その後を追い覗き込んでみると、その部屋では侯爵が神に冒涜的な言葉を吐きながら、キリストの像に釘を打ち付けている。黒い装束を纏った女性達が半裸姿で十字型のケーキを食し、性行為に励む。連れてこられた女性の内の1人が逃げ出そうとするも連れ戻され、聖衣を纏った侯爵と無理やり行為をさせられる。

ルナシーのあらすじ【承】

その光景を見たジャンは、あんな現場を見た以上もうここにはいられないと侯爵に言う。あれは犯罪だと罵るジャンに「君は童貞かね」と馬鹿笑いする侯爵。呆れて立ち去ろうとするジャンに待てと怒鳴りつけ、偽装の道徳観より悦楽を優先することの何が悪いのかと言い放つ。それに対し、ジャンは自然や神、宗教に反していると言うが、侯爵は持論を展開する。自然は不機嫌で暴力的で多くの犠牲者を生む悪の根源だと。それでも万物の母であると言うジャンに、ではその子供である我々を殺し災害を繰り返す排他的な殺人者だと言い返す。そして、神は人間の恐怖心や恐怖から生み出されたもので、不幸な人間達はそれらから逃れたいと望む。だからこそ神というものを作った、願いが叶うことを信じるために。神は不安と虚像でできた怪物の化身だ。そう言ってバナナを頬張る侯爵だったが突如吐き始め、「やはり天罰が下った。耳を貸した私をお許し下さい」とその場に祈りを捧げるジャン。意識を失った侯爵を心配しドミニクを呼びに行くジャン。ドミニクは泡を吹く彼を寝室に運ぶとジャンを突き飛ばしてしまう。

その晩、侯爵はまだ息があるかもしれないのにも関わらずドミニクの指示で棺桶に入れられる。従うままに埋葬するが、夜が明けるとドミニクがジャンを連れ棺桶のあった地下に連れ戻す。何かと思うと、棺桶が破られ侯爵が生きているではないか。侯爵は服の下に隠してあった工具類を見せつけながら高笑いをする。侯爵の冗談であったらしいが、当然酷く怒るジャン。

この件で出て行く意思を固めたジャンだったが侯爵は語り始める、自分とジャンは似ていると。幼い頃に母を亡くし数年後に父も失い、父を埋葬するために墓石を動かした時に侯爵は気付く。腐敗した母の亡骸を見たと。生き埋めだったらしい。医者は死後硬直と強硬症(カタレプシー)を間違えたのであった。以来、催眠術にでもかかったように侯爵にもカタレプシーの症状が出始めたようだった。恐怖を覚えるが同時にそれを味わいたい自分もいる。そして、その欲望を抑えるのが、昨日のような生き埋めにされる「療法(セラピー)」なのだという。そのことで身も心も清まり普通の生活が送れるようになるそうだ。

その晩、また例の幻覚を目にし暴れて部屋中の家具を荒らすジャン。働いて弁償するという彼に侯爵はある提案を持ち掛ける。自分と同じようジャン自身も母の苦悩を知ればいいのではないかと。そこで彼はジャンをとある精神病院へと連れて行く。侯爵と院長とは知り合いの仲のようであるが……。

ルナシーのあらすじ【転】

院長のムルロップと、看護師で娘のシャルロットが病院にはおり、ムルロップは院内をジャンに説明する。この病院は造りは古いものの、設備や医療は最新のものらしい。中には裸体の中年女性の身体に絵の具をぶつけたり、刷毛で塗ったりする「芸術療法(アートテラピー)」等があり患者達は幸せそうにそれに耽っている。ジャンも薦められるが断り、途中裸体で走り回る患者にも遭遇する。一通りの見回りが終わった後、治療を受けるか問われ了承するジャン。しかしそれには治療云々よりもまず本音あった。院内の説明中に、シャルロットから密かに手渡された紙には父親に乱暴されていると書かれてあったのだ。だからジャンはここに残り、彼女を救おうと決めた。そのことを侯爵に話すと彼はシャルロットをアバズレと罵り、恋に落ちたのではないかと茶化す。更には彼女は普通の性行為では満足できない単なる色情魔だと言い、言い返そうとした矢先にムルロップが入院手続きを終えて戻って来る。

入院した晩の日、寝ているとまたもや悪夢が襲ってきたかと怯え竦むジャンの病室へ訪れたのはシャルロットだった。シャルロットは言う、本当はあの男は父親ではなく狂人で、侯爵と手を組んでいると。本物の院長と職員らは地下に監禁されているそうだ。彼女だけが監禁されていないのは、侯爵の館で行われていたあの行いに捧げるために残されているのである。話を聞かされて以来、2人の間には恋心にも近い気持ちが芽生える。それを侯爵が目ざとく察知し、ジャンにシャルロットは患者達を反乱させることに性的興奮を覚えている性悪だと釘を刺す。疑うわけではないがまだどこか半信半疑のジャンは、シャルロットに詳細を問うと彼女はジャンを地下へと案内する。大量の食糧を持った彼女が向かった先には地下牢があり、そこには全身にタールで羽毛を貼り付けた異様な集団がいた。食料を奪い合う彼らを見て、何故そのような真似をするのかと言えば屈辱を与えて支配するため、フランス革命と同じやり方らしい。侯爵の思い付きなのだろうが、彼らを救うには鍵が必要だ。鍵はムルロップの元にあるらしい。

ある日、病院の記念日で催し物をした後で例の儀式のためかシャルロットを呼びつける侯爵。彼女はその隙に地下の彼らを救うようジャンに託す。

ルナシーの結末・ラスト(ネタバレ)

ジャンはムルロップの部屋、クッションの中に隠された鍵を見つけ地下室に囚われた人々を助け出す。それまで自由に羽根を伸ばしていた患者らは戻ってきた元の職員らにしょっぴかれるような形で、奇声と共に病室へと連れ戻される。混乱に乗じてジャンも殴られ昏倒してしまうが、再び意識を取り戻す。そこにはシャルロットと本来の院長がいて、ジャンは感謝と共にシャルロットにどこか遠くへ行かないかと誘われる。

ムルロップは捕まったようで侯爵も時間の問題だと話し、しかし、解放された職員らはどこか暴力的で支配的であり、患者達に対しての扱いは以前のような自由なものとは違っていた。侯爵は重度の犯罪者で、性的倒錯者でもありいずれ捕まる手筈であった。一方ムルロップは優秀な医師ではあるが彼の考えた「患者の自由な思想を活かす治療法」は失敗だったと語る。何故ならここは精神病院なのだから、と。彼の方針は「体罰」が根本のようで患者達を治療するなら暴力も辞さないと言う。その時、院長の元に連れてこられた患者達だが職員たちの暴行によって既に傷だらけある。その患者らの姿を見てジャンは驚く、侯爵とドミニクであった。ドミニクの舌がないのも、この院長による療法の結果なのだろう。院長は侯爵に「第13療法を行う」と通達し、それまでは見せなかった狼狽え方を見せ狂ったように「それだけは嫌だ」と叫ぶ侯爵。それを無理矢理連行していく職員達だったが、第13療法とは何なのか?問いかけるジャンに、院長は手術着に着替えながら自分の治療法は段階によって分けられており、その8番目の療法が舌の切除だったと語る。では第13療法とは何なのか、と問うジャンを無視し手術室へシャルロットと消えて行く院長。

その晩、シャルロットの部屋へと向かうが彼女の姿が見当たらない。ジャンはこっそりと地下への鍵を入手しそこへ向かうが、そこにいたのは第13療法を施された患者達の成れの果てであった。全身を包帯で包まれ両目を潰され、所々血で染めた患者達だったが、その中で口の利ける男性患者がジャンに気付く。ジャンは侯爵の姿も見つけるが、包帯姿の侯爵は狂ったような笑い声を上げている。やがて口の利ける患者が全てはあの売女・シャルロットのせいだと罵る。そして今頃あの女は院長と寝ているだろうと罵り嘲笑った。男の言葉を信じたくはなかったが、ジャンは部屋へ戻る途中彼女が院長と関係を持っている場面を見てしまい悲しみに暮れながらその耳を塞いだ。

夜、病室でジャンはまた幻覚の男達と出会う。何もない空間で暴れ、部屋中のものを破壊しつくすジャン。騒ぎを聞きつけてやってきた院長にお前のせいだ、と首を締めようとするジャンだがあっさりと職員らに拘束され、そして院長は笑う――「治療が必要だ。まずは第1両方から」。最後はスーパーで並んでいる食肉が、パックの中から呼吸しているような映像が映し出される。暴力という支配下に抑圧された人々の暗喩であろうか?物語はそこでスタッフロールを迎える。

ルナシーの感想・評価・レビュー

狂っている・いないの線引きとは何だろう。多数が異常と言えばそれはおかしいし、例え少数がおかしいと訴えても罷り通らない。この監督特有の手法だが、肉片が人間の擬物法としてアニメで動き回り、作品中でも所々何かのメタファーとして挟まれる。無宗教だが、冒頭の反キリスト的な侯爵の言動は偽悪的にも見え、僅かに頷く部分もある。最後は聖女のような存在だったシャルロットの行為も、結局はジャンが忌み嫌う冒涜であった皮肉。考察すればする程に、深い作品。(MIHOシネマ編集部)

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