映画『ルパン三世 カリオストロの城』の概要:あの宮崎駿が手がけた伝説のルパンシリーズ。80年代に作成されたとは思えない程のクオリティに、今でも根強い人気を誇る名作。ルパンシリーズ初心者にとっても楽しめる作品となっている。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:アニメ、コメディ、アクション
監督:宮崎駿
キャスト:山田康雄、小林清志、増山江威子、井上真樹夫 etc
映画『ルパン三世 カリオストロの城』の登場人物(キャスト)
- ルパン三世(山田康雄)
- かの有名なアルセーヌ・ルパンの孫。神出鬼没の大泥棒。
- 峰不二子(増山江威子)
- 敵が味方かルパンにも分からない、謎の女怪盗。
- 次元大介(小林清志)
- ルパンの相棒。早撃ちの名人。
- 石川五右エ門(井上真樹夫)
- ルパンの仲間。鉄をも斬る斬鉄剣の使い手。
- 銭形警部(納谷悟朗)
- ルパン逮捕に人生を賭ける刑事。
- クラリス(島本須美)
- カリオストロ公国の姫。かつてルパンの命を救った過去がある。
- カリオストロ伯爵(石田太郎)
- クラリスと結婚し公国と公国に伝わる財宝を手に入れようとしている。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ルパン三世 カリオストロの城』のあらすじ【起】
かの有名な怪盗、アルセーヌ・ルパンの孫、ルパン3世もまた泥棒として活躍していた。世界を股にかける神出鬼没の大泥棒であるルパンは、狙った獲物は決して逃さない実力の持ち主。そんなルパンが次に狙ったのは、モナコが運営するカジノの莫大な売上金だった。
相棒の次元と共に難なく金を盗み出したルパン達は車の中で祝杯をあげていた。しかし、その時改めて紙幣を見たルパンは、それが偽札であることに気がつくのだった。偽札の中でも、それは最近巷で流行っているゴート札というかなり精度の高い偽札。
ルパンはそのゴート札の出所と思われる、カリオストロ公国へと向かう。カリオストロ公国は人口が3500人というとても小さな国。国に到着したルパン達は、不思議な光景を目にするのだった。なんと、ウェディングドレスを着た少女が何者からか逃げているのだ。そしてそのクラリスこそが、カリオストロ公国の大公家の唯一の生き残り、クラリス姫だった。ルパン達は、クラリスが男達から逃げられるよう手助けをする。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』のあらすじ【承】
クラリスをつけ狙っていた男達は、カリオストロ伯爵という人物の息がかかった者だった。伯爵は、カリオストロ公国にあるとされる莫大な富を手に入れようとしていたのだが、そのためにはどうしてもクラリスと彼女の持つ指輪が必要だったのだ。そして伯爵は、無理矢理クラリスと結婚することでそれらを手に入れようとしていたのだ。
ルパンの手助けもあり一度は難を逃れたクラリスだったが、その後敵に捕まり塔の最上階に幽閉されてしまう。そのことを知ったルパンは、クラリス救出のために動き出した。何故ルパンはクラリスのためにここまでするのか。実は、クラリスはルパンにとって恩人だったのだ。
昔、ルパンはゴート札を狙いカリオストロ城へ忍び込んでいた。しかし、その堅固な守りに阻まれ盗みは失敗、瀕死の状態であったルパンを救ったのが、まだ少女だったクラリスだったのだ。ルパンは恩人を救うべく、過去の自分が失敗したカリオストロ城へもう一度向かう。今度の盗みのターゲットは、クラリス姫である。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』のあらすじ【転】
なんとか城内に潜入しクラリスと接触を図ったルパンだったが、カリオストロ伯爵に見つかってしまう。そして伯爵は、ルパンを城の地下へと落とすのだった。そのどこまでも続く地下迷路で、何とルパンは宿敵銭形警部と再会する。
ルパンを追ってカリオストロ城までやって来た銭形であったが、ルパンと同じく地下空間へ落とされていたのだ。宿敵二人はこの場を脱するため一時休戦、広い地下空間をさまよい歩く。すると何と二人は、ゴート札の製造工場を見つけるのであった。そして二人はとうとう地上へと舞い戻る。
その頃、伯爵は本格的にクラリスとの結婚に向けて準備を進めていた。クラリスは伯爵に洗脳され、彼の思うがままに動いてしまう。そして愛を誓い合う寸前、大司教に扮したルパンが結婚式をメチャクチャにする。この結婚式は世界に向けて中継されており、辺りはパニックに陥る。そして、銭形警部はわざとカメラをゴート札の製造工場へと連れて行き、伯爵の悪事を暴くのであった。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルパンにクラリスを奪われた伯爵は、執拗に2人の後を追い回す。激しい戦いの末、クラリスは高くそびえ立つ時計台の端へと追い詰められてしまった。そして伯爵は、クラリスの指から無理矢理指輪を奪い去るのだった。そしてクラリスは時計台から下に広がる湖に落下していく。そんなクラリスを追ってルパンも自ら空中に身を投げ、彼女を守るのだった。
一方、とうとう指輪を手に入れた伯爵は、その指輪を時計台に隠された鍵穴へとはめ込む。すると、辺り一面に響き渡るほどの振動が伝わってくる。何らかの機械が作動し、時計の針が同時に12の数字をめがけて回り出す。そしてその途中、時計台の中心部にいた伯爵は針に挟まれて命を落としてしまうのだった。そしてその音がやんだとき、何と今まで水の底に隠れていた古代都市が浮かび上がってきたのだ。これこそがカリオストロ公国に伝わる財宝だった。
泥棒のポケットに入れるには大きすぎるとして、ルパン達はそのままカリオストロ公国を去ろうとする。そんなルパンに、クラリスは自分も連れて行って欲しいと伝えるが、彼女に真っ当に生きて欲しいルパンはその頼みを断る。そして、再び銭形に追いかけられながら、ルパン達は次なる獲物を探し求めるのだった。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』の感想・評価・レビュー
物理的には有りえない動きがルパン作品や宮崎駿監督作品の魅力でもありますね。排出される水の中を泳いで遡ったり、急斜面になっている屋根の上を走っていたりするのを楽しく観ました。ルパンと銭形の休戦、共闘も多くの作品で見られ、好きです。
名言もたくさん盛り込まれていて五右衛門の「可憐だ」や、手品を見せるルパンの「今はこれが精一杯」。ラストシーンの銭形の「奴はとんでもない物を盗んでいきました」どれも記憶に残ります。(女性 40代)
金曜ロードショーなどでも今だに放送され、非常に根強い人気を誇る本作品。カリオストロ伯爵が保有する城に眠っているとされる財宝を巡って物語が進んでいく。ルパンといえば、峰不二子との押し問答が見所の一つだが、今回はクラリスとの絡みも有り、ルパンがいつもよりかっこよく見えるから不思議である。ルパン作品で何が一番好きかと聞かれたらこの作品を迷わず推薦する程、見所は十分な作品である。(男性 30代)
子供の頃から何度も何度も観たけれど、金曜ロードショーで放映される時はやっぱり観てしまう。そして観た後「全然古くない」と感じるのです。
好きなシーンも決まっていて、銭形警部が棒読みのセリフでテレビカメラを偽札工場に誘うシーンが好きなのですが、そのシーンを心待ちにし、結局最後まで観てしまう。
ルパンがここまで愛されるキャラクターとして今も存在しているのは、やはり宮崎駿監督の力が大きい。
TVシリーズも大好きだったシリーズは後に宮崎駿監督だったと知り納得したのです。(女性 40代)
宮崎駿の初監督作品としてとても有名な作品。ルパン三世の世界で巻き起こる出来事に、ハラハラドキドキさせられてしまう。アクションが繰り広げられていると思いきや、コメディ要素もたくさん入っていて笑いも絶えない映画だ。いろいろな感情が交差する、とてもおもしろい作品に仕上がっているのではないだろうか。何年経っても廃れない面白さや魅力が、この作品には込められているように思う。定期的に見たくなる映画の一つとしてあげたい作品だ。(女性 30代)
前作、『ルパン対複製人間』のダイナミックかつハードSF的な作風と打って変わって、牧歌的かつ、ゆったりとした演出が目を引く一作。いつものおちゃめなルパンに加え、少女クラリスとの交流の中で見せる、穏やかな表情がまたいつもと違った、優しい格好良さが見られる。
派手なアクションシーンこそあるが、前作に比べると、やはりドラマシーンが秀逸。ルパンがクラリスの部屋に参上し、おどけて、彼女を励ますシーンは、なんだかマネしたくも感じるほどかっこいい。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー
宮﨑駿といえばスタジオジブリですが、東映動画時代の彼も良作を生み出していました。『となりのトトロ』の原型となった『パンダコパンダ』や『未来少年コナン』など。本作は高畑勲を独立する直前に作られた長編デビュー作です。
映画監督の全ては初監督作に詰まっていると言いますが、本作には宮﨑駿らしい演出が山ほど詰まっています。まず、ストーリー。山崎晴哉と共作ですが、塔(高いところ)を登り、悪が善と結婚しようとする。『天空の城ラピュタ』『長靴をはいた猫』『未来少年コナン』などと共通する要素ですよね。カーチェイスシーンは物理法則を無視し、アニメーションの楽しさを重視したものになっています。宮崎アニメの真骨頂は、アニメーションを観ているだけで楽しい気分にさせられるところです。後の宮崎が巨匠になる下準備は既に整っていたのですね。
クラリスのキャラクターは宮崎アニメのすべてのヒロインの原型だし、アクションシーンの快感はナウシカ以上だし、ストーリーは美しいし、名言は飛び出すしギャグは決まってるし……。言うことなしですよ。アニメのみならず、邦画界に非常に大きな影響を与えただけのことはあります。
とにかく、本作なくして今の邦画界はない!と断言できるほどの大傑作なんです。ジブリファンの中には本作を未鑑賞の人もいるらしいので、ぜひ見ていただきたいです。