映画『幻の光』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「幻の光」のネタバレあらすじ結末と感想

幻の光の概要:原作は宮本輝の同名本で、是枝裕和監督の劇場映画デビュー作。幼馴染と結婚し幸せに暮らしていたヒロインだったがある日突然、夫が自殺。原因も理由も不明で悩み続けるも、数年後には再婚することに。ヒロインの喪失と再生を描いた作品。

幻の光の作品情報

幻の光

製作年:1995年
上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:是枝裕和
キャスト:江角マキコ、内藤剛志、浅野忠信、木内みどり etc

幻の光の登場人物(キャスト)

ゆみ子(江角マキコ)
大阪の街中にて育ち、幼少期に祖母の失踪を止められなかったことを悔いている。スタイルも良く美しい。性格は穏やかで時々少女のようにやんちゃな面もある。結婚して勇一を出産するも、郁夫の自殺理由が分からず、悩み続ける。
郁夫(浅野忠信)
ゆみ子の幼馴染で夫だった。幼少期からゆみ子と育ち、彼女が祖母の失踪で悔いていることを知っている。穏やかな気質で、工場で働きながら一家を養っているもある日突然、電車に轢かれ亡くなってしまう。緑色が好き。
民雄(内藤剛志)
ゆみ子の再婚相手。若い頃に大阪で働いていたが、故郷に住む女性に恋をして帰郷。結婚後、友子を儲けるも妻を亡くしてしまう。父親と娘の3人暮らしで、自宅に工場があり普段はそこで働いている。明るくて優しく子煩悩。悩むゆみ子を静観し、見守っている。
勇一(柏山剛毅)
ゆみ子と郁夫の息子。父親が亡くなった時はまだ3カ月の赤ん坊だった。人見知りせず天真爛漫で、義理の姉である友子ともすぐに仲良くなる。
友子(渡辺奈臣)
民雄の娘。後妻であるゆみ子を歓迎し、すぐに懐いてくれる。勇一の面倒をよく見る、とても良い子。父親に似て明るく素直。

幻の光のネタバレあらすじ

映画『幻の光』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

幻の光のあらすじ【起】

幼い頃、祖母が四国へ帰ると言い張って家を出たきり、二度と帰らなかった。孫のゆみ子は出て行く祖母を引き止めようとしたが、止めることができずそのまま見送ってしまったことを、大人になっても悔いている。
大人になった彼女は、幼馴染の郁夫と結婚。息子の勇一を出産し、つつましくも幸せな生活を送っていた。

夫婦仲は非常に良く、子供が生まれても恋人のようだったが、雨の降るある日。夜遅くなっても郁夫が帰って来ない。深夜になって警察が訪ねて来たことで、ゆみ子は初めて郁夫が死んだことを知るのだった。
夜の線路を歩いていた郁夫は、ブレーキが間に合わず電車に轢かれてしまったと言う。なぜ、そんなところを歩いていたのか、自殺にしても原因が分からない。郁夫の遺品は自転車の鍵と片方の靴だけだった。

夫の死後、育児もまともにできないほど塞ぎ込んでしまったゆみ子。母親が娘を心配して自宅を訪ね、勇一の世話しつつ励ましてくれた。

幻の光のあらすじ【承】

数年後、ゆみ子はご近所さんが紹介してくれた男性と再婚することにした。郁夫との思い出が詰まったアパートを出て息子と共に駅へ。母親に見送られて、新たな人生を歩むべく踏み出した。

駅に到着し、少し遅れて迎えに来てくれた再婚相手の民雄は、妻に先立たれ娘と父親の3人暮らし。娘の友子もゆみ子のことを受け入れてくれ、幸い勇一も人見知りせず案外すぐに馴染んだ。家は海の真向かいにあり、常に潮騒が聞こえる。慣れるまでは寝にくいかもしれないと民雄が気遣ってくれた。

翌日は先にご近所さんへ挨拶し、次は親戚巡り。狭い土地では親戚付き合いが必然である。気さくな様子の民雄にゆみ子も笑顔を見せる。
再婚祝いに親戚一同が集まり大宴会。大阪の街中で育ったゆみ子は、長閑ながら古い風習が色濃く残る田舎暮らしに戸惑うことも多かった。

幻の光のあらすじ【転】

自然に囲まれ優しい夫と子供達との生活は、次第にゆみ子を癒していき穏やかな日々が過ぎる。ゆみ子も民雄もそれぞれの子供に対し、分け隔てない愛情を注ぎ夫婦仲も良かった。

そんなある日、ゆみ子は子供達を連れて弟の結婚式へ参列。その後、母親に子供達を預け、かつて世話になった場所を訪ねる。郁夫とよく行っていた喫茶店へも足を伸ばした。
久しぶりにマスターと会ったゆみ子。彼女はそこで郁夫があの夜、喫茶店まで帰って来ていたことを聞く。だが、彼はその時財布を持っておらず、金を取りに家へ帰ると言っていたらしい。特に変わった様子もなかったため、マスターも気に留めなかったと言うのだった。

ふとした折に考え続けるも、未だに郁夫の真意が分からない。
季節は夏から冬へ変わりゆく。一家は冬支度を済ませたが、里帰り後からゆみ子の様子がおかしいことに気付き、様子を見ていた民雄。
彼は妻が何を悩んでいるか、話してくれるまで静観しているようだった。

ゆみ子は時々、郁夫の形見である自転車の鍵を取り出して眺める。郁夫も緑色が好きで、自転車をわざわざ緑色に塗り替えていたが、息子の勇一もどうやら緑色が好きらしい。そこは父親ゆずりなのか、不思議なことだ。

幻の光のあらすじ【結】

亡き夫へと思いを馳せていた時、寄り合いに出ていた民雄が酔っぱらって帰宅。ゆみ子は咄嗟に自転車の鍵を握り締める。すると、民雄が単純に何を隠したか聞いてきたので、ただの自転車の鍵だと答えたゆみ子。夫からは特に返事はなかった。

彼女はふと思い出して、民雄に話をする。彼は以前、大阪で働いており二度と帰郷しないつもりだったらしいが、父親を1人で残しておくことに不安を感じ、仕方なく故郷へ帰って来たと話していた。だが、真実は友子の母親と結婚したいがために帰って来たらしい。恋女房と一緒になって友子も産まれたが、何らかの理由で妻を亡くしたのに、後添えとしてゆみ子を選んだ。民雄が嘘を言っていたことを責めるゆみ子だったが、夫は詳しいことを語らないのだった。

自分も夫を亡くした身であり、郁夫のことを話すには心の準備が要る。もしかしたら民雄も同じ境遇なのかもしれない。ゆみ子もそれ以上は、民雄を問い詰めることはしなかった。
そんな真冬のある日、葬式行列を見たゆみ子はその列の後を追って、ふらりと姿を消してしまう。

心配して捜しに出た民雄は、海の岩場にて燃える炎をじっと眺める妻を発見。彼女を迎えに行った。すると、ゆみ子は泣きながら不安を吐露。なぜ、郁夫が自殺したのか未だに謎なのだと。民雄は父親を例に出し彼女を慰めた。人は時として不意に、そういう衝動に駆られる時がある。きっと彼もその衝動に抗えなかったのではないかと。その答えは酷く曖昧ではあるが、単純でもあった。

ゆみ子は納得し夫の民雄と帰宅の途に就く。そうして、厳しく冷たい冬が過ぎ、穏やかな陽気の春が巡りくる。
夫と子供達の声が近所へと響き渡り、ゆみ子はその姿を眩しげに義父と共に眺めるのだった。

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