この記事では、映画『マッド・シティ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マッド・シティ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マッド・シティ』の作品情報

上映時間:115分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:コスタ=ガヴラス
キャスト:ダスティン・ホフマン、ジョン・トラヴォルタ、アラン・アルダ、ミア・カーシュナー etc
映画『マッド・シティ』の登場人物(キャスト)
- マックス(ダスティン・ホフマン)
- 全国ネットで働いていたが、ケビンとの確執で地方に転勤させられている。博物館での立て籠もり事件をカムバックの好機と見なす。次第にサムに同情的になり、世論をサムの味方につけようと奔走する。
- サム(ジョン・トラボルタ)
- 博物館で警備員として働いていたが、予算難で解雇されてしまう。そのことを妻に告げられず、毎日制服姿で出勤している振りをしている。館長と話し合いをしようとして、立て籠もり事件を引き起こしてしまう。
- ケビン(アラン・アルダ)
- 全国ネットで働く著名なキャスター。かつて生放送中にマックスに恥をかかされたことがあり、そのことを根に持っている。サムの人気を見て、現場に乗り込んでくる。
- ローリー(ミア・カーシュナー)
- 地方局で働いており、マックスと一緒に博物館の取材に向かう。マックスによって次第にジャーナリストとしての姿勢をたたき込まれていく。
映画『マッド・シティ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マッド・シティ』のあらすじ【起】
マックスはローリーを連れて、予算削減で人員解雇を迫られた博物館の取材にやって来る。マックスは館長のインタビューを行い、マックスはトイレに入る。ローリーは先に外に出るが、入れ替わりにサムが入ってくる。サムは館長と口論になり、銃を引っ張り出す。そして館内を封鎖して、館内にいた子供達を人質に立て籠もってしまう。それに気付いたマックスは博物館からその様子を中継する。サムは館長を脅すために銃を振り回し、発砲してしまう。その弾が外にいた黒人警備員に直撃する。更にテレビで報じられていることに気付いたサムはトイレにいたマックスを見つけ出す。
博物館周辺には警察とマスコミが集まり、全国ネットも事件に注目し始める。しかし、ケビンは放送することに抵抗する。警察署長は館内の電話でサムに接触し、要求を聞き出そうとする。サムは回答に困り、マックスは落ち着いてから要求を伝えるに助言する。サムは単に復職したかっただけだったとマックスに打ち明ける。マックスは外にいる一般市民の同情を買えばチャンスがあると説得し、インタビューを受けるように説得する。

映画『マッド・シティ』のあらすじ【承】
サムはマックスとテレビに出れば手子供1人を解放するという要求を署長に伝える。署長は渋々同意し、マックスは館外に出てくる。マックスは署長に状況を説明し、テレビ中継に出る。マックスは撮影機材を持って館内に戻り、サムを説得して白人と黒人の子供2人を解放させる。そしてサムと共にインタビューの練習をし、サムは財政難で解雇された経緯を説明する。そして、妻に解雇を伝えられずに、毎日仕事着で出掛けていたと打ち明ける。一方、マスコミ各社はサムの家の周辺や撃たれた黒人警備員の家族らにインタビューを敢行する。
マックスのインタビュー中継が始まり、サムは注意を引くために銃を持ってきたと弁明する。そして黒人警備員を撃ってしまったことを謝り、家に帰りたいと訴える。多くの人がその中継に釘付けになる。翌朝、ケビンは6割の国民がサムに同情しているという世論調査を見て驚愕する。そして、自ら現場で取材すると言い出す。ケビンはかつてマックスのせいでテレビ中継中に醜態を曝した過去の因縁を持っていた。一方、現場の指揮にはFBIも関わるようになる。
映画『マッド・シティ』のあらすじ【転】
疲労が蓄積したサムはカフェインを摂取する。そして子供達に自動販売機のお菓子を食べさせてあげる。黒人のために白人が解雇されたと知ったことで白人至上主義者まで博物館の周りに集まってくる。それを見たサムはマックスにもっと自分のことを褒めるコメントを流すように命ずる。再び館外に出たマックスはサムの妻に話を聞こうとするが、警察が介入して妻に投降を呼び掛けさせる。しかし、妻が執拗にマイクロフォンで語り掛けたために苛立ったサムは周囲に向けて銃を発砲する。マックスは慌てて館内に戻り、サムを落ち着かせる。
マックスはローリーにサムの友達や家族をインタビューするように命じる。そしてマックスはサムに同情的な内容に編集する。そこにケビンが到着する。ケビンはマックスに全国ネットに戻りたければ自分に協力するように指示し、マックスが編集したテープを再編集するように命じる。マックスは再び館内に戻り、サムは退屈した子供達のために先住民の秦氏を語って聞かせる。しかし、その隙に狙撃手がサムを狙って発砲してきたため、慌てて身を隠す。
映画『マッド・シティ』の結末・ラスト(ネタバレ)
黒人警備員が病室からインタビューを受け、サムを許すと発言する。ケビンはマックスを呼び出し、サムへのインタビューを実現させるように要求する。そこにサムへの支持率が下がっているとの報告が入ってくる。マックスはサムに不利な報道になることを心配する。サムがテレビに出ることに拘ったため、マックスはCNNのラリー・キングとのインタビューを設定する。しかし、マックスが色々と口を挟むためにサムは苛立ってしまう。
サムとのインタビューが実現しなかったケビンはマックスが如何にサムに肩入れして、状況を悪化させているかを報じ始める。更に黒人警備員の容体が悪化し、死亡したとのニュースが飛び込んでくる。それを見たサムは子供達を全員解放することにする。そして妻に電話し、愛を告げる。サムはマックスを先に外に出すと、持っていたダイナマイトで自爆してしまう。マックスは爆風で吹き飛ばされたものの、無事だった。ローリーが真っ先にマックスにインタビューしようと駆け寄ってくるが、マックスは自分達がサムを死に追いやったと感じる。
映画『マッド・シティ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
マスメディアの報道姿勢を問う風刺ドラマで、豪華俳優陣が共演しているのが見所だ。ただ真面目過ぎる作りのために、笑える場面もなく、風刺のスパイスがうまく効果を出せていない。同じダスティン・ホフマンの『ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ』の方が笑いに吹っ切れていて面白かった。1997年製作の本作だが、インターネットとソーシャルメディアの普及で社会が大きく変わった2020年代に見ると古臭く見えてしまう。(MIHOシネマ編集部)
ダスティン・ホフマンとジョン・トラボルタの共演が光る社会派ドラマ。職を失い追い詰められた男サムが、偶然の発砲事件で人質を取る展開は胸が痛い。最初は哀れでしかなかった彼が、メディアによって“モンスター”に仕立てられていく過程が恐ろしい。結末でサムが撃たれ、虚しい沈黙が流れる瞬間、現代社会の病が突きつけられる。(30代 男性)
ニュースキャスターの視点から描く報道の狂気が印象的だった。人質事件を“ショー”として利用するテレビの姿勢に強い皮肉を感じる。サムが最期に子どもを逃がすシーンは涙なしでは見られない。彼は犯罪者でありながら、人間としての純粋さを最後まで失わなかった。報道のあり方を問う作品として、今見ても強烈なメッセージを放つ。(40代 女性)
マスコミ批判の映画として見ると非常に鋭い。報道合戦の中で真実がどんどん歪められていく様は、まさに「マッド・シティ=狂った街」。トラボルタの演技は哀愁と狂気のバランスが絶妙で、彼の絶望に観客も引きずり込まれる。終盤の“英雄”として描かれる皮肉な展開が秀逸だった。(20代 男性)
一見サスペンスだが、実は「報道倫理」を描いた社会派ドラマ。ホフマン演じる記者が、キャリアのためにサムを利用していく姿が痛ましい。最初は味方のように見えた彼が、結果的に悲劇を拡大させてしまう構造が見事。最後の報道陣の無関心な姿に、人間の冷たさを感じた。見終わって重く沈黙してしまう作品。(50代 男性)
“メディアが人を殺す”というメッセージが強烈だった。トラボルタが演じるサムは決して悪人ではない。ただ、誰よりも不器用で、誰にも理解されなかっただけ。その孤独が痛いほど伝わる。ニュースに翻弄される群衆の姿が今の時代にも通じる。報道に踊らされる恐怖を見事に描いた傑作だと思う。(30代 女性)
若い頃に観たときは地味な映画だと感じたが、今見ると本質を突いている。情報社会の中で「人が物語にされる」危うさをリアルに描いている。特にホフマンが最後にサムの死を見届けるシーンの虚無感が忘れられない。サムは確かに罪を犯したが、彼の死は社会の責任でもあると感じた。(40代 男性)
緊張感ある展開の中に、人間ドラマがしっかり描かれている。サムの行動は決して正しくないが、家族を守りたいという純粋な思いが根底にある。それを利用するメディアの冷酷さとの対比が胸に刺さる。特に子どもを助けるラストは、彼の救いにも見えて切ない。社会派映画として一級品。(20代 女性)
報道の恐ろしさを描く作品として、これほど分かりやすく胸に響く映画は少ない。ホフマンの「記者とは何か」を問い直す視線が素晴らしい。トラボルタ演じるサムが人質を取りながらも、どこか子どものように純粋で悲しい。ラストの銃声の後に訪れる沈黙は、社会の冷たさそのものだ。(50代 女性)
単なる事件映画ではなく、人間の弱さと社会の歪みを描いた重厚なドラマ。報道が真実よりも「視聴率」を優先する姿は今の時代にも通じる。サムの死後、誰も責任を取らない世界の虚しさが印象的。ホフマンとトラボルタ、二人の演技のぶつかり合いが見応え抜群。(30代 男性)
映画『マッド・シティ』を見た人におすすめの映画5選
ネットワーク(1976)
この映画を一言で表すと?
メディアの狂気と視聴率至上主義を鋭く風刺した、報道批判の金字塔。
どんな話?
視聴率低下に悩むテレビ局が、精神的に不安定なニュースキャスターを“番組の目玉”として利用する物語。暴走するメディアと、それを熱狂的に支持する視聴者の姿を通して、報道と倫理の崩壊を描く。
ここがおすすめ!
『マッド・シティ』が描いた「報道の暴走」を、よりシニカルかつ時代を超えた形で表現している。アカデミー賞を4部門受賞した社会派ドラマで、ニュースの裏に潜む恐怖を見事に描き出した必見作。
ドッグ・デイ・アフタヌーン(1975)
この映画を一言で表すと?
失敗から始まる銀行強盗が“メディアの見世物”になる、実話ベースの衝撃作。
どんな話?
銀行強盗を試みた男ソニーが、仲間の裏切りと警察の包囲、そして報道の過熱に追い詰められていく。群衆の声援、メディアの狂気、孤立する犯人。事件が人間ドラマへと変わっていく過程が圧巻。
ここがおすすめ!
アル・パチーノの鬼気迫る演技が光る。事件報道の異常な盛り上がりが、現代のメディア環境にも通じる。『マッド・シティ』のサムの姿に共感した人なら、ソニーの悲劇にも心を揺さぶられるだろう。
ナイトクローラー(2014)
この映画を一言で表すと?
報道の裏側に潜む“視聴率の魔物”を描く、狂気のサスペンス。
どんな話?
夜のロサンゼルスで事故や事件現場を撮影し、テレビ局に映像を売るフリーカメラマンの男ルー。彼はより刺激的な映像を求め、次第に倫理を踏み外していく。報道と犯罪の境界が曖昧になる恐怖。
ここがおすすめ!
ジェイク・ギレンホールの怪演が光る現代版『マッド・シティ』。報道が“人の不幸”を商品化する過程をリアルに描き、見る者に強烈な不快感と問題提起を残す。終盤の緊迫感は圧倒的。
グッドナイト&グッドラック(2005)
この映画を一言で表すと?
報道の使命と政治権力の衝突を描いた、硬派なジャーナリズム映画。
どんな話?
冷戦期のアメリカ。CBSのニュースキャスター、エド・マローは、共産主義者狩りを行うマッカーシー議員に真っ向から挑む。自由と恐怖が交錯する時代の中で、報道の正義とは何かを問う。
ここがおすすめ!
ジョージ・クルーニー監督によるモノクロの映像美が際立つ。報道が持つ力と責任を真正面から描いた作品で、ホフマン演じる記者の葛藤と重なる部分が多い。静かだが魂を揺さぶる名作。
ブロードキャスト・ニュース(1987)
この映画を一言で表すと?
ニュースの裏側にある“仕事と愛と倫理”を描く知的ヒューマンドラマ。
どんな話?
テレビニュース業界で働く3人の男女。理想を追う記者、カリスマ的なアンカー、そして冷静なプロデューサー。メディアの変化の中で、彼らの関係と信念が揺らいでいく。
ここがおすすめ!
報道現場の現実を軽妙かつリアルに描いた名作。『マッド・シティ』のような報道批判とは違い、“内部から見たメディアの人間ドラマ”として深く共感できる。笑えて考えさせられる、バランスの取れた社会派映画。






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