この記事では、映画『マギー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マギー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マギー』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:95分
- ジャンル:ホラー、ヒューマンドラマ
- 監督:ヘンリー・ホブソン
- キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、アビゲイル・ブレスリン、ジョエリー・リチャードソン、J・D・エヴァーモア etc
映画『マギー』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『マギー』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『マギー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『マギー』 あらすじ【起・承】
人間も農作物も腐らせてしまう伝染病、歩腐病ウィルスが広がりつつある世界。
外出禁止令をやぶって町に出たマーガレット・ヴォーゲルはウィルスに感染し、ゾンビ化するのを待つだけになった。
父ウェイドは娘の感染を知らされるが、マギーの親友の父、ヴァーン医師の温情で限界まで家で過ごせることになった。
幼い弟ボビーと妹モリーは家を出ることになり、義母キャロラインは神経質な態度を隠し切れない。
ある日マギーは指を怪我し、その指を包丁で切り落としてしまう。
そして庭に出たマギーは、感染して狂暴化した隣人ネイサンと娘に遭遇する。
ウェイドは2人を殺し、通報によって駆け付けた保安官からは、妻ボニーが無断で2人を匿っていたせいだと教えられる。
その晩、ウェイドを訪ねてきたボニーは、ネイサンは自ら覚悟して娘と一緒に過ごしたと言って連行されていった。
その後、ヴァーン医師の診察を受けることになるマギー。
隔離か壮絶な痛みを伴う薬か、それとも殺してしまうかという選択肢を提示され、迷うウェイド。
やがてヴァーンの娘アリーに誘われ、友人たちと一晩を過ごすことになるマギー。
感染してしまったボーイフレンド、トレントも一緒だった。

映画『マギー』 結末・ラスト(ネタバレ)
その後、トレントから呼び出されて彼の家に向かうと、隔離施設に入るために連行されるところだった。
マギーにも兆候が出始めていた。
ある日、罠にかかったキツネの鳴き声を聞き、助けるつもりが顔を血まみれにするような状態にしてしまった。
キャロラインは限界を感じて隔離施設に入れるよう勧めるが、ウェイドは拒否。
そしてキャロラインは家を出た。
その後、保安官が様子を見に来て、マギーを隔離施設に入れるよう強く勧めるがウェイドは話を聞かない。
乱闘になりかけた彼らを止めたのは、マギーだった。
そんなマギーに、彼女の名前の由来、ひなぎく(マーガレット)の咲いた花壇をマギーに見せるウェイド。
それを見たマギーは、父に自分の苦しみを終わらせて欲しいと頼む。
ヴァーンから隔離所で使う薬を手に入れたウェイドだったが、ヴァーンは一思いに殺してあげたほうがいい、と助言する。
もう、マギーは自分で自分を止められなくなってきていた。
眠りから覚めたウェイドは、銃に弾を詰めた。
寝ているウェイドにキスをしたマギーは、亡き母サラとの思い出を胸に屋根から飛び降りた。
映画『マギー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『マギー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
アクションを封印したシュワちゃんのゾンビ映画
鍛えあげられたマッチョな体でアクションをこなす作品にしか出演しないイメージのアーノルド・シュワルツェネッガーが、一切のアクションを封印して挑んだ本作。
徐々に体が腐り、最後には人間を食料と認識してしまう、いわゆるゾンビになるウィルスに感染した娘を演じたのはアビゲイル・ブレスリン。
シュワちゃんの、寡黙だが娘を愛する父親ウェイド役が似合っていて、アビゲイル・ブレスリンの十八番ともいえる娘役もピッタリ。
脇役も演技がしっかりしていて、見ていて安心感が持てる。
継母キャロラインを演じたジョエリー・リチャードソンの戸惑い方や、マギーの変化に気付いてハサミを隠し持つなどのシーンも印象的。
静かなBGMも作風に合っている。
マギーが怪我をした指を自分で切り落とすシーンがあるが、そこまでひどい残酷描写ではない。
重く悲しいストーリー
娘がゾンビになるとしたら父親はどうするのかというテーマの作品だが、ゾンビ映画がありふれている時にゾンビウィルスを使ったのは残念なところ。
数多くあるゾンビ映画の中に埋もれてしまう可能性が高いだろう。
ゾンビ化することで自然には死ねない体になり、他人や家族に噛みついて感染させる可能性も出てくる、という設定を付け足したことで、絶望感は増幅している。
また、ヴァーンの病院でマギーが感染者だと知られた時の、周囲の対応や視線なども残酷に描かれている。
継母が幼い子供だけ他の家に預けたり、隔離施設に連絡すべきだと迷うそぶりを見せずに言い切ってしまうのも悲しい。
ゾンビ化という病気とその社会を描いた作品です。ブーム初期を彷彿させるようなゾンビ設定(ヨタヨタ歩く・感染も進行が遅い)で、リアルに寄せた世界観になっています。ゆっくり少しずつゾンビになっていく娘と、娘に対して決断を下さなければならない父、二人の葛藤が観ていてとても切ないです。
ただ、主演シュワちゃんはミスキャスティングかと思います。パニックホラーやアクションを期待して観てしまうと肩透かしを受けるかもしれません。(男性 20代)
ゾンビ映画とは思えないほど静かで、内面的なドラマが胸に残る作品だった。娘を見守る父親役のシュワルツェネッガーが驚くほど繊細で、人間味のある演技を見せてくれた。感染して死に向かっていくマギーを抱きしめる父の姿が切なく、ラストで彼女が静かに死を選ぶシーンでは涙がこぼれた。静かな傑作だと思う。(20代 男性)
シュワルツェネッガーが主演と聞いて派手なアクションを期待していたが、まったく違った方向性に驚かされた。でもそれが良かった。感染症という現代にも通じるテーマを通して、家族の絆や死への覚悟を描いていて、重くも心に響く。ラストのマギーの選択には悲しさと納得の両方があった。(30代 女性)
娘の死を受け入れなければならない父の苦悩が、静かな演出で丁寧に描かれていて、感情の揺れがリアルだった。ゾンビ映画というよりは、死に至る病と向き合う家族の物語。マギーがまだ“人間”であるうちに見せる表情が印象的で、彼女のラストの決断には、生きることと死ぬことの意味を考えさせられた。(40代 男性)
思っていた以上に感情に訴えかける作品でした。終末感のある世界観の中で、静かに“その時”を待つ父娘のやりとりが切なくて、とても美しかったです。特にマギーが目の色の変化を気にするシーンには胸が痛くなりました。彼女が自ら命を絶つことで、父を守ったという優しさに涙しました。(20代 女性)
感染症を題材にしているけれど、暴力的ではなく、まるで病を抱える家族の記録のようでした。父親としての無力感と、それでも娘を愛し続ける姿に胸を打たれました。マギーが死ぬことを選んだのは、苦しむ家族をこれ以上巻き込みたくなかったからだと思う。ゾンビ映画というよりヒューマンドラマです。(50代 男性)
マギー役のアビゲイル・ブレスリンが素晴らしくて、感情を抑えながらも崩れていく様がとてもリアルだった。誰にも責められない、ただ時間だけが過ぎていく苦しさが、映画全体を通して伝わってきました。最後の彼女の微笑みは、絶望の中での小さな救いのように思えました。(30代 女性)
これまでのゾンビ映画とは完全に一線を画す静かな作品。感染症にかかった少女が、家族に見守られながら死へと向かう。その過程がとても丁寧で、父親の愛情が画面越しにじんわり伝わってくる。派手さはないけれど、観る側の心に重く残る。シュワちゃんの新しい一面が見られたのも驚きでした。(40代 男性)
マギーが抱える「自分が人間でいられる最後の時間」を描いている映画だと感じました。その時間をどう過ごすか、誰と過ごすかがとても重要で、彼女は最期まで父の愛に支えられていた。ゾンビに変わることが「死」ではなく、「愛を失うこと」が死なんだと思わせてくれた作品。(20代 女性)
この映画は“変化していくことの怖さ”を描いていたと思います。肉体的に変わっていく娘を見守る父の苦悩と、精神的に壊れていく自分に気づきながらも耐えるマギーの姿が印象的でした。彼女の選んだ“静かな最期”は、自分の尊厳を守る行為でもあったと思います。感情を深く掘り下げた秀作。(30代 男性)
映画『マギー』を見た人におすすめの映画5選
ザ・ロード(The Road)
この映画を一言で表すと?
終末世界を生き抜く父と息子の“希望なき旅”。
どんな話?
世界が崩壊した後の地球を舞台に、父と息子がただ“生きる”ために歩き続ける物語。食料も人間性も失われた荒廃の中、父親は息子を守りながら人間らしさを保とうとする。希望がかすかに灯る旅路。
ここがおすすめ!
『マギー』のように、終末の中でも「家族の愛」を静かに描いた作品。アクションよりも感情に重きを置いた構成で、心に重く残る余韻があります。父と子の絆を軸に、静かな絶望と優しさを体感できます。
28日後…(28 Days Later)
この映画を一言で表すと?
ウイルスによる感染がもたらす、文明の崩壊と人間の本性。
どんな話?
病院で目を覚ました青年が、ロンドンの街が無人と化していることに気づく。原因は人間を狂暴化させる“レイジ・ウイルス”。生存者と共に安全地帯を探す中、人間の本質があらわになっていく。
ここがおすすめ!
『マギー』の“感染”というテーマに、よりサスペンスやスリラー要素を強めた傑作。恐怖の中で人はどう生き、何を守るのか。緊張感のある映像と社会への皮肉も魅力。考えさせられるゾンビ映画です。
君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name)
この映画を一言で表すと?
人生で一度きりの“喪失と成熟”が描かれた、瑞々しい青春映画。
どんな話?
1980年代のイタリア。17歳の少年エリオは、家族のもとにやってきた大学生のオリヴァーと出会い、淡くて深い恋に落ちる。ひと夏の恋と別れを通じて、彼は大人になっていく。
ここがおすすめ!
『マギー』のように“ゆるやかな喪失”を描く作品。時間がゆっくりと流れ、感情を丁寧に積み重ねていく描写が特徴です。静かで美しく、余韻に浸れる感受性豊かな映画が好きな方にぴったり。
リービング・ラスベガス(Leaving Las Vegas)
この映画を一言で表すと?
死を選んだ男と、生きるために抗う女の、不器用な愛の物語。
どんな話?
アルコール依存で人生を投げ出した脚本家ベンが、ラスベガスで娼婦のセーラと出会う。ベンは“死ぬまで飲み続ける”と決めていたが、セーラの存在が少しずつ彼の心を揺らしていく。
ここがおすすめ!
マギーの“死を受け入れる静けさ”に感動した人に響く作品。人間の破滅的な一面と、それでも愛される価値があるという描き方が共通しており、ニコラス・ケイジの演技も圧巻。重くて優しい名作です。
わたしを離さないで(Never Let Me Go)
この映画を一言で表すと?
“運命”を受け入れた若者たちの、切なく静かな青春。
どんな話?
クローンとして臓器提供のために生まれた若者たち。恋や友情を経験しながら、自らの“役目”を受け入れ、生きようとする姿を静かに描く。美しい風景と共に、切なさが押し寄せる。
ここがおすすめ!
『マギー』と同じく「死を待つ人生」に対するまなざしが印象的な一作。受け入れがたい運命に立ち向かうのではなく、静かに受容していく美学が描かれており、観る者の心に深く染みわたります。
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