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映画『マジカル・ガール』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『マジカル・ガール』の概要:余命わずかな娘のために「魔法少女ゆきこ」のドレスを手に入れようとする父と、それに巻き込まれた元売春婦の主婦、出所したばかりの囚人の人間関係を描いたスペイン映画。日本の歌謡曲のような歌も使われている。

映画『マジカル・ガール』の作品情報

マジカル・ガール

製作年:2014年
上映時間:127分
ジャンル:サスペンス
監督:カルロス・ベルムト
キャスト:バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ホセ・サクリスタン、ルシア・ポリャン etc

映画『マジカル・ガール』の登場人物(キャスト)

ルイス(ルイス・ベルメホ)
アリシアの父。元、文学の教師。アリシアの治療費のために、古本屋に本を売るなど、厳しい生活を送っている。アリシアの願いを叶えるため、“魔法少女ゆきこ”のドレスを手に入れようとする。偶然知り合ったバルバラを脅し、“魔法少女ゆきこ”の購入資金に充てようと画策する。
アリシア(ルシア・ポリャン)
白血病を患っている、余命わずかの12歳の少女。ルイスの娘。“魔法少女ゆきこ”という日本のアニメが好きで、友人たちからは「ユキコ」と呼ばれている。親友バネッサを「マコト」、パロマを「サクラ」と呼んでいる。メイコ・サオリが歌手のメグミ用にデザインした“魔法少女ゆきこ”のドレスを欲しがっているが、本当の願いは父と過ごすこと。
バルバラ(バルバラ・レニー)
元売春婦。元締めのアダの元から逃げた後、何も知らない精神科医の夫アルフレドと結婚した。自分より不幸な人を見るため、テレビを見るという歪んだ性格。精神的に危うい。浮気がばれるのを恐れ、夫に秘密でお金を手に入れるために、再び売春に手を染める。
ダミアン(ホセ・サクリスタン)
模範囚で、囚人たちに勉強を教えていた老人。元、数学の教師。バルバラは教え子で、彼女を守るために服役したらしい。バルバラの過去を知っている。

映画『マジカル・ガール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『マジカル・ガール』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マジカル・ガール』のあらすじ【起】

ルイスが帰宅すると、白血病の娘のアリシアが倒れていた。
病院に運ばれたアリシアの状態を聞き、ショックを受けるルイス。
帰宅後、タバコを吸ってみたい、ジントニックを飲んでみたいというアリシアに、タバコやジンを飲ませたルイス。

アリシアの願いごとノートを見たルイスは、娘が1点ものの“魔法少女ゆきこ”のドレスを欲しがっている事を知る。
しかしそれは、7千ユーロもした。
ラジオから流れる、12歳の少女からのお便りの内容を聞かず、ルイスは家を出た。
それはアリシアが送ったもので、病院で目覚めると必ず父がいるから病院が好きだ、という内容だった。

古本屋に本を売っても、たいしたお金にはならなかった。
飲み屋を営む友人マリソルに事情を話し、雇ってほしいと頼むが、断られてしまう。
宝石店に盗みに入ろうかと思案するルイスの頭上から、何かが降ってきた。

精神科医の夫を持つバルバラは、精神的に危うかった。
その日、赤ん坊を見せに来た夫婦に、笑えない冗談を言った。
そして夫はバルバラに睡眠薬を飲ませ、出て行った。

荒れたバルバラは自分から鏡に頭を打ちつけ、お酒を飲みすぎ、窓から嘔吐した。

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映画『マジカル・ガール』のあらすじ【承】

バルバラが吐いたものをかぶってしまったルイスは、バルバラの部屋に引き入れられる。
そして、ルイスとバルバラは性的関係を持つ。

翌朝、戻ってきた夫とバルバラはギクシャクしていた。
そこに、ルイスから電話がかかってくる。
関係をばらされたくなければ、7千ユーロ払うよう脅すルイス。

バルバラは、お金を集めるためにアダの元へ向かった。
かつてアダの元で売春をしていたバルバラは、お金を得るために客を取る決意をしていた。
夫に隠し通すため、挿入なし、1日限りという条件をつける。

紹介されたのは、金持ちのオリベル・ソコだった。
1枚のカードを渡され、そこに書かれた言葉を言えば終わりだと聞かされる。
言わずにいる時間分、お金を稼げる仕組みだと聞かされ、バルバラは部屋に入る。
そうしてバルバラは7千ユーロを稼ぎ、ルイスは大金を手に入れた。

そのお金で、アリシアに“魔法少女ゆきこ”のドレスを買い与えた。
しかしルイスは、ステッキを買い忘れていた事に気付く。
それはあまりにも高額だった。

映画『マジカル・ガール』のあらすじ【転】

バルバラを脅し、2万ユーロを手に入れる事にしたルイス。
前と同じ条件で、アダを通して客を得ようとするが、時間が足りない。
そこでバルバラは、よくない噂がある“トカゲの部屋”に入ることにした。
アダは止めるが、バルバラはオリベル・ソコに、“トカゲの部屋”に入ると連絡してしまう。

そしてオリベル・ソコの屋敷へ向かうが、部屋の前にあったカードは白紙だった。

刑務所に入れられているダミアンは、カウンセラーに出所したくない、と頼み込んでいた。
ダミアンは、バルバラの存在が怖いのだという。

アパートの階段の踊り場に倒れていたバルバラは、出所したダミアンに助けられた。
ダミアンに、ルイスへ渡すお金が入った辞書を図書館に戻すよう頼んだバルバラは、救急車で運ばれていった。

翌日、バルバラの夫アルフレドから感謝の電話がかかってくる。
そして、バルバラに会ってほしい、と頼まれる。
包帯でぐるぐる巻きになった顔で、バルバラはダミアンにだけに真相を話したいと告げる。
そして、図書館でよく見かける男にレイプされた、と嘘をついた。

映画『マジカル・ガール』の結末・ラスト(ネタバレ)

刑務所で勉強を教えていたダミアンは、教え子同然のペポに会いに行った。
ダミアンは、ペポに助けを求めた。

そして、ルイスの事を突き止める。
飲み屋でルイスに近づき、銃で自分を撃ち殺すよう脅すダミアン。
バルバラの名前を出すとルイスは怒るが、強姦はしていないと言う。
浮気し、その場の録音を盾にバルバラを恐喝したことは認めた。

バルバラが自ら夫を裏切ったと聞かされ、ダミアンはルイスの頭を撃ち抜いた。
そして店にいた他の客も殺し、ルイスの携帯を手に入れるために、ルイスの家へと向かった。

家には、“魔法少女ゆきえ”のドレスを着てステッキを持ったアリシアがいた。
ルイスから、携帯を持ってきてほしいと頼まれた、と言い分けするダミアン。
しかしアリシアの視線に耐え切れず、アリシアを撃ち殺した。

携帯を持って、バルバラの病室に向かったダミアン。
バルバラが強姦されたと嘘をついたこと、本当は脅されていたことを知ったうえで、ダミアンはバルバラに携帯を見せた。
しかし証拠は存在しなかったと告げ、手の中にあった携帯を手品で消してみせた。

映画『マジカル・ガール』の感想・評価・レビュー

かなり不穏な空気が漂い何が何やらわからないままストーリーが進む本作。可愛らしいタイトル、そして劇中の可愛らしいアニメとは裏腹にラストの展開含めて不条理で衝撃的である。劇中で多く説明が与えられるわけではないため、登場人物たちの背景や心情に思いをはせる必要があり、その辺が、見る人を選ぶかもしれない。何かの解説で、魔法使いとその使い魔たちのバトルの映画だというものを見たが、筆者はその説を支持する。(男性 20代)


説明が本当に少ないため、とにかく観る人の想像力頼みの映画になっている。内容もタイトルから感じられるようなテンション高めの物語ではなく、いったいどこから間違えてしまったのかという負の連鎖が止まらない鬱々としたものである。魔法なんて奇跡は微塵も感じられないラストは強烈な後味の悪さが残る。日本のアニメへのリスペクトは非常に感じられる演出が多々あり、恐らく監督の好きなアニメは某鬱アニメである魔法少女の作品であろう。(男性 20代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    娘のために尽くすルイス。だが彼はアリシアの真の願いを知らなかった。劇中ではパブの店員から、そしてアリシアが書いた手紙から、彼女の心の拠り所は何よりも父親にあることがはっきりと示されている。

    バルバラはともかく不安定な女性である。彼女は夫を何よりも愛していたが夫をなくしたと思った時、少しだけ間違いを犯してしまった。そしてそのままそのツケを払うことになる。

    ダミアンはバルバラのためならばと献身する。結果的に彼はルイスだけでなく、パブの店員そしてアリシアの娘までも殺してしまう。

    それぞれが、自身の愛する者のためにとった行動が結果として思わぬ方向へ転がって行ったのであった。

  2. 匿名 より:

    マジカル・ガールでは劇中常に言い知れぬ不安がこちらを見つめている。それは例えばバルバラが夫を失ったとき静かに己の顔に傷をつけた時であったり、あるいは物語のラストでアリシアがダミアンを黙って見つめていた時にとりわけ強く感じる。

    本作品のキャスト陣が素晴らしい理由はそこにある。彼女ら彼らが演じるシーンから私たちは、劇中以外のストーリー・心情を想像することができる。

    アリシアの本当の望み、バルバラの夫への愛情、ルイスの誤解、そしてダミアンの心情。何が、そしてなぜそこまで彼らを突き動かすものがあったのか考え込んでしまう。

    マジカル・ガールは後味の悪い作品と言えるか。そうではないと思う。ドミノ倒しのように1つ倒れたものが、絶大な波及効果を及ぼしただけなのだ。

    一度動き始めればそれを途中で止めることは不可能である。いわば止まるはずのないものを諦観し見つめる以外ない。ゆえにこれほどブラックコメディの名が相応しい映画もないであろう。

  3. 匿名 より:

    ある意味ではそれぞれが自分にできるベストを尽くしたであろうに、ラスト30分はあまりにも理不尽な展開であった。

    マジカル・ガールという題名からも連想できるが、近年可愛らしい題をつけながらも現実の残酷さや不条理を突きつける作品が増えたような気がする。

    本作品の監督、カルロス・ベルムト氏も日本のアニメといったサブカルチャーから強く影響を受けており、劇中でいくつか細かく散りばめられているそれらの要素を見つけるのも楽しいと言える。