映画『マニアック(1980)』の概要:1980年アメリカ合衆国によって作られたホラー映画のリメイク版。イライジャ・ウッドが演じる殺人鬼のどこまでも悲しい愛情表現を描写した映画である。日本版予告でのキャッチコピーは「指輪なんか、もう捨てた」。
映画『マニアック』 作品情報
- 製作年:1980年
- 上映時間:88分
- ジャンル:ホラー、ラブストーリー
- 監督:ウィリアム・ラスティグ
- キャスト:ジョー・スピネル、キャロライン・マンロー、ゲイル・ローレンス、トム・サヴィーニ etc
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映画『マニアック』 評価
- 点数:40点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『マニアック』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『マニアック(1980)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『マニアック』 あらすじ【起・承】
近頃、ロサンゼルスでは真夜中に女性をターゲットとした猟奇殺人事件が多発していた。被害者の共通点はどれも毛髪ごと頭皮が剥ぎ取られていることである。
犯人はマネキンの修復技師であるフランク。彼は幼い頃母親の情事を目の当たりにしたトラウマから生身の女性を愛することができず、夜な夜な町に繰り出しては女性を殺しその頭皮を剥ぎ取ってマネキンに被せる日々を過ごしていた。
物言わぬマネキンしか愛することのできないフランク。ところがある日女性カメラマンのアンナがたまたまフランクの店の前を通り、彼のマネキンに興味を持ち個展の作品のモチーフにしたいと申し出る。
始めは戸惑っていたものの、マネキンの芸術性を褒めてくれたアンナに心を開くフランク。
アンナは「真の自分を理解してくれている」のだ。そう考え次第にフランクはアンナに惹かれていく。ところが彼女にとってフランクは友人以外の何者でもなかった。
実はアンナにはすでに恋人がいたのだ。フランクの理想像である「アンナ」が崩れたとき、彼は心に狂気を宿す。
映画『マニアック』 結末・ラスト(ネタバレ)
アンナが開いた個展のオープニング・パーティーに出席したフランクは、彼女の周りを取り囲む人々が不快で醜い存在としか思えない。周囲の人々もまたフランクを君が悪いと感じる。精神的に不安定になるフランク。会場でフランクに失礼な態度をとった女性にたいし、そのまま衝動的に自宅まで尾行し殺害してしまうのであった。
その後友人が亡くなったことを知りショックを受けるアンナ。彼女はフランクに電話をかける。そんな彼女を慰めようと家を訪れたフランクだが、ふとしたはずみで殺人犯しか知りえない情報を口走ってしまう。
このことから一連の事件の連続殺人犯がフランクであったと気付くアンナ。フランクにたいし恐怖の色を見せ拒絶を示す。フランクから必死に逃げるアンナ。物音を聞き助けにきた隣人マーティンも殺されてしまう。
一度は捕まり車に乗せられ運ばれるもの、近くにあったマネキンの手を取りフランクの腹に刺すアンナ。そのまま外に飛び出し、見ず知らずの運転手が乗る車に逃げ込む。ところが車が走り去ろうとする途中で事故に遭い大破。息も絶え絶えに車から這いより出てきたアンナをフランクは無情にも殺す。
アンナの毛髪が付着した頭皮を持ち帰りウェディングドレスを着たマネキンに飾るフランク。ところがなんとその時、これまで彼が殺し頭皮を貼り付けたマネキンたちが突如嘲笑い始め、フランクに襲いかかる。今まで殺した女性の姿をしたマネキンがフランクをベッドに抑えつけ素手で彼を八つ裂きにする。
叫び声をあげるフランク。八つ裂きにされた自身から出てきたのはマネキンと化したフランクであった。
それれまでの犯行がばれ、フランクの家に乗り込む警官。彼らが目にしたのは一人寂しく息絶えたフランクの姿であった。
映画『マニアック』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『マニアック(1980)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
容赦のないスプラッター描写
非常に好き嫌いの分かれる映画である。まずスプラッター描写に余念がない。頭皮を剥ぎ取るシーンの効果音が非常に生々しく、女性を無残に殺すシーンは凄惨なものだ。また画面の撮り方も独特であり、主人公であるフランクの視点を通し物語が進むためフランク自身が映るシーンは全編を通しほんのわずかである。
剥ぎ取られた頭皮をのせたマネキンの不気味なさまや、どこまでも一方的に女性に執着する主人公の狂気を観客がまるで現実に体感しているように作られているためグロテスクな描写が苦手な方にはおすすめしない。
だが作品内の美術品への細部のこだわり(フランクに飾られたマネキン個々に違いがあること)や劇中での光の幻想的な使い方は素晴らしく、凄惨な描写を除けばごく普通のラブストーリーを見ているかのようである。
見え隠れするフランクの狂気と悲しみ
そもそもの事件の発端はフランクが母親の情事を目撃したことに起因する。以来彼が愛せる対象はもの言わぬマネキンとなってしまった。ところがマネキンにはあるものが足りない。それが頭髪であった。
フランクにとってマネキンは性愛の対象ではない。なぜなら劇中ではフランクの下半身もマネキンであるかのように描写されており、生殖機能の役割を果たしていないことが示唆されている。
また劇中では、観客が鏡を通じフランクの表情を確認できる場面がいくつかある。フランクが鏡をのぞくとき、彼の表情は狂気を帯びたものであり私たちは彼の日常の顔を知ることはできない。
劇中でもっとも印象的なシーンはフランクがアンナと向き合って笑いあうシーンだ。このとき初めて観客はただのフランクを見ることができる。こうしたシーンの緩急がフランクをただの殺人鬼ではなく、一人の愛を知らない男として描写することに成功している。
映画『マニアック』 まとめ
イライジャ・ウッドといえばデビュー作「パラサイト」から察するようにロード・オブ・ザ・リング以外はイロモノと呼ばれる作品に出演することが多い。彼の素晴らしさは「危機に迫ったときの表情」である。とりわけ悲劇的な主人公を演じる際の苦悩や常軌を逸した狂気を醸し出すことに長けている。
マニアックという映画のストーリー自体はホラー映画としての新しさはない。ところが主人公を演じるイライジャの狂おしいほどに悲しい愛情表現が見ているものの心を惹きつけて止まないのだ。しかし反対に言えばイライジャ・ウッドの魅力が全てといえる映画でもある。
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