映画『ドニー・ダーコ』の概要:世界が終わるまであと28日と6時間と42分と12秒。ドニーが見たものは果たして夢か現か。銀色のうさぎが現れた時彼はある重大な決断を迫られることになった。
映画『ドニー・ダーコ』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:113分
- ジャンル:SF、ミステリー、青春
- 監督:リチャード・ケリー
- キャスト:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マローン、メアリー・マクドネル、ドリュー・バリモア etc
映画『ドニー・ダーコ』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ドニー・ダーコ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ドニー・ダーコ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ドニー・ダーコ』 あらすじ【起・承】
ドニーは精神カウンセリングを受けながら両親、浪人中の姉、幼い妹と共にマサチューセッツで暮らす高校生である。
10月2日の夜、ドニーは自分を呼びかける声に眠りから覚める。不気味な声に導かれるまま外に出ると銀色のうさぎ、フランクがドニーを待ち構えていた。うさぎは世界の終わりが迫っていることをドニーに伝える。
一方その頃、もぬけの殻であったドニーの部屋に飛行機のエンジンが落ちる。ゴルフ場にいたドニーは死を免れたのであった。
目を覚ましたドニーの腕には28:06:42:12と書かれていた。
ドニーの学校に転校生がやってくる。彼女の名はグレッチェン。義父からの暴力を受け、心に傷を持つ彼女はドニーとすぐに打ち解け交際を始める。
その一方で傍に銀色のうさぎが現れるとき、ドニーは破壊行為を起こすようになる。学校の下水道を破壊し、教師から慕われる先導者の家を燃やす。なお燃えた家からは大量の児童ポルノが見つかり彼は逮捕されることとなった。
映画『ドニー・ダーコ』 結末・ラスト(ネタバレ)
浪人していた姉がハーバード大学に合格した。ハロウィンの夜、ドニーは妹と母親がダンス大会の遠征に行っている間に家でパーティーを行う。
パーティーにはグレッチェンもやって来た。パーティーの最中、突如もうすぐ世界の終わりが近づいていることを確信したドニーはグレッチェンを連れ、導かれるように死神おばばと呼ばれるスパロウ家の地下室に向かう。
ところが地下にいたのは不良たちであった。揉み合いになるドニー、投げ飛ばされるグレッチェン。そこに通りかかった車がグレッチェン轢き殺してしまう。車から降りてきた人物は銀色のうさぎの仮装をした姉の恋人フランクであった。激昂したドニーはフランクの右目を撃ち抜き殺害してしまう。
グレッチェンの亡骸を車で運ぶドニー。途中に竜巻のようなものを見つける。ドニーの母親と妹が遠征帰りの途中に乗っていた飛行機もその竜巻に巻き込まれる。
ドニーは自分が10月2日を生きのびる限り、周囲の愛おしい人たちの命が助からないことを悟る。そして彼はこの日に死ぬことを決意する。
時を戻しベッドの寝転がるドニー。1人死んでいく状況とは裏腹に彼の心は満足であった。
なぜなら彼は1人ではないと知っていたからだ。未来ではグレッツェンと出会い、家族の愛を感じることができたのだから。
そしてドニーは楽しそうにベッドの上で笑い転げ自身の死を待った
映画『ドニー・ダーコ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ドニー・ダーコ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
非常に複雑な構造をとっている内容
1回映画を見ただけでは内容が分かりづらい。銀色のうさぎとは?ドニーはなぜ破壊行動に走ったのか?時系列の変化はどうなっているのか?そして彼はなぜ死ぬ必要があったのか?
鑑賞後、様々な解釈が生まれるであろう。おそらくそのどれもが正解であり、不正解でもある。ただそうした多くの解釈が集まり物語の全体が見えることもある。
またこの作品は字幕よりも圧倒的に情報量が多いため、吹き替えで見るのがおすすめである。しかし内容の抽象性が非常に高いため、明快なストーリー展開を期待する方にはおすすめしない。
孤独と愛情
映画の中では「孤独」と「愛情」がこと細かに描かれている。
心に不安を抱えるドニー。彼は孤独を嫌う人物であった。ここでの問題は映画でのラスト、一人死ぬとき果たしてドニーは孤独であったかどうかだ。
10月2日以降、彼の生活は満ち足りたものとなった。恋人との出会い。家族との確執を経た後の和解。しかし彼が未来に得た愛情は、10月2日にドニーが死ぬことによってなくなってしまう。
つまり「ドニー・ダーコ」は、10月2日の死を免れたドニーが生きていたらこうであったというifストーリーの一つである。
SFとしての色合いが強い本作であるが、ある意味では青春映画でもある。ドニーは非常に脆い人物であった。ところが彼は様々な経験を通し成長する。そして最後に彼はあまりにも酷といえる選択を自らするのであった。
彼が過ごした未来は確かに消えたが必ずしもそれは悲しいことではないのだ。
ティアーズ・フォー・フィアーズの「Mad World」がすごくピッタリな映画で、歌詞の内容とリンクしてズッシリと刺さった。難解なのは勿論だが、考察などさせてくれないような、理解を超えてくるスケールの大きさに慄いた。
ディレクターズカット版は色々と解説されているようだが、それを知ってしまったら勿体ないし、謎は謎のままであってほしいというような作品である。ジェイク・ギレンホールの姉のマギー・ギレンホールも出演しているので、姉弟の共演が見られるのも面白い。(女性 20代)
映画『ドニー・ダーコ』 まとめ
初見では内容がわからない映画のうちの一つであった。おそらく内容を理論的に把握するよりも抽象的に事物を理解しようとしたほうが鑑賞としては適しているであろう。
主演のジェイク・ギレンホール演じる、不安定なティーンエイジャー特有の心の揺れ動きが繊細に表現されていた作品であった。
ラスト、ドニーが一人ベッドで死を待つシーンに胸を締め付けられるが、一方で満ち足りた表情で笑う彼の姿が頭から離れない。
愛のために人はどこまで献身的になれるか。そう画面から問われているような気がしてならない。
関連作品
次作 ドニー・ダーコ2
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