この記事では、映画『マグノリア』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マグノリア』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マグノリア』 作品情報

- 製作年:1999年
- 上映時間:187分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
- キャスト:ジェレミー・ブラックマン、トム・クルーズ、メリンダ・ディロン、フィリップ・ベイカー・ホール etc
映画『マグノリア』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『マグノリア』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『マグノリア』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『マグノリア』 あらすじ【起・承】
警官ジムは事件の捜査中マンションの一室のクローゼットから死体を見つける。
リンダは自身の夫、アールが末期ガンで治る見込みない事実を受け入れられず医者にたいしヒステリックを起こす。
一方末期ガンに犯され床に伏す老人アールは看護人であるフィルにかつて捨てた息子ジャックを探すよう頼む。
ジャックは名前をマッキーと変え今では女を落とすセックスセミナーの伝道者として男性たちからの人気を確立していた。彼の人気を聞きつけ、取材に訪れた新聞記者にマッキーは頑なに過去を語ることを拒んだ。
クイズ番組の司会者、ジミーも末期ガンに犯されていた。死を前にし娘、クローディアの元を訪れる。ところが彼女は父親に会うと荒々しい態度をとり、話したくないと追い返す。
かつてクイズ番組に天才少年として出演していたドニーは職務を果たさなかったと勤めていた電気をクビにされる。彼は惚れているバーの店員が矯正していることから自身も矯正しようと決心する。
見つかった死体に関する事件の捜査をしているジム。突如現れた子供がラップ調で彼に事件のヒントを与えるもジムはそれを聞き入れない。
天才少年スタンリーは父親によって今日も熱心にクイズ番組に出演させられる。ジミーはこの番組の司会者であった。
クイズ番組の途中、スタンリーはトイレに行きたくなる。ところがそのタイミングがまったくない。
ジムは捜査の途中通報があり薬を服用しているクローディアの元を訪れる。そこで彼女に一目惚れする。二人は仲良くなる。

映画『マグノリア』 結末・ラスト(ネタバレ)
日が暮れ雨が降り始める。
リンダは弁護士の元を訪れアールの遺言を変えるよう懇願する。彼女はお金目当てでアールに近づき、彼を愛していなかったことを告白する。
なかなかトイレに行くことのできないスタンリー。司会が不調なジム。彼は番組の途中倒れる。
スタンリーはとうとう番組中漏らしてしまう。そして自身のこれまでの不満を訴えた後番組を抜け出す。
クローディアと出会った帰り、ジムはとある家で銃撃らしいものを受ける。その最中彼は銃をなくす。
フィルはついにマッキーを見つける。アールの元にやって来るマッキー。彼は枕元で自分を捨てた父を罵り嗚咽を漏らすだけであった。
リンダは車内でアールの薬を飲み服毒自殺を図る。
ジミーは妻にかつて自身がクローディアに何をしたか告白する。彼は実の娘に性的な悪戯を繰り返していたようだ。そして妻は出て行く。一人残され拳銃自殺しようとするジミー。
クローディアはジムと食事をする。お互いの話をしキスをする二人。そのままクローディアは去る。
ドニーはバーの店員にとうとう告白し、歯の矯正費を得るため勤めていた電気店に押し入った。
それぞれの1日が佳境を迎えるなか、空から大量の蛙が降り始める。
ジムは帰り道、ぼろぼろになったドニーと出会いお金を戻すよう言う。そして彼は再びクローディアのもとを訪れるのであった。
彼を見て穏やかにクローディアは微笑んだ。
映画『マグノリア』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『マグノリア』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
豪華なキャストと素晴らしい挿入歌
本作品のキャストは映画界屈指の名優たちを集めている。トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマンなどなど。こうしたキャスト陣の穏やかな演技が観客の心を掴んで離さない。
また、歌手のエイミー・マンは本作品にいくつか楽曲を提供しているが、そのどれもが一度聞くと耳から離れないほど中毒性がある。
どこか寂しさをはらみながらも力強さを感じる歌声。とりわけラストに流れる「save me」がマグノリアの内容を端的に表していると言っても過言ではないだろう。
また劇中歌「wise up」に合わせて豪華キャスト陣が歌うのも、今ではなかなか珍しいことなので、1つの見所であろう。
罪は許されるのか
「人間が犯した罪はどのように許されるのか」というメッセージが本作品には込められている。
子供を捨てる、盗みを犯す、嘘をつく。
人間誰しも大小問わずなんらかの罪を犯すが、一体それを誰が許すのだろうか。
本作品のラストでは登場人物たちがそれぞれ、もうどうにもならないという状況を迎える。
その時突如空から大量の蛙が降ってくるのだ。しかもこれが意外にもエグい。窓ガラスにぶつかり血を流すのだからなかなかの恐怖である。
しかしどうであろう。先ほどまであれほど困難にあえぎ苦しんでいた人々も蛙が降ってきたことによって全て吹き飛んでしまう。
いわば大いなる事象にたいしての人間の意識などその程度のものなのかもしれない。本作品のラストはカルトっぽいと評されているが、話の筋を考えるとこれ以上にふさわしいラストはない。
3時間近くあり登場人物も多く、さらにオチが超常現象なので観る人を選ぶかもしれない。しかし出ている人は役者揃い。バラバラのところで起きているエピソードが絡み合っていくストーリー展開など、一旦気に入れば繰り返し観たくなる1本になるだろう。
エイミー・マンによる劇中歌も大きな意味を持つ。というか、監督は彼女の歌にインスパイアされてこの映画を作ったという。彼女の歌の寓話性は確かに映画に反映されている。そして超常現象のオチも、なぜかそれほど突拍子もない話ではない気がしてくる。そんな魔法のある1本。(男性 40代)
群像劇の傑作とはまさにこの作品のこと。複数の人々の人生が交差していく中で、それぞれが抱える“赦しと再生”のテーマが強く響きました。特にトム・クルーズ演じるフランクが、死にゆく父と向き合うシーンは涙が止まりませんでした。奇跡のような“カエルの雨”が起きた瞬間、人生の偶然と必然の意味を考えさせられます。壮絶で、そして優しい3時間でした。(30代 男性)
「人は誰かを赦せるのか」という問いが全編を貫いていて、観終わった後もしばらく余韻が消えませんでした。最初は複雑に見える群像構成ですが、すべての物語が“孤独とつながり”という一点で交わる。ジュリアン・ムーアの激情的な演技に心を奪われました。ラストの雨のシーンでは、すべての罪と痛みが一瞬洗い流されたように感じました。(40代 女性)
3時間を超える長編ながら、一瞬たりとも退屈しなかった。登場人物たちが皆どこか壊れていて、それでも必死に愛を求める姿に胸を打たれます。特に、少年スタンリーがクイズ番組で大人たちの歪みを象徴する存在として描かれているのが印象的。ポール・トーマス・アンダーソン監督の演出は見事で、人生の混沌をそのまま映画にしてしまったような迫力でした。(20代 男性)
初見では正直「難解」でしたが、2回目に観ると人間ドラマとしての深みが圧倒的。登場人物たちがそれぞれ罪や後悔を抱えながらも、どこかで救いを求めている。その姿が観る者の心をえぐります。中でも、老司会者ジミーが過去の罪と向き合うシーンは痛烈。人は誰も完全ではない――その真実を突きつける傑作です。(50代 男性)
トム・クルーズの新たな一面を見せつけた作品。彼が演じる自己啓発講師フランクが、実は父への憎しみと愛に苦しむ一人の息子だったという展開に涙。すべての登場人物が痛みを抱えているのに、どこか希望が残る。カエルの雨という“ありえない現象”が奇跡ではなく「赦しの象徴」として描かれていることに鳥肌が立ちました。(30代 女性)
映画というより、“人生そのもの”を見せられたような感覚。バラバラの人生が偶然で繋がっていく構成が見事。中盤の全員が歌うシーン「Wise Up」はまさに圧巻。言葉ではなく感情が連鎖していくようで涙が止まりませんでした。最後に降るカエルの雨は、神の奇跡ではなく“人間の愚かさと希望”のメタファー。心が震える体験でした。(40代 男性)
『マグノリア』は、観るたびに違う部分が胸に刺さる映画です。初めて観たときはフランクの物語に、次はスタンリーやクローディアに感情移入していました。彼らの“救いの瞬間”は決して派手ではないけれど、確かに希望がある。ポール・トーマス・アンダーソン監督の人間へのまなざしが温かく、苦しさの中に光が見える名作です。(20代 女性)
人間の“繋がりの偶然性”をここまで描ける映画は他にないと思います。登場人物たちのストーリーがまるでパズルのように重なっていく構成に感動。どの人物も欠点だらけだけど、だからこそリアル。特に、カエルの雨の後に見せる彼らの表情が、絶望ではなく静かな受容に変わる瞬間に鳥肌が立ちました。(50代 女性)
群像劇の傑作として名高い理由がよくわかりました。それぞれの人間の“罪と後悔”が連鎖していき、やがて予期せぬ形で救いに変わっていく。監督の演出と音楽の融合が完璧で、Aimee Mannの楽曲が物語に魂を与えています。最後にカエルが降るという荒唐無稽な出来事が、人生の不条理そのものを象徴していて見事でした。(30代 男性)
映画『マグノリア』を見た人におすすめの映画5選
クラッシュ(Crash)
この映画を一言で表すと?
人種・立場・価値観が交錯するロサンゼルスで起こる“偶然の連鎖”を描いた衝撃の群像劇。
どんな話?
多民族が共存するロサンゼルスを舞台に、警官、泥棒、政治家、主婦など、異なる立場の人々が“ひとつの事件”をきっかけに関わっていく。差別、誤解、赦しが複雑に絡み合い、思いもよらぬ真実にたどり着く。人間の心の闇と希望を同時に描いた作品。
ここがおすすめ!
『マグノリア』同様、偶然に導かれる人間関係の連鎖を見事に描いた群像劇。すべての登場人物が“正義と罪”の間で揺れ動くリアルさが見どころ。人の弱さと優しさが交錯するラストは、観る者に深い余韻を残します。アカデミー作品賞受賞の感動作。
ショート・カッツ(Short Cuts)
この映画を一言で表すと?
“人生の断片”をつなぎ合わせた、ロバート・アルトマンによる群像映画の金字塔。
どんな話?
ロサンゼルスに暮らす22人の男女の、日常と偶然が織りなす物語。愛人関係、家族の不和、孤独、死など、さまざまな出来事が交錯しながら一つの“大きな出来事”へと収束していく。静かに流れる日常の中で人間の心の深淵を映し出す。
ここがおすすめ!
『マグノリア』の原点とも言える群像構成の傑作。誰の人生も小さな出来事でつながっているというテーマが響きます。アルトマン監督特有のリアリズムと自然な会話劇が光り、人間の哀しさと滑稽さを同時に描き出します。まさに群像劇の教科書的作品。
バベル(Babel)
この映画を一言で表すと?
“言葉の壁”と“心の断絶”を超えて描く、世界規模の人間ドラマ。
どんな話?
モロッコで起きた銃撃事件を発端に、アメリカ、日本、メキシコで生きる人々の運命が交錯していく。異なる文化、異なる言語の中で誤解と悲劇が連鎖し、やがて共通する“痛み”と“赦し”の物語へとつながる。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督による世界的群像劇。
ここがおすすめ!
『マグノリア』の“人間のつながりと孤独”を、グローバルな視点で描いた名作。映像の美しさと音楽の静けさが深い余韻を残します。個々の悲しみが連鎖していく様が切なくも美しく、観る者に「人は分かり合えるのか」という根源的な問いを投げかけます。
21グラム(21 Grams)
この映画を一言で表すと?
死、罪、愛が交錯する――魂の重さを問う衝撃のヒューマンドラマ。
どんな話?
一人の男の事故死が、知らぬ間に三人の人生を結びつける。心臓移植を受けた男、家族を失った母、そして罪を抱える加害者。バラバラの時間軸で描かれるそれぞれの視点が、少しずつ一つの真実へと収束していく。
ここがおすすめ!
『マグノリア』のように複数の物語を巧みに交錯させながら、人間の再生を描く深いドラマ。イニャリトゥ監督の緻密な編集と、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツの演技が圧巻。重くも美しい物語が、観る者の心を強く揺さぶります。
アメリカン・ビューティー(American Beauty)
この映画を一言で表すと?
“幸せ”の仮面を剥いだ先にある、アメリカ中流家庭の崩壊と再生の物語。
どんな話?
中年サラリーマンのレスターは、退屈な日常に絶望しながらも、娘の同級生に惹かれていく。完璧な家族を演じる妻、反抗的な娘、それぞれが心に闇を抱え、やがて一家は崩壊へと向かう。だが、皮肉にもその過程でレスターは“生きる喜び”を見出す。
ここがおすすめ!
『マグノリア』と同じく、“表面の幸せの裏にある人間の苦悩”を見つめる作品。サム・メンデス監督の繊細な演出と、ケヴィン・スペイシーの名演が光ります。日常の中の絶望と、そこに差し込む一筋の希望が美しく、観るたびに新たな発見があります。






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