映画『街のあかり』の概要:2006年のフィンランドのヒューマンドラマ映画です。本作はアキ・カウリスマキ監督の『浮き雲』『過去のない男』に続く、敗者三部作の完結編です。なお、この作品は2006年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品です。
映画『街のあかり』の作品情報
上映時間:78分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アキ・カウリスマキ
キャスト:ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤンヴェンヘルミ、マリア・ヘイスカネン、イルッカ・コイヴラ etc
映画『街のあかり』の登場人物(キャスト)
- コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)
- 本作の主人公で、物静かな男です。手巻きタバコを好んで吸っており、馬鹿正直で騙されやすい性格です。ミルヤに騙されて、宝石窃盗の罪に問われます。
- アイラ(マリア・ヘイスカネン)
- コイスティネンが通うホットドッグ屋の、女店主です。コイスティネンに密かに恋心を寄せていますが、思いは届く事が無く、いつも辛い思いをしています。
- リンドストロン(イルッカ・コイヴラ)
- 街のギャングのボスです。コイスティネンの物静かな性格に目を付け、女をけしかけます。まんまと成功しますが、コイスティネンに恨まれます。
- ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)
- リンドストロンに命令され、コイスティネンを騙した女です。コイスティネンを騙す事に少し罪悪感を感じており、常に申し訳ない表情を浮かべています。
映画『街のあかり』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『街のあかり』のあらすじ【起】
コイスティネンは警備会社で働いています。毎日夜中までショッピングモールの見回りをし、異常が無いか確認した後に戸締りをします。その後、仕事を終えたコイスティネンは行きつけのホットドッグ屋に行き、一服するのがいつもの毎日です。ホットドッグ屋の店主のアイラとは馴染み深い友達であり、口数は少ないですが二人は仲が良いです。アイラはコイスティネンに密かに想いを寄せてますが、その想いを伝える事が出来ずにいつもコイスティネンを見つめています。
しかし、コイスティネンはそんなアイラの気持ちに気付く事は無く、いつも無愛想にホットドッグを食べてます。その後は黙ったままタバコを吸い、そのまま家に帰ります。そんな毎日がコイスティネンの日常です。コイスティネンはこんな何も無い日常に飽き飽きしてますが、意外と悪く思っていません。何も無いけど不快な事も無く、コイスティネンは毎日を意外と楽しく過ごしています。警備会社の仲間ともたまに飲みに行き、仕事の愚痴や楽しかった事などを語らいます。
映画『街のあかり』のあらすじ【承】
そんなある日、コイスティネンが酒場で仲間と酒を飲んでいると、外で犬が虐待を受けてました。その犬は全く餌を与えられておらず、酷く痩せ細っていました。外の少年がその犬をいつも心配しており、何かをすがる様な目でコイスティネンを見つめてきます。コイスティネンは一大決心をし、犬の飼い主に文句を言う事に決めました。コイスティネンが犬の飼い主は誰なのか探していると、飼い主はすぐに見つかりました。その飼い主はとても体格が良く、柄の悪い男でした。
コイスティネンはその男を見て、一瞬怯みました。こんな男とコイスティネンが喧嘩して、勝てる筈はありません。それに、この男が大人しく話を聞いてくれる筈もありそうに無く、コイスティネンは困りました。男は、コイスティネンが話しかけてきた事に既に腹を立てており、訝しげな表情でコイスティネンを見つめていました。コイスティネンが黙ってるのを見て更に苛立ちを増した様で、男の表情は更に歪んでいきました。コイスティネンは、意を決して男に説明を始めました。
映画『街のあかり』のあらすじ【転】
コイスティネンが男に話を始めると、男は更に顔を歪ませ始めました。男は、自分の犬の事にケチを付けられた事に酷く腹を立て、コイスティネンに突っかかりました。コイスティネンは普段ならこんな男は相手にしないのですが、この日はビールを飲んでいた事もあり、気が強くなっていました。男の気迫に負けずに、コイスティネンは犬を譲り渡す様に説得を始めました。
男はコイスティネンを店の裏に呼ぶと、仲間達と共にコイスティネンをリンチしました。コイスティネンはボロボロになりましたが、犬の解放はしてもらえました。少年がコイスティネンに寄ってきて、コイスティネンにお礼をしました。その後、少年は男から譲り受けた犬を、大事に育てました。コイスティネンはボロボロになりましたが、満足気な表情でした。
ある日、コイスティネンは綺麗な女性にお店で声をかけられました。コイスティネンは舞い上がり、女性とデートをする約束を取り付け、後日デートをしました。その女性の名前はミルヤと言い、裏がありそうな女性でした。しかし、舞い上がっているコイスティネンにはそれが見抜けず、ミルヤにぞっこんでした。
映画『街のあかり』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミルヤはコイスティネンの職場が見たいらしく、コイスティネンとミルヤの初デートは、コイスティネンの職場になりました。しかし、実はミルヤは街のギャングの女であり、そのギャングのボスのリンドストロンに命令されて、コイスティネンに近付いていたのです。コイスティネンは、職場のパトロール中にミルヤに宝石店の暗証番号を覗き見され、後日リンドストロンの仲間に宝石を奪われてしまいました。
窃盗事件の犯人が見付からず、警察が捜査している時に、コイスティネンの家にミルヤが訪問してきました。ミルヤはコイスティネンと少し話すと、出ていきました。しかし、コイスティネンはミルヤが宝石店の宝石を、コイスティネンの家のソファに隠すのを見ていました。コイスティネンはそれを見ていながらも、ミルヤに何も言わず、その後突入してきた警察に捕まり、懲役をくらいました。
数年後、出所したコイスティネンは、働いてる職場でリンドストロンを発見しました。リンドストロンがお店を出たとこを見計らって、コイスティネンはリンドストロンを襲いました。しかし、コイスティネンは反対に、リンドストロンのボディガード達にリンチされました。
死にかけているコイスティネンを、犬を譲ってあげた少年が偶然見つけ、急いでアイラにコイスティネンの場所を教えました。アイラはすぐにコイスティネンの元に駆けつけ、コイスティネンを抱き抱えました。コイスティネンは息も絶え絶えにアイラの手を握り、街のあかりをアイラと共に見つめていました。
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