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映画『マチルド、翼を広げ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『マチルド、翼を広げ』の概要:精神的に不安定な母を持つ9歳のマチルドは、友達作りが苦手でいつも一人ぼっち。ある日、母がプレゼントしてくれたフクロウと話すことができるようになり、フクロウを心の拠り所とするようになる。そんな中、母が次々と手に負えない事件を起こし始め…。

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映画『マチルド、翼を広げ』の作品情報

マチルド、翼を広げ

製作年:2017年
上映時間:95分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:ノエミ・ルヴォウスキー
キャスト:リュス・ロドリゲス、ノエミ・ルヴォウスキー、マチュー・アマルリック、ミシャ・レスコー etc

映画『マチルド、翼を広げ』の登場人物(キャスト)

ザッシンガー夫人(ノエミ・ルヴォウスキー)
精神的に不安定で常に思考がどこかへ行ってしまっている。娘のマチルドと暮らしているが、事件を起こす度に酷く落ち込み、数日は部屋に閉じこもる生活を送っている。マチルドのことは愛しているが、良い母親にはなれないと感じている。
マチルド(少女期:リュス・ロドリゲス / 成人:アナイス・ドゥームスティエ)
何かと事件を起こす母親と友達作りが苦手なせいで、いつも一人ぼっち。母親からプレゼントされたフクロウと話すことができる。母のことが大好きだが、面倒を見ることに嫌気がさすこともある。父親のザッシンガーとも、ビデオ通話を通じて連絡を取り合っている。
ザッシンガー(マチュー・アマルリック)
マチルドの父親。夫人とはすでに離婚しているが、元妻と娘のことはいつも気にかけている。自身も医師として忙しくしている。夫人の理解者でもある。
フクロウ(ミシャ・レスコー)
ザッシンガー夫人がマチルドにプレゼントした小型フクロウ。ある日突然、マチルドと会話するようになる。ユーモラスで時に真実を語り、慰めやアドバイスをするなど、マチルドの心の拠り所となる。

映画『マチルド、翼を広げ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『マチルド、翼を広げ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マチルド、翼を広げ』のあらすじ【起】

精神的に不安定なザッシンガー夫人の娘マチルドは、友達作りが苦手でいつも一人ぼっち。母は間違えることが嫌いで、一度間違えてしまうとそればかりを気にしてしまい話が先に進まなくなる。その上、夢見がちで相手の話をまともに聞くことができない。だが、マチルドにとっては優しくて楽しい母親なのだった。

マチルドが授業へ戻った後、ザッシンガー夫人は結婚ドレスを試着。相手はいないが、人生と結婚するのだと笑顔を見せる。しかし、マチルドが授業を終え帰宅しても、母は帰っていなかった。娘は自宅にて宿題をやりつつ母の帰りを待ち続ける。
その頃、ザッシンガー夫人は帰り道が分からなくなり、夜の町をさ迷い歩いていた。

父親であるザッシンガーは医師で、家にはあまり帰って来ないが、マチルドとはビデオ通話で会話をしている。夜の9時半までに母親が帰宅しなかったら父に電話をする約束をしたが、その後すぐにザッシンガー夫人が帰宅。ようやく帰り道を見つけたのであった。

一人ぼっちであるが故に、普段から妄想で物語を紡いでいるマチルド。その日、帰宅すると母がプレゼントを用意して待っていた。開けてみると大きな鳥かごの中には、まだ子供のフクロウが止まり木に停まっているのだった。

フクロウはすぐにマチルドに懐き、少女は愛情を注いで育てる。そんなある夜、床に就いて電気を消したマチルドに「おやすみ」と声をかける何者かがいる。少女は部屋を探し、フクロウへと到達。フクロウ曰く、会話ができるのはマチルドとだけらしい。

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映画『マチルド、翼を広げ』のあらすじ【承】

男性の人骨を観察する授業の後、マチルドは人骨が運ばれた物置の鍵をこっそり盗み出して帰った。フクロウと挨拶を交わし、そのことを報告。すると、フクロウはマチルドの家が気に入ったのでずっといると言う。その上、人骨に興味を持ち魂が宿っていると話す。クラスメイト達は人骨にいたずらをして笑っていたが、死者を冒涜する酷い行為だと憤慨。

そこで、マチルドはフクロウと相談し、学校の物置から人骨を助け出し自宅の地下室へ。フクロウも連れて来て会わせた。更に死者には服を着せるべきだというフクロウのアドバイスに従って服も着せた。その後、就寝前の会話にて死者は埋葬しないと魂が休まらないと言われる。後日、人骨を山奥へ連れて行き穴を掘る。自分のサイズに合わせた穴だったが、彼女は人骨を丁重に扱い、見様見真似で別れの言葉を告げひっそりと埋葬するのだった。

クラスで合唱を披露することになり、ザッシンガー夫人も会場を訪れる。ある歌でマチルドがソロを唄うことになったのだが、なぜか母が娘の元へやって来て抱き着く。誰もが驚く中、マチルドは複雑な心境でソロパートを唄い上げた。だが、娘はそんな母をすぐに会場から連れ出し、帰宅してしまう。すると、ザッシンガー夫人は気落ちしてしまい帰宅早々、ベッドへと横になってしまい、それから2日も閉じこもったきり。

季節はクリスマス。マチルドは一人でクリスマスの準備をせっせと行う。準備が整ったところで母を呼びに行ったが、ザッシンガー夫人は部屋にいなかった。どこへ行ってしまったのか。マチルドはフクロウと会話し、時計を早く動かすことにするのだった。

その頃、ザッシンガー夫人は電車に乗って終点まで行ってしまっていた。駅から自宅へと電話が入る。マチルドは母の行動に腹を立て、自宅の中で大暴れ。フクロウも彼女の行動に驚き慄いた。そのせいで、チキンの丸焼きも失敗。彼女は苛立ちのあまり、丸焦げのチキンを窓から投げ捨て、カーテンに火を点けてしまった。

映画『マチルド、翼を広げ』のあらすじ【転】

メラメラと瞬く間に広がる炎。正気に戻った時には天井近くにまで炎が上がっている。フクロウは慌ててマチルドへ消火するよう促した。火の点いたカーテンを引き剥がし、一生懸命に消化。大事には至らずに済んだが、疲れ果てた2人は明日こそいい日になると言い合った。

深夜を過ぎ、ザッシンガー夫人が帰宅。マチルドは罰として自分の世話を母親に言いつけた。すると、フクロウがマチルドはイカれた母親の囚人だと言う。フクロウもまたペットとして鳥かごの囚人である。その言葉に腹を立てたマチルドは、鳥などに分かるわけがないとフクロウを黙らせるのだった。

しばらく後、帰宅したマチルドは母親が荷造りしていることに唖然とする。1時間で引っ越ししなければならないと言う。前もって行って欲しいと言ったが、ザッシンガー夫人も今朝知ったことらしい。どうにか荷造りを終えて次の転居先へ。ところが、転居先の住人は引っ越す予定はないと言う。だが、ザッシンガー夫人は頑として動かず、住人は警察を呼んでしまう。

夜になって雨が降る中、警察に連行された母子。父に助けを求め元の家に戻って来た。ザッシンガーは夫人が落ち着くまで、家に泊まると言い張る。とんだドタバタだった。
深夜になり、ザッシンガー夫人は自分の行いを酷く後悔し涙を流す。しっかりしなくてはと思うのに、いつも思考が逃げる。夫人は娘を引き取って欲しいと元夫へと頼んだ。

映画『マチルド、翼を広げ』の結末・ラスト(ネタバレ)

それから数日後、帰宅したマチルドは母が荷造りしているのを目撃する。自分を置いてどこかへ行こうとしているのだ。娘は母からスーツケースを奪って破壊し、母の心を想像して手紙にしたためた。ザッシンガー夫人は自分の家ではないと思い込んでいる様子。家という認識がもうできなくなっているのだ。ザッシンガーは夫人を医者に診せる決意を固めた。

夫婦が出掛ける準備をしている頃、開いたドアから外へ飛び出したフクロウ。彼はマチルドの学校へ向かい、ザッシンガー夫人が精神科の施設に入院させられることを知らせる。フクロウからの知らせを聞いたマチルドは授業を抜け出して帰宅したが、両親はすでに出掛けた後だった。

ザッシンガー夫人は二度と家には戻らない覚悟だ。そのために離婚した夫ザッシンガーに娘のことを頼む。家は売りに出して欲しいと言っていた。マチルドは荷物をまとめ、父と共に母と暮らした家を出た。電車に揺られながら、気分はまるでオフィーリアのようだった。

それから数年後、大人になったマチルドは母が暮らす施設へ。ザッシンガー夫人の容態は安定しているようだったが、母子には会話がない。そんな時、突然の雷雨の中、母子はまるで会話をするかのようにダンスを踊る。部屋へ戻った2人は録音機器を使って互いに言葉を交わし合うのだった。

映画『マチルド、翼を広げ』の感想・評価・レビュー

実力派監督であり、素晴らしい女優でもあるノエミ・ルヴォウスキーが母親に捧げた自伝的物語。本作では監督・脚本・出演を行い、自身が母親役を演じることで素晴らしい演技を見せている。更にマチルド役のリュス・ロドリゲスは映画初出演にして主演を務めている。

奇想天外な行動をする母親に振り回される娘。母子は互いに愛情を伝え合っているが、上手く噛み合わない。そんな、母子の深い愛情を、フクロウを加えることでコミカルに、そして詩的に描いている。フクロウとの会話に違和感がなく、とてもユーモラス。声を演じているミシャ・レスコーは、コメディアンでもあるためか非常に愛嬌がある。フクロウもまたとても可愛い。ラストシーンでの母子のダンスがとても印象的で、まるで会話をしているかのようだ。監督ならではのじんとくる愛情溢れる素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)

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