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映画『見知らぬ乗客』あらすじネタバレ結末と感想

映画『見知らぬ乗客』の概要:アルフレッド・ヒッチコック監督が描く、交換殺人がテーマのサスペンス。出演はファーリー・グレンジャー、ロバート・ウォーカー、パトリシア・ヒッチコック。1951年製作の米国映画。原作はパトリシア・ハイスミス。

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映画『見知らぬ乗客』 作品情報

見知らぬ乗客

  • 製作年:1951年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:サスペンス、ラブストーリー
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ファーリー・グレンジャー、ロバート・ウォーカー、ルース・ローマン、レオ・G・キャロル etc

映画『見知らぬ乗客』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

映画『見知らぬ乗客』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『見知らぬ乗客』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『見知らぬ乗客』 あらすじ【起・承】

混雑する駅へ急ぐ、人々。電車の中で、テニス選手のガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)は、ガイのファンだと言うブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)と偶然、乗り合わせた。

ガイは、妻ミリアム(ケイシー・ロジャース)がいたが離婚したいと思っていた。離婚後は、恋人のアン・モートン(ルース・ローマン)と結婚するつもりだ。そんな話をつい、ブルーノに話してしまう。

ブルーノは少し変わった男だった。彼は、“完全犯罪に興味はないかい?”とガイを誘い、食堂車で酒を飲みながら話した。“奥さんを殺す代わりに私の父親を殺してくれませんか”と。
冗談だと思って聞いていたガイは、煙草を吸う時の愛用のライターを見せた。ライターには、“A TO Gへ”と刻まれた文字とテニス・ラケットの絵が描かれた特注品だった。

その後、ガイは途中の駅メトカブで下車した。メトカブには、妻ミリアムがいたが、彼女は不倫の末に子供を宿していた。妻と離婚協議をしていたが、“有名になると知っていたら、離婚しなかったわ!”と高額の慰謝料を請求するのだった。

恋人のアンに電話して、離婚協議が長引きそうだと告げた。そして、こう漏らすのだった。
“ああ、妻を絞め殺してしまいたい!”と。

一方、ブルーノ・アントニーは、母親と仲が良かったが父親とは上手くいっていなかった。
彼はバスに乗り、夜の遊園地へ出かけた。ガイの妻ミリアムを見つけるのは簡単だった。

彼女は2人の男性と共に、遊園地デートを楽しんでいた。ブルーノはまるで、ストーカーのように彼女を追いかけ、彼女が2人の男性と離れた隙に首を絞めて殺した。
残された彼女のメガネを現場から持ち去った。

帰宅したガイの元へ電話が!妻ミリアムが遊園地で殺されたという。離婚協議中だと知った警察はまず、夫であるガイを犯人ではないかと疑う。犯行時間に誰と会っていたか証明できなければ、ガイが捕まってしまう。

ガイは、真夜中、暗闇で自分の名前が呼ばれるのを聞いた。そう、呼んだのは、“交換殺人”を持ちかけたブルーノ・アントニーだった。彼は、殺人証拠だと言って、死んだ妻の掛けていたメガネを見せた。“まさか、本当に妻を殺したのか?”と驚く、ガイ。

ガイは恋人のアンに会いに行く。アンの父親モートン(レオ・G・キャロル)は代議士。
恋人アンは、ガイを信じ、何があっても支えるわとキスを交わす。メガネをかけた妹バーバラ(パトリシア・ヒッチコック)もガイに対して、優しく気遣うのだった。

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映画『見知らぬ乗客』 結末・ラスト(ネタバレ)

ガイは犯行時間に電車にいたという証明をするために、警察の任意の事情聴取に応じていた。しかし、同時刻に電車に乗り合わせた微分学の教授は、酔っぱらっていて当時の事を覚えていないと言うのだ。疑いが晴れないまま、警察に身辺を探られることに。

数日後、ガイのテニスの試合が行われた。その試合会場にブルーノは、潜入していた。
“早く計画を立てよう。父が旅行に出るんだ!”と手紙で、父親を殺すよう要求します。
試合後にも現れ、“あなたのファンです!”と初対面を装って近づくのだった。
その時、恋人のアンは、男のネクタイ・ピンに“ブルーノ”と描かれているのに気付いた。

モートン代議士のパーティが行われた夜にも、ブルーノは現れた。そして、得意の殺人談義をしては夫人たちと会話を楽しんだ。

しかし、1人の夫人を“殺人には、道具が必要なんです!”と首を絞めて殺しかけてしまう。
すぐにブルーノを追い出すが、アンの妹バーバラは、“あの瞳は、私を殺していたわ!”とブルーノに対する恐怖を語るのだった。

妹の証言を聞いたアンは、ガイにブルーノについて怪しいと言い出す。
“彼とは、あの日が初対面なの?”と聞き、確信を得たように“彼が、奥様を殺したのね!”と結論づけるのだった。そこで、ガイも彼と“交換殺人”の話をしたと認めた。

ガイは、“交換殺人”することができないとブルーノに伝えるが、彼は許さない。ブルーノの母親にも、協力を求めるが母親は意を解さない。

ブルーノは、“ライターが現場で見つかれば、君が犯人だよ!”と2人が共犯であることを譲らなかった。

ガイのテニスの試合が始まった。ガイも罪をこのまま被るつもりはなかった。試合を3セットで終わらせ、殺人現場となった遊園地にブルーノよりも先にゆくつもりだ。
しかし、テニスの相手もなかなかしぶとく簡単にガイを勝たせてはくれない。

一方、ブルーノはガイより一足先に遊園地へ。ところが、証拠品であるガイのライターを道路の脇に落としてしまう。懸命に手を伸ばし、ガイのライターを拾おうとします。数回の挑戦で、ようやくガイのライターを見つけた。

ガイは、テニスの試合に勝ち、遊園地へ急いだ。警察は、ガイの行動を怪しく思い、遊園地を見守ることに。ブルーノはその時、遊園地内のボート乗り場にいた。

どうやら、警察が追っていることに気づいたようだ。ガイは決着を付けるべく、ブルーノの名前を呼んだ。そして、2人は廻るメリー・ゴー・ランドの中で乱闘になってしまう。

ところが、警察が、メリー・ゴー・ランドの操作係を誤って射殺してしまう。すると、メリー・ゴー・ランドは猛スピードで廻りはじめ、数名のこどもが取り残されてしまった。

乗っている子供が落ちそうになり、ガイはその子供を助けた。だが、ブルーノは、しつこくガイを殺そうと近づく。

そこへ、1人のおじさんが、暴走するメリー・ゴー・ランドを止めようと、床下に潜った。そのおかげで、メリー・ゴー・ランドは停止したが同時に潰れてしまう。

ブルーノは、警官に取り押さえられて、手にガイのライターを持ったまま息絶えた。

映画『見知らぬ乗客』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『見知らぬ乗客』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

偶然性と、メガネフェチな犯罪性がクセになる!ヒッチコックの殺人劇場

ヒッチコック作品が好きで、暇さえあれば観ています。ただし、本作を観て、“殺人”にはまってはいけませんよ。

冒頭は、駅へ向かう足、足、足。どんな“殺人”が始まるか、このアングルだけでドキドキします。ヒッチコック流の“殺人”の流儀というか、美しい魅せ方がいっぱいです。

例えば、電車で偶然に出会い、食堂車で酒を飲みながら、“交換殺人”の話をするシーン。
初めて会った人に冗談で話したつもりが、ロバート・ウォーカー演じる男に殺しを実行されてしまう。心理描写とストーカー的な悪人ぶりが怖い。

またメガネやライターが、小道具として効果的に使われています。被害者のメガネや、そのメガネを通じて映し出される、殺人模様。加えて、ヒッチコックの娘が演じる役どころが重要で、被害者によく似ているという設定にもうならせられます。

ラストの暴走するメリー・ゴー・ランドが1番恐怖を感じますが、1つ1つの伏線を拾って観るのも、ヒッチコック作品の醍醐味です!

“交換殺人”で結ばれる男たち

殺人談義をするだけでは、人は通常、殺しはしない。しかし、そこに相手の願望を叶えようという強い意志があったら?と考えると震えます。

テニス選手ガイ・レイノルズを演じる、ファーリー・グレンジャーには少し同性愛的な匂いがします。恋愛が自分とは異なる分身を求めようとするものだとしたら、“交換殺人”もどこか恋愛に似ているのかもしれない。

ヒッチコックの作品は、理論(殺人動機や背景など)が綿密で、映像には遊び心やしゃれた小道具が溢れています。本作では、そんなヒッチコックの“殺人技法”が堪能できます。
この2人と関わる女性(被害者とガイの恋人)も、変人で面白い。

悪役を演じる、ロバート・ウォーカーのストーカー的行動の恐ろしさは、複雑に絡み合った関係性も踏まえると余計恐ろしくなります。

また、ヒッチコックの娘が重要な役どころを演じているのにも注目です!

映画『見知らぬ乗客』 まとめ

ヒッチコックの作品の中でも、「サイコ」や「」に次ぐ、恐怖を体験できる作品です。
私は、幼い頃から遊園地のメリー・ゴー・ランドやジェットコースターが苦手でした。この映画を観た覚えはないのに、遺伝子のなかに刷り込まれている“恐怖”があるのでしょうか?

見どころは、ラストの暴走するメリー・ゴー・ランドです!木馬に取り残された子供たちの表情もリアルで、メリー・ゴー・ランドを止めようと技師が入ってゆくシーンもスリルがいっぱい。

ラスト・シーンもいいが、悪人役ロバート・ウォーカーが、落としたライターを必死で探すシーンも必見です。ヒッチコック作品が凄いのは、何気ないシーンをコミカルに表現するところ。

もし、落としたライターを拾えなかったら、別の結末があったかもしれません。
イギリス版とアメリカ版では結末が違うようなので、見比べて観るのもおすすめ。
ぜひ、ヒッチコックの“交換殺人”をじっくり味わって下さい。

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