この記事では、映画『模倣霊』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『模倣霊』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『模倣霊』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:ホラー
監督:ホ・ジョン
キャスト:ヨム・ジョンア、パク・ヒョックォン、シン・リナ、イ・ジュンヒョク etc
映画『模倣霊』の登場人物(キャスト)
- ヒヨン(ヨム・ジョンア)
- 家族で長山に引っ越してきた母親。五年前に、ジュンソという名の息子がショッピングモールで行方不明になり、未だに発見に至っていない。そのことで自分を責め続けており、ジュンソのことを持ち出されると精神的におかしくなってしまうほど傷跡が深い。ジュンソと最後に一緒にいた義母のスンジャから何か聞き出したいが、痴呆症のせいで記憶は曖昧になっていた。それでも望みを捨てず、ジュンソが戻ってくることを願っている。
映画『模倣霊』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『模倣霊』のあらすじ【起】
チェは不倫相手を連れて長山へと車を走らせていた。トランクには拘束した妻を詰め込んでいた。途中、犬を撥ねてしまったが、その犬もトランクに入れた。長山には長山洞窟と呼ばれる洞窟があり、今はブロックで塞がれていた。
長山洞窟に辿り着いたチェは、ブロック塀に穴を開けた。真っ暗な洞窟内には、鈴の付いた注連縄が張られていたが、チェはそれを無造作に引きちぎり、妻を殺し、犬と一緒に洞窟に放り込むと、再びブロックで穴を閉じた。
チェと不倫相手はその場を立ち去ろうとしたが、どこからか声が聞こえてくる。それは殺したはずの妻の声に聞こえた。死んでいなかったのかと思い、壁に近づいてみると確かに妻の声が聞こえる。恐ろしくなった二人は、車もそのままにその場から逃げ出していった。
ヒヨンは痴呆症が進んだ義母のスンジャの療養も兼ねて、夫のミノと娘のジュニの四人で長山の家へと引っ越してきた。ヒヨンにはジュンソという息子もいたのだが、五年前に行方不明になり、未だに発見されていなかった。

映画『模倣霊』のあらすじ【承】
ある日、いなくなった犬を探している姉弟が訪ねてくる。ヒヨン夫婦はドッグトレーナーの仕事をしていたが、姉弟が探している犬は見たことがなかった。ふと、姉弟は森の中から飼い犬の声が聞こえた気がして、そちらへと歩いていく。
姉弟は鳴き声に導かれ、長山洞窟へとやってきた。ブロック塀は崩され、穴が開いている。姉が中を覗いてみると、突然、何者かに中に引っ張り込まれた。だが、自力で脱出し、弟とヒヨンのところへと逃げ戻っていった。
姉弟はミノとヒヨンを連れて洞窟に戻ってきた。調べ始めたミノは、洞窟の奥から現れた女に遭遇。だが、女はミノに覆いかぶさるようにして、そのまま死んでしまった。その後の警察の調べで、この女はチェの不倫相手だと判明する。
その時、ヒヨンは森の中で迷子と思われる見知らぬ少女を発見する。しかし、ミノと子供たちの悲鳴を聞き、洞窟へ戻った隙に少女は忽然と姿を消してしまった。
ヒヨン達は警察の事情聴取を受けると自宅へと戻った。その夜、戸を叩く音が気になり、行ってみると、あの少女が立っていた。ヒヨンは少女を招き入れたが、少女は何もしゃべろうとしない。一晩、預かることにしたヒヨンは、少女をお風呂に入れ、綺麗な服に着替えさせた。
最初、少女は何を尋ねても無言だったが、やがてヒヨンやジュニが言ったことをオウム返しのように繰り返し始めた。
翌朝、ヒヨンもミノも目がかすむという不思議な症状が出始めていた。と、玄関先で物音がする。そこには見知らぬ盲目の女が立っており、洞窟が開いたので危険だ、声が聞こえる、早く立ち去れと訳の分からないことを呟いて去っていった。
警察が長山洞窟を調べてみると、失踪事件が多数起きていることを突き止める。不思議な声を聞いたという噂や、声に導かれて洞窟にやってくるという噂もあった。
映画『模倣霊』のあらすじ【転】
ヒヨンは少女のことをなかなか警察に連絡せず、何日も預かり続けた。ミノは少女の親が心配しているから早く連絡しろと注意する。スンジャの痴呆症が進んだのか、ナイフを手に少女に襲いかかったり、部屋の鏡をテープで目隠ししたり、奇行が目立つようになってくる。
ミノはスンジャの介護に限界を感じ、施設に預けることを決意。だが、ヒヨンはそれを拒否した。実は、行方不明のジュンソと最後にいたのはスンジャで、もし記憶が戻ったならば、ジュンソの手がかりが得られる可能性があった。一筋の希望にすがるヒヨンにミノは現実を突きつけ、ジュンソはもう死んだので諦めようと言う。
その夜、スンジャは亡くなったはずの兄弟の声を聞き、その声に導かれて森へと入っていった。翌朝、スンジャがいないことに気がついたミノは、少女に心当たりがないか尋ねてみた。だが、その後、ミノの姿も見えなくなってしまう。
さすがに不安になり、警察に連絡したヒヨン。ようやく迷子の少女を預かっていることを告げるが、少女の姿もどこにもなかった。雨の中、少女を探しに出たヒヨンは、いつぞやの盲目の女に出会う。
女はヒヨンに、萇山虎(チャンサンボム)という妖怪の話をした。萇山虎は人の声を真似て、相手を惑わすという。昔、長山に巫堂の親子が住みついた。巫堂は萇山虎に選ばれ、次第に常軌を逸した行動に出るようになる。巫堂には娘がおり、虐待を受けながら、出ていった母親を待ち続けていた。ある日、儀式の後、親子は忽然と姿を消したという。その後、失踪事件が次々と起こるようになった。
女は、あの少女は巫堂の娘で、霊力が強いという。目がかすむのは気が弱まっているせいで、次第に巫堂の姿も見えるようになり、危険なので早く立ち去れと言った。
映画『模倣霊』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジュニが心配になったヒヨンは家へと飛んで帰った。その頃、自宅にいるジュニはヒヨンの声を聞き、声の方へと歩いていた。だが、声の先にいたのは、鏡から出てこようとする恐ろしい巫堂の姿だった。恐怖を感じたジュニはその場から逃げ出す。追いかけてくる巫堂から助け出してくれたのは、あの少女だった。
無事にジュニと少女に再会したヒヨンは、ジュニに部屋から出ないように言いつけると、少女と共にミノとスンジャを助けに、長山洞窟へと向かった。洞窟の奥には扉があり、二人はその先にある長い階段を下りていく。
少女は、巫堂に見つかるので絶対に声を出してはいけないとヒヨンに言った。しかし、霞む目に足元がおぼつかなくなったヒヨンは、躓いた瞬間に声を出してしまった。二人に気がついた巫堂は、ものすごい勢いで迫ってきた。
ヒヨンは逃げ続けたが、囁き続ける巫堂の声に次第に混乱してくる。捕まる寸前、ミノが駆けつけて間一髪、難を逃れた。だが、ミノの目はすでに見えなくなっていた。ミノはヒヨンを引っ張って洞窟を脱出しようとする。その姿を見た少女は、置いていかないで、そばにいてと泣きながら懇願した。ヒヨンはためらうが、ミノは少女を信じるなと言い、強引に引っ張っていった。
外へ出る階段まで戻ってきた時、洞窟の奥からジュンソの声が聞こえてきた。また僕を置いていくのと寂しそうに言う声に、ヒヨンは思わず涙する。そして、ミノに、すぐ戻ると伝えると、洞窟の奥へと戻っていった。ジュンソの声の主は、あの少女だったが、ヒヨンは少女をジュンソと言って抱きしめると、そのまま二人で洞窟の中に消えていってしまった。
ミノは命からがら洞窟から這いだして助かったが、洞窟にはその後、以前にも増して厳重な扉が付けられた。森の中には風の音に混じって、ヒヨンと少女の声がこだましていた。
映画『模倣霊』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
韓国に伝わる伝承をベースに作り上げたそうだが、日本にもありそうな妖怪話だ。無能な警察と強い女性というスタイルは、いかにも韓国映画らしい。ホラー映画なのでストーリーの中身に期待してはいけないのかもしれないが、かなり中途半端に終わりすぎている。終わり方はあれでも良いと思うが、せめて巫堂との対決はしっかり描いてほしいと思った。巫堂が消滅したというはっきりとした描写があるだけで、ラストは少なからず救いのあるものと捉えることもできる。真っ暗の洞窟のあちこちから突然に声が聞こえてくるシーンは、気味が悪くてとても良かった。(MIHOシネマ編集部)
韓国ホラーの中でも異質な恐怖を感じさせる一本でした。序盤は「女の子がかわいそう…」と同情していたのに、彼女の正体が“模倣霊”だったとわかった瞬間、背筋が凍りました。何より声を真似て近づいてくる設定がリアルで、日常に潜む恐怖を想像させるのがうまい。母親のトラウマと後悔、家族の崩壊も重くのしかかります。(30代 女性)
「声を真似る幽霊」という設定が新鮮で、演出もじわじわと怖さが増すタイプで好みでした。いきなりビックリさせる演出じゃなく、気づいたら取り込まれているような感覚。特に、娘が消えた後、母親が霊に心を奪われていく過程はゾッとしました。ラストの“母が選ぶ救済”は切なくて苦しかったです。重厚感のあるホラーでした。(20代 男性)
家族を題材にした韓国ホラーは多いけれど、『模倣霊』はその中でも母親の“後悔”が中心に描かれていて心が締め付けられました。息子の死、娘との距離、義母の認知症…。そこに忍び寄る模倣霊の存在が、「喪失の象徴」としてリアルに機能していたのが印象的。あの無邪気な女の子がどんどん不気味になっていく描写も素晴らしかったです。(40代 女性)
音と空気感の演出が抜群に上手い作品。韓国映画らしい“じわじわ”くる怖さで、叫びたくなるような恐怖は少ないけど、観終わってからずっと思い出してしまうタイプのホラー。特に、模倣霊が家族の声を使ってじわじわと母を追い詰めていく構図は本当に怖かったです。静かな怖さが好きな人にはぴったりな映画だと思います。(30代 男性)
一見かわいらしい少女が実は模倣霊という展開がとにかく恐ろしい。霊が人の“声”を借りて心に入り込むというアイディアは、現代社会の“情報の信憑性”にも重ねられる気がして、ただのホラーでは終わらない深みがありました。母親の選択が正解だったのかどうか、観終わってからもずっと考えてしまいます。静かな名作ホラーです。(20代 女性)
模倣霊の正体がわかった時の背筋の寒さはすごかった。映画全体を通してテンションは抑えめだけど、その分リアルな恐怖がじわじわとにじみ出てきて、観ていて何度も息を飲んだ。特に、声が重なる演出や、扉の向こうから呼びかけるシーンなど、耳から来る恐怖が強烈。韓国ホラーの中でも心理的に来るタイプの一本でした。(40代 男性)
タイトルの意味が中盤から分かってくるあたりの構成がとても上手いと思いました。最初はただの不思議な少女と思っていたのに、模倣霊として家族の絆に入り込んでいく展開はゾッとします。特に印象的だったのは、母親が“本当の娘”を失っているからこそ、偽物にすがってしまうという心情。それがすごく悲しくて怖かったです。(30代 女性)
ホラーとしても良作ですが、それ以上に母親の罪悪感や喪失の物語として心に残りました。声を模倣するという力を持つ霊が、家族の間に“幻”として入り込んでいく様は見ていて息苦しいほど。娘が模倣霊と入れ替わっていると気づいた母親の苦悩と選択には胸が詰まりました。単なる恐怖だけではない、ドラマ性の高い作品です。(50代 女性)
霊がただ襲ってくるホラーではなく、“心の隙間”に入り込む存在として描かれていた点が新鮮でよかったです。模倣霊の子どもがあまりにも自然で、逆にそれが不気味さを増していました。ラストで母親が模倣霊と心中するような描写も衝撃的。何が本当で、何が幻なのかが曖昧になる感じが怖かった。久々に余韻が残るホラーでした。(20代 男性)
映画『模倣霊』を見た人におすすめの映画5選
哭声/コクソン(2016)
この映画を一言で表すと?
理性と信仰が崩壊していく、“見えない恐怖”が支配する究極のサスペンスホラー。
どんな話?
韓国の田舎町で次々と発生する不可解な殺人事件。警察官ジョングは、事件の背後に謎の日本人が関わっているのではと疑い始める。迷信と疑念、善悪の境界が曖昧なまま物語は予測不能な終末へと向かう。
ここがおすすめ!
『模倣霊』のように、「得体の知れない存在」がじわじわと家族や人間関係を蝕んでいく構成。宗教や呪術的な要素が濃く、観る者の価値観すら揺さぶるダークで重厚な作品です。伏線の多さも見どころ!
アナベル 死霊館の人形(2014)
この映画を一言で表すと?
“かわいい”に潜む悪意——家に招いてはいけない人形ホラーの代表作。
どんな話?
一見無害に見えるアンティーク人形・アナベルが、悪魔崇拝の儀式をきっかけに邪悪な力を持ち始め、持ち主の夫婦を恐怖の底に突き落としていく。実話を基にしたとされる死霊館ユニバースの重要作。
ここがおすすめ!
『模倣霊』と同様、「家の中に潜む何か」による恐怖を描いています。特に“子ども”や“母親”を巻き込む演出が共通しており、家族の絆が試される点も見どころ。じわじわと心に忍び寄る演出が秀逸です。
残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-(2016)
この映画を一言で表すと?
“過去の記憶”が現在に滲み出す、静かに狂気が染みてくる和製ホラー。
どんな話?
小説家の「私」が、読者から届いた奇妙な手紙をきっかけに、とある賃貸マンションの“音”にまつわる怪異を調査していく。そこには連鎖する死と呪いの歴史が隠されていた。
ここがおすすめ!
『模倣霊』のように、目に見えない恐怖と静かな語り口で観る者を徐々に追い詰めていくタイプの作品。派手さはないが、背後からじわじわと何かが近づいてくるような緊張感がクセになる一本です。
ヘレディタリー/継承(2018)
この映画を一言で表すと?
家族という“日常”が崩壊する…異質な恐怖があなたの心を犯す心理ホラー。
どんな話?
母親の死をきっかけに、次々と不穏な出来事に巻き込まれていく一家。やがて家系に隠された恐るべき“何か”が明らかになり、家族は想像を絶する恐怖の連鎖に巻き込まれていく。
ここがおすすめ!
『模倣霊』と同様、“母親の心の闇”と“家族の絆の崩壊”が軸となっており、感情的なトラウマと超常的な恐怖が同時に押し寄せてきます。演技・映像・音響全てにおいて不穏さが極まる傑作。
シックス・センス(1999)
この映画を一言で表すと?
「見える子ども」が語る、霊の世界と人間の心の痛みを描いた感動系スリラー。
どんな話?
霊が見える少年コールと、彼を救おうとする精神科医マルコムの物語。心を閉ざした少年の抱える秘密と、物語の最後に明かされる“ある真実”が観る者に大きな衝撃を与える。
ここがおすすめ!
『模倣霊』のように、子どもを通じて霊の世界と人間の心の傷が結びついていく構成が秀逸。単なるホラーに留まらず、切ない感情と再生の物語が美しく織り込まれた心に残る作品です。
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