この記事では、映画『マウス・オブ・マッドネス』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マウス・オブ・マッドネス』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マウス・オブ・マッドネス』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:ホラー
監督:ジョン・カーペンター
キャスト:サム・ニール、ジュリー・カーメン、ユルゲン・プロフノウ、ジョン・グローヴァー etc
映画『マウス・オブ・マッドネス』の登場人物(キャスト)
- ジョン・トレント(サム・ニール)
- 本作の主人公でフリーの保険調査員です。行方不明になったサター・ケインを探してる内に恐ろしいホラー小説の中に引きずり込まれてしまいます。
- リンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)
- サター・ケインの担当編集者です。ジョン・トレントと共にケインを探しに行き、恐ろしい体験をします。
- サター・ケイン(ユルゲン・プロホノフ)
- 世界的に有名なホラー小説の小説家です。行方不明になりますが彼が書いた小説の町にいるところをトレントが見つけます。
映画『マウス・オブ・マッドネス』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マウス・オブ・マッドネス』のあらすじ【起】
保険調査員のジョン・トレントはある日、有名な出版社から依頼を受けました。大人気作家のサター・ケインが失踪したので探して欲しいという依頼内容でした。トレントはその依頼を聞き、きっと保険代詐欺だ、出版社がサター・ケインを隠したんだと考えます。
出版社の社長は、失踪して死んでいたら保険金が欲しいし、見つかれば原稿が欲しいと言うことを話し、本当に困った様子でトレントを見ていました。
サター・ケインの担当編集者だったリンダ・スタイルズは、サター・ケインのホラー小説は本当に素晴らしい物で物凄くお金が動く、出来れば探し出して欲しいと告げ、トレントにお願いしました。それでもトレントはどうせ話題作りに出版社が隠したんだろうと思っていました。そして、訝しげな顔をしながら渋々承諾し、出版社を後にしました。
トレントはその日の帰り道に、サター・ケインが隠れている場所のヒント探しをする事を考え出しました。小説の中にヒントが無いか確かめる為に、トレントはケインの本を本屋さんでまとめ買いするのでした。

映画『マウス・オブ・マッドネス』のあらすじ【承】
本をまとめ買いし家に帰る途中で、トレントはふと、街路の壁を見ました。
壁にはサター・ケインの小説の広告が一面に貼ってありましたが、よく見ると少し前の作品の物でした。剥がれかけているところを少し剥がしてみると、ケインが失踪前に発表した新作の広告でした。出版社はケインが失踪した事により、新作の発売が大幅に遅れたので、新作の広告を隠す為に、前作の広告を貼って誤魔化していたのでした。ケインの失踪は本当に出版社にとって痛手なのだと分かる情景でした。
トレントは少し呆れながら眺めていると、路地裏から呻き声が聞こえてきました。覗いてみると太った警官がホームレスの男を警棒で殴っていました。警官の男は明らかにストレス発散の為に暴行を加えていました。暫くトレントは訝しげな顔で眺めていましたが、警官の男がトレントに気付きました。お前もやられたいのかと脅すと、トレントは恐ろしくなり、その場を走って逃げてやり過ごしました。
映画『マウス・オブ・マッドネス』のあらすじ【転】
家に帰ったトレントはホッとし、ソファに座りました。そして買ってきたケインの小説を読み始めました。下らないと思っていたホラー小説ですが、読んでみると意外と良く書かれており、トレントは時間を忘れて小説を読み漁りました。
読んでいる最中に友人から電話があり、トレントは今回の依頼について笑いながら、きっと俺に探させてしょうもないサプライズを用意してるんだろう、そして俺がマスコミにその情報をリークするだろうと思ってるんだ、そしたら凄い宣伝になると吹聴していました。けれど、小説自体はきっとしょうもないのだろうと思っていたのに、意外と面白いのです。中身はなんて事のないホラー小説です。けれど、何故か読むのを止められないのです。少しケインの事を褒めてしまっているのでした。
その内に、居眠りしながら小説を読んでいたトレントですが、表紙にあるヒントがある事に気付きました。おもむろにトレントは、ケインの小説の表紙を全て破り千切って組み合わせました。そうするとなんとアメリカの中の、名前の無い地名の場所にピッタリと当て嵌まる事が判明しました。
映画『マウス・オブ・マッドネス』の結末・ラスト(ネタバレ)
地図を見つけた事を出版社に報告したトレントは、ケインの担当編集者だったスタイルズと共に地図の場所へ向かいました。
なんとか地図の場所に着いた二人は驚きました。その場所は地図に存在しないのに人が住んでおり、尚且つその場所の風景はケインの小説通りでした。
しかし、徐々に町は怪しさを増し不気味なクリーチャーやおかしくなった町の人達で溢れ返ってしまいました。スタイルズもおかしくなり、出口も無い町の中でトレントは気を失いました。
目覚めたトレントの前にはケインがいました。そしてケインは「私の小説は全て現実だ、私の原稿を君は世間の人に公表せねばならない」と言うと自分の体を引き裂き、その狭間からクリーチャーが湧き出てきました。
命からがら逃げたトレントは途中で小説を捨て、出版社に報告にいきました。すると社長から原稿は何ヶ月も前にトレントに貰っていて、本は出版済み、映画も上映予定であることを知らされました。驚き気が狂ったトレントは、ケインの小説を買った若者を衝動的に殺してしまいました。
そして精神病院に入れられたトレントですが、ある日病棟の外で何かが起こり、朝になると病棟のドアが開いていました。病院から出たトレントは破壊された街を眺めながら歩いていると映画館を見付けました。そこではケインの新作が上映しており、トレントは映画館に入っていきました。
そこで映画を見始めたトレントは、自分が主人公で、自分がそのまま映像化されていた事を知りました。その瞬間に自分の存在自体が元から小説である事を知り、絶望したトレントは気が狂い、大声で笑い始めました。そして映画を見ながら笑い続けたトレントの顔は段々と悲壮感が漂い始め、最期には泣きながらうつむき、そこで映画のフィルムは切れました。
映画『マウス・オブ・マッドネス』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
まさに“狂気の渦に呑み込まれる”という感覚を味わえる傑作。小説家サター・ケインの作品を追っていくうちに、現実と虚構の境界があいまいになり、観ている側も何が本当かわからなくなる。最後に主人公が映画館で“自分の映画”を観て笑い狂うシーンはゾッとすると同時に鳥肌が立った。ホラーであり、メタフィクションでもある唯一無二の作品。(20代 男性)
ホラーなのに静かで淡々としていて、でも気がつくと不気味さがジワジワと染み込んでくるタイプの作品。ラヴクラフト的世界観がふんだんに盛り込まれていて、古き神々や“存在しない町”の描写が最高でした。特に、ラストで世界が小説通りに崩壊していくというアイディアが秀逸で、余韻が強烈。サム・ニールの演技も神がかってます。(30代 女性)
ジョン・カーペンター監督の中でも異色の一本。ジャンプスケアではなく、じわじわと精神を崩してくる“読者が狂う”というアイデアがとにかく良い。ホラーというよりも、心理崩壊型ミステリーに近くて、繰り返し観るたびに新しい発見がある。虚構が現実を侵食してくる感覚は、今のSNS時代にも刺さるテーマだと感じた。(40代 男性)
全編通して不安を煽るような構成が素晴らしい。最初は普通の調査モノかと思って観ていたけど、気づけば“観てはいけない世界”に入っていた感じ。主人公の“自分が小説の登場人物だった”という結末は衝撃的で、しかもその物語を読んだ読者が次々と狂っていくという展開も怖すぎる。80〜90年代ホラーの名作にふさわしい。(20代 女性)
狂気とホラー、宗教と文学が絡み合う重厚な映画でした。サター・ケイン=スティーヴン・キング風の存在というメタ構造も面白いし、「この物語はすでに書かれている」と言われた瞬間、ゾクッとしました。自分の行動すら“既に決まっている”ことへの恐怖が現実に迫ってくるような、不穏な恐怖がクセになる作品でした。(30代 男性)
最初は難解すぎて理解が追いつかなかったけど、2回目で一気にハマった作品。ループ構造、虚構と現実の境目、そして“物語に飲み込まれる”というテーマがものすごく面白い。あの映画館での“ひとり鑑賞”のラストシーンは、シンプルなのにめちゃくちゃ怖い。ホラー好きにはぜひ観てほしいカーペンターの隠れた傑作だと思う。(20代 男性)
ホラーというより哲学的な映画に近く、観終わったあともずっと考え込んでしまった。“作者の意志”によって人間が狂気に導かれるという設定は、神と人間の関係性に通じるし、現代社会への風刺にも感じた。物語の中の住人が自分の意思を持っているのか、それとも全部“書かれている”のか。そんな恐ろしさがずっと胸に残る作品です。(50代 女性)
ジョン・カーペンターの最高傑作だと思っています。ホラーとSF、メタフィクションが融合したようなジャンル超越型の一本。特に“読者が物語に飲み込まれる”という概念はホラージャンルを進化させたと思う。人間の理性が崩れていく演出が秀逸で、サム・ニールの狂気の演技には感嘆しました。地味だけど確実に怖い。(40代 男性)
この映画が凄いのは、「正気でいること」の不確かさを描いているところ。誰が狂っていて、何が真実なのか、観る側にも疑問を突きつけてくる。町が小説通りに存在してしまうとか、登場人物が“物語を終わらせないで”と懇願するところなど、設定が神レベルで面白い。エンタメホラーとしても上質で、世界観にどっぷりハマれる。(30代 女性)
ホラー映画なのに、いわゆる“びっくり要素”が少ないのにこの怖さ。観終わってからの方がずっと不安になるタイプの作品。小説が現実を創る、という設定は非常にユニークだし、まさか自分自身が物語の中にいたというオチは本当に秀逸。最後の主人公の笑いが、映画という虚構と現実をつなげてくるようで鳥肌でした。(20代 男性)
映画『マウス・オブ・マッドネス』を見た人におすすめの映画5選
ザ・リチュアル いけにえの儀式(The Ritual)
この映画を一言で表すと?
北欧の森に潜む神話的な恐怖が、じわじわと精神を侵食する不気味ホラー。
どんな話?
親友の死を悼むために集まった4人の男たちが、スウェーデンの深い森でハイキング中に迷い、奇妙な現象や神話的存在に遭遇していく。失われた友情と過去の罪、そして理性の崩壊を描いた心理ホラー。
ここがおすすめ!
視覚的にも音響的にも不気味さが際立つ演出が光る一作。『マウス・オブ・マッドネス』同様に、理性と現実が壊れていく恐怖が巧みに描かれており、ラヴクラフト的世界観が好きな人には特におすすめ。
イベント・ホライゾン(Event Horizon)
この映画を一言で表すと?
宇宙を舞台にした“マッドネス”が炸裂するSFホラーの異端作。
どんな話?
行方不明になっていた宇宙船“イベント・ホライゾン”の救助に向かったクルーたちが、異次元の地獄と接触したことで次々と恐ろしい幻覚と狂気に飲まれていくサイコ・スペースホラー。
ここがおすすめ!
幻覚、血まみれの演出、音で攻めてくる恐怖演出が強烈。『マウス・オブ・マッドネス』と同じく現実が歪んでいく恐怖と、“見てはならないもの”のインパクトが強い。グロテスクながら魅了される一作。
ダークシティ(Dark City)
この映画を一言で表すと?
“現実とは何か?”を問う、ノワール調のサイコSFスリラー。
どんな話?
記憶を失った主人公が、夜になると変化する街“ダークシティ”で、自分の過去と街の秘密を探る。そこには人間の意識を操作する謎の存在“ストレンジャーズ”が暗躍していた。
ここがおすすめ!
視覚表現とストーリーテリングが極めて秀逸で、ラヴクラフト的な宇宙的恐怖ではなく“構造的恐怖”が魅力。『マウス・オブ・マッドネス』の虚構性・メタ構造に惹かれた人にはたまらない一本。
キャビン(The Cabin in the Woods)
この映画を一言で表すと?
ホラー映画の常識をぶち壊す、知的で笑えるメタホラー。
どんな話?
大学生5人が訪れた山奥の小屋で不可解な出来事に巻き込まれるが、それは巨大な“儀式”の一部だった――。映画の構造そのものを逆手に取った、驚きに満ちたストーリーが展開される。
ここがおすすめ!
ホラーを知り尽くした人ほど楽しめる“メタ視点”が魅力。『マウス・オブ・マッドネス』のように“観る者も巻き込む”ストーリー構造が好きなら刺さること間違いなし。後半のカオス展開は圧巻。
カラー・アウト・オブ・スペース(Color Out of Space)
この映画を一言で表すと?
色彩と音で“狂気”を体感する、ビジュアル系ラヴクラフトホラー。
どんな話?
隕石が落ちたことから奇妙な変異を始める田舎の農場。時間や生物に影響を与える“色”が家族の心と体を蝕み、やがて制御不能な惨劇を引き起こしていく、ニコラス・ケイジ主演の恐怖譚。
ここがおすすめ!
ラヴクラフト原作の正統派映像化作品。音と色彩が生む“理不尽な恐怖”が、『マウス・オブ・マッドネス』の“見えない恐怖”と通じ合う。視覚と聴覚から侵されたい人にぴったりの映画。
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