あの高橋克実が主役に!奥田英朗の名作を実写化。舞台は少しずつ過疎化が進んできた町。高橋克実は、その町で理容店を営む男性を演じる。ここにきて初めての主演を演じる高橋克実の新境地が見られるか。
映画『向田理髪店』の作品情報
- タイトル
- 向田理髪店
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年10月14日(金)
- 上映時間
- 不明
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 森岡利行
- 脚本
- 森岡利行
- 製作
- 上野境介
大槻勇太郎 - 製作総指揮
- 寺崎秀嗣
- キャスト
- 高橋克実
白洲迅
板尾創路
近藤芳正
芦川誠
田中俊介
坪内守
鈴木大輝 - 製作国
- 日本
- 配給
- キャンター
映画『向田理髪店』の作品概要
奥田英朗は日本を代表する作家。そんな奥田英朗が2013年より執筆している短編小説集が、この『向田理容店』である。これまで、直木賞を獲得したこともある実力派である奥田英朗の特長といえば、独特の世界観。地方の過疎化や人々同士の衝突という重いテーマを描きながらも、ユーモアを絶対に忘れないところがまさに奥田英朗らしさ。これまでも、一風変わった作品で世の中を魅了してきた奥田英朗の真骨頂が存分に発揮されている。そんなユーモラスな作品に主役としてバラエティなどでもよく知られる高橋克実が起用されていることは、まさに適役と言えるのではないだろうか。しかし、高橋克実が主演となるのは長いキャリアの中でも今回が初。一体どのような化学変化が起こるのか。楽しみに待とう。
映画『向田理髪店』の予告動画
映画『向田理髪店』の登場人物(キャスト)
- 向田康彦(高橋克実)
- 筑沢町で理容店を営む男性。以前は広告代理店に勤務していた。
- 向田和昌(白洲迅)
- 康彦の息子。東京から、康彦の理容室を継ぐために帰ってきた。
映画『向田理髪店』のあらすじ(ネタバレなし)
向田康彦は筑沢町という小さな町で、小さな理容店を経営していた。筑沢町はかつては炭鉱で有名な場所であったが、今となってはすっかり寂れてしまった場所。ある日康彦の息子、和昌が理髪店を継ぐと言い東京から戻ってきた。複雑な気持ちになる康彦であったが、そんな康彦の心配をよそに、和昌は理容師学校の学費を稼ぐためにバイトを始めた。そんな中、地域を活性化するべく街おこしの話が持ち上がる。若い世代を中心に議論は活発。しかし、その過激とも言える手段に康彦は疑問を投げかける。それをキッカケに、康彦と和昌は徐々にすれ違ってしまう。さらに、街の住人も徐々にその街おこしに巻き込まれていって…?
映画『向田理髪店』の感想・評価
主演、高橋克実
本作の主役を務めているのは高橋克実。長年芸能界で活躍する超有名俳優である。『トリビアの泉』の司会者を務めていたことから、バラエティの印象を強く持っている人も多いかもしれない。だが、言うまでもないが彼の本業は俳優。それも、この道35年というベテランである。しかし、彼はあくまでもバイプレイヤーとして作品を彩ることが多かった。そして、本作でとうとう彼は初めての主演を務めることとなる。そのキャラクターで元々世間からの好感度も高かった高橋の喜ばしいニュースを、嬉しく思うファンも多いことだろう。勿論バイプレイヤーはバイプレイヤーにしか出せない味、魅力が存在する。これからも彼にはバイプレイヤーとしての出演も継続してもらいたいが、今作で今後の彼のキャリアがさらなる飛躍を見せることは間違いないだろう。
日常の大切さ
最新作ではド派手な非日常な事態は勃発しない。人間関係の軋轢といった事件は生じるものの、あくまでも町内会単位での話だ。視聴者は、映画の世界に非日常を求めがちである。だからこそ、ハリウッドでもアクション映画が次から次へと作られるのだ。とにかく多いカーレースや爆発といったシチュエーションも、普通の生活を送っていたら中々遭遇することはない。しかし、日常がなければ当然非日常も存在しない。むしろ、自分とは無縁の設定の中で起きる事件よりも、よりリアルな日常の作品の中で事件が起きる方がよっぽど恐ろしいのかもしれない。たまにはこういった日常系の映画を鑑賞し、ゆったりと思いに耽るのもいいのではないだろうか。
故郷に帰りたくなる一本
誰にも故郷があることだろう。その地での思い出がいいものか悪いものかは人によるだろうが、しかし、どちらにせよ故郷の思い出というのは色濃いもの。本作でも、一度は故郷を巣立った息子が地元に立ち戻るところこら物語が進んでいく。大人になるにつれ、日々の多忙さに流され中々故郷へと帰る機会は少なくなるかもしれない。自分の親との関係性や街の風景など、様々なものが幼い頃と比べて変わっていることだろう。しかし、変わることは決して悪いことばかりではない。懐かしいあの時に思いを馳せながら、成長した自分を改めて感じることとなるだろう。本作を見ると、自分の心の奥にある懐かしい光景が蘇り、あの場所へと一度舞い戻りたくなるかもしれない。
映画『向田理髪店』の公開前に見ておきたい映画
真夏の方程式
最新作は、地方の過疎化が物語の根幹にある。高齢化や都心への人の流出などの理由から、徐々に地方が衰退していっている。そんな過疎化、街おこしなどに主人公達は巻き込まれていく。一方、本作でもそんな『街の活性化』が描かれている。本作の舞台となっている玻璃ヶ浦は、人の手が殆ど入っていない美しい海が魅力の地。しかし、アクセスも悪く、その他目立った観光ポイントもないとあっては、島民全員は食べてはいけない。そこで持ち上がった海底鉱物資源開発規格。しかし、島の住民である成美には、どうしてもそれを許容できない理由があった。今年9年ぶりの新作が公開となり、話題沸騰中の『ガリレオ』の映画シリーズ2作目。
詳細 真夏の方程式
バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら
映画作品には、莫大な人数が関与している。脚本、プロデューサーに主演キャストなど、役割は様々。そして、当然ではあるが、残念ながら物語を構成する上で全員が主役にはなれない。物語を支える脇役が必要不可欠となるのだ。主人公役としてはあまり出演しないが、脇役を主に演じる俳優をバイプレイヤーと呼ぶ。最新作で主演を務める高橋克実もそんなバイプレイヤーの1人である。バイプレイヤーによる超豪華な作品、それこそがこの『バイプレイヤーズ』シリーズである。元はドラマ作品として始まり、松重豊や光石研、大杉漣ら日本を代表するバイプレイヤーズが多く起用された。その豪華さと、おじ様達の微笑ましい掛け合いが大ヒット。この度映画化が製作された。
詳細 バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら
イン・ザ・プール
先述したように、奥田英朗は日本を代表する作家だ。これまで数多くの作品を世に送り出してきたが、特に本作を含む『精神科医 伊良部』シリーズの愛読者は多いのではないだろうか。直木賞候補にも輝いた、奥田英朗の代表シリーズ。本作に登場するキャラクターは、みなどこか変わっている。主人公の伊良部は注射フェチの医者、助手のマユミは露出狂疑いというとんでもない設定。そんな伊良部の元を訪れる患者もまた普通ではない。プール依存症や、ずっと勃ちっぱなしの『陰茎強直症』など、他ではあまり聞くことのない症状を訴える患者達。果たして、こんなあまりにも個性的なキャラクター達と設定を、どのようにして実写化したのだろうか。映画自体は2005年のものであるが、2019年には舞台化されたばかりと、まだまだその人気に翳りを見せない本シリーズ。もしかすると、近々映画続編の話も上がるかもしれない。
詳細 イン・ザ・プール
映画『向田理髪店』の評判・口コミ・レビュー
「向田理髪店」試写。
高橋克実初主演、森岡利行監督の手腕が光る田舎町のヒューマンドラマ!大牟田のご当地作品なのに、しっかり地方再生の難しさが描かれて好感持てた。白洲迅、富田靖子、筧美和子ら俳優陣も好演。ちなみに劇中撮影が行われるご当地映画は「レオン」のパロディでした。 https://t.co/Z6nYX2uWmV pic.twitter.com/g84s4Qf6hw— マサル☆ (@masarutak) October 12, 2022
「向田理髪店」鑑賞。夜道をぷらぷら歩く高橋克実と板尾創路がまぁ画になること。名も無き田舎、名も無き人たちの物語がどうしてこんなに沁みるんだろう。ラストの克実さんはまるでジャック・ペラン(ニュー・シネマ・パラダイス)!エンドロールのメイキング写真も素敵。予想外の映画愛にまんまと号泣…
— せんぼし かずこ (@kazuko_1000) October 16, 2022
10/15「向田理髪店」を観た。高橋克実が味があって良かった。富田靖子って、今何歳かわからないが若く感じた。その他味のある人々が出てきて、ほんのりとした話。(実際は事件はあるが) 久々に心に残る良い映画であった。 pic.twitter.com/uHusavLPZY
— おじさま (神楽隊) (@xxxnoojisama) October 16, 2022
#向田理髪店 を見ました
かつて炭鉱で栄え今は寂れた筑沢町で親から受け継いだ理髪店を営む向田康彦を中心に大小様々な問題に振り回されながらも生きる姿を描く😊過疎の町をリアルに描いてある😊またキャスト陣が良い( ・∀・)イイ!!演技も空気感と相まって心地よい😊温かい気持ちになりますね pic.twitter.com/j3ymib5et9
— ぼっちぼっちでぼっち (@vGCl8rsv1MhZaB2) October 16, 2022
映画『向田理髪店』のまとめ
時代は凄まじい勢いで流れていく。日々新しい娯楽が生まれ、人々の関心はそちらへと移っていく。街の風景も同じ。新しい建物や店ができては消えていく。大きなショッピングセンターなどができたことで、その場所に昔からある個人店が経営の危機に陥るということは、よく聞く話である。それが悪いことというわけでは勿論ない。従来のものに固執するあまり新しいものを一切受け入れられなければ、待っているものは衰退だけだ。一方で、新しければ良いというわけでも勿論ない。昔から慕われているものには、それなりの理由があるのだ。確かに、新しいものを受け入れるということはなかなか難しいかもしれない。そのやり方に慣れ親しんでいる上の世代であればあるほど、そういった思いは強くなる。本作の康彦と和昌も、そういった意見の食い違いの末に徐々にすれ違ってしまう。彼らは一体どのようにして、それぞれの意見がうまく噛み合う妥協点を見つけるのだろうか。
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